短期譲渡所得とは?長期譲渡所得との違いや計算方法を解説

短期譲渡所得とは?長期譲渡所得との違いや計算方法を解説
不動産売却での利益にあたる「譲渡所得」は、不動産の所有期間によって「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2種類に分けられ、それぞれ税率が大きく異なります。

「不動産を売却しようと考えているけど、短期譲渡所得って何?」

「譲渡所得ってどうやって計算するの?」

この記事では、このような疑問をお持ちの方へ向けて、短期譲渡所得の基本的な知識から、長期譲渡所得との違い、具体的な計算方法、注意点までを分かりやすく解説します。

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短期譲渡所得とは

まず、「短期譲渡所得」がどのようなものかを理解するために、「譲渡所得」そのものと、その課税方法についてみていきましょう。

譲渡所得とは

譲渡所得とは、土地や建物などの資産を譲渡して得た利益です。

「所得」は「収入」から「経費」を差し引いた金額をいいます。

土地や建物といった不動産を売却する場合であれば、不動産の売却価格が、その不動産を取得した時にかかった費用や売却時にかかった費用よりも高い場合に、差額が利益となり、この利益部分が「譲渡所得」と呼ばれます。

なお、「譲渡所得」は譲渡によって得た所得を指すので、たとえば有価証券や宝石など、他の資産を譲渡して得たもうけも「譲渡所得」に含まれます。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得の金額は、「売却価格 - 取得費 + 譲渡費用 」で計算できます。

たとえば、マンションを5,000万円で売却し、そのマンションの購入費用や購入時の諸経費(取得費)が3,500万円、売却時の仲介手数料等(譲渡費用)が150万円だった場合を考えてみましょう。

この場合、譲渡所得は次のように計算できます。

5,000万円 -3,500万円 + 150万円 = 1,350万円

したがって、譲渡所得の金額は1,350万円となり、この金額に対して、所得税や住民税が課税されます。

短期譲渡所得とは

短期譲渡所得とは、所有期間が5年以下の不動産を売却して得た譲渡所得です。

不動産の譲渡所得は、その不動産をどれくらいの期間所有していたかによって、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2つに分類され、それぞれ税率が異なります。

「所有期間」は、不動産を取得した日(引渡し日)の翌日から、売却した年(引渡し年)の1月1日までの期間を指します。

所有期間の調べ方

たとえば、2020年4月1日に購入(引渡し)した不動産を、2025年10月31日に売却(引渡し)したとします。

この場合、売却した年は2025年ですので、その年の1月1日(2025年1月1日)時点で所有期間を計算します。

2020年4月2日から2025年1月1日までの期間は4年9ヶ月となり、「5年以下」に該当する為、この売却で得た利益は短期譲渡所得となります。

このように、不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以内であれば、その譲渡所得は「短期譲渡所得」として扱われます。

譲渡所得への課税方法

不動産の譲渡所得にかかる税金は、他の所得とは分けて計算される「申告分離課税」という方式が採用されています。

通常、個人の所得税は、給与所得や事業所得等様々な所得を合計した金額に税率を掛けて計算します(これを「総合課税」といいます)。

しかし、不動産の売却益のような譲渡所得は、一時的に大きな金額になる事が多く、他の所得と合算すると税率が非常に高くなってしまう可能性があります。

そこで、納税者の負担が急激に増えるのを避けるため、不動産の譲渡所得は他の所得とは切り離して、譲渡所得だけで税額を計算する「分離課税」が適用されているのです。

分離課税の場合、給与所得などのほかの所得の有無やその金額にかかわらず、不動産売却で得た譲渡所得にかかる税率は、その譲渡所得が短期か長期かによって決まることになります。

※参照: 国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」

短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い

不動産売却時の税金を知るためにも、短期譲渡所得と長期譲渡所得の違いを詳しく見ていきましょう。

所有期間の違い

短期譲渡所得と長期譲渡所得どちらの所得にあたるのかは、不動産の所有期間によって決まります。

種類所有期間
短期譲渡所得所有期間が5年以下の場合
長期譲渡所得所有期間が5年超の場合

繰り返しになりますが、所有期間は、不動産を取得した日の翌日から、売却した年の1月1日までの期間で計算します。

なお、相続によって取得した不動産の場合は、亡くなった方(被相続人)がその不動産を取得した日から期間を引き継いで計算できます。

税率の違い

短期譲渡所得と長期譲渡所得では、適用される税率(所得税・住民税)が異なります。

それぞれの税率は以下の通りです。

種類所有期間所得税率(復興特別所得税を含む)住民税率合計税率
短期譲渡所得5年以下30.63%9%39.63%
長期譲渡所得5年超15.315%5%20.315%

※所得税率には、2037年まで所得税額の2.1%相当の「復興特別所得税」が含まれます。

たとえば、譲渡所得が1,000万円だった場合の税額を比較してみましょう。

<短期譲渡所得の場合>

所得税(復興特別所得税を含む):1,000万円 × 30.63% = 306.3万円

住民税:1,000万円 × 9% = 90万円

合計税額:306.3万円 + 90万円 = 396.3万円

<長期譲渡所得の場合>

所得税(復興特別所得税を含む):1,000万円 × 15.315% = 153.15万円

住民税:1,000万円 × 5% = 50万円

合計税額:153.15万円 + 50万円 = 203.15万円

このように、短期譲渡所得の税率は長期譲渡所得の約2倍と、非常に高くなっています。

※参考: 国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」, 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」

なぜ短期譲渡所得の税率は高いのか?

短期譲渡所得の税率が高いのは、過去に不動産の短期的な転売(投機目的の取引)が問題となった為、それを抑制する目的があります。

日本のバブル経済期には、「土地転がし」と呼ばれる、購入した土地を短期間で次々と転売して利益を得る投機的な行為が横行しました。

このような短期間での売買による利益獲得を抑制するために、所有期間が短い場合の譲渡所得に対して高い税率が課される制度が導入されたのです。

税率を高く設定する事で、短期間で売却しても利益が出にくくなり、投機的な取引のうまみを減らす効果を狙った訳です。

その当時の税制が現在も基本的に引き継がれており、短期的な不動産取引に対しては高い税負担を課すという政策的な理由から、短期譲渡所得の税率は高く設定されています。

短期譲渡所得の計算方法

短期譲渡所得は、「譲渡所得 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額」で計算することができます。

計算方法を詳しく見ていきましょう。

譲渡所得の計算式

譲渡所得税の計算の基礎となる譲渡所得は、以下の計算式で求められます。

譲渡所得 = 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額

この計算式に出てくる「収入金額」「取得費」「譲渡費用」「特別控除額」がそれぞれ何を指すのか、順に見ていきましょう。

①収入金額とは

収入金額とは、不動産を売却して買主から実際に受け取ったお金の総額です。

これは譲渡所得計算のスタート地点となる金額であり、基本的には売買契約書に記載された売却価格が該当します。

たとえば、マンションを5,000万円で売却した場合、収入金額は原則として5,000万円となります。

なお、売却時に買主との間で固定資産税・都市計画税の清算金を受け取った場合、その清算金も収入金額に含める必要があります。

つまり、収入金額は、売却によって得たトータルのお金と考えると分かり易いでしょう。

②取得費とは

取得費とは、売却した不動産を購入(取得)するためにかかった費用の事です。

不動産を売って得た収入から、元々その不動産を手に入れるために支払ったコストを差し引く事で、純粋な利益(譲渡所得)を計算するために必要となります。

取得費に含まれる主な費用は以下の通りです。

  • 不動産の購入代金(土地・建物)
  • 購入時の仲介手数料
  • 購入時にかかった税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税など)
  • 購入後の整備費用(測量費、整地費、建物の解体費など)
  • 購入後のリフォーム費用や設備費用

なお、建物は時間と共に価値が減少(減価償却)する為、購入代金から所有期間に応じた減価償却費を差し引いた金額が取得費となります。

不動産の減価償却費とは、建物部分の取得費用を、法的に定められた使用可能な期間(耐用年数)にわたって分割し、毎年の経費として計上する会計処理のことです。

減価償却費は、基本的に建物の「取得価額」を、法的に定められた使用可能な期間「耐用年数」で分割して計算します。

取得価額 ÷ 耐用年数 = 1年あたりの減価償却費

建物の耐用年数は次の表のとおりです。

構造

耐用年数
木造住宅22年
鉄骨住宅(~3mm)19年
鉄骨住宅(3mm~4mm)27年
鉄骨住宅(4mm~)34年
鉄筋コンクリート造47年

※参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

 

なお、建物の取得にかかった費用がわからない場合には、売却で得た収入金額の5%を「概算取得費」として計算する事ができます。

たとえば収入金額が5,000万円なら、概算取得費は250万円となります。

※参考:国税庁「No.3252 取得費となるもの」国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」

長期譲渡所得とは?計算方法と税金の節税対策を解説

③譲渡費用とは

譲渡費用とは、不動産を売却するために直接かかった費用の事です。

売却収入を得るために必要だった経費も、利益(譲渡所得)を計算する上で差し引く事ができます。

譲渡費用に含まれる主な費用は以下の通りです。

  • 売却時に支払った仲介手数料
  • 売買契約書に貼り付けた印紙税
  • 売却の為の測量費
  • 貸家を売る際に借家人に支払った立退料
  • 建物を取り壊して土地を売る場合の取り壊し費用
  • 売買契約を結んだ後に、より有利な条件で他に売る為に支払った違約金

注意点: 修繕費や固定資産税等、不動産の維持管理にかかった費用は譲渡費用には含まれません。

譲渡費用は、不動産を売る為に「直接」必要となった経費と覚えておきましょう。

領収書等をしっかり保管しておく事が大切です。

※参照: 国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」

④特別控除とは

特別控除とは、要件を満たしている場合に、課税対象となる譲渡所得の金額から、一定の金額を差し引く事ができる制度です。

代表的な特別控除には、「居住用財産の3,000万円特別控除」や「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」があります。

居住用財産の3,000万円特別控除は、自宅を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例です。

「自分が住んでいたことがある」「自分が住むために購入している」といった一定の要件を満たし、かつ、確定申告を行う必要がありますが、節税効果の大きい特例です。

※詳しくはこちら:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

「居住用財産の3000万円特別控除の特例」とは?適用要件もわかりやすく解説

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」は、 相続した実家(空き家)を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例です。

こちらも一定の要件を満たす必要がありますが、節税効果の大きい特例です。

※詳しくはこちら:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

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短期譲渡所得の税額計算シミュレーション

ここまでの計算式を使って、実際に短期譲渡所得の税額を計算する流れをみてみましょう。

次の条件で計算してみましょう。

  • 収入金額(売却価格): 5,000万円
  • 取得費: 3,500万円(建物の減価償却費控除後)
  • 譲渡費用: 150万円
  • 所有期間: 4年(売却年の1月1日時点)→ 短期譲渡所得に該当
  • 特別控除: 適用なし

ステップ1: 譲渡所得を計算する

譲渡所得 = 収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額
譲渡所得 = 5,000万円 – (3,500万円 + 150万円) – 0円 = 1,350万円

ステップ2: 税額を計算する

所得税

所得税率は、復興特別所得税を含めて30.63%なので、次のように所得税額を計算することができます。

1,350万円 × 30.63% = 4,135,050円

住民税

住民税率は9%なので、次のように住民税額を計算することができます。

1,350万円 × 9% = 1,215,000円

譲渡所得税額

譲渡所得税額(所得税+住民税)は、次のように計算することができます。

4,135,050円 + 1,215,000円 = 5,350,050円

したがって、このケースでは、約535万円の譲渡所得税がかかる計算になります。

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