「解体工事ではどんなことをするの?」
本記事では、解体工事を検討されている方々に向けて、解体工事について知っておくべき基礎知識をわかりやすく解説しています。
私の家の解体費用はいくら?
▼解体工事のポイントが掲載された記事はこちら
種目 |
解体工事の進め方について |
家の解体費用の相場について |
賢い見積もり方法について |
必要な手続きについて |
補助金について |
解体ローンについて |
残置物の処分方法について |
解体工事とは
解体工事は、建築物やその他の工作物を計画的に取り壊し、撤去する作業を指します。
【解体工事とは】
建築物のうち、建築基準法施行令第1条第3号に定める構造耐力上主要な部分の全部又は一部を取り壊す工事。または、建築物以外の工作物の全部又は一部を取り壊す工事。
▼解体工事の種類
種類 | 概要 |
---|---|
全解体 | 建物全体を取り壊す最も一般的な形態 |
部品解体 | 建物の一部のみを解体する方法で、リノベーションに用いられる |
内装解体 | 建物の骨組みは残し、内装のみを解体する方法 |
外構解体 | ブロック塀、カーポート、物置などの付属構造物の解体を指す |
全解体
建物が老朽化して使用に適さなくなった場合や、土地の再開発のために既存の建物を撤去する必要がある場合に選択される方法です。
この過程では、建材の分別や適切な廃棄物処理が重要となり、環境への配慮も必要です。
部品解体
部分解体では、建物の構造上重要でない壁や床、天井などの一部を取り除き、新しい設計に合わせて空間を再構成します。
部分解体は、建物の基本構造を維持しながら内部レイアウトを変更したい場合や、建物の一部を拡張する際に効果的です。内装解体
内装解体の方法は、建物の外観や構造を変更せずに、内部空間を全面的にリニューアルしたい場合に選択されます。
オフィスビルのフロア改装や、住宅の大規模リフォームなどで多く用いられます。
外構解体
外構解体は、建物本体ではなく、敷地内の付属構造物を取り壊す解体方法です。具体的には、ブロック塀、カーポート、物置、庭の舗装、門扉などが対象となります。
この方法は、敷地の利用方法を変更する際や、老朽化した外構設備を更新する場合に用いられます。
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解体工事の工法6つ
工事には様々な工法があり、建物構造やシーンによって次のようにわかれます。
▼解体工事の工法6つ
対象 | 種類 | 概要 |
木造解体 | 手壊し工法 | 分別解体の一環として行う |
機械解体工法 | 重機を使用して建物を効率的に解体する | |
鉄骨造・鉄筋コンクリート造 | 圧砕機工法 | 圧砕機でコンクリートを粉砕 |
ブレーカー工法 | ブレーカーでコンクリートを粉砕 | |
カッター工法 | ダイヤモンドカッターでコンクリートを裁断 | |
転倒工法 | コンクリートを倒して分断 |
手壊し工法
手壊し解体は木造建物に用いられる解体方法です。
建設リサイクル法に基づく分別解体の一環として行われることが多く、環境に配慮した解体方法となります。その他、道端が狭いなど重機が搬入できない土地や、住宅密集地で騒音や振動をおさえる必要がある土地などで採用されます。
ただし、手壊しのぶん時間がかかるため、工期が長くなり費用も高くなる傾向があります。
機械解体工法
機械解体工法は、重機を使用して建物を効率的に解体する方法です。一気に解体できるため、工期を短縮したい場合や大規模施設の解体にむいています。騒音を防ぐためには、「工事開始前に周辺住民への事前通知」や「防音シートによる仮囲い」等の騒音対策が重要になります。
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圧砕機工法
圧砕工法は鉄骨造や鉄筋コンクリート造の解体に用いられる方法です。
コンクリート粉砕機などを油圧圧砕機に取り付け、コンクリートを破砕しながら鉄骨や鉄筋を切断できます。
振動や騒音が少なく(重機の運転音程度)、解体効率が良いためRC造建築物の解体において、もっとも主流となっています。
ブレーカー工法
SRC造の建築物や、断面の大きな部材を解体する工法です。
ショベルの先端にブレーカーと呼ばれるノミのようなアタッチメントを取り付けて作業します。
空気圧や油圧力でノミ先で繰り返し衝撃を加えることで、コンクリートをを砕いて破壊できます。
ただし、粉塵が多くなりやすいので、散水による防塵が必要になります。
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カッター工法
カッター工法とは、ダイヤモンドカッターを装備した重機で、鉄筋やコンクリートを裁断する方法です。
騒音も振動もなく、静かに解体が進みますので、大規模な建物の解体に対応できます。
部分以外の構造物に悪影響を与えないため、テナントの内装工事や撤去作業にも使われます。
転倒工法
コンクリートや鉄骨の柱や外壁を、敷地内に倒してから分別し、運搬しやすいサイズに解体してから運び出す工法です。
周辺への解体ガラの飛散をおさえて工事することができます。
高い壁を倒して破壊するため、高所作業など危険な作業を少なくできるのがメリットです。
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解体工事の流れ
- 足場・養生の設置
- 家屋内の残置物の撤去
- 内装材や付帯物の撤去
- 建物を解体
- 廃材の処分
- 整地・清掃
【ステップ①】足場・養生の設置
まずは解体工事を安全に実施するために、足場と養生の設置を行います。
足場とは解体工事の作業員が工事中に建物周辺を移動するために必要な土台のことです。建物を囲うように設置することで、屋根やベランダ等の高い位置での撤去作業を可能にします。
特に二階建ての場合は、高所での作業が必須です。作業員の安全確保のために、しっかりと足場を設置しておきましょう。
【ステップ②】家屋内の残置物の撤去
足場と養生を設置した後は、家屋内の「残置物」を撤去します。
残地物とは、家屋内外に残されている荷物や家具や家電などです。建設リサイクル法により分別解体(資材を分別して処分すること)が義務付けられているため、解体工事前にすべて撤去されます。
【ステップ③】内装材や付帯物を撤去
家のなかが空っぽになったら内装材や付帯物を撤去します。
内装材とは床、壁、天井に使用する仕上げ材を指します。例えば、フローリングやカーペット、畳、タイル、窓ガラスが該当します。また、付帯物とは建物に付帯する設備や装飾材を指し、外構(ブロック塀)や植栽(庭木や庭石)、ベランダやカーポート等が該当します。
内装材や付帯物もひとつずつ手作業で撤去されるため、残置物と同様に量が多いほど時間は長引きます。
【ステップ④】建物を解体
建物の解体は、【屋根➡建物本体】の順に進めます。
屋根が瓦の場合は、本体とは別に瓦だけを剥がしていく作業になります。手作業で行うのですが、屋根に登り一枚ずつ重たい瓦を剥がしていかなければいけない危険な作業になります。
次に重機で建物本体と、残っている屋根部分や壁、柱などを解体してしていきます。
重機で解体する際は土埃が発生しやすいため、水を撒きながらの作業していきます。効率よく解体作業を行わないと、時間や人件費などがかかってきてしまいます。
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【ステップ⑤】廃材の処分
建物の解体後は、細かい木くずやコンクリートガラなどの廃材が多く散財しています。
土地をきれいに整えるためにはまずこれらの廃材をトラックで運搬・処分する必要があります。
大きなガラは重機を使って掘り起こしながら、木くず等の細かいガラは、手作業によって取り集め、廃棄物処分場に向けたトラックに積んでいきます。
【ステップ⑥】整地・清掃する
廃材を処分した後は、土地を平らにならして整地・清掃を行います。
解体工事後に土地の売却や建て替えを考えている際は、土地を平らにならすことで見栄えがよくなる他、スムーズに活用できるようになります。
また、敷地内だけでなく道路の清掃も行います。近隣に迷惑をかけないように、敷地の外まで清掃しておくとクレームが発生する等のトラブルを防ぐことができます。
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解体工事で守るべき法律
解体工事では、周辺環境や作業員の安全に考慮して工事を実施するために、守るべき法律あります。
法律 | ポイント |
建設業法 | 許可を取得している解体業者は依頼すべき |
建設リサイクル法 | 建設廃棄物の適正処理 |
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律) | 廃棄物の適正処理 |
労働安全衛生法 | 作業員の安全と健康を確保するルール |
建設業法
建設業法では、解体工事業の許可要件や技術者の資格要件を定めています。
▼建設業法の要件ポイント
- 500万円以上の工事には建設業許可が必要
- 専任の技術者の配置が義務付けられている
- 下請け契約の制限や施工体制台帳の作成義務がある
建設業許可とは、建設工事を請け負って施工するために必要な法的許可のことです。
建設業法において、一定規模以上の工事を請け負う場合に建設業許可が必要と定められています。また、請負金額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事では、技術者を専任で配置する必要があります。目的は、大規模な解体工事の品質と安全性を確保することです。専任の技術者が常駐することで、適切な施工管理と問題への迅速な対応が可能になります。
建設リサイクル法
建設リサイクル法とは、建設廃棄物の適正処理とリサイクルを促進するための法律です。
▼建設リサイクル法の重要ポイント
- 特定建設資材(コンクリート、アスファルト、木材)の分別解体と再資源化が義務付けられている
- 80m²以上の建築物の解体工事は、都道府県知事への届出が必要
- 発注者への事前説明と書面による契約が義務付けられている
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
廃棄物処理法とは、廃棄物の適正処理を定めた法律です。
▼廃棄物処理法の重要ポイント
- 産業廃棄物の処理は許可を持つ業者に委託する必要がある
- マニフェスト(産業廃棄物管理票)の使用が義務付けられている
- 不法投棄に対しては厳しい罰則が設けられている
労働安全衛生法
作業員の安全と健康を確保するための法律です。
▼労働安全衛生法の重要ポイント
- 作業主任者の選任が必要
- 安全教育の実施が義務付けられている
- アスベスト含有建材の取り扱いに関する特別な規制がある
解体工事を安全に実施するために、必要な法律になります。
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解体工事に必要な許可や資格
解体を行う事業者は、都道府県知事や国から許可を得なければなりませんし、作業員は必要な資格が無ければ工事に携われません。
建設業許可
建設業許可とは、500万円以上の工事を請け負う場合に必要な許可です。
建設種類ごとに許可が分かれており、解体工事業には解体工事業か土木工事一式・建築一式・とび・コンクリート工事業のいずれかが必要です。
解体工事業登録
解体工事業登録は、500万円未満の工事のみを請け負う場合に必要な許可です。
この許可があれば、建設業許可がなくても建築業を営めます。
建設業許可・解体工事業登録ともに、許可証や登録証の営業所や解体現場への掲示が必要です。
必要な資格
資格を持った事業者であっても作業員が素人というわけにはいきません。
下記のような、建築に関する技能資格を持つ作業員がいれば、解体工事を請け負うことができます。
▼解体工事に必要な資格
- 施工管理技士
- 土木施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 管工事施工事理技士
- 技術士(重機の運転資格など)
- とび技能士
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まとめ
解体工事は、取り壊すだけで簡単そうに見えますが、資格や許可を持たない事業者は法律で行えなくなっています。
工事を請け負う作業員は、それぞれが有資格者であり、建物に適した工法で安全に解体を進めていきます。
流れがわかれば、依頼した時にもスムーズに取り掛かれますので、資格や工事内容についても理解しておくといいでしょう。