家を売ろうと思ったものの、何をすればいいのか・そもそも何を把握しておくべきなのか分からない方も多いのではないでしょうか?
家を売る方法は2種類あり、高く売りたい場合は「仲介」、早く売りたい場合は「買取」がおすすめです。家を売るときの手順は7ステップで、①相場を調べる、②査定を依頼、③媒介契約を結ぶ、④売却活動を行う、⑤売買契約を結ぶ、⑥決済・引き渡し、⑦確定申告、です。
この記事では、家の売却をスムーズに進めるために知っておくべきことをご紹介します。
家を売るために知っておくべきことは?
転勤で家を住み替える・家を相続した・離婚して財産分与したいなどの理由で家の売却を行いたい方もいると思います。
そのような方が家の売却をスムーズに進めるために知っておくべきこととは以下の通りです。
- 2章:売却活動を始めるためには売る方法を決める必要がある
- 3章:決めた方法に応じて家を売る手順を把握する
- 4章:家を売る時の注意点は段階によって異なる
- 5章:状況によっては特に注意すべきポイントがある
- 6章:家を売る時に絶対にやるべきこととやらなくてもいいことを区別する
- 7章:家を売る時には様々な費用や税金がかかる
- 8章:家を売る時には状況に応じて必要な書類が違う
これらを知っておけば、失敗することなくちゃんと売ることができます。次の章からそれぞれについて詳しく解説していきます。
家を売る方法は?
家を売る方法は、主に「仲介」と「買取」の2種類です。まず最初にどちらの方法で売るか決めましょう。どちらの方法を取るかによって、売る時の手順が変わってきます。
家を高く売りたい方向け
買主探しに時間がかかる可能性があるが、相場価格通りに売りやすい
家をとにかく早く売りたい方向け
確実に売却が完了するが、仲介の7~8割程度の価格になってしまう
仲介
家を高く売りたいなら仲介です。仲介では、不動産会社が売主にかわって広告を掲載して買主を探します。しかし、買主探しに時間がかかると、価格設定やタイミングによっては半年以上売却活動が続く可能性があります。
比較的時間に余裕がある方や、できるだけ高く売りたい方は仲介による売却がおすすめです。
買取
家をとにかく早く売りたいなら買取です。買取では、不動産会社が直接買主となります。そのため、買主を探す期間を省くことができ、早くて1ヶ月で家を売却することが可能です。
ただし、不動産会社は買取した家をリフォーム等を行い再販するため相場より安く買う必要があり、仲介に比べ売却価格は7~8割程度となってしまいます。
どうしても早く売却しなければならない方は買取による売却がおすすめです。
買取と仲介の違いについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
家を売る手順は?
家を売る全体像を掴んで、どのようなステップで売却が進むか理解しましょう。
マンション・一戸建てなど物件種別問わず、家を売る時は下記の通りに進みます。
※ただし、「買取」で売却する場合は直接不動産会社と売買契約を結ぶため、手順3・手順4はスキップします。
ここからは、それぞれのステップで知っておくべきポイントをご説明します。特に知りたい手順をクリックすると、詳しく説明している部分に移動します。
手順1:自分で売却相場を調べる
まず、自分で家の売却相場を調べましょう。
会社によって査定価格が異なるため、売却相場を確認しておかないと結局いくらで売ればいいか分からなくなります。売却相場を調べるときは、価格シミュレーションを使うとざっくりとした価格がすぐに分かります。
手順2:不動産会社に査定依頼
次に、不動産会社に査定依頼をしましょう。
査定には「机上査定」と「訪問査定」の2つの方法があります。
それぞれの特徴を見て自分に合った方法を選びましょう。
査定のときに気を付けるべき注意点については以下の記事をご覧ください。
手順3:不動産会社を選び媒介契約を結ぶ
各社から査定結果を貰った後は、売却のサポートをしてほしい不動産会社を選んで媒介契約を締結します。
媒介契約は専任媒介契約・専属専任媒介契約・一般媒介契約の3種類あり、それぞれ契約内容や特徴が異なります。その契約種類を選んだほうがいいか知りたい場合は以下の記事をご覧ください。
手順4:家を売り出す
不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ売却活動スタートです。
査定価格を基に、不動産会社と相談して売出価格を決めたら家を売り出します。
仲介の場合、売り出してから売却が完了するまでに約3~5ヶ月ほどの期間がかかると言われています。
物件情報を掲載し購入希望者を集めるのは不動産会社の役割ですが、購入希望者から連絡があれば基本的には売主も立ち会って内覧対応をする必要があります。
手順5:条件交渉をまとめ売買契約を結ぶ
内覧などを経て購入希望者の購入意思が固まったら、売買契約の締結を行います。
不動産会社経由で購入申込書が送られてくるのですが、その際値引き交渉や家を引き渡す時期等の条件交渉があることが多いです。
交渉がまとまったら、売主・買主双方と不動産会社が立ち合い契約内容を最終確認した後、署名押印をして売買契約の締結となります。
このとき、手付金という形で売却代金の一部を受け取ります。
手順6:家を引き渡し決済を行う
売買契約が終わったら、売買契約で定めた日時で引き渡しと決済が行われます。
この時、売却代金の残額の受け取りや住宅ローンが残っている場合は返済を行います。
売主・買主・不動産会社・金融機関の担当者を交えて決済が完了したら、同日のうちに家の引き渡しが行われます。
室内の状態や契約で決めた条件を確認して、権利関係の「登記」手続きを終えたら、仲介した不動産会社は一旦役目を果たしたことになります。
手順7:確定申告を行う
決済と引渡しを終えたら、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
確定申告には、家を売って得た利益にかかる税金の額を減額できる特例制度があります。逆に、利益が得られず損失を生んでしまった場合でも損失を減らせる特例制度もあるため、どのような方法で売却した方も、家を売った方は必ず行うべき手続きとなります。
家を売る時の注意点は?
売却の全体像を把握して基礎知識を身につけたら、売却を進めるときの注意点を解説していきます。主なものは以下の通りです。
- 【必須】査定は複数社に依頼する
- 【必須】家の売却が得意な不動産会社を選ぶ
- 【推奨】売出価格を少し高めに設定する
- 【推奨】内見前に部屋を綺麗にしておく
- 【推奨】値下げ交渉には応じる
- 【必須】売却後に確定申告を行う
ここからは、それぞれについて説明していきます。
【必須】査定は複数社に依頼する
家の査定価格は不動産会社によって数百万円も異なります。そのため、家の査定は必ず最低3社以上の不動産会社に依頼するようにしましょう。
正しい相場観を把握し、損のない価格で売り出すためには、複数の不動産会社の査定価格を比較することが大切なのです。
複数の不動産会社に査定依頼をする際は、一度の申し込みで複数の不動産会社に査定依頼ができる不動産一括査定の利用がおすすめです。
中でも、イエウールは最大6社まで一括で査定依頼をすることができ、十分に査定結果を比較することができます。家の売却を検討している方は、まずは一括査定を使って家の査定依頼から始めてみましょう。
あなたの不動産、
売ったら
【必須】家の売却が得意な不動産会社を選ぶ
不動産会社は、それぞれで高く早く売却するのが得意な物件・状況が異なります。そのため、ご自分の家と状況が似ている物件の売却実績がどれくらいあるかを見て、売却が得意そうな不動産会社を選ぶことが必要です。
【推奨】売出価格を少し高めに設定する
家の売却価格を決定するときは、買主から値引き交渉されることが多いため、最終的な売却価格は売出価格よりも若干低くなることが一般的です。
そのため、売却前に希望売却価格と最低売却価格を決めたうえで、最低価格よりも若干高い金額で売り出しましょう。
しかし、価格が低すぎると、物件に何らかの問題があると誤解される恐れがあります。不動産会社と相談し適切な価格を設定するようにしましょう。
【推奨】内見前に部屋を綺麗にしておく
お家が高く早く売れるかは内覧に大きく左右されます。購入検討者に悪い印象を与えないよう、念入りに掃除を行い、必要であればハウスクリーニングを行うなどして清潔感をアピールしましょう。
【推奨】値下げ交渉には応じる
売却活動中には購入検討者との値下げ交渉が行われることも多いです。その際に全部拒否してしまうと、興味を持っている買手を失うリスクがあります。
そのため、妥協できる範囲とできない範囲を予め決めたうえで、値下げ交渉には柔軟に対応しましょう。
【必須】売却後に確定申告を行う
家を売って売却代金を得たら確定申告を行う必要があります。
確定申告を行うのは、売却した翌年の2月16日~3月15日までとなっています。場合によっては契約から確定申告までの期間が空くこともあるため、忘れないように注意しましょう。
家の売却を成功させるために気を付けるべきことは他にもあります。詳細は以下の記事をご覧ください。
こんな状況で家を売るためにはどうすればいい?
家を売る際に以下の状況になるケースはよくあります。このような状態で家を売る時はどうすれば良いのでしょうか?
この章では状況別で気を付けるべきポイントをご紹介します。
ローン中の家を売る場合
住宅ローン中の家を売る時は、売却金額で住宅ローンが完済できるか注意しましょう。
家の売却では、売却価格や自己資金を使ってローンを完済しなければなりません。なぜなら住宅ローンはその家を担保にして融資してもらっているので、ローンを完済していないと未だに家が担保になっており、家が売りづらくなるからです。
ローン中の家を売る方法や注意点について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
古い家を売る場合
古い家を売る時は、再建築不可ではないか注意しましょう。
現在の法律ではなく昔の法律で建てられている家の場合、取り壊すと次に建てる家には新しい法律が適用されるため、建築できなくなったり使用できる土地の面積が著しく減ってしまったりする可能性があります。
古い家を売る方法やコツについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
住んでいる家を売る場合
住んでいる家を売る時は、内覧時に部屋を綺麗にしておくことが大事です。
住みながら売るとなると、内覧も住んでいる状態で行うことになります。そのため、生活感が出すぎている・汚れが目立つ・臭いがする状態だと、買主のイメージダウンにつながってしまいます。事前に掃除をする・必要に応じてハウスクリーニングをするなどの対応をしておきましょう。
住んでいる家を売るコツについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
お金がない場合
家を売る方の中には、手元のお金を増やすためであったり、何かにお金を使うために売る方もいらっしゃるでしょう。
このようにお金がない場合は、仲介と買取のどちらで売るかしっかり選ぶようにしましょう。売却価格を高くしたい場合は仲介、早くお金が欲しい場合は買取がおすすめです。
家を相続した場合
家を相続した場合は、売る前に相続登記する必要があります。
相続登記とは、家の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人に変更することを指します。相続登記がされていないと家の名義が亡くなった方のままなので、売りに出すことができません。
そのため、最初に相続登記を済ますようにしましょう。
家を相続した場合にするべきことについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
離婚する場合
婚姻中に2人で購入した家は離婚時に財産分与の対象となり、「家を現金化して分ける」か「一方が家を貰い、もう一方が現金などを受け取る」のどちらかの方法で分与します。
家を現金化する方法は離婚後にトラブルになりにくいというメリットがありますが、一方が家を貰う方法は家に住み続けられるというメリットがあります。
それぞれの方法にはデメリットもあるため、それらを考慮したうえでどちらの方法にするか考えましょう。
離婚時に家を財産分与する方法について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
住み替える場合
今住んでいる家を売って新しい家に住み替えたい方もいらっしゃると思います。住み替えの方法は3つあり、「売り先行」「買い先行」「同時並行」です。
売り先行は住んでいる家を先に売ってから住み替え先を購入する方法で、買い先行は新居を購入してから家を売る方法です。売却と購入を同時に進めていく方法もあります。
方法によって、住み替え費用の工面のしやすさや新居選びへの時間のかけやすさに違いがあるため、どの方法が最も適しているか考えたうえで決めましょう。
家の住み替え方法について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
家を売るために絶対にやるべきことは?
ここまでで家を売る流れや注意点は大方理解できたかと思います。しかし、やるべきことが多そうで、全てを行うのは大変だと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この章では、家を売るために絶対にやるべきこと・やらなくても良いことを区別できるように、過去に家を売った人の体験談を紹介します。やったことに「〇」、やらなかったことに「×」を付けています。
- S.Hさん:神奈川県/一戸建て/住み替え
- K.Hさん:埼玉県/一戸建て/転勤・転職
この他にも様々な状況で家を売った人の体験談があります。詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
家を売る時に必要な費用・税金は?
家は買うだけでなく、売る際にもお金がかかります。必要となる費用・税金は以下になります。
種類によって必ずかかるものと場合によるものに分かれています。
費用・税金 | 内容 | |
---|---|---|
必須 | 仲介手数料 | 不動産会社への報酬で、売却価格の約3% |
必須 | 譲渡所得税 | 売却益にかかる税金 ※3,000万円の控除を受けられる可能性あり |
必須 | 印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代で、2~6万円程度 |
場合による | リフォーム費用等 | 家をリフォームやクリーニングした場合にかかる費用で、5~20万円程度 |
場合による | 住宅ローン返済手数料 | 残っているローンを一括返済するためにかかる手数料で、1~3万円程度 |
場合による | 抵当権抹消費用 | 抵当権抹消にかかる費用で、5,000~2万円程度 |
特に支払う額が大きくなりやすいのが、仲介手数料と譲渡所得税です。仲介手数料も譲渡所得税も金額を抑えることができるので、気になる方は記事をご覧ください。
家を売る時に必要な書類は?
家を売却するとなると、さまざまな書類が必要になります。相続や離婚、住み替えなど家を売却する理由によって必要な書類は異なるので、主に必要な書類を解説します。
必ず必要な書類とあれば用意する書類に分かれています。
書類 | 内容 | |
---|---|---|
必須 | 登記識別情報通知 | 家や建物の名義人であることを証明する公的な書類 |
必須 | 印鑑証明書 | 登録された印鑑が本物であることを証明する |
必須 | 実印 | 市区町村の役所に登録し、公的に認められた印鑑 |
必須 | 固定資産税・都市計画税納税通知書 | 税金の支払い金額を通知する書類。最新のものが必要 |
必須 | 建築確認通知書・検査済証 | 建築基準法の規定に合致しているか確認した旨を示す |
必須 | 測量図・建物図面など | 土地の境界線や建物の形状、位置関係を示す |
必須 | 本人確認書類 | 運転免許証やパスポートなど |
あれば | 物件状況等報告書 | 土地や建物の状況を詳細に記した書類 |
書類は売却活動が始まる前にすべて揃えないといけないわけではありません。必要なタイミングがあるので、順次揃えていきましょう。
- 家を売るのが初めての方はこちらの動画解説も参考にしてください