不動産を売却する際には税金を納める必要があります。
しかし、対策次第で納税額を最小限に抑えることができます。
この記事には税額をできるだけ抑えたい、というあなたにこそ知ってほしい不動産売却の税金対策をまとめました。
- 1. 不動産売却にかかる税金とは
- 2. 【全員必見】不動産売却の税金対策3つ
- 3. 【10つのケース別】不動産売却の税金対策
- 3.1. マイホームの売却:3,000万円が控除される
- 3.2. 所有期間10年超えマイホームの売却:軽減税率が適用される
- 3.3. マイホームを売って買い換える:税金の繰り延べができる
- 3.4. 事業用不動産売却:税金の繰り延べができる
- 3.5. 相続した空き家の売却:3,000万円が控除される
- 3.6. 相続税を納めている不動産の売却:取得費に加算できる
- 3.7. 平成21年・22年に購入した土地の売却:1,000万円が控除される
- 3.8. ふるさと納税をした場合:寄付金控除の対象となる
- 3.9. 農地を売却した場合:所得を800万円以上控除できる
- 3.10. 事業用不動産を売却した場合:税金の繰り延べができる
- 4. 【損失が出た場合】不動産売却の2つの税金対策
「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
不動産売却にかかる税金とは
よし、税金対策をしよう!と意気込む前に、まずは不動産売却時にどんな税金がいつかかるのかを把握しておきましょう。
税金 | 課税対象 | 納税タイミング | 税金額の目安 |
---|---|---|---|
印紙税 | 不動産売買契約書などの課税文書 | 売買契約書作成時 | 200円~48万円 契約金額によって値段が異なり、 |
譲渡所得税 | 売却で得た利益 | 売却した翌年の確定申告時期 | 利益額によって大きく変わり、 数十万~数百万かかるケースも。 |
登録免許税 | 登記の変更 | 不動産の決済・引き渡しの日 | 不動産1つあたり1,000円。 |
かかる費用・税金は不動産の種類や状況によって異なります。そこで、かかる費用・税金を簡単にチェックしましょう!
必要項目を選択して「かかる費用・税金を見る」を押すと、ご自身の場合にかかる金額や項目の内訳が一覧で表示されます。

項目 | 金額 | 内容 |
---|
控除名 | 内容 |
---|
【全員必見】不動産売却の税金対策3つ
不動産売却における税金対策は、売却によって得られる利益を最大化し、税負担を最小限に抑えるための重要なステップです。
この章では、効果的な税金対策の方法を探求し、不動産売却時に適用可能な様々な税制優遇措置や節税テクニックを紹介します。
具体的には、所有期間が5年超えてから売却する取得費をできるだけ多く計上する、譲渡費用をできるだけ多く計上するなど、多角的なアプローチを通じて、不動産売却に伴う税金の負担を軽減する方法を詳しく解説します。
まずこの章では、不動産を売却する方、ほぼ全員に適用可能な税金対策について紹介していきます。
所有期間が5年を超えてから売る
前章の最後に少し触れたように、税率は売却する不動産の所有期間によって大きく異なります。
不動産の所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年越えなら長期譲渡所得となります。
- 短期譲渡所得:売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合適用。税率は39.63%
- 長期譲渡所得:売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている場合適用。税率は20.315%
これは転売目的による短期の不動産売買を抑えるために設けられた区分です。
長期譲渡所得の税率の方が税額を抑えられるため、所有期間が5年を超えてから不動産を売却することが税金対策に繋がります。
なお、所有期間は不動産を取得した日から売却した日までの期間を指します。
取得した日とは、原則として不動産の引き渡しを受けた日です。
また、売却した日とは、原則として売主が買主に不動産を引き渡した日です。ただし、その年の1月1日時点で判定されるので、注意が必要です。
いずれの場合も売買契約日を選ぶこともできるので、覚えておきましょう。
取得費をできるだけ多く計上する
譲渡所得を減らすため、取得費をもれなく計上することは税金対策にとって非常に重要です。
取得費とはその不動産の取得にかかった費用を指します。以下の表は、取得費として計上可能なものです。
- 購入代金や建築代金(建物は減価償却費相当額を差し引く)
- 取得時に支払った仲介手数料
- 契約書の印紙税
- 登記費用(登録免許税、司法書士への報酬など)
- 不動産取得税
- 購入時に支払った立ち退き料(借主がいた場合)
- リフォーム費用
- 測量費(土地の場合)
- 土地の造成費用(土地の場合) など
これらをもれなく計上しましょう。
譲渡費用をできるだけ多く計上する
税金対策として、取得費同様に譲渡費用ももれなく計上しましょう。
譲渡費用とは、その不動産を譲渡する際にかかった費用を指します。以下の表は、譲渡費用に含まれるものです。
- 売却時に支払った仲介手数料
- 契約書の印紙税
- 売却時に支払った立ち退き料(借主がいた場合)
- 建物の解体費用
- 測量費(土地の場合) など
【10つのケース別】不動産売却の税金対策
ここからは、売却予定の不動産に適用できる税金対策をケースごとに解説します。方法が適応できるケースとできないケースがありますので、ご自身の不動産ではどの税金対策が適用できるかしっかりご確認の上利用してください。
特に、マイホーム(居住用不動産)を売却する場合、売却代金は買い替えやその後の生活などで必要な資金でもあることから、有利な特例が用意されています。
それらの特例を使えるかどうかで税金は大きく変わります。条件などを詳しくチェックしていきましょう。
マイホームの売却:3,000万円が控除される
マイホームの売却なら譲渡所得から3,000万円を差し引ける特例があります。それが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」です。
この控除はその不動産の所有期間を問われることがないため、非常に利用しやすい特例です。譲渡所得が3,000万円までなら税金がかからないことになります。
控除は一人につき最大3,000万円です。そのため、建物や土地が夫婦の共有名義なら、合計6,000万円までの控除が可能になります。
主な適用条件は、自分の住む建物・土地の売却であること、売却した年の前年/前々年にこの特例や居住用財産の買い換え特例などの適用を受けていないこと、配偶者や親族・自分がオーナーである会社への売却ではないことです。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.3302「マイホームを売ったときの特例」をご覧ください。
所有期間10年超えマイホームの売却:軽減税率が適用される
マイホームの所有期間が10年を超えている場合、軽減税率を適用できます。それが「所有期間10年超の軽減税率」です。
譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について、通常20%の長期譲渡所得の税率が、14%になります。これは3,000万円特別控除と併せて利用できるので、覚えておきましょう。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.3305「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」をご覧ください。
マイホームを売って買い換える:税金の繰り延べができる
マイホームを売って新しいマイホームに買い換える場合、一定条件を満たせば譲渡所得に対する税金を繰り延べできます。これを「居住用財産の買い換え特例」といいます。
これは、税制優遇措置で、買い換え時の税金を軽減できます。
条件は、売却するマイホームの所有期間が10年を超えていることです。
注意したいのは、この特例によって税金が免除されるわけではなく、先送りされるということ。
次に買い換えした場合に、繰り延べ分を含めて課税されることになります。
売るマイホームが新しいマイホームより高いか同額なら、税金は全額繰り延べになります。新しいマイホームの方が安い場合は、その差額に税金がかかります。
ここで注意したいのが、「居住用財産の買い換え特例」と「3,000万円特別控除」(および「所有期間10年超の軽減税率」)は併用ができないということです。
どちらも使える、となった場合には、試算により有利な方を選びましょう。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.3355「特定のマイホームを買い換えたときの特例」をご覧ください。
事業用不動産売却:税金の繰り延べができる
マイホーム以外で、個人が店舗・事務所・農地・賃家・貸地などの事業用不動産を売って、新しい事業用不動産を買い換えた場合にも買い換え特例を受けることができます。これを「事業用資産の買い換え特例」といいます。一定条件を満たせば、売却金額の80%を繰り延べすることもできます。
適用条件が多いので、事前に確認をしておきましょう。
- 売却・購入ともに事業用の不動産であること
- 売却・購入する不動産が一定の組み合わせであること
- 土地の場合、購入する土地が売却する土地面積の5倍以内であること
- 売却した年、またはその前年/翌年中に購入すること
- 買い換えから一年以内に、その不動産で事業を行うこと
なお、店舗併用住宅の場合は、居住用部分は居住用財産の買い換え特例が、店舗部分は事業用資産の買い換え特例が使える場合もあります。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.3405「事業用の資産を買い換えたときの特例」をご覧ください。
相続した空き家の売却:3,000万円が控除される
空き家となった親などの家の相続・売却でも、条件により3,000万円の控除を受けることができます。これを「空き家の3,000万円特別控除」といいます。
被相続人が亡くなった時にその家に住んでおらず、老人ホームなどに入所していた場合も適用対象です。
適用条件として、売却を相続開始から3年目の12月までに行うことと、建物が一定の耐震基準を満たしている必要があります。そのため、耐震改修を行ってから売却するか、建物を解体して更地にしてから売却する必要があります。
一定条件を満たせば小規模宅地等の特例や3,000万円特別控除、居住用財産の買い替え特例と併用も可能です。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご覧ください。
相続税を納めている不動産の売却:取得費に加算できる
相続した不動産について相続税を納めていれば、相続税の一部を「取得費」に加えることができます。これを「相続税の取得費加算の特例」といいます。
取得費は必要経費として、売却金額から差し引くことができるため、そのぶん節税が可能です。
相続開始の翌日から3年以内の売却であることなどが条件で、売却の翌年に確定申告が必要です。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」をご覧ください。
平成21年・22年に購入した土地の売却:1,000万円が控除される
平成21年1月から平成22年12月の間に購入した土地(借地権も含む)は、売却の際に譲渡所得から最大1,000万円を差し引くことができます。マイホーム以外の土地でも可能です。
ただし、3,000万円特別控除など、ほかの譲渡所得の特例との併用はできません。
また、相続や贈与、配偶者や一定の親族など特別な関係にある相手からの購入は対象外となります。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.3225「平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除」をご覧ください。
ふるさと納税をした場合:寄付金控除の対象となる
自分の所属している自治体以外の自治体に寄付をし、返礼品をもらえる「ふるさと納税」。
もし「ふるさと納税」に寄付をしている場合、寄付合計額から2,000円(自己負担金)を除いた額が、寄付金控除の対象となります。
つまり、住民税から控除、所得税から還付されることになります。
なお、「ふるさと納税」で節税する場合は控除上限額の試算も必要です。上限額は年収に応じて決まるので、予測を立てて計算をしましょう。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」をご覧ください。
農地を売却した場合:所得を800万円以上控除できる
農地の税金控除特例とは、農地の売却に伴い発生する譲渡所得に対して適用される税制上の優遇措置です。この特例は、農業用地を他の目的に転用する際に、税負担を軽減することを目的としています。
税金控除特例を受けるための条件は、主に「農用地区域内の農地を地域の農業者や農地中間管理機構に売っていること」です。
控除金額は、ケースによって800万円・1,500万円・2,000万円のいずれかとなります。
農地の売却の控除について詳しくは、農林水産省ホームページをご確認ください。
事業用不動産を売却した場合:税金の繰り延べができる
事業用不動産の税金繰り延べとは、事業用の不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対する税金の支払いを、一定の条件下で後ほどに延期する制度です。
税金繰り延べの特例を受けるためには、主に次のような条件があります。
- 個人が、事業用の特定の地域内の不動産を譲渡していること
- 一定期間内に不動産を取得し、取得日から1年以内にその不動産を事業用に利用していること
詳しい適用要件等については、タックスアンサーNo.3405「事業用の資産を買い換えたときの特例」をご確認ください。
【損失が出た場合】不動産売却の2つの税金対策
譲渡損失が出た場合の特例とは、不動産などの資産を売却して損失が発生した際に適用される税制上の措置です。
マイホームを売って赤字になることもあります。それは、購入した金額より売却した金額の方が少ない、譲渡損失が発生したが、売却した金額では残っている住宅ローンを完済できない、損は出たが新たに住宅ローンを組んで新しいマイホームを購入したい、という状況の際に使います。
この特例では、売却による損失(譲渡損失)を他の所得と相殺することができる「損益通算」や、その損失を翌年度以降に繰り越して所得から控除する「繰越控除」が可能です。
この章知っておきたい救済措置について解説します。損失を上手に活用して、節税を目指しましょう。
譲渡損失の損益通算
譲渡損失が出た際、給与所得などの他の所得から譲渡損失を差し引くことができます。これを「損益通算」といいます。
これにより、課税所得が少なくなり、その年の税金が軽減されます。
この特例は不動産の買い換えを行う場合にも利用できます。
なお、住宅ローンが残っている場合、譲渡損失の上限は、売却時の住宅ローン残高から売却金額を引いた額です。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.3370「マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」をご覧ください。
譲渡損失の繰越控除
損益通算に加え、その年の所得から引ききれなかった損失金額があれば、翌年以降に繰り越して、その年の所得から差し引くこともできます。これを、「繰越控除」といいます。
損失金額は3年間繰り越しが可能です。
特例の適用には、売却の翌年に確定申告が必要となります。
詳しくは国税庁タックスアンサーNo.3203「不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合」をご覧ください。
不動産を売却した結果、手元に残るお金を多くする一番良い方法は、そもそも不動産を高値で売却することです。
そして、不動産の売却は、多くの場合そのほとんどを不動産会社に任せてしまうので、不動産売却が成功するかどうかは良い不動産会社を選べるかどうかにかかっています。
不動産の査定価格は、プロである不動産会社でも会社によって大きく異なることが少なくないからです。複数の不動産会社に査定を依頼するのであれば、一括査定サービスを活用するのが便利でしょう。
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