不動産の価値を調べるために使われる「不動産評価額」とはどのような価格なのでしょうか?
この記事では、「不動産評価額」とは何か、そして「不動産評価額」以外でも、不動産の価値を表す価格を3つ、あわせて4つの「不動産の価格」について解説します。
「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
不動産評価額とは?
不動産の評価額とは、不動産の資産価値や不動産にかかる税金を計算するうえで、基準となるような不動産の価値を表す価格です。不動産の評価額を知ることで、自分の所有している不動産にどのような資産価値があると評価されるのか、そして不動産に税金がいくらかかり、大体いくらで売却できるのかを知ることができます。
一般的に、「不動産の評価額」とは、「固定資産税評価額」を指していることが多いです。まずは、固定資産税評価額について詳しく見ていきましょう。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは、不動産にかかる固定資産税の基準となる評価額です。
固定資産税評価額は、固定資産税の他にも、市街化区域内の不動産を所有している場合に毎年かかる「都市計画税」や、不動産を取得するときにかかる「不動産取得税」、登記にかかわる「登録免許税」の基準にもなっています。
固定資産税評価額は土地と建物でそれぞれ異なり、土地は地価公示価格の約60%~70%、建物については建築費の約50%~70%ほどです。
固定資産税評価額は市町村によって発表されるもので、3年に一度見直されます。
なお、固定資産税評価額とは、税金の金額を算出する基準となる固定資産の価値を評価した額であり、実際の資産価値や売却相場とは大きく乖離のある価格です。
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額を調べるには基本的には「固定資産税・都市計画税の課税明細書」で確認することができます。「固定資産税・都市計画税の課税明細書」は、「固定資産税の納税通知書」と同封で、毎年4月から6月ごろに地方自治体から送られてきます。
「課税明細書」の「評価額(価格)」欄に記載されている金額が、「固定資産税評価額」にあたります。そのほかの不動産の価格
「固定資産税評価額」のほかにも、不動産の価格には「相続税評価額」「地価公示価格」「実勢価格」もあり、目的によって使い分けられています。4種類の価格の違いは次の表のとおりです。
名称 | 固定資産税評価額 | 相続税評価額 | 実勢価格 | 地価公示価格 |
---|---|---|---|---|
金額 | 地価公示価格の70%程度 | 地価公示価格の80%程度 | 個別の取引によって異なる | あらゆる地価の基準となる |
調査主体 | 地方自治体 | 国税庁 | 不動産会社 | 国土交通省 |
調査時点(発表) | 3年に1度評価が更新される | 毎年1月1日(7月発表) | – | 毎年1月1日(3月発表) |
役割 | 固定資産税など(地方税)の算定基準となる | 相続税、贈与税(国税)の算定基準となる | 個人間での不動産の売買 | 土地取引や金融機関の担保評価の指標となる |
では、不動産評価額以外の不動産の価格について、それぞれの価格の特徴を詳しく見ていきましょう。
相続税評価額
相続税評価額は、不動産にかかる相続税、贈与税、地価税の基準となる評価額です。相続税評価額の目安は公示価格(時価)の80%ほどで、税金の金額を計算するための評価額です。そのため、相続税評価額も資産そのものの価値とは異なる価格です。
土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。
「路線価方式」は、「路線価」という、国税庁が「路線価図・評価倍率表」で公表している1m²辺りの土地の価格を用いる方法です。
「倍率方式」は、路線価が定められていない地域に対して、固定資産税評価額に国が定めた倍率を掛けることで算出する方法です。
評価基準日は1月1日で、現在は毎年7月に発表されています。
地価公示価格
地価公示価格とは、国が定めた土地の基準となる価格です。特殊な状況がない売買で成立する適正な価格のことであり、個人が土地の価格を知るときの目安とするほか、工業事業を含む土地取引の指標としても活用されている評価額です。
地価公示価格は国土交通省が運営している「不動産情報ライブラリ」で発表されていて、都市計画区域内外で設定された地点(標準地)のみが対象で、全国25,000地点以上で実施されています。
地価公示価格は1月1日時点での価格であり、毎年3月に発表されます。
地価公示価格と似ているものとして、「基準地価」と呼ばれる評価額もあります。
評価基準は地価公示価格とほぼ同じですが、地価公示価格の調査対象外の場所には基準地価が設けられています。
基準地価も1月1日時点での価格で、毎年9月に発表されます。
なお、地価公示価格や基準地価はいずれも実際の売却相場とは異なる価格だということに注意が必要です。
実勢価格
実勢価格とは、不動産の実際に取引が成立した価格です。たとえば、地価公示価格が3,000万円の土地だったとしても、相場よりも割安の2,500万円で売買取引が成立した場合には、実勢価格は2,500万円となります。
実勢価格は実際に取引が行われた価格なので、市場の需要や景気によって日々変動していて、不動産の資産価値や売却相場にあたり、売却する際に一番参考になる価格です。
なお、売買取引が行われていないエリアの場合は、周辺で実際に行われた取引事例などから推定される価格を実勢価格として扱うケースもあります。
不動産評価額は売却価格と関係はある?
では、不動産評価額(固定資産税評価額)と、不動産の売却価格には関係があるのでしょうか?
結論としては、評価額と不動産の売却価格には関係はありません。
評価額と不動産の売却価格に関係はない
結論から言ってしまうと、不動産の売却価格と建物の固定資産税評価額は直接的には関係ありません。固定資産税評価額が思ったよりも高くても、売却価格がそれよりも低いことはあります。
建物の固定資産税評価額は、新築当初は請負工事金額の50%~60%程度の価格で評価されます。
その後、建物の固定資産税評価額は経年とともにほとんど下落しません。
理由としては、建物の固定資産税評価額はあくまでも固定資産税等の税金を取るための評価額であり、時価のようにどんどん下げてしまうと税収が不安定になってしまうからです。
なぜ評価額と売買価格に大きな差があるのか
結論としては、不動産の評価額と売買価格では、価格を設定している目的が異なるからです。
公的な評価額というのは、あくまでもその土地が公共事業をするにあたって価値がある立地かどうかを知ることと、税金を徴収するための基準となる価格を知ることが目的になっています。
一方で、実際の売却価格は、評価額以外の要素も加味して、不動産商品としての価値によって価格が決まります。
このように、不動産の評価額と売却価格では、価格を決める目的が違うため、評価額と売買価格には差が生まれます。
売却価格を決める場合、スーパーや病院、学校など生活に必要な施設との近さも関係してくるということです。
売却価格を知るなら一括査定
評価額とは違って。売却価格は不動産会社の間でも差が生まれやすいです。
家の価格を知るには、売却相場に最も近い不動産会社の査定を利用するのが適しているのですが、実は1社の査定を受けるだけでは不十分。
不動産会社の査定に明確なルールはなく、不動産会社によって査定結果は異なるのです。つまり、1社の査定結果を見ただけではその査定結果が安いか高いかも分からないということ。
1社の査定結果だけを参考にしてしまうと損をしてしまう場合があるのです。査定を行う場合は査定3社以上の査定を受けるのが賢明でしょう。
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目的に合わせて不動産評価額を調べよう
評価額とは何か、いつどんなときに使うものなのか。売却価格とはどんな関係があるのかについて解説しました。
繰り返しになりますが、評価額とひとくちにいっても色々な意味合いがあり、その目的によって参考にする評価額が変わってきます。間違った評価額を参考にすることで資金計画がずれてしまうこともあるでしょう。ご自身の目的に応じて適切な評価額を参考にしましょう。
また、時間と手間をかけて評価額を調べなくてもいいかもしれません。例えば住み替えを検討しているなら、査定価格を調べるだけでわかることもたくさんあります。
まずは複数の不動産会社の査定結果を受け取ってみてはいかがでしょうか。
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