夢のマイホームを購入するとき、「戸建てにするかマンションにするか」で迷うケースは多いです。戸建てとマンションにはそれぞれ長所と短所があり、向いている人も異なります。
今回は、戸建てとマンションのメリット・デメリットを比較して、それぞれがおすすめの人について紹介します。これからマイホームを購入するなら、ぜひチェックしておきたいポイントです。
戸建て・マンションを【販売価格】で比較
年々マンションの価格は上がっている
まず初めに、販売価格からマンションと戸建てを比較すると、近年マンションの価格のほうが戸建てよりも高くなりつつあると言うことができます。
以下のグラフは、国土交通省が発表している不動産価格の推移を表していますが、マンション価格が右肩上がりに上昇を続けていることがわかります。

(出典:国土交通省「不動産価格指数」(令和7年12月分・2026年3月31日公表))
具体的な金額としても、東京カンテイの調査によれば、マンションの価格は新築中古ともに2010年以降最高値を更新し、新築の平均価格は6050万円、中古は3487万円を記録しました。
背景には、いわゆる「億ション」などと呼ばれる高価なタワーマンションが増えたことに加えて、東京都心部などの人口が集まっている地域への供給が集中していることが考えられます。
したがって、地方での住宅購入を考えている場合などでは一概にどちらの資産価値が優れているとは言えないため、自分のライフスタイルと合っているかも含めて検討するべきでしょう。
コロナの影響で戸建て人気も
一方で、コロナ禍でリモートワークが広がり、自宅で過ごす時間が増えたことをきっかけに、戸建ての人気も高まりました。
以下のグラフは、首都圏の中古戸建住宅の年間(1〜12月)の成約件数を表しています。コロナ禍の2020年度(2020年4月〜2021年3月)には、中古戸建住宅の成約件数が14,102件と、前年度比109.0%に伸びました。

(出典:レインズマーケットプレイス(2020年度)、東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」2020年・2025年)
また、リモートワークが広がったことで、都心や駅からの近さを強みとするマンションではなく、郊外の緑が多く床面積の広い戸建てを選ぶ人も増えました。
価格の推移で見ればマンションは2025年まで上昇が続いていますが、広さや在宅時間の過ごしやすさを重視するなら戸建てにも利点があります。自分や家族がどちらを優先するのか、しっかりと検討しましょう。
戸建て・マンションを【費用面】で比較
続いては、戸建て・マンションにかかってくる初期費用や、購入後にかかる固定資産税などの維持費にどのような違いがあるのか見ていきましょう。
戸建て・マンション共通してかかる費用
戸建て・マンションでそれぞれ共通してかかる費用としては、購入時にかかる初期費用や購入後の税金などがあります。前者の例として購入時の頭金や登記費用など、後者の例としては固定資産税などがあります。
また、新築の場合はかかりませんが、中古住宅の購入を検討している場合、不動産会社に支払う仲介手数料がかかるため注意しましょう。
初期費用の相場としては、新築住宅の場合は物件価格の3~5%、中古住宅の場合は物件価格の6~10%程度の費用が掛かりますので、必ず現金で用意しておきましょう。
また、固定資産税は戸建て・マンション共通してかかる費用ですが、土地に対する固定資産税には税金の軽減措置があり戸建てのほうが費用負担が少ない傾向にあります。
戸建てにのみかかる費用
戸建ての場合は、住宅の修復が必要になった際に費用が全額自己負担で必要になります。
具体的には、外壁塗装や水回りの修繕、フローリングのメンテナンスやシロアリ対策など、戸建てでは定期的にランニングコストが必要になります。場合によっては、一気に100万円以上の出費が生じることもあるため、万が一に備えておく必要があります。
一方で、戸建てはマンションのように、管理費や修繕積立金などの支払いをする必要がありません。また駐車場つきの戸建てであれば、駐車場代金も不要です。毎月住宅のローンだけ返済していけばいいので、月々の支払いにかかる負担がマンションよりも抑えられるケースも珍しくはありません。
マンションにのみかかる費用
上に述べたとおり、マンションに住むと毎月のローン以外にも「管理費」や「修繕積立金」「駐車場代金」などがかかります。そのため、毎月の支払額が割高に感じてしまう人も多いかもしれません。
それぞれの費用は物件によって異なりますが、すべての費用を合算すると2~3万円程度になることが多いです。相場に比べて費用が安すぎるマンションは、適切な管理や修繕が行われていない可能性があるため注意が必要です。
とはいえ、マンションは管理費の対価として、設備の管理や清掃を管理会社に任せられます。詳しくは「マンションのメリット」の章で説明します。
戸建て・マンションを【生活面】で比較
第3章では、戸建て・マンションを購入した後の生活面での具体的な違いについて焦点を当てていきます。
戸建てのメリット
家族間のプライバシーを守りながら生活できる
戸建ては、集合住宅であるマンションに比べて独立性の高い住宅です。周囲のことを気にすること無く、プライバシーに配慮した生活ができる点が大きなメリットでしょう。
また「1階は両親、2階は子供部屋」といったように、家族内でもプライバシーを守りながら生活できる点も特徴です。
騒音を気にせず生活できる
戸建ては建物が独立しているため、マンションのように上下階の騒音に悩まされることがなくなります。また、子どもやペットによる騒音を気にして生活する必要もなくなるでしょう。
もちろん完全に音が漏れなくなるわけではないため、ある程度の配慮は必要です。しかし、マンションに比べれば大幅に過ごしやすくなることは確実です。
守らなくてはいけない規約がない
戸建てならペットの飼育も玄関前の使い方も自由です。
マンションによってはペット禁止や玄関前の使い方についての規約などがありますが、戸建てにはなく好きなペットを飼育し植物を植えることも可能です。
将来的にペットを飼うことを検討している場合や、庭でのガーデニングを楽しみたい場合などは戸建てのメリットを積極的に享受できるでしょう。
駐車場がある
敷地内に駐車場がある場合は、もちろん無料で駐車場を利用することができます。
マンションの場合別途で駐車場の利用料金がかかってくるほか、居住階から駐車場までの距離が離れているケースも少なくなく、気軽に利用できないというハードルもあります。
その点で戸建ての場合は、そういったストレスなく車を利用できるのがメリットと言えるでしょう。
リフォームが自由にできる
戸建ては維持費が自己負担である代わりに、リフォームやリノベーションも自由に行うことができます。
マンションの場合は規約によってリフォームに対する規制が厳しい場合や、共用部分のリフォームができないため自由度が無くなるケースも少なくありません。
将来的にバリアフリー化を検討している場合や、中古住宅の購入を検討している場合には大きなメリットと言えるでしょう。
戸建てのデメリット
家事の導線が複雑になる
一般的に戸建ては2階以上のフロアから構成されているため、家事の動線が複雑になりやすい傾向にあります。
「洗濯機は1階でベランダは2階だから面倒」「広すぎて掃除が大変」など、家事をするうえで不便に感じることも多いでしょう。
戸建てを購入するときは、実際の家事の動線をシミュレーションしながら物件選びをしていきましょう。
希望の立地にないことがある
一概にはいえませんが、戸建ては駅から離れた場所に建てられることが多いです。とくに分譲戸建ては開発エリアに建てられることが多いため、車やバスがないと生活できないケースも少なくはありません。
閑静な住宅街は子育てに最適な環境ですが、あまりにも不便だとストレスの原因になります。買い物をする場所や学校など、長期的に生活するうえで欠かせない施設が揃っているかについて確認しておきましょう。
セキュリティ面に不安が残る
独立した住宅である戸建ては、周囲の目があるマンションと比べてセキュリティ面のリスクが高いです。窓や勝手口の侵入対策をしておかないと、空き巣の被害に遭ってしまう危険性もあります。
バリアフリー設計ではない
注文しない限り戸建ての多くはユニバーサルデザインではありません。
若いうちは特に問題ありませんが、高齢になった際に階段や部屋から部屋の移動に段差がある造りは住みづらくなってしまうでしょう。
将来的に高齢の両親と住むことを検討している場合や、老後の生活を見越して購入する場合は頭に入れておきましょう。
ゴミを毎日捨てられない
戸建ての場合、ゴミを捨てられるのは地域が指定した日のみです。
ゴミの集積スペースのあるマンションなら曜日を問わず好きな時間にゴミを捨てられますが、戸建ての場合はゴミを家で保管したりそのために早起きをしなくてはなりません。
さらに、地域によってはゴミ当番があり、ゴミネットの設置や回収、ゴミ捨て場の清掃などを行う必要があるため、毎朝負担がかかる可能性があります。
マンションのメリット
利便性が高い物件が多い
マンションは立地条件がいい物件が多いため、駅の近くや商業施設の近くに住めるというメリットがあります。条件がよくなるほど価格は上がってしまいますが、利便性を求める人にとっては非常に住みやすいでしょう。
また、ラウンジや託児所などの設備が併設されている物件も増えてきており、生活においての利便性が非常に高い点もメリットです。
共用施設が利用できる
戸建てにはないメリットとして、マンションはラウンジやキッズルームなどの共用施設を利用できて便利であるという点があります。
また、コロナ後に施工された新築マンションなどの場合はリモートワークができるスペースがあるなどのユニークな共用施設も増えています。
管理費や修繕費を払っている一方で、こういった共用施設を利用できるのは大きなメリットでしょう。
セキュリティ対策が充実している
マンションにはオートロックや監視カメラ、常駐の管理人などがいるため、セキュリティ対策が手厚い点が特徴です。
もちろん物件によって設備は異なりますが、住人の往来が多いマンションであれば、戸建てよりも防犯効果は高いでしょう。
設備管理や物件の清掃などをしなくていい
マンションでは、管理費を支払う代わりに設備管理をすべて任せることが可能です。清掃はもちろん、共用設備に不具合が起きたときもすべて管理会社に対応してもらえます。
住環境を維持する手間をすべて管理会社に任せられるため、戸建てと比べて手がかからない点が大きなメリットです。
家事の動線をコンパクトにできる
マンションの多くはワンフロアになっているため、家事の動線がコンパクトになる点もメリットです。階段がなく面積も広すぎるというわけではないので、戸建てと比べて家事のストレスは少ないでしょう。
また、段差がないためバリアフリー性が高い点もメリットと言えるでしょう。
マンションのデメリット
面積が狭い
マンションは戸建てと比べて面積が狭い点は、メリットでもありデメリットでもあるポイントです。今はとくに問題なくても、家族が増えたときにスペースが足りなくなってしまう可能性があります。
将来的なライフプランもふまえて、余裕を持った間取りのマンションを購入できると失敗しにくいでしょう。
生活音やプライバシーに注意が必要
集合住宅であるマンションは、生活音やプライバシーに配慮が必要です。古いマンションの場合、足音だけではなく少し大きなテレビの音なども聞こえてしまうことがあるため、生活をするうえで注意が欠かせません。
近年建てられたマンションであれば防音性が高いことが予想されますが、それでも集合住宅である以上、一定の配慮は必要になるでしょう。
リフォームしにくい
マンションには管理規約というものが存在しており、そこにはリフォームやリノベーションについてのルールが設けられている可能性があります。内容によっては、自由にリフォームやリノベーションができない可能性があることを理解しておきましょう。
● 指定業者以外立ち入り禁止
● 水回りの設備移動禁止
● 防音性の高い床材以外使用禁止
上記のようなルールが定められているマンションもあります。リフォームやリノベーションを検討している場合は、あらかじめ工事が可能かどうか管理会社に確認をとっておきましょう。
戸建て・マンションを【資産価値】で比較
最後に、近いうちに転勤がある可能性がある人など、将来的に売却も検討している人向けに、戸建て・マンションの資産価値がどのように推移していくのかを見ていきます。
不動産は基本的に築年数とともに資産価値が下がりますが、下がり方には違いがあります。ここでは、東日本不動産流通機構が公表している首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)の2025年の成約データをもとに比較します。
戸建ての資産価値
一般的に戸建ての資産価値は、「建物部分の価値が年々下がり、最後は土地の価値だけが残る」といわれています。
特に木造住宅の場合は、メンテナンスがされていないと、築20年でも「古家付き土地」として売り出されることが少なくありません。
以下のグラフは、首都圏の中古戸建住宅について、築年帯ごとに実際に売れた物件(成約物件)の平均価格を示したものです。

(出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」)
成約価格の平均は、築0〜5年の5,147万円から築26〜30年の3,662万円へと、約3割下がっています。築41年以上では2,437万円です。
マンションの資産価値
以下は、同じ資料による中古マンションの築年帯別の平均成約価格です。

(出典:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2025年)」)
マンションの成約価格の平均は、築0〜5年の8,666万円から築26〜30年の4,286万円へと、約5割下がっています。築31年以上は2,600万円前後で推移しています。
築浅の価格水準が高い分、築年数が進んだときの下がり幅は、金額でも割合でもマンションのほうが戸建てより大きくなっています。
一方で、マンションは都心や駅の近くに立地する物件が多く、管理状態がよければ築50年以上でも「ヴィンテージマンション」として取引されることがあります。
2つのグラフから言えるのは、「戸建てもマンションも築年数とともに価格は下がる。築浅で高値がつきやすいのはマンションだが、下がり幅もマンションのほうが大きい。最終的な資産価値は立地と管理状態に左右される」といえそうです。
売りやすさは築年帯で変わる
売りやすさの目安として、同じ資料の「対新規登録成約率」(同じ期間の成約件数を新規登録件数で割った割合)を見てみましょう。
首都圏の中古マンションでは、2025年の成約率は築11〜15年が40.9%で最も高く、次いで築6〜10年の37.4%、築0〜5年の33.4%でした。築26〜30年で26.2%、築31年以上では20%前後まで下がります。
つまり、マンションは築10年〜15年前後が最も買い手のつきやすい時期で、それを過ぎると徐々に売りにくくなる傾向があります。
なお、この成約率は市場全体の傾向を示すもので、個々の物件が売れる確率を表すものではありません。
転勤などで将来的に売却を検討している人は、購入時の価格とあわせて、売却したい時期にその物件が築何年になっているかも考えておくとよいでしょう。
状況や目的に合わせた選び方
上記の戸建て・マンションの比較をふまえて、最後に戸建てとマンションそれぞれがおすすめの人について説明します。
自由度やプライバシーへの配慮を重視するなら戸建て
戸建てがおすすめなのは、ある程度手がかかってもいいから、自由でプライバシーに配慮した生活を送りたい人です。独立性の高い戸建てでは、周辺住人を気にすること無く自分らしい生活ができます。家族内のプライバシーも守れるため、子どもが大きくなったときも快適に過ごしてもらえます。
定期的なメンテナンスを自分で行う必要はありますが、好きなように増改築をしたりお手入れをすることで、より愛着のある家を作り上げていくことが可能です。
利便性が高く管理不要の住宅を希望するならマンション
マンションがおすすめなのは、とにかく便利で手のかからない住宅を手に入れたい人です。近所付き合いなども最低限でいいので、人間関係が面倒だと感じている人にも最適でしょう。マンションは共用部分の管理や修繕などを一任できるため、とにかく手がかからない物件です。忙しくて自宅に手をかけられない共働きの夫婦や、子育てに忙しい世代におすすめです。
戸建てとマンションの特徴を押さえて、自分に合ったマイホームを
戸建てとマンションには多くの違いがあり、それぞれに向いている人は異なります。プライバシーに配慮しながら生活したいなら戸建て、管理の手間を減らして便利に暮らしたいならマンションが向いているでしょう。それぞれでかかる費用は状況によって大きく異なるため、一概にどちらがお得とはいい切れません。家族のライフスタイルや将来的なライフプランもふまえ、長く快適に過ごせる住宅を見極めていきましょう。


