マンションの売却を検討している方の多くは、築年数によってマンションの価格や売れやすさなどがどう変わるのかが気になっているのではないでしょうか。
そこで今回はマンション売却相場や売れやすさがマンションの築年数よってどのように変化していくのかと共に、売り時やポイントなどを紹介していきます!
築年別のマンション売却相場と値下がり率
マンション売却を検討している方にとって、ご自身のマンションが築年数という観点でどのくらいの価格で売却できそうなのかは大変気になるポイントではないでしょうか。
そこで、まず最初に築年数によってマンションの売却価格相場がどのように変化していくのかを傾向を抑えながら見ていきましょう。
築年数別のマンション売却相場価格
まずは築年数別のマンション売却相場について確認していきましょう。
以下のグラフは、中古マンションの築年数別の平均売却価格を示しています。
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年) レインズ
築年数によるマンションの価格推移のグラフを見てみると、築年数が経過するほど売却価格が低くなっていることが分かります。
具体的な築年数ごとのマンション売却相場は以下のようになっています。
- 築年数別の詳細な平均売却価格のデータ
売却相場価格 | 面積 | ㎡単価(万円) | |
---|---|---|---|
築0~5年 | 6,239万円 | 55.40㎡ | 112.61万円 |
築6~10年 | 5,462万円 | 57.60㎡ | 94.83万円 |
築11~15年 | 4,686万円 | 59.06㎡ | 79.35万円 |
築16~20年 | 5,067万円 | 65.85㎡ | 76.95万円 |
築21~25年 | 3,979万円 | 65.03㎡ | 61.18万円 |
築26~30年 | 2,419万円 | 53.75㎡ | 45.00万円 |
築31年~ | 2,358万円 | 50.02㎡ | 47.15万円 |
築年数別のマンション売却相場価格の値下がり率
築年数の経過とともにマンションの売却価格や資産価値が低下していくことが分かりましたが、以下のデータで実際の値下がり率を確認してみましょう。
- 築年数別のマンション売却相場価格の値下がり率
売却相場価格 | ㎡単価(万円) | 値下がり率 | |
---|---|---|---|
築0~5年 | 6,239万円 | 112.61万円 | ー |
築6~10年 | 5,462万円 | 94.83万円 | 15.8% |
築11~15年 | 4,686万円 | 79.35万円 | 29.5% |
築16~20年 | 5,067万円 | 76.95万円 | 31.6% |
築21~25年 | 3,979万円 | 61.18万円 | 45.6% |
築26~30年 | 2,419万円 | 45.00万円 | 60.0% |
築31年~ | 2,358万円 | 47.15万円 | 58.1% |
築年数別のマンション売却相場価格の値下がり率を見てみると、マンション売却相場は築15年頃までは急激に低下していくようです。
築15年前後では、新築~築5年以内のマンション売却相場のおよそ70%程度にまで価格が値下がりしていることが分かります。
しかし、その後築20年頃までは価格はあまり低下していないようです。築20年を超えると、マンション売却相場は築30年頃までにまた急激に値下がりしていくようです。
築30年頃ではマンション売却相場は新築~築5年以内のマンションのおよそ40%程度の価格となっています。
マンション売却に特におすすめの築年数は築10年以上築20年以内
マンション売却に特におすすめの築年数は築10年以上20年以内です。
この章ではなぜ築年数が10年以上20年以内のマンションが売却に特におすすめだと言えるのかについて、費用や価格、売れやすさの観点から解説していきます。
理由①|自己資金を使わずにマンションを売却できる可能性が高い
マンション売却におすすめの築年数が築10年以上25年以内である1つ目の理由として、自己資金を使わずにマンションを売却できる可能性が高いことが挙げられます。
ほとんどの方が住宅ローンを借り入れてマンションを購入したのではないかと思われますが、マンションを売却する際にはこの住宅ローンを完済しておく必要があります。
それでは「住宅ローン返済中のマンションは売却できないの?」と不安になる方も多いと思われますが、住宅ローン返済中だからといってマンションを売却できない訳ではありません。
マンションを売却して買主に引き渡すまでに住宅ローンを完済して抵当権を抹消しておけば良いのです。つまり、住宅ローン返済中のマンションであっても、売却代金や自己資金などで住宅ローン残債を一括返済することができるのであれば問題なくマンションを売却することができます。
とはいえ、マンションの売却代金と住宅ローン残債の差額を自己資金で補うためには、かなりの貯蓄などが必要となります。
一般的にマンションの売却価格が住宅ローン残債よりも上回って自己資金を使わなくても売却できるのは築15年頃だと考えられているため、とにかく築年数が浅いタイミングが売却におすすめである訳ではないことに注意が必要です。
理由②|築20年以降は価格と売れやすさが急激に下落していく
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年) レインズ
マンション売却に特におすすめの築年数が築10年以上築20年以内である2つ目の理由は、築20年を超えるとマンションの売却相場と成約率が大幅に低下していくためです。
つまり、築20年以内のマンションであれば、マンションが高く早く売却できる可能性が残っていると考えることができるのです。
特に築12年以内であれば、マンションの購入者が35年ローンを組むことも可能であるため、買い手からの人気が非常に高いと考えられています。
また、通常マンションは12~15年周期で大規模修繕を行いますが、大規模修繕後の築20年手前のマンションの場合は、大規模修繕後であることが買い手に魅力として捉えられることも多いため、売却相場や成約率が急激に低下していく前のタイミングであることなどを考えても、売却におすすめのタイミングであると考えることができるでしょう。
今回は築年数の観点に絞ってマンションの売り時について解説しましたが、マンションの売り時を判断する際に重要な観点は築年数以外にも存在します。
マンションを売却するべきでない築年数は築5年以内
マンション売却に特におすすめの築年数が築10年以上20年以内であることについて解説しましたが、一方でマンションを売却するべきでないと考えられる築年数も存在します。
具体的には築5年以内のマンションは売却するべきでないと言えます。この章では築5年マンションを売却するべきでない理由について解説していきます。
理由①|築年数が浅いからといって売れやすいとは限らない
マンションを売却するべきでない築年数が築5年以内である1つ目の理由として、築年数が浅いからといって売れやすいとは限らないことが挙げられます。
先ほど紹介した築年数ごとの成約率のグラフをご覧になれば分かる通り、成約率は築5年以内のマンションよりも築10年前後のマンションの方が高くなっていることが分かります。
築5年以内のマンションがやや売れづらい理由としては、中古マンションの購入を検討している人に取って、築5年以内のマンションは価格が高く感じるためであると考えられます。
築10年程度であればマンションの劣化や破損も少なく、築5年程度のマンションの状態とあまり変わらないと感じる方も多く、価格も築10年マンションの方が手頃であるため、買い手の人気が築5年以内のマンションよりも築10年マンションの方に流れてしまい、結果的に築5年以内であるからといって売れやすいとは言えないのです。
理由②|住宅ローン返済用に多額の自己資金が必要になるケースが多い
築5年以内のマンションを売却するべきでない2つ目の理由は、住宅ローン返済用に多額の自己資金が必要になるケースが多いためです。
こちらについても先ほど解説した通り、住宅ローンを借り入れてマンションを購入している場合、マンションの売却価格が住宅ローン残債を上回るのは築15年前後であると言われています。
築5年以内のマンションを売却する場合には、大幅な繰り上げ返済などをしていない限りはマンションの売却価格が住宅ローン残債を下回ってしまうことになるでしょう。
さらに、住宅ローンには金利によって発生する利息も返済する必要があるため、築5年以内のマンションの場合には、購入時よりも高い価格でマンションが売れる場合などを除いては、ほとんどのケースで住宅ローン残債の一括返済用に多額の自己資金が必要となるでしょう。
築5年以内のマンションは築10年や20年マンションの売却相場と比較すると高いことは事実ですが、やはり購入時と比較すると価格が低下しているため、マンションの売却価格が住宅ローン残債を上回る可能性は非常に低いと言えるでしょう。
マンションの売却価格を見積もりたい方は、以下のシミュレーターが参考になります。
マンション売却の築年数ごとのポイント
築年数によってマンションの売却価格がどのように変化していくのかを踏まえて、築年数から見てどのタイミングが売却に適しているのか、反対にどのタイミングで売却するべきでないのかが分かりました。
そこで、ここからはそれぞれの築年数でマンションを売却する際のポイントを丁寧に紹介していきます。
築5年前後のマンションは住宅ローン残債を確認しておく
まずは築5年前後のマンションを売却するケースについて見ていきましょう。
築5年以内のマンションを売りに出すケースはあまりなく、市場に流通している数が少ないので、売り出し価格を高めに設定しても買い手の反応はよいでしょう。
ただし、好条件で売却するには、信頼できる不動産会社との契約は欠かせません。
ライバル物件などの周辺情報を熟知しており、経験や実績のある不動産会社を選ぶことが大切です。
築10年前後のマンションはできるだけ早く売却する
続いて築10年前後のマンション売却を成功させるためのポイントはマンションの売り出し価格を適正な価格や不動産会社によるマンション査定を基に判断することです。
築10年前後のマンションは、ダメージが少ないことから下落幅が小さく、買い手に人気が高いのが特徴です。
一方で、市場が活況でライバルが多くなるため、価格競争が激しくなる側面もあります。
強気な価格設定の場合、買い手は価格が安いマンションに流れてしまうため、なかなか成約につながらないこともあるでしょう。
10年を超えるマンションの場合、不動産情報サイトでは「築10年以内」を検索条件に設定する買い手も多いので、内覧申し込みが減少する傾向にあります。
築15年前後のマンションは大規模修繕を基に売却するタイミングを判断する
築5年と築10年マンションに続いて築15年前後のマンション売却を成功させるためのポイントは、大規模修繕を基に売却するタイミングを見極めることです。
築15年前後のマンションは、築10年前後のマンションと同様に活況で、買い手に人気があります。
しかし、マンションは12年~15年周期で大規模修繕工事を実施するため、1回目の大規模修繕工事の有無によって売却価格に違いが出てきます。
修繕積立金がしっかり貯まっていれば問題ありませんが、不足していると修繕積立金が増額され、売却価格が下がる可能性もあります。
また、築年数が12年を超えてしまうと買い手が35年ローンを組めなくなる問題もあるので、まだ大規模修繕工事が実施されていない場合は、早期に売却を検討しましょう。
築20年前後のマンションは不動産会社を慎重に選ぶ
また、築20年前後のマンション売却を成功させるためのポイントは、ご自身のマンションを高く売却してくれそうな不動産会社を見極めることです。
築年数が20年前後になると、資産価値の下落ペースは緩やかになり、リフォームの有無などによって査定価格の幅は変わります。
大規模修繕工事やメンテナンスがしっかり行われていれば、マンションそのものはまったく問題ないので、価格を重視する買い手の需要はあります。
マンションの状況に応じた販売方法を積極的に提案・実行してくれる不動産会社を選ぶことが、好条件での売却につながるでしょう。
つまり、築20年前後のマンションは、それぞれのマンションによって条件などが大きく変わってくるため、不動産会社の選び方によって売却の成否が分かれてくるということです。
築30年前後のマンションは物件の性能をアピールする
築年数が30年前後のマンション売却を成功させるためのポイントはマンションの耐震性能をアピールすることです。
具体的には、1981年(昭和56年)以降の新耐震基準で建てられているかどうかです。
築年数が30年前後ともなってくると、買い手側はマンションの耐震性能などの安全性を不安に感じてしまいます。
そこで、マンションの安全性をきちんとアピールすることができれば、築30年前後の他のマンションとの差別化を図ることができるのです。
マンションの耐用年数を考えるとまだ十分に稼働できるので、大規模修繕などのメンテンナンスがしっかり行われ、管理体制が整っていれば売却は可能です。
築40年前後のマンションは耐用年数に注意する
さらに築40年前後のマンション売却を成功させるためのポイントについても見ていきましょう。
結論から言えば、築40年前後のマンションであっても売却は十分可能です。売却成功のポイントはできるだけ早く売却することです。
多くのマンションが鉄筋コンクリート造であり、鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年となっているためです。
法定耐用年数を過ぎると、マンションの税務上の資産価値は0となってしまうため、築40年前後のマンションの売却を検討している方は、築47年を迎える前にできるだけ早くマンションを売却するべきだと言えるでしょう。
マンションを売却して少しでも高く売却したいのであれば、法定耐用年数を迎える前に売り出すのが良いと言えます。
築50年前後のマンションはターゲットを決めて売り出す
最後に築50年前後のマンションを売却するケースでは、一般的にはマンションが売れづらいと言われています。
法定耐用年数47年を超えると、税務上のマンションの資産価値が0となってしまい、そのマンションを購入しても次に売却できる見込みが薄くなってしまうことなどが理由として考えられます。
築50年前後のマンションの場合、高い価格で売却できるケースはあまり多くはありませんが、買い手側からするとそこが魅力に映るケースもあります。
「マンションを安く購入し、自分好みにリノベーションして暮らしたい」といったニーズを持つ人が最近増えてきているためです。
また、日本人と比較して築古マンションに抵抗を感じない外国籍の方なども一定数存在しているようです。
このように、築50年前後のマンションであっても、どんな人をターゲットに据えてマンションを売り出すかをきちんと考えて売却活動を行えば、売れる可能性は十分あると言えるでしょう。
築年数が古くても売却しやすいマンションの特徴
ここまで築年数によるマンション売却相場の低下や売り時、売却のポイントなどについて解説してきました。
しかし、築年数が古いからといってマンションを売却できない訳ではありません。
築年数は経過していても最新設備が整っていれば入居する人にとってはプラスになりますし、売りに出すときのアピールポイントにもなります。
つまり、築年数以外でも設備の使い勝手がよいマンションは人気も高くなりなります。ここでは、マンションを売却する際は、生活様式のトレンドも非常に重要な要素になることについてお伝えします。
現代の生活様式のトレンドにフィットしている
生活サイクルやトレンドは5~10年で変わることが多いため、マンションの間取りや設備にもトレンドがあります。
たとえば、築年数が古いマンションの場合、収納は押入れが中心でしたが、築浅物件の場合はクローゼットが中心で、より収納スペースが広いウォークインクローゼットのある物件もあります。
また、共働き世帯が増えていることもあり、最近はディスポーザー(生ごみの粉砕機)や食器洗い乾燥機が標準装備のマンションも多くなっています。
このように、マンションの間取りや設備にもトレンドがあるので、築年数が新しいマンションのほうが買い手のニーズを満たし、より高い価格で売却できます。
逆に、築年数が古いマンションは、間取りや設備が現在のトレンドと合わなくなり、思うような価格で売却できない可能性があります。
買い手に人気のある付帯設備がある
マンションは、設備の使い勝手がよいと人気も高くなります。具体的には、以下のような設備が人気です。
・24時間OKのゴミ置き場(フロア毎)
・宅配ボックス
・ディスポーザー
・食器洗い乾燥機
・浴室乾燥機
・カメラ付きインターホン
・ウォークインクローゼット(大型収納)
人気の設備があるマンションを売却する場合は、売り出し広告に記載することで買い手にアピールでき、早期の成約につながります。
上記に挙げた設備は、築10年までの築浅物件では設置されていることが多いため、買い手の人気が高くなります。
築年数が経過していても設備がプラスに
築年数が15年以上のマンションでも現在の生活スタイルにフィットしていれば、査定によい影響があります。
たとえば、宅配ボックスが新たに設置されていれば、売り出し広告でのアピールポイントになり、買い手の評価も高くなります。
また、マンション売却前に付帯設備表を作成しておくことも有効です。
付帯設備表とは、マンション売却時に残していくシンクやガスコンロ、洗面台などの設備について、故障や不具合の有無、修理・買い替えの履歴などを記載した表のことです。
付帯設備表を作成して売却前に買い手に説明しておくことで、安心感を与え、売却後のトラブルを防ぐことができます。
まとめ
実績がある不動産会社に依頼をして、マンション売却を成功させましょう!築10年、築12年、築25年、築30年など、築年数によってマンションの価格下落のターニングポイントが存在します。
そのタイミングでマンションを売却するには、なぜ価格下落のターニングポイントになるのかを理解し、しっかりとした準備をすることが大切です。
所有マンションの築年数を確認したうえで、まずは一括査定を行い、査定額がいくらになるか確認してみるのがおすすめです。
売却価格を検討する材料には、築年数の他に、立地や競合物件など複合的な要素が必要になるため、信頼できる不動産会社の存在が不可欠です。