私の家の解体費用はいくら?
▼家の解体費用の基礎知識について詳しくはこちら
借地権付き建物の解体費用は誰が払う?
借地権付き建物の解体費用は、通常、借地権者(建物の所有者)が負担します。これは、借地権者が建物の所有者であり、建物の解体や管理に関する責任を負うためです。
原則、借地権者が支払う
借地権者が原則支払う理由は、借地権は「建物所有を目的に土地を借りる権利」であり、建物の所有・管理の責任は借地権者に帰属するためです。
建物解体もその延長線上にあるため、契約終了時に解体が必要となった場合、原則として借地権者がその費用を負担します。特に契約書に「契約終了時に更地で返還する」と明記されている場合、借主が負担するのは義務となります。
ただし、解体不要や地主負担となる例外も
- 契約書に「更地で返還」と明記されていない
➡地主との交渉次第で、地主が建物を引き取ることに同意すれば解体不要となることも - 契約書に「解体費用は地主負担」と明記されている
➡契約上、地主が支払う決まりとなっている - 契約終了のタイミング
➡「建物買取請求権」を行使でき、解体せずにそのまま地主に買い取ってもらえる
契約書に「更地で返還」と明記されていない場合、交渉次第で解体不要になる場合があります。また、「費用は地主負担」と契約書に記載されている場合は、地主が支払う決まりとなっているため、解体不要です。
さらに、契約終了のタイミングであれば、「建物買取請求権」を行使することで、建物ごと地主に買い取ってもらえるため、支払いは不要となります。
建物買取請求権なら建物の買取を請求できる
借地借家法第13条で認められており、建物が存在する場合に行使可能です。地主は拒否できず、建物の適正評価額で買い取る義務があります。建物買取請求権により、借地権者は解体費用を負担せずに資産価値を保ったまま契約を終了できます。
▽借地借家法第13条「建物買取請求権」についての記述
参照:東京借地借家人組合連合会
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借地権付き建物の解体費用の相場
借地権付き建物の解体費用の相場は、所有する土地の場合と変わりません。建物構造別の坪単価が最もわかりやすいでしょう。
▼建物構造別の解体費用
構造 | 坪単価 | 30坪の相場の目安 |
木造 | 3万円〜5万円 | 60万円~150万円 |
鉄骨造 | 3万円〜7万円 | 90万円~210万円 |
RC(鉄筋コンクリート)造 | 4万円〜8万円 | 120万円~ 240万円 |
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建物を解体すると借地権は消滅する?
借地権が存続期間中である限り、解体しても借地権は消滅しません。借地権は「建物を所有するための権利」であり、存続期間中は一時的に建物がなくなっても、その目的が維持されるためです。ただし、契約満了時に建物が再建されていない場合は、自動的に消滅します。
解体しても借地権が消滅しないことは借地借家法に記載
種類 | 契約時 | 解体による消滅 |
旧借地借家法 | 1992年8月以前 | 消滅しない |
新借地借家法 | 1992年8月以降 | 契約から30年以内は消滅しない |
旧借地借家法の場合:基本的に消滅しない
旧借地借家法の場合、基本的に解体しても借地権は消滅しません。
旧借地借家法は、借地権者の権利を手厚く守ることが目的とされおり、借地権者優位となっているためです。
新借地借家法の場合:契約から30年間は消滅しない
新借地借家法の場合、契約から30年間であれば解体しても借地権はなくなりません。
新借地借家法は、旧借地借家法に対して地主の権利をより守るカタチで改正されています。よって、契約期間にも30年の制限が設けられています。
ただし、契約終了までに再建しなければ消滅
いずれの場合でも、契約終了時に建物が存在しない場合に借地権は消滅します。
借地権の本質は、「建物を所有するために土地を借りる権利」であるため、契約時に所有する建物が存在しない場合、契約できなくなってしまうためです。
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借地権付き建物の解体業者選びのポイント
本章では、借地権付き建物の解体業者選びのポイントを解説します。
▼借地権付き建物の解体業者選びのポイント
- 解体業者が指定されるケースに注意
- 選べる場合は借地権や契約内容を熟知した業者を選ぶ
- 地主との調整経験がある業者を選ぶ
- 必ず2~3社から相見積もりをとる
解体業者が指定されるケースに注意
借地権付き建物の解体では、地主が解体業者を指定するケースがあります。
指定業者を利用することで地主との関係を円滑に進められる場合がありますが、提示される費用や条件が必ずしも最適とは限りません。
そのため、まず契約書や地主との取り決めを確認し、指定業者の利用が義務かどうかを明確にすることが重要です。利用する場合でも、見積もり内容を細かく確認し、不明点があれば地主や業者に問い合わせましょう。
選べる場合は借地権や契約内容を熟知した業者を選ぶ
業者を選べるなら、借地権や契約内容を熟知した業者を選びましょう。
通常の解体工事と異なり、地主との契約内容や借地権の法的条件を正確に理解した上で進める必要があるためです。特に「更地返還の義務があるか」「地主の承諾が必要か」「解体後の借地権の扱い」など、法律や契約書に基づいた適切な対応が求められます。
地主との調整経験がある業者を選ぶ
地主との調整経験がある業者を選ぶことも非常に重要です。解体工事は借地契約に基づき地主の承諾や協議が必要となる場合が多く、調整がスムーズに進まなければトラブルに発展する可能性があります。
地主との調整経験が豊富な業者は、契約内容を確認し、地主の意向を尊重しながら工事を進めるノウハウを持っています。また、必要書類の作成や交渉のサポートも可能で、借主の負担を大幅に軽減します。
必ず2~3社から相見積もりをとる
解体業者を選ぶ際は、必ず2~3社から相見積もりをとりましょう。
解体費用は業者ごとに大きく異なる場合があり、1社のみの見積もりでは適正価格を把握できません。
相見積もりを取ることで、費用の比較だけでなく、各業者が提示する内訳の明確さや説明の丁寧さも評価できます。また、見積もり時には「地中埋設物の撤去費用」や「追加作業費」の有無についても確認することで、予期せぬ追加費用を防ぐことができます。
さらに、上述した「借地権や契約内容を熟知しているか」や「地主との調整経験があるか」についても、比較によってわかりやすくなります。
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借地権付き建物を解体せずに処分する方法
本章では、借地権付き建物を解体せずに処分する方法を解説します。「建物の状態」「借地権の条件」「地主の承諾」の3要素によって異なりますので、最適な方法を選んでみてください。
▽最適な方法を決めるポイント
- 建物の状態:建物がどれくらい使える状態か
- 借地権の条件:地代や借地権の存続期間などの条件の良さ
- 地主の承諾:地主の承諾が必要かどうか
▼借地権付き建物を解体せずに処分する方法
方法 | 建物の状態 | 借地権の条件 | 地主の承諾 |
建物買取請求権を行使 | -(契約終了時のみ) | 〇(契約終了時のみ) | ▽(法手続きが必要) |
借地権を第三者へ売却 | 〇(良好またはリフォーム可) | 〇(魅力的で長期契約) | 〇(必要) |
借地権の返還を交渉 | ▽(老朽化していても可能) | ▽(短期契約が有利) | 〇(必要) |
建物を第三者に貸与 | 〇(利用価値がある) | 〇(借地権に変更なし) | ▽(通知程度で済む) |
建物を地主に無償譲渡 | ▽(老朽化して価値が低い) | ▽(契約終了前提) | 〇(必要) |
建物買取請求権を行使
前述したとおり、建物買取請求権を行使とは、契約が終了した際に地主に建物を買い取らせる法的手続きです。
ただし、地主が買取を拒否した場合は法的手続きが必要となり、裁判などのコストや時間がかかる場合があります。また、建物の価値が低い場合は、買取額が期待よりも少なくなる可能性があります。
借地権を第三者へ売却
借地権を売却することで、建物と借地権(すなわち、土地の利用権)を第三者へ移転することができます。
地主の承諾は必須であり、譲渡料や承諾料が発生することも一般的です。承諾を得るまでの手続きが煩雑になるというデメリットもあります。
借地権の返還を交渉する
借地権を地主に返還して契約を終了させます。建物が老朽化している場合や、借地権が短期契約で更新が難しい場合に選ばれることが多いです。「更地にして返還」の明記がない場合のみ、解体不要となる可能性がありますが、地主の合意が前提となるため交渉がスムーズに進まない場合もあります。
また、借地権が地主にとってあまり魅力的でない場合は、交渉が成立しないことも考えられます。
建物を地主に無償譲渡する
建物を地主に譲渡し、土地を返却することで、解体費用を回避する方法です。
建物が老朽化しており、価値が低い場合でも、地主が土地を更地として利用したい場合には有効です。
解体費用を負担せずに契約を終了できる点がメリットですが、地主が譲渡に合意しない場合には実現が難しいことがデメリットです。
賃貸物件にする
借地上の建物を賃貸し、収益化する方法です。借地権自体は移転せず、地主の承諾は原則不要であるため、迅速に進められる点がメリットです。賃貸によって建物の解体費用を負担せずに済み、さらに収益を生む資産として活用できます。
しかし、老朽化した建物や短期間の契約では入居者を見つけにくい場合があり、管理コストや修繕費がデメリットとなる可能性があります。
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【ちょっとおさらい】借地権の基礎知識
これまで、借地権付き土地の建物の解体について解説してきました。
本章では、改めて借地権について理解したいという方に向けて、「そもそも借地権とは」、「地上権との違いや特徴」「借地権の契約期間」について、わかりやすく解説しています。
そもそも借地権とは
改めて借地権とは、借りた土地の上に建物を建てることができる権利です。
「地上権」とあわせて説明されることもあります。地上権は借地権の一種とされていますが、両者は別々の権利と考えるほうがわかりやすいでしょう。
地上権との違いや特徴
▽地上権と借地権との違い
項目 | 地上権 | 借地権 |
---|---|---|
土地利用の範囲 | 土地を自由に利用可能 | 土地の賃借のみ |
建物リフォーム | 自由(地主の承諾は不要) | 地主の承諾が必要 |
土地建物の売買 | 自由(地主の承諾は不要) | 地主の承諾が必要 |
抵当権の設定 | 設定可能(地主の承諾不要) | 土地には設定不可(建物は可能) |
地主の承諾の必要性 | 地主の承諾なく利用可能 | 地主の承諾が必要 |
借地権の契約期間
種類 | 存続期間 | 実質 |
旧借地借家法 | 新規:30年→更新:20年 | 半永久的に更新可能 |
新借地借家法 | 新規:30年→更新:20年→次の更新:10年 | 契約満了後に原則更地返還 |
旧借地借家法の場合
借地権を設定した後の存続期間は新規では30年、更新では20年とされています。
新借地借家法の場合
借地権の存続期間が新規では30年、次の更新では20年、さらにその次の更新では10年となっています。
信頼できる解体業者探しならイエウール
借地権付建物の解体には、信頼できる解体業者の選定が不可欠です。
しかし、業者ごとの費用や対応を個別に比較するのは手間がかかります。そこでおススメなのが「イエウール解体」の一括見積りサービスです。イエウール解体では、複数の解体業者が一度に見積りを取得できるため、効率的かつ透明性の高い選定が可能になります。
借地権付建物の場合、地主との調整や近隣への配慮が特に重要ですが、イエウールで紹介される解体業者は経験豊富で、法律やマナーにも精通しています。
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