健康保険は、種類によって「毎月の給与を元に保険料が決められているもの」と、「世帯ごとの総収入をもとに計算されているもの」が存在します。
不動産を売却した場合、世帯ごとの総収入をもとに計算されている「国民健康保険」と「後期高齢者医療保険」は、保険料が上がる可能性があります。
この記事では、保険料の計算方法から、保険料が上がらないように利用できる控除に付いて紹介します。
「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
不動産売却で保険料が上がる?
不動産を売却すると売却の翌年の保険料が上がる可能性があります。保険料が上がるかどうかは保険の種類によって決まります。
まずは、健康保険には、種類があることを理解していただきます。
健康保険は4種類
健康保険といっても実は、種類は次の4つに分けられます。
保険の種類 | 対象者 |
健康保険 | 民間企業で働く会社員。正社員だけでなく、アルバイトや契約社員でも加入可能 |
共済保険 | 公務員 |
国民健康保険 | 健康保険や共済保険の対象者以外(例:自営業、フリーランス) |
後期高齢者医療保険 | 国民健康保険に加入していた、かつ75歳以上の高齢者 |
健康保険に加入することで、病気や怪我の際の治療費の一部を軽減されています。
日本では国民皆保険制度が敷かれているため、すべての人がなんらかの保険に加入しています。
健康保険は、種類によって「毎月の給与を元に保険料が決められているもの」と、「世帯ごとの総収入をもとに計算されているもの」が存在します。
そのため保険の種類によって、不動産を売却すると保険料が上がる可能性があります。次の章で詳しく説明します。
健康保険と共済保険なら保険料が上がらない
健康保険や共済保険は、毎月の給料をもとに保険料が決められているので、給与以外の所得は保険料に反映されません。
そのため、ご自身が加入している保険が健康保険や共済保険であれば、不動産売却で保険料が上がることはありません。
ただし、注意していただきたいのが、扶養を受けている方がいる場合です。
扶養家族が不動産を売却して130万円以上の所得を得た場合、当該のご家族は一時的に高所得者となるため扶養から外れてしまう可能性があります。
一時的な所得で扶養から外れてしまうかどうかは、保険ごとに決められている扶養家族の定義によって決まりますので、心配があれば一度保険組合に確認するとよいでしょう。
国民健康保険と後期高齢者医療保険は保険料が上がる可能性がある
国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入している場合、不動産を売却すると保険料が上がる可能性があります。
というのも、国民健康保険や後期高齢者医療保険の保険料は、給料に基づいて計算されるのではなく、世帯ごとの総収入をもとに計算されているからです。
不動産の売却益も世帯の総収入に含まれるため、不動産の売却益が大きい場合には保険料が上がる可能性があります。
保険料が上がるのは「譲渡所得」が発生した場合のみ
不動産売却によって健康保険料が上がるのは、不動産を売却した結果「譲渡所得」が発生した場合に限られます。
譲渡所得は次の式で計算できます。
保険料の計算方法
ここまでに、どのような場合に保険料が上がるのかを見てきました。
では、保険料が上がるとして、いくら上がるのでしょうか?
ここからは保険料を計算する方法を見ていきましょう。
保険料の内訳は「基礎課税分(医療分保険料)」「後期高齢者支援分保険料」「介護分保険料」の3つです。
3つのうち、不動産売却によって影響が出るのは「基礎課税分」になります。
基礎課税分は次の4つの要素で構成されています。
要素 | 保険料を決める要素 |
所得割 | 前年の総所得 |
均等割 | 本人と扶養家族の人数 |
平等割 | 自治体 |
資産割 | 固定資産 |
これら4つの要素の中で、不動産売却によって変動があるのは所得割だけです。
所得割は次式で計算できます。
所得割額=(前年の所得金額-基礎控除額)×税率-(調整控除+税額控除)
所得割額は前年の所得金額をもとに決まるので、保険料が値上がりするとしたら売却の翌年の保険料が上がることになります。
基礎控除額は、次表のとおりです。
合計所得金額 | 基礎控除額 |
2,500万円以上 | 適用なし |
2,450万円以上2,500万円以下 | 15万円 |
2,400万円以上2,450万円以下 | 29万円 |
2,400万円以下 | 43万円 |
したがって、保険料の値上がり額は次式で算出することができます。
不動産売却で保険料が上がらないように控除を利用しよう
日本では不動産売却に伴い、控除や節税できる制度があります。
不動産の売却で健康保険料が上がったとしても、控除をうまく使い負担を減らしましょう。
自宅を売却したら3000万円控除を利用しよう
自宅(マイホーム)を売却する場合、特定の条件を満たせば、最大3,000万円の特別控除が適用されます。
3,000万円控除を利用することで、譲渡所得を減らし、結果として健康保険料の増加を抑えることができます。
3,000万円の特別控除を適用するためには、所有期間や居住期間などの条件を満たす必要があります。
まずは自身の不動産の価値を調べよう
自身の所有している不動産が不動産市場でどのくらいの価値があるのを調べることは、不動産売却においてはじめの一歩となります。
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