登記事項証明書とは
登記事項証明書とは、土地や建物など不動産の所有権や抵当権などの権利関係、またはその不動産に関する重要な情報が正式に記録されている公的な文書です。登録事項証明書は、不動産売買や相続手続き、住宅ローンの契約時など、不動産関連の取引時に必要になります。登記事項証明書は、法務局が管理・発行しています。そのため、登記事項証明書が必要になった方は、最寄りの法務局に行って手続きをして取得する、または、インターネットを利用して、「登記・供託オンライン申請システム」からオンライン交付請求ができるようになりました。
オンラインから、申請したものは受け取り方が2通りの中から選ぶことができます。
登記事項証明書と登記簿謄本は異なる意味をなすと勘違いされている方も多いですが、実は一般的に同じものを表します。
しかし文脈や地域によって、若干違いがある場合があります。しかし、基本的にはどちらも不動産の登記情報を記載した公的な証明書を指します。
加えて、抑えておいていただきたいのが、登記事項証明書といっても、「土地・建物の登記事項証明書」と「会社・法人の登記事項証明書」があります。今回は、「土地・建物の登記事項証明書」について詳細を深ぼっていきます。「会社・法人の登記事項証明書」についての詳細は法務局のホームページをご覧ください。
登記事項証明書の記載内容とは?
登記事項証明書にはどのような内容が記載されているのでしょうか?
見本でも確認できますが、以下のような内容が主に記載されています。
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登記事項証明書の期限
登記事項証明書には法的な有効期限は設けられていませんが、その情報が最新かどうかが重要です。
不動産取引や法的手続きにおいては、最新の情報を反映した登記事項証明書が求められます。
そのため、取引や手続きの直前に発行された登記事項証明書を用意することが一般的です。
具体的な有効期間は、取引先や手続きの種類、または地域によって異なる場合がありますが、一般的には発行から3ヶ月以内のものが求められることが多いです。
登記事項証明書が必要になるタイミング
登記事項証明書は、以下のようなシチュエーションで必要とされます。
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##登記事項証明書はどこで手に入る?[/hx]
登記事項証明書の取得に必要なのは、交付申請書です。近くの登記所(法務局、支局、出張所)にて入手することができるほか、現在は自宅のパソコンからオンラインで請求も可能です。
オンラインで請求するメリット
オンラインで請求するメリットは、窓口での交付請求に比べて、手数料が安く済むことです。
申請方法 | 受取場所 | 手数料 | 取扱時間 |
---|---|---|---|
窓口申請 | 窓口交付 | 600円 | 平日の午前8時30分から午後5時15分 |
オンライン請求 | 送付 | 500円 | 平日の午前8時30分から午後9時まで |
窓口交付 | 480円 |
例えば、直接出向き、窓口で登記事項証明書の交付を請求する場合手数料は600円かかりますが、オンラインで請求した場合は、受け取り方によって、最大120円安く抑えることができます。
① 登記事項証明書を自宅または章場に郵送で受け取る場合、手数料は550円、②最寄りの法務局や登記所に出向いてサービスセンターで受け取る場合、手数料は480円になります。
あらかじめオンラインで請求しておけば、窓口での待ち時間が短縮されるメリットもありますし、日中は働いている方はオンラインでの申請が便利でしょう。
またオンライン請求の場合、手数料をインターネットバンキングやPay-easyに対応したATMから支払うことができるため、収入印紙を購入する必要がありません。
ここで一点注意しておきたいのは、不動産登記簿の情報に関してはほぼ全てデータ化を終えているものの、一部データ化が進んでいない情報も存在している点。公図や地積測量図などの資料を同時に請求したいのであれば、事前に管轄の法務局に問い合わせた方が確実です。
また、窓口での申請の場合、基本的に営業時間が平日の8:30-17:30のところ、オンラインの場合は、8:30-21:00まで請求依頼が出せます。法務局窓口の営業時間については、こちらで詳細を紹介しています。
日中忙しく、法務局や登記所になかなか訪れることができない方におすすめしたいサービスです。詳しくは、法務局のページをご覧ください。
登記事項証明書は全4種類
登記事項証明書とは登記簿に記録されている内容の全部、または一部を証明した紙のこと。登記事項証明書は、証明する内容によって、次の4つに分けることができます。
- 全部事項証明書
- 現在事項証明書
- 一部事項証明書
- 閉鎖事項証明書
4つの登記事項証明書の詳細を理解し、あなたに必要な登記事項証明書がどれなのか把握できるようにしましょう。
全部事項証明書について
全部事項証明書に記載されているのは、過去の変更履歴(所有権の移転など)を含む全ての登記記録。登記簿謄本の取得が必要である場合、この全部事項証明書を示していることが多いです。
土地と建物はそれぞれに別個の登記簿があり、また、一つの建物の敷地が一つとは限りません。一戸建ての場合は近所の人と共有の「道路部分の土地持分」を保有していることもあります。
これらについては購入時の売買契約書を見れば判明します。
マンションの登記簿を取得する場合は若干注意が必要です。
築年が昭和など古い時代に建てられた一部を除き、通常はマンションというのは建物と敷地が一体化しています(「敷地権化されたマンション」と呼びます)。
よって、マンションの部屋番号を指定して登記簿を取得すればそれは土地部分も含んだものですので敷地の登記簿を別に取る必要はありません。
しかし「築年数の古いマンションや比較的小規模の共同住宅で敷地権化されていないもの」については土地と建物を別に取得しなければならなくなります。
敷地権化されていないマンションの土地については建物所有者が「共有」している状態ですので、全部事項証明書を取るとすべての共有者がその土地の登記簿に載り、膨大な量になってしまいます。
そのような場合には「一部事項証明書」として共有者名を指定して取るとコンパクトに必要な部分だけを取ることができます。
現在事項証明書について
登記簿に記載されている事項のうち、その名の通り、現時点で有効な内容のみを抜粋して証明する文書です。
つまり、その不動産に関する現在の所有者、権利関係(例:抵当権)、その他の現行の登記情報(例:地役権、使用権など)が記載されています。以下のような状況で必要になります。
- 不動産売買:
買い手や売り手が不動産の現在の法的状況を確認するために利用します。 - ローンの申請:
不動産を担保にローンを申請する際、金融機関が担保となる不動産の権利関係を確認するために利用されます。 - 法的手続き:
遺産相続などの法的手続きにおいて、不動産の所有権を証明するために必要とされます。
一部事項証明書(登記抄本、何区何番事項証明書)について
前述した現時点でデータ化されていない登記事項証明書が、一部事項証明書になります。
上記の「敷地権化されていないマンション」の例で説明しましたが、それ以外でも不動産が「共有されている」事例は数多くあります。
1筆の土地を複数人が共有している場合に、特定の部分に関する情報を見たい場合は一部事項証明書を取得することをおすすめします。全部事項証明書を取得すると、何十〜何百という枚数になってしまうこともあります。枚数が50枚を超えると、50枚までごとに追加で100円の手数料が発生する上に、実際に見たい情報を探し出すだけでも一苦労です。
閉鎖事項証明書について
全部事項証明書には、過去の変更履歴(所有権の移転など)を含む全ての登記記録が記載されていますが、閉鎖した登記記録は取得できません。
しかし閉鎖事項証明書では、全部事項証明書で得ることができない過去の情報や、閉鎖、取り壊しなどにより、すでに存在しない土地や建物の登記事項が記載されています。
種類の登記事項証明書を表で比較
では、あらためて4種類の登記事項証明書の記載内容をおさらいしましょう。証明書名 | 全部事項 | 現在事項 | 一部事項 | 閉鎖事項 |
---|---|---|---|---|
記載内容 | すべて (閉鎖事項に当てはまるものは除く | 現在の登記事項の状況のみ | 所有権または所有権以外の特定した一部の事項のみ | すでに閉鎖、取り壊しにより現存しない事項のみ |
記載内容は異なりますが、手数料はすべて同じです。請求する前に、必要な記載内容を確認しておきましょう。
登録情報提供サービス
オンラインで申請して利用することができる、サービスを「登録情報提供サービス」と言います。
登録簿の内容だけ確認したい場合や登記情報を取得したい場合にご利用できます。
登記情報は証明書ではないので、登記簿謄本と全く同じように使うことはできません。登記簿謄本の提出が求められている場合は、登記情報を取得するだけでは「書類の不足」となる場合もあるので、事前に確認しておくようにしましょう。
また、登記情報を取得は無料ではありません。
登録簿謄本と同じ内容のものが欲しい場合、1通あたり332円、所有事項所であれば142円、地図は362円の手数料がかかります。
この手数料は、2021年10月の改正により修正したものです。手数料や費用面に関しては、法律で変動することもあるので、必要な際は、最新情報を調べるようにしてください。
オンライン請求できない場合は?
オンライン請求ができない場合は、最寄りの法務局に出向き、請求することになります。先述しましたが、手数料は下記になります。交付請求場所 | 受取場所 | 手数料 |
---|---|---|
登記所の窓口 | 登記所の窓口 | 600円 |
法務局の証明書発行請求機の使い方
現在、各法務局には証明書自動発行機が設置されています。使い方は以下の通りです。- 「不動産登記」「商業・法人登記」の2種類から「不動産登記」を選択
- 画面の案内に従い、入力
- 請求内容と手数料を確認、名前を入力
- 整理番号票が発行される
- 手数料分の収入印紙を売店にて購入
- 整理番号票と引き換えに申請用紙を受け取る
- 収入印紙を貼り、提出
法務局の営業時間
法務局の営業時間は、基本的に月曜日~金曜日の午前8時30分~午後5時15分。土日祝祭日は休みです。一般的な登記事項証明書の場合、場所を問わず取得が可能です。ただし、不動産の売却などにおいて必要となる書類(不動産の地積測量図や地図、建物図面など)を一度に揃えたい場合、図面の電子化が遅れていることから管轄外の登記所では取得できないおそれがあります。また、ごく一部の限られた物件にはなりますが、通常の登記簿であっても何らかの理由で「改製不適合物件」といって、ほとんどがコンピュータ化された現在でもいまだブック式(旧式)のままとなっている不動産があります。
※理由は物件により異なりますが、例えば「登記されている持分をすべて足しても100%にならない」といったものです。
目的の不動産が改製不適合物だった場合は、法務局でブック式登記簿を取得しなくてはならないことになります。
不動産の売却のために登記事項証明書の取得を検討しているなら、もう一括査定サービスは利用しましたか? 無料であなたの家の価格を査定してもらうことができます。
必要な書類は不動産の種類や状況によって異なります。そこで、必要書類を簡単にチェックしましょう!
必要項目を選択して「必要書類を見る」を押すと、ご自身の場合に必要な書類が一覧で表示されます。
タイミング | 重要度 | 書類 | 内容 | 取得方法 |
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管轄法務局の調べ方
管轄法務局を調べる際には、ふたつ方法があります。
法務局ホームページで調べる
法務局ホームページ内「管轄のご案内」では日本全国の登記所の住所・電話番号のほか「不動産登記管轄区域」「商業・法人登記管轄区域」別の、法務局や支局、出張所を調べることができます。案内図や交通手段も記載されているため、実際に出向く前に確認しておきましょう。登記所に電話をかける
インターネットが使えない場合は、登記所に電話で問い合わせを行いましょう。その際、問い合わせをするのは自分が住んでいる都道府県や、所有する不動産がある登記所でなくても構いません。電話では登記所の連絡先のほか、管轄登記所を調べられます。ただ、大都市など日常的に混雑している登記所では電話が繋がりづらいこともありますので注意しましょう。
統廃合により、管轄が変わることがあるため必ず確認を
「数年前に登記事項証明書を取得したことがあるから、確認しなくても大丈夫だろう」と思う方もいるかもしれませんが、近年、登記所の統廃合が進み、管轄区域が変わっているケースも発生しています。インターネット・電話、どちらの方法でも問題ありませんが、実際に請求する前に管轄が変わっていないかどうか、確認することが望ましいでしょう。
分からない場合は不動産会社に相談するのも手
もし、申請を出す法務局や登記事項証明書の見方など分からないことがあったら、不動産会社に相談するのも一つの方法です。不動産会社もプロではありませんが、優秀な担当者なら不動産売却に関わる周辺知識も豊富です。
ただし、ここで注意が必要なのは優秀な担当者であることです。どの不動産会社の担当者でも回答できるわけではないので、優秀な担当者がいる不動産会社と契約を結ぶようにしましょう。
優秀な担当者であれば不動産売却での疑問を解決してくれるだけでなく、売却活動も上手く進み不動産を高く早く売ることができるかもしれません。
優秀な担当者を見極めるには担当者を見比べるのが最もカンタンな方法です。見比べる機会は査定のタイミング。査定時に気になることを聞いてみて、すぐに分かりやすい回答ができるか試してみましょう。
担当者を見比べるには複数社に査定を依頼する必要があります。その際には一括査定サービスのイエウールを利用すると良いでしょう。一括査定サービスなら、一度の申し込みで複数社に依頼ができますし、24時間受け付けているので、平日の夜22時以降でも申し込み可能です。
あなたの不動産、
売ったら
申請書の書き方と所要時間
続いて、申請書の書き方と登記事項証明書取得までにかかる時間を解説します。
申請書の記載方法
申請書に記載する内容は、下記の通りです。請求書の欄 | 記載すべき内容 |
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請求人(住所・名前) | 窓口に来た人の住所と名前 |
種別 | 土地または建物を選択 |
群・市・区 | 土地または建物の所在地 |
町・村 | |
丁目・大字・字 | |
地番 | 後述 |
家屋番号又は所有者 | 後述 |
請求数通 | 必要数 |
指示通りに必要事項を記入していくため、特に難しいことはありませんが、「地番」「家屋番号」は別途調べる必要があるので、後述します。請求用紙、法務局の証明書発行請求機の利用でも、記載内容はほぼ同じです。
オンライン申請では、法務省が運営している「登記ねっと 供託ねっと」内の「かんたん証明書請求」から申請者登録(無料)が必要です。
ログインした後は、証明書請求メニューの中から「不動産」を探し、その中の「登記事項/地図・図面証明書交付請求書」を選択。ここでの入力内容も、請求用紙に記載する内容と変わりません。
登記事項証明書取得までにかかる時間
登記事項証明書取得までにかかる時間は、請求方法や申請・受領方法によって異なります。申請方法 | 受領方法 | かかる時間(目安) | |
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登記事項証明書 交付申請書 | 法務局窓口 | 法務局窓口 | 15〜30分 |
郵送 | 郵送 | 中1〜2日 | |
証明書発行請求機 | 法務局端末 | 法務局窓口 | 5〜10分 |
オンライン申請 | オンライン(PC) | 法務局窓口 | 3〜4時間 |
郵送 | 翌日〜翌々日 |
急いで入手したいのであれば、生活圏内にある法務局に行き、窓口や端末操作による申請を行うと良いでしょう。登記事項証明書は、最寄りの法務局に出向き、手続きすることで取得できます。法務局の事務所に入ると、証明書発行請求機という機械があるので、これで証明書が必要な不動産や会社や証明書の形態を選択します。不動産の登記事項証明書では、住所に加えて「地番」や「家屋番号」がないと証明書発行請求機の入力が完了しないので、事前に調べておきましょう。
入力が完了すると証明書発行請求機から整理番号票が出てくるので、受付窓口で整理番号票の番号が呼ばれたら、発行手数料を支払い、登記事項証明書を受け取って終了です。
ただし、データ化されていない登記情報が記載されている証明書を入手したい場合、不動産の管轄法務局に申請する必要があるため、管轄法務局を確かめる、法務局に電話で問い合わせたうえで窓口へ向かうことをおすすめします。
申請する前に知っておきたい、地番や家屋番号の調べ方
登記事項証明書交付申請書を記入したり、オンライン申請をする際、地番または家屋番号を把握しておきましょう。
ただ「地番」や「家屋番号」、「住居表示」など普段の生活では聞きなれない単語が多いため、具体的なイメージができないかもしれません。
「地番」「家屋番号」の意味とは?
地番は、土地の登記上の番号のことで、家屋番号は、建物の登記上の番号のこと。これらの番号は、不動産登記法に基づき決められており、土地の分筆などの表示変更登記を行わない限り、途中で変わることはありません。住居表示と地番の違いとは
「地番=住居表示」とイメージするかもしれませんが、地番と住居表示は異なります。住居表示は、一般的には普段私たちが日常で使用している「住所」と同じ意味だと考えて問題ありませんが、地番は一般的に住所とほぼ別物です。住所と地番が一致していた時期がありますが、土地は年月が経つにつれて、番号がランダムになるケースも発生しました。その結果、住居表示と地番が異なる場所が多数存在しています。登記事項証明書交付申請書やオンライン申請の際に必要となるのは「地番」「家屋番号」であり、住居表示ではないため気をつけましょう。
「地番」「家屋番号」を調べる2つの方法
登記事項証明書の取得には、地番や家屋番号が必須です。ブルーマップを使用する
土地の住居表示が確認できている場合、住居表示と地番が記載されている「ブルーマップ」があれば、スムーズに地番を調べることができます。ブルーマップは、管轄している法務局や、国会図書館を含む、ある程度大規模な図書館で閲覧できます。法務局でブルーマップを閲覧する際には、不明点を職員に尋ねることができるメリットも。
ブルーマップ自体は市販されているものの、法務局で購入できません。また、定期的に更新されているため、古いブルーマップに掲載されている内容では、申請できないこともあります。
法務局に電話をかけて問い合わせる
法務局に出向く時間がなく、オンライン請求を考えている場合は、法務局に直接電話をかけて、問い合わせましょう。問い合わせ先の電話番号は、法務局ホームページ内「管轄のご案内」ページに記載されたいます。住所から、地番、家屋番号を教えてもらえるため、便利です。まとめ
登記事項証明書の申請書は、法務局に出向いて入手する方法以外にも、オンラインでの入手が可能になり、手軽になっています。申請書の記載内容に関しても、それほど難しいものではありません。ただ、初めて登記事項証明書を取得する場合は、不明点や疑問点をすぐに質問できるという意味でも、法務局の窓口での申請が望ましいでしょう。