離婚後の財産分与はどのようにすれば良いのか、離婚後も家に住み続ける方法など、離婚時の財産分与について徹底的に解説します。
離婚後に家を財産分与する方法
婚姻期間中に購入した家は離婚時に財産分与の対象となります。家はそのまま分割することができないため、「家を売却して現金化して分ける」か「一方が家をもらい、もう片方が現金や他の財産を受け取る」のどちらかの方法で分与します。
財産分与の方法によっては費用がかかる場合もあるので、どのように分けるかは相談する必要があるでしょう。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
家を売却して現金化し分ける | 離婚後にトラブルになりにくい | 家に住み続けられない |
片方が家をもらい、もう片方が現金を受け取る | 家に住み続けられる | 多額の自己資金が必要 |
片方が家をもらい、もう片方が他の財産を受け取る | 多額の自己資金が不要 | 一方が損する場合がある |
家を売却して現金化して分ける
もっともシンプルなのは家を売却して、現金化してから二人で分ける方法です。
離婚後に夫婦のいずれも家を使用する可能性が低いのであれば、家を売却して現金で分割する方法が最もトラブルは少ないと言われています。
現金は財産分与を公平なものとするために柔軟に分配できるので、この方法で財産を分ければ夫婦双方ともに納得感が得やすいといえます。
また、離婚後に新しい生活を始める際には何かとまとまったお金が必要になるので、その資金を得られるというのもメリットでしょう。
家の売却を少しでも検討しているのであれば、「自分の家がいくらで売却出来そうか」を把握しておきましょう。
そのためには、不動産会社から査定を受ける必要があります。「イエウール」なら不動産会社に行かずとも自宅で24時間申し込みが可能です。自分の家に適した不動産会社を紹介してくれるので、膨大な不動産会社の中から選ぶ手間も省くことができます。
まずは、自分の物件種別を選択してから査定依頼をスタートしてみましょう!査定依頼に必要な情報入力はわずか60秒で完了します。
あなたの不動産、
売ったらいくら?
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片方が家をもらい、もう片方が現金または他の財産を受け取る
離婚の際に、家を処分できない、したくないという場合も当然あります(例えば市況が売り時ではない場合や子供の教育環境上、転居をしたくない場合等)。
このような場合は、家に引き続き住む配偶者が、相手方に分与分に相当する金額を支払う方法を取ります。
しかし、不動産の価値が高い場合、相手に支払う金銭が高額となり用意できないケースもあり得ます。そのため、この方法は支払う側にそれなりに資金力が必要となりますので、注意しましょう。
家をもらう代わりに他の財産を相手に渡す方法もあります。
住み続けたいなどの理由で家をもらいたいけど、現金で相手の分与分を支払うのは難しいといった場合に使える方法です。家をもらう分、他に財産分与する財産のなかから相当金額を相手に渡します。
家の他にも家具や車といった現金化しないと財産分与できないものもあるので、そのような物を先方が欲しければあげるというのも手でしょう。ただし、家は大きな財産。他の財産を先方に渡したところで、分与分すべてを補えないといった場合もあるでしょう。
そのような場合は、足りない分を自己資金から出すというのも1つです。
離婚後に家を売却して財産分与する場合
離婚後に家を売って新しい生活をスタートする夫婦も多くいます。
まずは、家を売却して財産分与する手順について詳しく見ていきましょう。
家を売却して財産分与する手順
STEP1|不動産会社に査定を依頼する
家の売却をする場合にまず行いたいのは売却想定価格の調査です。
家の売却価格は、不動産会社に査定を依頼することで求めることができます。
ただし、査定でわかる家の価格は不動産会社によって異なり、あたりまえのように数百万円の差がつきます。数百万円高く売却出来るとしたら、住宅ローンが完済出来る!という方も少なくないと思います。
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STEP2|家を売り、売却価格を2人で分け合う
査定を受けたら、以下の要領で家を売ります。
家を売り、売却金額を得たら、それを2等分して夫婦で分けましょう。
これで家を売却する際の財産分与は完了です。
家に住宅ローンが残っている場合の注意点と解決策
続いて、家に住宅ローンが残っている場合に何をする必要があるのか見ていきましょう。
抵当権を外せるか確かめるために家の売却想定価格とローン残債を比較する
家の売却想定価格がわかったら、その価格がローン残債を上回っているか・下回っているかを確認しましょう。
これは、売却して得た収益でローンの残債を完済することができるかを判断するためです。
というのも、家を売る際には住宅ローンを借りた際に金融機関に設定された「抵当権」を外す必要があります。そして、この抵当権はローンを完済しないと外すことができません。
この際、家の売却想定価格がローン残高を上回っている場合をアンダーローン、ローン残高を下回っている場合をオーバーローンといいます。
それぞれの場合で財産分与の方法が異なります。詳しく見ていきましょう。
アンダーローンの場合は売却益を2人で分け合う
家の売却想定価格がローン残高を上回っているアンダーローンの場合には、不動産を売却して得た利益を2人で財産分与します。
査定を依頼した不動産会社に仲介を依頼し、販売活動を通じて買主を探しましょう。
ここで注意したいのは、家の売却を開始してから買主と売買契約を締結し、決済が終わるまで半年以上かかる可能性があるということ。
財産分与は離婚が成立してから2年の間に請求する必要があります。これについては後ほど解説します。
したがって、家を売却する場合は、できるだけ早く不動産会社に仲介を依頼して売却活動を始めましょう。
オーバーローンの場合はローン残債を2人の自己資金で返済する
家の売却想定価格がローン残高を下回っているオーバーローンの場合、不動産を売却してもローンが残ります。
そのローンは、2人の自己資金で返済するのが一般的です。
基本的には2人がローン残債の半分ずつを出すのがベストですが、場合によっては稼ぎの多い方が多く払うなどの方法も可能です。
困った場合は不動産会社や金融機関と相談しましょう。
自己資金で返済できない場合は任意売却という手も
ローン残債を二人の自己資金で返済できないことが事前に分かっている場合には、仲介ではなく任意売却という方法で家を売ることも可能です。
ただし、この任意売却にはローン返済を滞納してしまっているなどの条件が必要であり、任意売却をすると金融機関の個人信用情報(ブラックリスト)に記録されるという危険性もあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
離婚後に片方が家をもらい財産分与する場合
お子さんがいるから、環境を変えたくないなどの理由で、そのまま財産分与した家に住み続けたい場合もあるでしょう。
片方が家をもらう場合の財産分与の手順やローンが残っている場合の注意点について詳しく見ていきましょう。
片方が家をもらい財産分与する手順
STEP1|家の価値を調査する
まずは、家の価値を調査しましょう。
家の価値は「評価額」ともいい、固定資産税の納税通知書を確認するか、不動産鑑定士に調査を依頼することで確認できます。
STEP2|片方は家をもらい、もう片方は家の価値の半分を現金で受け取る
家の価値がわかったら、夫婦のうち家に住まない方が家の評価額の半分を現金でもらいます。
なお、それと同等の財産をもらうという手もあります。
家を片方が貰う際の財産分与は、これで完了です。
家に住宅ローンが残っている場合の注意点と解決策
家に住宅ローンが残っているまま離婚をした場合、その住宅ローン残債は夫婦どちらが払うのでしょうか。
ローンの債務者が誰か、家に住み続けるのは誰かによって、ローンの返済義務や考えられるリスクが異なります。
ローンの名義人(夫)が住む場合
主債務者が住宅ローンのある家に住み続ける場合を考えましょう。今回は便宜上、ローンの名義人・主債務者を夫として考えます。
結論から言うと、住宅ローンの主債務者であり、家の名義人となっている夫が住む場合はリスクが少ないといえるでしょう。
住宅ローンを夫が支払い続けることで、ある日突然家に住めなくなるといったリスクはありませんし、住宅関連のことで別れた後に妻と連絡を取る必要もありません。
一点だけ注意したいのは、妻にローンの債務負担があるか否かということ。
借りているローンが夫の単独ローンの場合は、夫のみがローンを支払う義務を負います。
一方で、妻が住宅ローンの連帯保証人となっている場合には、万が一夫が失業などでローン返済が出来なくなった場合、連帯保証人の妻がローンを一括返済する責任を負うことになります。
この場合、妻は連帯保証人を夫の親族に移行してもらうなどの交渉をした方が良いでしょう。
ローンの非名義人(妻)が住む場合
住宅ローンの債務者で家の名義人である夫が出ていき、非主債務者の妻が家に住み続けることは可能です。
この場合、何もしなければ家に妻が住んでいる状態で、夫が住宅ローンをそのまま返済し続けることになります。
子供がいる場合は学校を転校する必要がないなどのメリットがあるので、そのまま住むのを希望する妻も少なくなく、養育費の代わりとして住宅ローンを夫が支払うということもあるでしょう。
しかし、夫が住宅ローンを支払い続けるということは、夫が住宅ローンの返済を怠った場合等に、突然家に住み続けられなくなるといったリスクがあります。
夫の収入が減ったり、再婚して子供ができたため今までのように住宅ローンの支払いができなくなり滞納してしまう。新しい家族と新居を購入したいがために、勝手に家を売られてしまうという恐れもあるでしょう。
別れてもいざという時には連絡しなくてはいけない、連絡先を把握しておかないといけないといった煩わしさもあります。
そのため、妻が家に住み続ける場合には、住宅ローンに関する条件を公正証書を作成するようにしましょう。
妻が夫に家賃を支払い住み続けることも
夫に住宅ローンの返済をお願いする場合、妻が夫に家賃を支払い住むという方法もあります。
夫の収入だけでローンを返済するわけではないので、夫だけがローンを支払うよりも返済が滞るリスクは減りますし、今まで2人の収入でローン返済を賄ってきたという場合は夫の負担額が増えることも抑えることができるでしょう。
しかし、別れた夫と定期的なやり取りが必要となることや、支払った家賃が必ずローン返済に使用されるという保証はありません。家の名義が夫になっていれば変わらず家を勝手に売却することが可能なので、突然住めなくなるリスクが完全に無くなったとは言いきれないでしょう。
リースバックを利用して住み続けることも
慣れ親しんだ家で生活したい、子どもの教育環境を変えたくないなど、離婚後に家に住み続けたいと考えている方もいるでしょう。
もし離婚後に家に住み続けたいと考えている場合は、リースバックを利用することも検討してみましょう。
リースバックとは、不動産会社に家を買い取りしてもらった後に賃貸契約を結ぶことで、売却後も同じ家に住み続けることができる売却方法です。
財産分与を行う際に、公平に財産分与を行いたいが、家を引っ越したくない方もいるでしょう。
しかしリースバックを利用することで、家を現金化して財産分与することができる、家を引っ越す必要がないというメリットがあるため、生活環境を変えたくないが公平に家の財産分与を行いたいという方にぴったりの売却方法となっています。
夫婦でローンの共同名義だった場合
夫婦がペアローンを借りている場合など、共同債務者であることも考えられます。
この場合、片方の返済が滞ると家を差し押さえられてしまう恐れがあります。また、共同名義の家に片方が住まなくなると、契約違反となります。
したがって、単独名義に変更するか、住宅ローンの借り換えをするなどの対策が必要です。
離婚時の家の財産分与における留意事項
最後に、家の財産分与における留意事項を3つご紹介します。
財産分与の請求ができる権利は2年間
財産分与を求める権利は離婚が成立した日から2年で消滅します。これを除斥期間といい、この期間を過ぎると相手に財産分与を求めることはできなくなります。
この2年間のうちに相手に財産分与を求める旨を明確に表明していれば、権利は消滅しませんので、分与対象となる財産がある場合、必ずこの期間内に相手に財産分与を求める意思表示をしておきましょう。
財産分与の時効について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
住宅ローンの連帯保証人になっている場合は返済義務が消えない
住宅ローンの名義人が夫でも、妻が連帯保証人となっていることがあります。
この場合、離婚しても妻は夫の負債について保証債務を負い続けることになります。妻が連帯保証人からはずれるには、借入先の金融機関と話し合うしかありません。ただ、一般的に離婚したからといって保証債務を免除してくれることはほとんどありません。
そのため、連帯保証は離婚しても責任が継続する場合があることを覚悟しましょう。
離婚協議書を公正証書化する
離婚時に財産分与の取り決めをする場合、離婚協議書を作るのが一般的ですが、これを公正証書化しておくことで、相手の支払い義務をより担保できる場合があります。
離婚協議書は公正証書化してもしなくても法的な効力は同じです。そのため、必ず公正証書化しなければならないということはありません。しかし、公正証書化しておけば、単純な金銭債務は、相手が支払いを怠ったとき、裁判をしなくても相手の財産に強制執行することができる場合があります。このように直ちに強制執行されてしまうという心理的プレッシャーから、相手が支払いをきちんとすることも期待できるのです。