マンションの売却を検討する中で、築年数とマンションの売却相場価格や売れやすさにはどのような関係があるのか気になっている方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、マンション売却を検討している方に向けて、築年数ごとの売却のコツや売却に適したタイミングについて解説していきます。
マンション売却相場と築年数の関係は?
マンション売却を検討しているとき、「築年数はマンションを売却するにあたってどんな影響があるの?」という疑問をお持ちの方も多いかと思います。
マンションの売却相場価格は、築年数が経過するにつれて低下していきます。
マンションの資産価値は、建物部分と土地部分の資産価値を足し合わせて算出します。
土地部分は時間が経過しても資産価値は変わらないのですが、建物部分は「時間の経過とともに劣化する」と考えられているため、築年数の経過とともに資産価値が低下していきます。
築年数に関して、マンションの売却相場価格と値下がり率を詳しく見ていきましょう。
築年数が経過するほどマンションの売却相場は安くなる
築年数が経過するほどマンションの売却相場は安くなります。中古マンションの築年数別の平均売却価格がわかるグラフと表を見てみましょう。
築年数によるマンションの価格推移のグラフを見てみると、築年数が経過するほど売却価格が低くなっていることが分かります。
引用:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年) レインズ
<中古マンションの成約状況>
築年数 | 価格 (万円) | 面積 (㎡) | ㎡単価 (万円) |
---|---|---|---|
築0~5年 | 7,808 | 61.93 | 126.08 |
築6~10年 | 7,156 | 65.60 | 109.09 |
築11~15年 | 6,619 | 66.62 | 99.35 |
築16~20年 | 5,972 | 70.20 | 85.07 |
築21~25年 | 5,320 | 71.20 | 74.71 |
築26~30年 | 3,835 | 66.45 | 57.71 |
築31~35年 | 2,455 | 60.56 | 40.54 |
築36~40年 | 2,742 | 57.54 | 41.24 |
築41年~ | 2,351 | 56.65 | 47.66 |
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年) レインズ
築年数別のマンション売却相場価格の値下がり率
マンションの売却相場価格が築年数を経るにつれて低下していくことについてはここまでに見てきました。
注意しておきたいのが、マンションの売却相場価格はずっと同じ割合で値下がりしていくわけではないということです。
築年数別のマンション売却相場価格の値下がり率を見てみると、マンションの売却相場は、新築から築15年ごろにかけて急激に低下していくようです。<中古マンション成約状況>
築年数 | 価格 (万円) | 価格維持率 |
---|---|---|
築0~5年 | 7,808 | 100% |
築6~10年 | 7,156 | 92% |
築11~15年 | 6,619 | 85% |
築16~20年 | 5,972 | 77% |
築21~25年 | 5,320 | 68% |
築26~30年 | 3,835 | 49% |
築31~35年 | 2,455 | 31% |
築36~40年 | 2,742 | 35% |
築41年~ | 2,351 | 30% |
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年) レインズ
表を見ると、築25年前後までは、5年で8%前後とゆるやかに売却相場が下がっていきます。
しかし、築26年を超えると、マンション売却相場は築35年ごろにかけて、5年で20%と急激に値下がりしていきます。
急激に値下がりするのは、成約したマンションの平均築年数である24年を超えるとマンションは急激に人気が出にくくなってしまうためです。
築30年ごろにはマンション売却相場は、築0~5年以内のマンションのおよそ30%程度の価格となり、それ以降は価格があまり変わりません。
築年数とマンションの成約率の関係は?
築年数が経つにつれて、マンションの価格が下がっていくことはここまでに見てきました。
では、築年数が経つにつれてマンションは売れにくくなっていくのでしょうか?
「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年) レインズ」によると、成約したマンションの平均築年数は築24年です。
築24年までのマンションは人気が高いですが、築25年を過ぎると、一気にマンションが売れにくくなっていきます。
売り出されたマンション数に対する成約したマンションの割合についての次の表を見てみましょう。
<2024年の中古マンションの成約率>
築年数 | 成約率(%) |
---|---|
築0~5年 | 31.9 |
築6~10年 | 35.6 |
築11~15年 | 36.2 |
築16~20年 | 26.7 |
築21~25年 | 23.2 |
築26~30年 | 16.6 |
築31~35年 | 11.6 |
築36~40年 | 11.1 |
築41年~ | 13.2 |
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年) レインズ
表を見ると、築25年までのマンションの人気が高いことがわかります。
一方で、築30年以降のマンションは成約率10%強と、売れづらくなっています。
また、表を見ると、築25年までのマンションの成約が全体の6割ほどを占めていることがわかります。
<全成約事例に対する築年数ごとの割合>
築年帯 | 割合(%) |
---|---|
築0~5年 | 9% |
築6~10年 | 13% |
築11~15年 | 10% |
築16~20年 | 14% |
築21~25年 | 12% |
築26~30年 | 9% |
築31~35年 | 6% |
築36~40年 | 6% |
築41年~ | 20% |
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年) レインズ
このように、築25年までのマンションは売れやすい一方で、築25年以降は一気にマンションが売れづらくなっていきます。
マンション売却のベストタイミングは築10年から築25年まで
マンションの売却に向いているタイミングは築10年から25年目までです。理由を詳しくみていきましょう。
理由①|売却益でマンションを売却できる可能性が高い
マンション売却に築10年から25年までのタイミングをおすすめする理由の1つ目は、売却益でマンションを売却できる可能性が高いことが挙げられます。ほとんどの方が住宅ローンを借り入れてマンションを購入したのではないかと思われますが、マンションを売却する際にはこの住宅ローンを完済しておく必要があります。住宅ローン返済中だからといってマンションを売却できないわけではありませんが、売却をするには売却益や自己資金で住宅ローン残債を一括返済しなければいけません。
築10年目を超えると、ローンの返済がある程度進んでいるケースが多い一方で、マンションの売却相場が大きく下落しているわけではないため、売却益でローン残債を完済しやすくなります。逆に、築年数が浅すぎると多額のローン残債が残っている可能性が高いため、売却益でローンを完済するのが難しい傾向にあります。
理由②|築25年以降は価格と人気が急落してしまう
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年) レインズ
築10年から築25年までのマンション売却をオススメする2つ目の理由は、築25年を超えるとマンションの売却相場と成約率が大幅に低下していくためです。これは裏を返すと、築25年以内のマンションであれば、マンションが高く早く売却できる可能性が高いということです。
とくに、築15年目前後のマンションは人気が出やすいです。通常マンションは12~15年周期で大規模修繕を行うため、築15年頃のマンションは大規模修繕が終わっていることが多いです。
そのため、大規模修繕が終わった直後にあたる築15年目前後はマンションが特に売れやすい時期です。
マンション売却の築年数ごとのポイント
ここからは、築年数ごとに、マンション売却のポイントを紹介していきます。
築5年以内のマンションは住宅ローン残債を確認しよう
築5年以内のマンションを売却する場合には、住宅ローン残債の確認が大切です。築5年以内であれば多額の住宅ローンが残っているケースも多いため、売却にあたってはまず住宅ローンの残債を確認しましょう。
築浅であれば購入価格に近い価格で売却できるケースもあるため、売却益で住宅ローンの残債を完済できる可能性もあります。
住宅ローンの残債が完済できる価格で売却できそうかを踏まえながら、慎重に売却を判断しましょう。
築6~10年のマンションはできるだけ早く売却しよう
築10年以内のマンションを売却するときは、築年数ができるだけ浅いうちに売り出すことがポイントです。築10年以内のマンションは、建物の損傷も少ないため価格が下がりにくく、買い手からの人気も高いです。
できるだけ早めに売却することで高値で売却できる可能性が高くなるので、築10年以内のマンションは早めの売却を目指しましょう。
築11~15年のマンションは大規模修繕の後で売却するのも手
築11~15年のマンションを売却するときは、大規模修繕の後に売り出すことで、さらに人気が出やすいです。築15年以内のマンションも人気が高いのですが、築12~15年前後で大規模修繕が行われるケースが多く、大規模修繕が終わった後のマンションは特に人気が出やすいです。
大規模修繕が行われることで、マンションの外観や共用部がかなりキレイになるため、買い手に好印象を与えやすいです。
ただし、大規模修繕が行われる前後は修繕金が値上がりしてしまうケースもあるため、修繕金の積み立て状況を確認しながら売却のタイミングを見極めることが大切です。
築16~20年のマンションは不動産会社選びが成功の秘訣
築20年以内のマンション売却のポイントは、信頼できる不動産会社を見極めることです。築年数が20年以内になると室内や設備のダメージが目立ち始めるため、同じような条件のマンションの中でも、室内や設備の状態によって、売却相場に大きく差が出てきます。
大規模修繕工事やメンテナンスがしっかり行われていれば、マンションそのものはまったく問題ないので、価格を重視する買い手の需要はあります。
マンションの状況に応じた販売方法を積極的に提案・実行してくれる不動産会社を選ぶことが、好条件での売却につながるでしょう。
つまり、築20年前後のマンションは、それぞれのマンションによって条件などが大きく変わってくるため、不動産会社の選び方によって売却の成否が分かれてくるということです。
築21~30年のマンションは耐震性能がポイント
築30年以内のマンション売却のポイントは、「新耐震」など、マンションの耐震性能をアピールすることです。具体的には、1981年(昭和56年)以降の新耐震基準で建てられているかどうかです。築年数が30年近くなると、買い手側はマンションの耐震性能をはじめとした安全性を不安に感じるケースが多く、耐震性能に注目してマンションを探す方も多いです。
マンションの耐用年数を考えるとまだ十分に稼働できるので、大規模修繕などのメンテンナンスがしっかり行われていれば、十分売却も可能です。
築31年以降のマンションは耐用年数に要注意
築31年を超えたマンションでも十分売却は可能ですが、耐用年数の問題もあるため、できるだけ早めに売却することがポイントです。多くのマンションが鉄筋コンクリート造で、法定耐用年数が47年となっています。法定耐用年数を過ぎた場合、しっかりメンテナンスされていれば問題なく住むことはできるものの、マンションの建物部分の資産価値が0となってしまうため、売却相場がかなり安くなってしまいます。マンションを売却して少しでも高く売却したいのであれば、法定耐用年数を迎える前に売却しましょう。
築50年以上のマンションはターゲットを決めて売り出す
築50年を超えたマンションは非常に売れづらく、売却価格も安くなってしまいます。法定耐用年数47年を超えると、税務上のマンションの資産価値はゼロとなってしまうこともあり、買い手から敬遠されやすいです。とはいえ、建物部分に価値がつかないからこそ、「とにかく安いマンションを購入して、自分好みにリノベーションして暮らしたい」といった方に向けて売り出せば、売却できる可能性もあります。
高値での売却は難しいですが、買い手がつく可能性もあるため、築古のマンションに強い不動産会社の力を借りながら売却を進めましょう。
築年数が古くても売却しやすいマンションの特徴
築年数が古いからといってマンションを売却できない訳ではありません。
築年数は経過していても人気が出るマンションもあります築年数が古くても売れやすいマンションの特徴を見ていきましょう。
現代の生活様式のトレンドにフィットしている
生活サイクルやトレンドは5~10年で変わることが多いため、マンションの間取りや設備にもトレンドがあります。
たとえば、築年数が古いマンションの場合、収納は押入れが中心でしたが、築浅物件の場合はクローゼットが中心で、より収納スペースが広いウォークインクローゼットのある物件もあります。
また、共働き世帯が増えていることもあり、最近はディスポーザー(生ごみの粉砕機)や食器洗い乾燥機が標準装備のマンションも多くなっています。
このように、マンションの間取りや設備にもトレンドがあるので、築年数が新しいマンションのほうが買い手のニーズを満たし、より高い価格で売却できます。
逆に、築年数が古いマンションは、間取りや設備が現在のトレンドと合わなくなり、思うような価格で売却できない可能性があります。
買い手に人気のある付帯設備がある
マンションは、設備の使い勝手がよいと人気も高くなります。具体的には、以下のような設備が人気です。
- 24時間OKのゴミ置き場(フロア毎)
- 宅配ボックス
- ディスポーザー
- 食器洗い乾燥機
- 浴室乾燥機
- カメラ付きインターホン
- ウォークインクローゼット(大型収納)
人気の設備があるマンションを売却する場合は、売り出し広告に記載することで買い手にアピールでき、早期の成約につながります。
築年数が経過していても設備がプラスに
築年数が経っていても、マンションでも現在の生活スタイルにフィットしていれば、査定によい影響があります。
たとえば、宅配ボックスが新たに設置されていれば、売り出し広告でのアピールポイントになり、買い手の評価も高くなります。
また、マンション売却前に付帯設備表を作成しておくことも有効です。
付帯設備表とは、マンション売却時に残していくシンクやガスコンロ、洗面台などの設備について、故障や不具合の有無、修理・買い替えの履歴などを記載した表のことです。
付帯設備表を作成して売却前に買い手に説明しておくことで、安心感を与え、売却後のトラブルを防ぐことができます。
まとめ
実績がある不動産会社に依頼をして、マンション売却を成功させましょう!築10年、築12年、築25年、築30年など、築年数によってマンションの価格下落のターニングポイントが存在します。
そのタイミングでマンションを売却するには、なぜ価格下落のターニングポイントになるのかを理解し、しっかりとした準備をすることが大切です。
所有マンションの築年数を確認したうえで、まずは一括査定を行い、査定額がいくらになるか確認してみるのがおすすめです。売却価格を検討する材料には、築年数の他に、立地や競合物件など複合的な要素が必要になるため、信頼できる不動産会社の存在が不可欠です。