コロナ禍であってもマンションの売却を検討する場合、できるだけ高値で売りたいと考えますよね。マンションを売却するときはタイミングが大切です。この記事ではコロナ禍におけるマンションの売却におけるポイントや売却の流れについて解説します。
コロナ禍でマンションの売却はどのような状況?
コロナ禍の不動産業界ではマンションの売却が多くなっていますが、どのような背景から売却に至ったのでしょうか?以下の観点から解説していきます。
- コロナ禍でマンションを売却するのはぜか
- 2022年はマンションの売り時だった
- 今後2023年のマンション売却事情はどうなる?
1つずつ見ていきましょう。
コロナ禍でマンションを売却するのはなぜか
マンションを売却する理由はもちろん個人で異なりますが、コロナの影響によるケースも存在します。人々の考え方にどのような変化が起きているのか、コロナが不動産業界に与えている影響とともに解説します。
コロナによる考えの変化
近年流行している新型コロナは、日々の生活だけでなく自宅に対する考え方にも変化を与えています。次のアンケートは2020年12月に「マンションの売却を検討している方」150名を対象に、新型コロナウイルスがマンション売却への気持ちに影響があったのかと、売却理由に影響を与えたのかについての調査結果です。
参照:コロナの影響で不動産の売買相場はどうなる?「売りたい人」「買いたい人」それぞれのアンケート調査結果発表
アンケートの結果を見てみると、コロナによって売却の意思が強くなった方は「売却したいという気持ちが強くなった」「今すぐ売却するために行動を始めた」を合わせて59人、逆に売却を控える気持ちになった方は「売却したいという気持ちが弱くなった」「売却を検討していたが一旦保留とした」を合わせて55人となっています。全体的に見ると、150人中114人になんらかの気持ちの変化を与えているとわかりますね。
売却理由に関してはほとんどの方にとって変化はなかったようですが、変化があった方の中で1番多かった理由にライフスタイルの変化が挙げられています。コロナ禍でリモートワークへ切り替えた方が多いため都心から離れるケースや、現状より快適な家を求めてマンションの売却を検討するなどさまざまなケースが考えられるでしょう。
コロナによる不動産業界への影響
コロナは不動産業界へ次のような影響を与えています。
- 地価の下落
- 住宅ローンの破産
国土交通省が発表した2021年の住宅地における全国平均の公示地価は5年ぶりに下落しました。新型コロナウイルスが取引の減少や雇用・賃金の体制に影響を与え、需要者の価格に対する慎重な態度へつながったためと考えられています。不動産会社への問い合わせも減少傾向にあり、来店数や内見数の減少も不動産会社へ影響を与えています。
現在はコロナの流行が始まった時期よりも大分日常を取り戻しつつありますが、いまだに経済的に困窮している方もいる中で住宅ローンの返済ができず破産した結果、自宅を売却せざるを得ないケースもあるでしょう。マンションや一軒家、賃貸へのニーズの変化から自宅の売却につながる場合もあり、コロナの影響は不動産業界にとってまだ無くなってはいないものとなっています。
2022年はマンションの売り時だった
2022年は中古マンションの価格が高騰し、住宅ローンの低金利も後押ししたため、マンションを売却しやすい年だったといえます。ここでは中古マンション価格が上昇した理由と、住宅ローンの低金利がマンションの売却につながる理由をお伝えしていきます。
中古マンションの価格は上昇した
下のグラフは最新の不動産価格指数で、国土交通省が発表している不動産価格の動向を指数化したものです。新築・中古を合わせたマンション全体の価格は右肩上がりとなっているとわかります。
さらに以下のグラフは2022年首都圏の中古マンション平方メートル単価の推移です。新型コロナウイルス感染症が流行していながらも、2022年は中古マンションの価格は右肩上がりに上昇しているとわかります。
参照: Market Watch月例速報 Market Watch サマリーレポート <2022 年 7 月度>
中古の価格が上昇した理由に新築マンションの価格高騰や供給、建設への制限があげられます。世界的なインフレによって建築資材が高騰しているため、新築マンションの価格はコロナ禍であっても跳ね上がっている状況です。
また、分譲マンションは1960年代から好条件の立地へ多数建てられていましたが、現在は新築が可能な立地に制限があります。新築マンションの建設が困難となっているため、好条件な立地に建てられている新築マンションの価格は高騰しています。新築マンションの価格高騰つり上げられるように、中古マンションの価格も上昇しているため、まさにマンションの売却に最適な時期といえるでしょう。
住宅ローンが低金利で買い手が多かった
2022年12月の変動金利は2.475%となっており、ここ30年で最低水準を維持しています。2022年全体を通しても住宅ローン金利は非常に低い金利を維持していたため、マンションの買い手は多い状況でした。
住宅ローン金利が低ければ、金利として支払う予定だった金額を購入代金に使用できるため、多くの方がローンを利用してマンションの購入を検討するようになります。逆をいえば低金利であるためにマンション需要の増大を利用して、所有するマンションを売却する方が増えるともいえますね。
一般的に金利が下がると不動産価格が上昇する傾向にあります。低金利が続いている現在の状況は、近年のマンション価格高騰の原因の1つに挙げられ、売却にも向いている時期といえるでしょう。
今後2023年のマンション売却事情はどうなる?
2022年は確実にマンションの売時であったといえますが、2023年はどうなるのでしょうか?今後のマンションの価格や変動金利の変化が見られるのかが重要なポイントになってきます。現段階で2023年は不動産価格の三極化が進むと考えられており、変動金利も変わる可能性が示されています。2023年のマンション売却事情がどのように変わっていくのかお伝えしていきしょう。
マンション価格の三極化が進むと考えられる
2023年は一部エリアの高騰が続く中で次のように不動産価格が三極化していくと考えられています。
- 価格の維持から上昇するエリア
- 価格がゆっくり下降していくエリア
- 価格が限りなく無価値もしくはマイナスになるエリア
都心や駅前、利便性の高い立地のような好条件に当てはまる地域は上昇エリアとなり、価格の高騰が見込まれるといえます。そのほかのエリアは下降していくエリアとされており、なかでも利便性が悪い地域や地方などは、価値があるとはいえない地域に分類されていくのではないかと予想されています。
もし首都圏にマンションを所有しているのならば、売却するのに適した時期といえますが、ほかの地域はまったく高値で売れないとも限りません。子育て世代に優しい地域や、人気の学区であれば売却価格が上がる可能性もあるでしょう。売却しようと思った場合は、近隣の相場を調べるとどのくらいで売却できるかの目安につながります。
変動金利が変わる可能性が示されている
変動金利が変わる可能性が示唆されている理由は、2024年4月で日本銀行の黒田総裁の任期満了が要因とされています。新しく総裁になった人物の政策転換によって、これまで貫いてきた金融緩和政策が変わり、引き締められるかもしれません。もし金融が引き締められて金利が上昇すれば住宅ローンの返済率は必然的に下がるため、住宅の購買意欲が下がる方が多くなるでしょう。
2024年4月以降にマンションを売却しようと考えている場合、現段階ではどのような状況になるかはっきりと想定できません。しかしマンションの売却を検討するなら、低金利で住宅ローンへのハードルが低い今のほうがおすすめであるといえるでしょう。
コロナ禍でもマンションを売却するべきか?売り時のポイント
コロナ禍であってもマンションの需要は伸びているとお伝えしてきました。不動産価値が上がっているからといってむやみに売り出そうとしても、税金面で損をしてしまったり、思うように高く売却できなかったりとうまくいきません。マンションの売却を検討するときは以下のポイントに気をつけて行動しましょう。
- 築年数
- 保有期間
- 大規模修繕
- 季節
- 住宅ローン金利の推移
ポイントを押さえれば、より高値での売却へつながります。
築年数
マンションの売却を検討する際に築年数は非常に重要で、築年数が長くなるほど売却価格は下がってしまいます。売却を検討するときは築10年や築20年などの境目を超えないようにしましょう。購入希望者がネットで物件を探す際に、築10年以内や築20年以内といった検索項目で検索した場合にヒットしやすくなります。
マンションは築10年前後の物件がよく売れていて、価格の相場は20~30%程度下がります。購入側からすると設備や内装の劣化の少なさや、販売価格が安くなるため人気が高くなっています。売却する側にとっては築15年を境に管理費や修繕費の値上げがあり、所有コストが上がるため、マンションの売却を検討する方が多くなるようです。
保有期間
マンションの保有期間も1つの売却時期を検討するポイントで、5年を超えるかどうかに注意しましょう。もし投資用マンションやセカンドハウス、親の所有するマンションを売却する際に、購入時よりも高く売却できたケースでは譲渡所得税・住民税がかかるので注意しなければなりません。
マンション売却年の1月1日時点で保有期間5年以下の場合、譲渡所得税・住民税の税率は約39%かかりますが、5年超だと約20%です。売却時期を伸ばすべきかは早く売却した方が利益が出るケースもあるため、タイミングは不動産会社とよく相談しましょう。
大規模修繕
マンションは定期的に大規模修繕が行われますが、売却に適しているのは大規模修繕後のタイミングです。外壁の塗装や洗浄が行われているので見た目が良く、今後大きな工事がないため安心感につながります。ただし大規模修繕後に修繕積立金の増額があるケースでは、購入者にとって月々の費用面でマイナスのイメージにつながってしまうので注意しましょう。
また、大規模修繕工事中のマンション売却はおすすめしません。大きな音がしたり外観や外の景色が見られなかったりして、印象が悪くなってしまうケースが多々あります。売却時期をずらすか、大規模修繕と重なってしまった場合は窓からの景色が写っている写真を用意する、工事のしていない時間に内見するといった工夫をしましょう。
季節
マンションの売却に適した季節は2〜3月と9〜11月といった年度末や秋口で、反対に売却に向かない時期はゴールデンウィークといった大型連休や夏場です。年度末は進学や転勤、秋から冬にかけては年末までの入居希望者によってマンション購入の需要が高まります。物件情報のアピール力は新着で人目に出たときが最も高くなるので、需要が高いときの売却を狙いましょう。
また、マンション売却の開始から制約まで3~6か月程度かかってしまうため、売却を予定する時期が決まっているならば余裕を持って行動する必要があります。
住宅ローン金利の推移
マンションの売却は住宅ローン金利の推移を考えなければなりません。低金利であれば住宅ローンの利用がしやすくなり、マンション購入への需要が高まるため、マンションの売り時へつながります。
2022年12月現在は低金利が続いているため、マンションの売却に向いている時期といえるでしょう。ただし低金利政策がこの先ずっと継続していくかはわからないため、今後の金利政策の動向に注意しながら、マンションの売却時期を検討する必要があります。
コロナ禍でもマンションの売り時を逃さないコツ
コロナ禍であってもマンションの需要は年々高まっています。マンションの売却を検討する場合はマンションの状態や、売却を検討する方のライフイベントなどを含めた売却時期を逃がしてはいけません。マンションの売り時を最適なタイミングにするには不動産会社に早めに相談して、売却方法は買取を選択しましょう。
不動産会社に早めに相談する
マンションの売却成立までは想像しているより時間がかかるケースが多く、売却を検討し始めたら不動産会社へ早めに相談しましょう。早期に不動産会社と連絡を取れば、マンションの売り時に関する相談ができ、売却活動の短縮につながります。
しかし、不動産会社を選ぶにしてもたくさんあってどのように決めたらいいのか迷う方もいるでしょう。不動産会社はマンション売却への知識の豊富さや売却時期の見極め、手続きをスムーズに行ってくれるところを選ぶ必要があります。1社だけでなく、複数の不動産会社を見比べて優秀な不動産会社を選ばなければなりません。イエウールを活用すると複数社に一括で査定の申し込みができるので、不動産会社を探す時間が短縮できます。
早く売りたいなら買取を選ぶ
マンションを早く売却するには買取を選びましょう。買取とは不動産会社・買取業者が、売りたい物件を直接買い取るため、買主を探したり内覧を行ったりする期間が減り、早く売却が可能となります。
仲介による売却の場合は、売り出してから購入者が決まるまで契約が締結されないため、希望者がなかなか現れないケースでは成約までの期間が読めません。仲介業者を交わすと平均3~6か月かかるところが、買取の場合は自分の売りたいタイミングを逃さず確実に売却でき、期間もマンション売却まで1~3か月とかなり短縮されます。
注意点として買取の場合は相場が7~8割と下がってしまいますが、マンションの現金化や引っ越しを急ぐ方には向いている方法です。