売ったらいくら?
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「まずは土地売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
土地を売却するはじめの一歩「査定」。しかし、多くの方が利用したことなく不安に思うことも多いと思います。そこで、土地査定に関する基本的な情報や注意点に関して解説します。(監修者:三上隆太郎)
土地の価格を知る方法は大きく分けて2つ。自分で調べるかプロに査定してもらうになります。
自分で調べる方法は簡単に価格を調べることができますが、あくまでもざっくりとした価格です。周辺の環境や土地の立地状態などを含む正確な査定はプロに調べてもらいましょう。
自分で調べる | プロに依頼 | |
---|---|---|
費用 | 無料 | 無料 |
時間 | 当日中 | 当日中~1週間程度 |
評価するポイント | 1㎡の価格と面積 | 1㎡の価格と面積・周辺環境・需要など |
査定結果 | ざっくりとした価格 | 市場を加味した価格 |
プロに依頼するなら不動産会社に査定を依頼します。不動産会社は「売ったらいくらになるか」という視線で査定してくれるので、売却相場に最も近い価格が分かります。
不動産会社は以下のような評価ポイントをチェックし、土地を査定します。
不動産会社に査定を依頼する場合は一括査定サイトの「イエウール」を利用すると良いでしょう。不動産一括査定サイトとは、一度の申し込みで複数社に査定依頼を出せるサービス。
売却したい土地に合った不動産会社をセレクトしてもらえるので、土地に合った不動産会社を見つけることができますし、悪徳不動産会社に出会ってしまう心配がありません。
土地の一括査定について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
土地査定の種類
土地の査定方法はいくつかあり、どのような目的で査定したいのかなどによって選ぶべき査定方法は変わっていきます。査定方法の種類と自分に合った査定方法を見つけられるようにしましょう。
査定方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
鑑定評価 | 公的評価として使われる | 高額の費用がかかる・売却相場ではない |
無料査定 | 費用がかからない・売却相場が分かる | 公的評価として使えない |
簡易査定 | 手間がかからない | 査定結果がアバウト |
訪問査定 | 最も売却相場に近い査定結果が分かる | 手間と時間がかかる |
匿名査定 | 個人情報入力の必要がない | 査定結果がアバウト |
査定シュミレーション | その場で結果が分かる | 査定結果がアバウト |
鑑定評価
不動産鑑定士の行う鑑定は不動産がいくらで売れるかではなく、不動産の経済価値を調べるもので、地価公示や地価調査、相続税路線価、遺産分割を行う際の基礎資料などに用いられます。明確なルールにより、人によって鑑定価格が大きく変わることはなく、一般的に公的評価として使用されます。
ただし、不動産鑑定士に依頼する鑑定は有料です。鑑定する不動産によって変わりますが、約20万円~30万円程度の料金が発生します。また、鑑定結果は売却相場とは異なるので、売ったらいくらになるのか知りたくて査定をする場合には適さないでしょう。
有料の不動産鑑定は遺産相続や離婚の財産分与などで、土地の価値を正確に知りたい方におすすめです。
無料査定
無料査定は不動産会社が行う査定です。
不動産会社の査定は売ったらいくらになるかという観点で土地の査定を行います。そのため、土地の基本的な価格を調べるのと合わせて、需要のある地域か周辺の環境はどうなっているのか、売り急ぎなどの売主の特別な事情なども評価の対象になっており、査定額に影響します。
タイミングなどにもよりますが、査定結果が分かるのは早くて当日。手軽に売却相場が分かるというのがメリットでしょう。
ただし、不動産会社の査定は無料で売却相場が分かりますが、公益財団法人不動産流通推進センターが作成した価格査定マニュアル又はこれらに準じた価格査定マニュアルや同種の取引事例等他に合理的な説明がつくものであることとされていますが、査定結果は不動産会社によって異なります。また、あくまで目安なので、鑑定評価のように公的評価として利用することはできません。
不動産会社に査定を依頼するのなら、不動産一括査定のイエウールが便利です。査定したい土地に合った不動産会社を紹介してくれるので、査定額が大きくズレる可能性が低いです。また、WEBで申し込みとなるので、遠方にある土地でも不動産会社を手軽に探すことができます。
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簡易査定
簡易査定とは不動産会社の査定方法の1つ。実際の土地を見ずに机上で査定を行う方法です。
土地の面積や所在地、近隣の類似物件の価格などを参考に土地の売却相場を査定するもの。データのみを使って査定を行うので、早い場合は当日に査定結果を知ることができます。
ただし、実際の土地を見ていないので査定結果はざっくりしたものになります。査定価格がおおよそとなるので、売却額の使い道を立てづらかったり本格的に売却活動をスタートする際には、より正確に売却相場が分かる訪問査定を再度受ける必要が出てくるでしょう。
簡易査定はおおよそでも良いので急いで売却相場を知りたい、売却額の結果次第で売却を検討したいという方におすすめです。
訪問査定
訪問査定も不動産会社が行う査定方法の1つ。実際の土地を見て査定を行う方法です。
簡易査定を行う際の情報と合わせて、土地の状態や日当たり、周辺環境なども踏まえて査定結果を出します。どれくらい需要があるかなどの情報も踏まえて査定結果を出すので、より売却相場に近い価格が分かります。
訪問査定は不動産会社が訪問する日程を調整しなくてはいけない、場合によっては立ち会いが必要な場合もあるので、査定結果を知るまでに時間がかかります。訪問査定の場合は不動産会社が訪問してから1週間程度で査定結果を受け取ります。不動産会社が繁忙期の時期には日程が調整しづらいこともあるでしょう。
訪問査定は土地を売るのが決定している、土地の売却相場をより正確に知りたいと考えている方におすすめです。
匿名査定
匿名査定とはメールアドレスのみで査定を依頼できる査定方法です。
氏名や電話番号などを入力しないので、不動産会社から連絡が来ることはなく査定結果だけを気軽に知れます。詳しく話を聞きたい場合は自分から不動産会社に連絡できるので、自分のタイミングで不動産会社に連絡できるというのはメリットでしょう。
ただし、匿名査定は住所を最後まで入力しないので、この辺の価格はこれくらいと出すので、査定結果がかなりアバウトです。土地は面している道路や日当たりによって価格が大きく変わるので、参考にしづらいでしょう。
匿名査定は不動産会社と絶対に連絡を取りたくない、個人情報を入れるのに不安があるという方におすすめです。
査定シミュレーション
査定シミュレーションは別名AI査定とも呼ばれる方法で似たような物件の価格が査定結果となる査定方法です。
査定したい土地の面積や住所を入力することで、近隣の近しい条件の土地の価格を参考に調べたい土地の価格を教えてくれます。機械がデータベースから土地の価格を出すだけなので、情報を入力してすぐ土地の価格を知ることができます。
ただし、査定結果は匿名査定と同じようにかなりアバウトです。土地の価格は毎年変化するので、データベースの情報が古くては実際の価格より大きくズレてしまいます。また、データベースの価格が実際に売れた価格ではなく、売り出した価格の場合もあるので、信憑性には欠けてしまうでしょう。
土地査定シミュレーションはアバウトで良いから土地の価格を今知りたい方におすすめです。
土地査定シミュレーションについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
土地の査定を依頼する流れ
土地の査定はどのような流れで行われるのでしょうか。最も正確な査定結果を知ることができる訪問査定の流れを解説します。
査定を申し込む
一括査定サイトや不動産会社を訪れるなどして、不動産会社に査定の依頼を出します。
査定依頼を出す際には、査定したい土地の住所や査定申込者の連絡先、土地との関係、査定依頼をする理由などを記入して申し込みを行います。
一括査定で査定の依頼をした場合は、記入したメールアドレスや電話番号に不動産会社から連絡が来るので、不動産会社が土地を訪問する日程を決めます。
サイトを利用した場合は当日~数日の間に連絡が届き、不動産会社を直接訪れた場合はその場で訪問日を決めることが多いでしょう。
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訪問査定を受ける
日程が決まったら、決めた日程に不動産会社が依頼した土地に来ます。古い家がまだ建っている土地など立ち会いが必要な場合は、依頼者も現地に趣き土地を査定してもらいます。
更地などであれば依頼者の立ち会いが必要ない場合もあるので、日程を決める際に不動産会社に確認をすると良いでしょう。
土地の査定にかかる時間は30分程度。担当者が細かなところまで確認をしていきます。
結果を受け取る
訪問査定が終了したら、数日~1週間程度で査定結果が届きます。
査定結果の届く方法は不動産会社によって異なり、郵送やデータを添付したメールで届きます。査定結果が届いたらすぐ中身を確認し、気になるところがあれば査定を行ってくれた担当者に確認するようにしましょう。
査定額のプラスになったところやマイナスになったところを聞いておくと、後々売却活動を行う際に参考になります。
自分で土地の査定をする方法
土地の価格はざっくりですが、自分でも調べることが可能です。土地の価格を調べる方法はいくつかあり、目的によって異なるので、よく確認してから調べるようにしましょう。
土地の価格は一物五価
土地の価格は一物五価といって、1つの物に対して5つの価格があります。5つの価格はそれぞれ異なり、土地の価格を知りたい理由によってどの価格、方法で調べるかが変わります。
一物五価はそれぞれ以下の通り。
価格名 | 利用タイミング | 評価の水準 | 評価基準日 | 公表時期 | 管轄 |
---|---|---|---|---|---|
実勢価格 | 土地の売買 | ほぼ時価 | 随時 | 年数回 | 国土交通省 |
地価公示 | 土地の売買(価格に対する一定の指標) | 実勢価格の80%~90% | 1月1日 | 毎年3月中旬 | 国土交通省 |
路線価 | 相続税・贈与税の支払い | 地価公示の80%程度 | 1月1日 | 毎年7月初旬 | 国税庁 |
固定資産税路線価 | 固定資産税評価額の算出 | 地価公示の70%程度 | 1月1日 | 3年に1回、4月初旬 | 市町村(東京23区は都) |
※残り1つは基準地価。基準地価と地価公示はほぼ同じ。
もし、土地の売却相場を知りたいのなら、公示地価・路線価・固定資産税路線価のいずれかで調べるのが良いでしょう。
土地の時価について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
また、土地の実勢価格の調べ方について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
公示地価
公示地価とは土地を売買する際に目安となる価格のこと。
土地の売り出し価格を決めるのは売主ですが、その価格を決める際に参考となるよう国が公表している土地の価格となります。また、国が公共事業などで土地を購入する際や補償金額を算出する際にも参考として使われます。
公示地価は日本全国の土地についているわけではなく、約26000地点のみ。各都道府県の主要な商業地、住宅地、工業地等の価格が発表されます。
公示地価の調べ方
約26000地点の標準地の公示地価が発表されています。土地の価格を知る際には土地の近くにある標準地を参考にします。
標準地とその地価を調べるには、国土交通省が公開している地価公示・都道府県地価調査を使います。
サイトにアクセスしたら、日本地図から知りたい土地をクリックしていき、知りたい調査年や土地の用途区分などを入れていき、知りたい地点が分かるように絞り込んでいきます。
最後に「検索」ボタンをクリックすると、絞り込んだ地域の公示地価が表示されるので、調べたい土地にもっと近い地点を探しましょう。
相続税路線価
相続税路線価とは支払う相続税を算出するために土地の価格を調べる時に使用します。
相続税は遺産の総額に対して発生する税金。土地の価格が分からないと相続税の支払い額が決まらないので、国税庁が定めた価格で算出できるように相続税路線価が指定されています。
路線価は税金を算出するため、公示地価と異なり全国が対象です。実は相続税路線価は公示地価の80%程度の価格になるように設定されています。つまり、相続税路線価を使えば、公示地価の標準地よりも正確に土地の公示地価を調べられるということです。
※路線価が定められていない地域は、評価倍率表の倍率を使って算出します。
相続税路線の調べ方
相続税路線価を使った土地の価格は計算で出します。相続税路線価の計算式は以下の通り。
相続税評価額=土地の面積×路線価
路線価は国税庁が公開している路線価図・評価倍率表から調べることができます。
トップページから調べたい土地の都道府県、路線価図をクリックしていき、調べたい土地が面している道路に書かれた数字が路線価になります。路線価は千円単位で表記されているので、表記された数字に1000円をかけて、計算式に入れましょう。
ここから相続税評価額を売却相場に近づけます。前述の通り相続税路線価は公示地価の80%程度の価格。先に算出した相続税評価額に1.25をかけて評価額を公示地価の価格にします。
公示地価=相続税評価額×1.25
これで、土地の売却相場を算出することができました。
固定資産税路線価
固定資産税路線価とは土地の固定資産税評価額の算出の際に使用されます。
相続税路線価と同じく税金を支払うために利用するものなので、全国が対象。土地に面した道路に1㎡あたりの土地の路線価が記載されています。
固定資産税評価額は公示地価の70%程度。固定資産税評価額からも調べたい土地の公示地価を算出することが可能です。
土地評価額売値について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額も相続税路線価と同様、計算して評価額を出します。固定資産税評価額の計算式も以下の通り。
固定資産税評価額=土地の面積×固定資産税路線価
固定資産税路線価は一般財団法人 資産評価システム研究センターが公開する全国地価マップで調べられます。
相続税路線価同様、道路に記載されている数字を確認し、計算式に入れ込みます。
公示地価=固定資産税評価額×1.43
現在、土地の固定資産税を支払っている場合は、固定資産税の課税明細書を見れば、固定資産税評価額が記載されているので、あとは公示地価の価格になるよう1.43をかけるだけで売却相場を導き出すことができます。
さらに詳しく計算方法について知りたい方は以下の記事もご覧ください。
プロが土地を査定する際に見る評価ポイント
土地を査定する際にはいくつか査定額が変わるポイントがあります。査定額、ひいては売り出し価格や最終的な売却額に影響するので、ポイントを確認しておくと良いでしょう。
土地の形
当たり前ですが土地の形状はさまざまで、正方形から三角形までさまざまです。土地の形は土地の査定額に大きな影響を与えるポイントの1つです。
高くなる場合
土地は整形地であれば評価が上がります。
整形地とは正方形や長方形といったきれいな形をした土地のこと。整形地は土地の上に建つ建物に影響を与えづらく、土地を使う際の制限が少ないので評価が高くなります。
安くなる場合
査定額がマイナスになる土地の形は不整形地です。
不整形地とは台形や旗竿地など、正方形が欠けたいびつな形をした土地のこと。不整形地だと建てる家の向きや配置が制限されてしまうので、価格は整形地よりも評価は下がってしまいます。
間口・奥行比
土地の評価を決めるのは形の他に間口の広さや奥行きも関係があります。
高くなる場合
間口は広い方が土地の評価は上がります。
道路に面する間口が広ければ建物の配置や駐車スペースの自由度も上がり、利用効率が高まります。また、一般的に間口が広いと日当たりが良くなるので、そのような点でも評価は高くなります。
奥行きは浅い方が良い深い方が良いというのはなく、間口とのバランスです。浅すぎても深すぎても土地は使いづらいので、間口とのバランスが重要になります。
安くなる場合
間口に対して奥行きは長くなるほど評価が下がりやすいです。
間口が狭く奥行きが長いと奥まった場所に建物を建てることになるので、住宅街などでは日当たりが悪くなることが多いです。特に私道の突き当りの土地などは周囲の建物の影があたる場合も多く、日当たりや出入りなど使い勝手にも影響が出てしまいがちです。
古家付き土地で樹木、庭石がそのまま残されている土地は買主が購入した後に家を解体したり木を撤去する工事の手間と費用がかかってしまうので、更地よりは評価が下がってしまいます。
最寄り駅までの距離
最寄り駅までの距離は土地の価格を大きく左右するポイントです。最寄り駅の評価は徒歩圏とバス圏で評価されます。
高くなる場合
徒歩圏は駅からの距離が10分以内であれば評価が上がります。
駅から徒歩20分以内が徒歩圏内。10分を標準とし、10分より短くなればなるほど評価は上がります。バスの場合は、バス停までの距離・乗車時間・運行本数で評価が決まります。
乗車時間は5分が基準となり、10分以内であれば評価は高くなります。
安くなる場合
駅までの距離が遠くなるほど土地の評価は下がります。
最も評価が高いのは徒歩となり、次にバス圏になります。バス停までの所要時間が5分以上、乗車時間が10分以上。朝夕のラッシュ時間の運行本数(1時間で6本~12本)より少ない場合は、評価が低くなります。
つまり、バス停までの距離が遠くなり、なかなかバスが来ないとなると評価は悪くなるでしょう。
公共・公益施設までの距離
役所や病院など公共・公益施設の距離や充実度合は評価の対象となります。
高くなる場合
土地から、徒歩10分圏内であれば高評価となるでしょう。
徒歩10分以内に役所や病院、小学校など教育機関があれば土地の評価は高くなります。ただし、評価は距離だけではありません。公共・公益施設の場合は、どれぐらい備わっているかも重要。充実しているほど、土地の評価は上がり、価格も高くなります。
安くなる場合
周辺に公共・公益施設が無い、または利便性に欠けるなどであれば、土地の評価は下がってしまうでしょう。
土地から公共・公益施設までの距離も重要ですが、付近にあるか否かも重要です。徒歩20分でも公共施設があれば評価されますが、無いとなると評価は大きく下がってしまうでしょう。
周辺の住宅環境
土地の周辺にどのような店舗があるのか、どのような家が多く建っているのかも評価されるポイントとなります。
高くなる場合
土地の周辺にある住宅が低層の戸建てであれば、住環境が優れている地域として評価が上がります。
戸建てやアパート、店舗などが混在するエリアは一般的な住宅地域となり評価はちょうど中間程度になります。より閑静な住宅街に近づけば評価も上がっていきます。区画の規模が大きければ、こちらも評価が上がる対象になります。
安くなる場合
区画の規模が小さく、住宅以外のものが多くなると評価は下がります。
低層の住宅が並んでいれば評価は高くなりますが、周辺に倉庫などが多く立ち並んでいると、環境は良くないものと判断され評価も下がってしまいます。
住宅用の土地の場合、周辺の住環境は価格に大きく影響するポイントの1つです。
隣接地と街路
隣接する土地や周辺の道路の整備状況、街並みなども判断の基準になります。
高くなる場合
隣接する土地が公園や緑地などに利用されており、住環境に良い影響を与えているなら評価は上がります。
また、土地周辺の街路や区画がきれいに整備され、街並みが整っている状態だと、周辺の環境が良いと判断されます。
安くなる場合
隣接地が倉庫や作業所などに利用されている場合は、評価が下がります。
住宅地の土地の場合、隣接地も住宅が建ち並んでいたり公園のような緑あふれる場所なら評価はあがりますが、工場や倉庫などは異なる用途の建物となるので、評価が落ちてしまうのです。
また、街路が計画性なく無秩序に作られており、行き止まりなどが多くある場合も評価は落ちてしまいます。
眺望・景観
土地から見える景色も土地の価格を大きく変えます。もちろん、良い景色が見えると土地の価格は上がりますが、土地の価格の景観を左右するものとはどんなものなのでしょうか。
高くなる場合
見晴らしがいい土地は価値が上がります。
例えば、目の前に障害物などがなく、周辺が一望できる場合は、景観が良いと判断されます。周囲の海や山や川などが見られる場合も土地の評価は上がります。
安くなる場合
評価が下がってしまう景観は住む上で好ましくない景色です。
目の前に高い建物が建っていたり火葬場などの施設が見えたりしてしまうと評価は下がってしまうでしょう。隣の家が見えるというのは、一般的な住宅地であり、眺望・景観という点ではマイナスにはなりません。
ただし、日当たりや風通しの観点ではマイナスの評価になってしまう場合があるでしょう。
接している道路
土地が接している道路の幅や状態や種類などで土地の価値も変わっていきます。
高くなる場合
接している道路の幅が広く公道で完全舗装であれば、土地の評価は上がります。
完全舗装とはコンクリートやアスファルト舗装などのことを言い、このような舗装で道路が整備されている場合は良い道路に接していると評価されます。
また、接している道路の本数も重要です。1つの道路に面しているより、2つの道路に接している土地の方が評価は高くなります。車の通り抜けが可能であれば、さらに良いでしょう。
安くなる場合
接している道路が私道である場合は評価が下がります。
私道は道路の補修などの費用が利用者の負担となる場合もあり、公道に比べるとお金と手間がかかる場合もあるため評価が落ちてしまいます。さらに、その私道の利用権などがなければより、価値は下がってしまうでしょう。
また、道路との高低差も重要。接している道路との高低差が1.5m未満だと排水や日照面に大きな問題がないとされますが、それよりも低かったり高かったりする場合、日照が得られないときだけでなく、段差を解消するために長い階段を設けなければならなくなるなど快適性が欠けてしまいます。
日当たり
日当たりも多くの買主が気にするポイントで、その評価は土地の価格にも影響を与えます。
高くなる場合
東側や南側に道路があったり、近くに日照や採光、風通しを遮る障害物などがなく、日照が確保されていると土地の評価は高くなります。
東側や南側が道路に面している土地でも高いビルなどで日照が遮られている場合は調整が行われ評価は下がります。ひな壇や緑地などがあり、土地に十分日が当たっている場合は日当たりが良い土地と評価してもらえるでしょう。
安くなる場合
日当たりで最も評価が低くなるのは建物に日が一切当たらない場合です。
建物に日が一切当たりませんと、室内は常に暗く、洗濯物も乾かず、生活上にも大きな影響を与えるからです。建物が建っている土地では、建物への日当たりも評価されるでしょう。
また、更地で現在は日が当たっている場合でも、近々土地の近くに高いビルなどが建設予定で、近い将来日陰ができそうと判断されたら、日当たりに関する評価は下がってしまうでしょう。
用途地域
用途地域とは土地の使い道が定められたもの。エリアによっては、住宅等一定の建物以外は建ててはいけない、大きな工場は建設できないなどの制限があります。この制限が厳しければ厳しいほど、建てられる建物の制限を受けます。
高くなる場合
建てられる建物の制限がゆるい用途地域であれば、価格は下がりづらいでしょう。
最も制限が厳しいのは第一種低層住居専用地域となり、建設できる建物は主に住宅になり、高さの制限も受けます。建てられる建物や使用用途が制限されると、買主は限定されてしまいます。
逆に建設する建物や利用目的に制限が少ない商業地域などは、住宅の他に店舗やホテルなども建設可能になるので、その分需要は高まりますし、土地の使い道も幅広いので高く売りやすくなります。
安くなる場合
周辺の地域と査定したい土地の用途地域が異なっている場合は価格が下がる場合があります。
制限の多い用途地域でも周辺も同じ条件であれば、閑静な住宅街になったり活気ある商業エリアになります。しかし、査定したい土地が住居系の用途地域内でも、目の前に高い建物が建っている商業地域との用途境になっている場合は、周辺の土地より制限の多い土地になってしまうので、評価が下がってしまう場合もあるでしょう。
土地の状態
土地の場合は地中の状態も価格に影響を与えます。
高くなる場合
地中に何もない状態だと土地の評価は上がります。
ガレキや浄化槽、手ではどかせないような大きな石などがなければ、そのような物を除去するような工事が不要になります。工事費も時間もかけずに新しい建物の建設に取りかかれるので、評価が上がるのです。
昔はリフォームなどを行った際に出たガレキを敷地内に埋設する場合もあり、自分で埋めた場合は地中の埋設物の有無が分かりますが、そうでない場合は地歴調査やボーリング調査などを行います。
安くなる場合
地中に文化財などが埋まっている、その可能性がある場合は評価が下がってしまう可能性があります。
日本には文化財保護法という法律があり、国宝や重要文化財や史跡、名勝などは特に保護するとされています。売却したい土地に文化財が埋設している可能性が高い、過去に出たことあるといった場合は周知の埋蔵文化財包蔵地に指定され、国に保護されます。
もし、埋蔵文化財包蔵地に該当する場合は文化庁長官に工事などに着手する日の60日前までに届け出を行わなくてはならず、自分の土地であっても土木工事を行う際には許可を取らなくてはならないのです。
そのような土地は建物を建てるのに手間がかかりますし、万が一文化財は出土した場合は教育委員会などの調査が入り、工期が大きく伸びてしまう可能性があります。
近隣の嫌悪施設の存在
周辺環境のチェックポイントは交通機関への距離だけではありません。多くの人が嫌がる施設が近隣にあるか否かもチェックされます。
高くなる場合
嫌悪施設と言われるような施設がない場合は評価に影響がありません。
嫌悪施設とは墓地やゴミ焼却場、火葬場など。そのような施設がない場合はマイナスポイントとならないので、評価が下がる心配はありません。
嫌悪施設からどれくらい距離が離れていれば良いといった明確な基準はなく、現地調査や売主や近隣住民へのヒアリングなどでチェックします。
安くなる場合
前述のような墓地やごみ焼却場など嫌悪施設が近隣にある場合は評価が下がります。
上記で記載した他にも下水処理場やガソリンスタンド、葬儀場なども挙げられます。心理的に嫌悪感を感じる施設以外にも、騒音や臭気、危険性などを感じる施設も嫌悪施設となります。主な嫌悪施設は以下の通り。
現象 | 主な施設 |
---|---|
危険性 | 危険物取扱工場・ガソリンスタンド・高圧線鉄塔 |
煤煙・臭気 | 火葬場・養鶏場・工場・下水処理場・ごみ焼却場 |
心理的忌避 | 葬儀場・墓地・刑務所・風俗店 |
騒音・振動 | 鉄道・航空基地・高速道路・大型車両の出入りがある物流施設 |
このような施設があるにも関わらず売買契約書に記載されていない場合、売主は契約不適合責任に問われる可能性があるので注意しましょう。
土地の査定前に準備したいこと
土地売買の経験が豊富な方は多くなく、ほとんどの方が不動産売買初心者です。土地の査定行ったことのある方も少ないでしょう。ここでは、土地の査定を依頼する前に行っておきたい事前準備について解説します。
名義人の確認
土地の査定を受ける前に名義人を確認しておきましょう。
土地の売却を検討されている方の中には、相続などで土地を取得された方も多いかと思います。被相続人(亡くなった方)が長く取得している場合は一度名義人が誰なのか確認しておくと良いでしょう。
土地の査定は名義人以外でも可能ですが、家族や親族や相続人でないと難しいです。査定時に名義人でない場合は名義人が誰か確認される可能性が高いです。
また、土地の売却を本格的に検討している場合、名義人は早めに本人の名前に変えておいた方が賢明です。土地を含む不動産の売却は名義人本人でないとできません。前の名義人が存命の場合は本人がいるので楽ですが、名義人が亡くなっているとなると、さまざまな書類を取り寄せないとなりません。
名義変更に時間がかかってしまうので、早めに始めた方が良いでしょう。
土地の清掃
査定を受ける前に土地の清掃を行っておきましょう。
更地の場合は雑草などが生えていないか、空き缶等、不法投棄されてしまった物やゴミがないか確認をし、必要なら処分しておきましょう。雑草を除去することで価格が大きく変わることはありませんが、土地の管理をしっかりしていることを伝えられます。
また、土地の清掃をしっかりしておくことで、不法投棄する土地を狙っている悪徳業者にも管理されている土地であることを印象付けることができます。悪徳業者も見つかるリスクのある土地には捨てたくないので、捨てられづらい土地になるでしょう。
境界が確定しているか確認
土地の境界が確定しているか確認をしましょう。
隣接する土地も含めて、長年何も建物等が建っていない場合は土地の境界が曖昧になっている可能性があります。登記されている土地面積と実際の土地を測量してみると、面積が異なることは多々あります。
土地を売却するために行う測量は隣接地の所有者立会いのもと行う確定測量が必要になる場合もあります。確定測量は立会者全員のスケジュールを合わせるのに時間がかかるので、査定前に測量まで行う必要はありません。確定測量が必要となる場合は、不動産会社とタイミングなどを相談し、売却活動を始めた後でも良いでしょう。
査定前の段階では、いつ確定測量などを行ったのか確認しておく程度で良いでしょう。確定測量を行ったのが最近であれば、現在の境界は信頼できるものと考えられるからです。もし、確定測量などを行ったのが何十年も前であるなどといった場合は、査定時に不動産会社に伝えておくと良いでしょう。
土地の査定は匿名で依頼できる?
土地の査定を受けたい方の中には、不動産会社がちょっと怖い、まだ本格的に考えていないから…といった理由で匿名で査定を依頼したい方もいらっしゃるでしょう。
はたして匿名で査定を依頼しても良いでしょうか。
匿名査定はおすすめしない
結論から言うと匿名査定はおすすめしません。
匿名査定とは名前や電話番号など個人情報を入れずに不動産を査定してもらえるサービスです。確かに不動産会社などから連絡が来ることはありませんが、査定結果がかなりおおよそのものになってしまいます。
査定したい土地の所在地を最後まで入力しないので査定結果にあまり信憑性がなく、査定結果で売却するのか検討するには不十分ですし、価格を知りたいだけの場合でもあまり参考にはならないでしょう。
土地の査定を行うのなら、机上査定か訪問査定を選んだ方が、匿名査定より精度の高い査定結果を得られるので、そちらを選択した方が良いでしょう。
土地の査定を依頼するなら一括査定サービスが無難
土地の査定を依頼するのなら一括査定サービスを利用するのが無難でしょう。
一括査定サービスとは一度の申し込みで複数社に査定を依頼できるサービスです。依頼する不動産会社は一括査定サービスが数社に選んで紹介してくれるので、自身で探す必要もなく手間が省けます。
初めて一括査定サービスを利用するのであれば、初心者向けのイエウールが良いでしょう。イエウールなら査定依頼を受け付けているエリアが広いので、申し込んでも査定依頼ができないということが少ないです。
また、webで24時間申し込みができ、無料で利用できるので気軽に申し込みを行えます。
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【種類別】土地の査定後にやるべきこと
土地を売却したいなら、土地の査定を受けた後にやるべきことはいくつもあります。主な土地売却の流れは以下の通り。
査定を受けた後は、仲介を依頼したい不動産会社を選び、媒介契約を結びます。不動産会社がポータルサイトなどに土地の情報を掲載したら、売却活動が始まり、土地の購入を希望する買主が現れたら売買契約を結び土地を売却します。
主な土地の売却は上記のようになりますが、売却したい土地が一般的な宅地でない場合は、その他にもやらなくてはいけないことがあります。ここでは、特殊な土地を売却する際にまずはやっておきたいことを解説します。
古い家が建っている土地
古い家が建っている土地の場合はまず更地にするべきか検討しましょう。
古い家が建っている土地の売却方法はいくつかありますが、代表的なのは古い家をそのままにし売却する古家付き土地か古い家を解体して更地にするです。
古い家を解体して更地にすると土地は売れやすくなりますが、建物を壊すとなると解体費用がかかりますし、売却が完了するまでの固定資産税も更地の場合は最大で今の6倍かかる恐れがあります。
家は1度解体してしまうと元には戻せないので、古家付き土地として売るのか更地として売るのか、不動産会社などに相談してみると良いでしょう。
農地に指定されている土地
売却したい土地が農地の場合は、まずは売却の許可をもらうようにしましょう。
実は農地といっても区分は細かくさまざまで、農地によっては農業委員会の許可をもらえないと売却できない土地があります。許可は必要なくとも届け出が必要な場合の農地もあるので、不動産会社と相談して許可を取りに行くようにしましょう。
農地は農業をやっている土地すべてを農地と呼ぶわけではなく、国で指定された土地を農地いいます。農地は食料自給率低下を防ぐため誰でも自由に購入できるわけではなく、農業委員会に許可を受けた農家や農業従事者のみが買うことを許されています。
誰にでも売却できるわけではないので、最悪土地を売ることができないということもあるでしょう。その場合、周辺の農家の方に引き取ってもらうというのも手です。
市街化調整区域
市街化調整区域を売却したい場合はまずは開発許可が取れるか確認しましょう。
市街化調整区域とは市街地が無闇に広がらないように、制限されたエリアのこと。無秩序に都市が広がらないようにすると共に、周辺にある自然や資源を守ることも目的とされています。
そのため、基本的に新しく建物を建てることはできません。しかし、行政が開発の許可を出せば、市街化調整区域でも新しい建物を建てたり建物のリフォームが可能です。
許可が降りるか否かは各自治体の判断によるので、まずは役所に行って相談してみましょう。住宅を建てるという用途で許可が降りない場合でも、高齢者施設や医療施設など地域で必要と判断される建物の建設の場合は許可が降りる場合もあります。
施設を建てられるほどの面積の土地であれば、事業者を探し売却するという方法もあるでしょう。
賃貸中の土地
誰かに貸している土地を売却したい場合は、まず借地契約の内容を確認しましょう。
土地を人に貸すことを借地といい、土地を借りてその土地の上に建物を建てて利用する権利のことを借地権と言います。
借地権には種類があり、普通借地権であれば地主の一方的な契約解除はできず、土地がなかなか返還されないということもあります。しかし、定期借地権であれば期限が設けてあり、さらには契約内容によっては更地にして土地を返還してもらえます。
賃貸中の土地は主に土地を借主に貸したまま売却するか、借主に立ち退いてもらって売却するかになりますが、いずれの売却方法でも借地権の残存期間は重要です。
残存期間がまだ多く残っている場合は、土地を購入しても自由に利用できないため一般的な土地の売却価格より安くなりますし、立ち退きの際に借主に支払う立ち退き料の額も上がる可能性が高いです。
契約内容と合わせて、契約満了までの時間も調べておきましょう。
まとめ
この記事では、土地の査定の注意点について詳しく解説してきました。
インターネットを使っての無料一括査定などの査定方法や、不動産会社が行う取引事例比較法による査定などしっかりと土地査定について理解できたと思います。あなたやご家族との明るい将来のためにも大切な土地を高く売るために、注意点を意識したうえで一括査定をすることをおすすめします。
記事のおさらい