タワマンと聞くと眺望の良さや共有施設の充実さから高級で高く売却できるイメージをお持ちの方もいるでしょう。
しかしタワマンの歴史は浅く売却の前例も少ないため売却の難易度が不明確です。タワマンは通常のマンション売却とは違った特性を持つため売却が難しいと言われています。
この記事ではタワマンの売却時に注意しておきたい問題点やタイミングや高く売却する方法など売却のコツについて解説しました。
タワマンは高く売却できるとは限らない
タワマンの定義は明確に決められているわけではありませんが、一般的には20階以上の超高層マンションのことをタワマンと呼ぶようです。
タワマンと聞くと眺めのよい部屋・充実した設備の中で生活できるなどよいイメージがあり人気のあるマンションというイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
しかしタワマンは近年にできたばかりで今後どのような問題が発生するか分からず今後高く売却できるか不明です。まずは現時点で予想されているタワマンの問題点について解説します。
大規模修繕
マンションの周りに足場を設置して外壁の補修や給排水工事など大掛かりに行われる工事のことを大規模修繕工事と呼びます。この大規模修繕工事は12年周期で行われることが一般的です。
タワマンはまだ築浅のマンションが多く、大規模修繕工事の前例が少ないです。タワマンではマンションの周りに足場を設置することが難しく、修繕にかかる費用が高額になると予想されます。大規模修繕工事は修繕積立金で行われますが、その積立金が足りない場合は修繕工事を行えない場合もあります。
このようにタワマンの大規模修繕工事の前例が少ないこと、高額な費用が必要な可能性があることから大規模修繕ができない問題を抱えているのです。修繕ができないと老朽化が進むため購入希望者も少なくなると予想されます。
居住者のタイプ
タワマンは高層階と低層階では販売価格が異なるため、高層階と低層階では住民の層が違うことがほとんどです。
さらに通常のマンションと違い、タワマンを購入する人の目的は居住用だけとは限りません。投資用・相続税対策にマンションを購入している方もいます。投資用にタワマンを購入する方には外国人の方も多いため大規模修繕などに関わる意見の統一が難しいこともあります。
不動産市場
マンションの売却で大切なのは不動産市場の動向です。タワマンを売却するタイミングで不動産市場が不況であると高値での売却が難しくなります。
今後の不動産市場がどうなるかは誰にも分かりません。今後もタワマンが高く売買される保証はないため売却するタイミングは慎重に決めるとよいでしょう。
タワマンの売却に適したタイミング
タワマンを高く売却するならば、売却するタイミングにも注意しましょう。築年数・税金・控除・不動産市場の観点からおすすめの売却タイミングを解説します。
築年数
マンションは築年数が浅い物件ほど高く売却できます。下記の表は築年数とマンションの売却価格の関係をまとめたものです。
▼中古マンション成約状況(万円、㎡)
築年数 | 価格 | 面積 | ㎡単価 |
---|---|---|---|
築0~5年 | 5,883 | 66.73 | 88.16 |
築6~10年 | 5,071 | 67.37 | 75.28 |
築11~15年 | 4,484 | 71.34 | 62.86 |
築16~20年 | 4,174 | 72.65 | 57.46 |
築21~25年 | 3,202 | 68.22 | 46.93 |
築26~30年 | 1,884 | 60.58 | 31.09 |
築31年~ | 1,904 | 57.14 | 33.33 |
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)|東日本不動産流通機構
表から分かるように築0年~5年のマンションが1番高い売却価格になっています。築5年以内のマンションは部屋や設備の劣化がさほどないことから新築と変わらない値段で取り引きされることもあり、高く売却することができます。
将来タワマンを売却しようと計画しているのであれば築浅のうちに売却することがおすすめです。
税金
不動産の譲渡によって譲渡所得が発生した場合、譲渡所得税という税金を支払います。この譲渡所得税は所有期間によって税率が変わる仕組みになっています。
短期譲渡所得(5年以下) | 長期譲渡所得(5年超) | |
---|---|---|
所得税 | 30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
合計 | 39.63% | 20.315% |
不動産を売却した年の1月1日時点において譲渡する不動産の所有期間が5年以下である場合には「短期譲渡所得」、所有期間が5年超の場合は「長期譲渡所得」の税率が適用されます。
短期譲渡所得と長期譲渡所得では税率に大きな差があります。支払う税金を少しでも抑えたい場合は長期譲渡所得の適用になる所有5年を超えてから売却するとよいでしょう。
所有期間はマンションを購入した日から5年ではなく、不動産を売却した年の1月1日時点で5年を超えていなければならないため売却するタイミングに注意しましょう。
控除
譲渡所得税の税金対策として使える控除にマイホームを売ったときの軽減税率の特例というものがあります。
この特例は、マンションを売却した年の1月1日時点で売却したマイホームの所有期間が10年以上であれば、譲渡所得を軽減された税率で計算することができるというものです。
譲渡所得が6000万円までの部分 | 譲渡所得が6000万円を超える部分 | |
---|---|---|
所得税 | 10.21% | 15.315% |
住民税 | 4% | 5% |
合計 | 14.21% | 20.315% |
譲渡所得が6000万円以下の部分に関しては譲渡所得の税率より6.105%も低い税率で譲渡所得税を計算することができます。この特例を使用するならば所有期間10年を目安に売却できるように計画するようにしましょう。
不動産市場
マンションの売却をする際に必ず確認しておきたいのが不動産市場です。マンションが高く売却できるタイミングであるか確認して売却しましょう。
国土交通省が毎月発表している不動産価格の動向を指数化した不動産価格指数のグラフです。
マンションの売却相場は2013年から右肩上がりになっていることが分かります。今後も売却相場が上昇するとは言えませんが、現在が最も高く売却できる年であることは間違いありません。
不動産市場だけでなく自分のタワマンが高く売却できるのか査定をして確かめてみましょう。
下記の査定シミュレーションを使うことで自分の家がいくらで売れそうか簡単に調べることができます。
まずマンションを選択します。その後マンション名、専有面積、間取り、階数、方角の項目を埋めてから「想定価格をみる」ボタンを押してみましょう。ボタンを押すと○○万円~○○万円と、幅のある売却想定価格が自動で算出されます。
しかし、査定価格はマンションの個別情報や最新の不動産市場によって決まるため、この査定シミュレーションで分かる売却想定価格はおおよそのものであり精度が低いといえます。
マンションがいくらで売れるのか正確に知るためにも不動産会社に査定を依頼してみましょう。
査定を依頼する際は、ネットでいつでも簡単に査定依頼ができるイエウールの利用がおすすめ。一度の申し込みで複数社に査定を依頼でき、完全無料でサービスを利用できるのでまずは家の価格を知ってから売却を検討したいという方も安心して利用できます。
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タワマンを高く売却する方法
タワマンを高く売却するには工夫が必要です。ここからはタワマンを高く売却する方法を解説します。
販売元の不動産会社に仲介を依頼する
タワマンを新築で購入したときの販売元の不動産会社に仲介を依頼することがおすすめです。販売元の不動産会社であればマンションの特徴やアピールポイントになる設備を熟知しているため買主を見つけやすくなるでしょう。
タワマンは設備や立地、サービスが異なります。タワマンのことをよく理解した不動産会社に仲介を依頼することが重要です。
タワマンの売却が得意な不動産会社を探す
不動産会社によって得意な物件の種類は異なります。タワマンを売却するならばタワマンの売却を専門としている、もしくは得意な不動産会社を探して仲介を依頼するとよいでしょう。
マンションの種類や売主の事情により売却戦略は変わってきます。タワマンの売却実績が多い不動産会社であれば培ってきた売却ノウハウを活かしてスムーズに売却することができるでしょう。さらにタワマンを中心に扱っている不動産会社にはタワマンの購入希望者が多く集まります。買主を見つけて早く売却を完了するためにもタワマンの売却実績が多い不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。
所有しているタワマンに応じて媒介契約の種類を選択する
不動産会社に仲介を依頼する際に結ぶ媒介契約には「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
それぞれの媒介契約には以下のような違いがあります。
専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数業者との契約 | × | × | 〇 |
他社への通知義務 | × | × | ○ ※明示型の場合 |
自己発見取引 | ○ | × | 〇 |
契約の有効期間 | 3か月以内 | 3か月以内 | 指定なし |
指定流通機構への登録 | 7日以内に登録 | 5日以内に登録 | 任意 |
業務状況の報告義務 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 | 任意 |
築浅・立地が良いなど人気のマンションの特徴を持つタワマンは一般媒介契約をおすすめします。複数の不動産会社と媒介契約を結べるため多くの購入希望者にマンションが売りに出ていることを知ってもらう機会を作ることができます。
反対に昔からあるタワマンや駅から遠い距離にあるマンションは専任媒介契約がおすすめです。複数業者との契約ができない専任媒介契約では他の不動産会社で売買契約が決まることがないため契約を結んだ不動産会社は物件を売却するために積極的に販売活動を行ってもらえるのです。
このように自分の所有しているマンションにあった媒介契約を選択するようにしましょう。
高く売却できるタワマンの特徴
高く売れるタワマンには共通した特徴があります。どのようなマンションが高く売却できるのか確認してみましょう。
駅近・駅直結
マンションは駅近であればあるほど高く売却することができます。
都心にあるタワマンは駅から近いものが多いため高く売却できることが多いでしょう。中でも駅直結のマンションは希少価値が高いためさらに高く売却することができます。
タワマンは規模が大きいため広い土地が必要です。そのため駅から離れた土地にあるタワマンもありますが、駅からの距離以外にもアピールポイントがあれば高く売却することができるでしょう。
周辺環境が充実している
マンションの周辺に生活に便利な施設がそろっていると高く売却することができるでしょう。スーパーやコンビニエンスストア・病院が近くにあるとアピールポイントになるため高く売却することができます。
また、現在はアピールポイントとなる施設がなくても今後再開発されるという情報でも売却価格を高くすることができます。
高層階・南向き・角部屋
同じタワマンでも高層階にある部屋は高く売却することができます。高層階の中でも南向き・角部屋は特に高く売れる部屋です。
高層階の部屋であると日当たりが良い、バルコニーからの眺めがよいなど高層階特有のメリットがあります。南向きのマンションは日当たりが特によいため人気となっています。
角部屋は隣人の騒音が聞こえにくいという理由で人気があります。高層の建物は軽い作りにする必要があるため壁や床が薄く作られているタワマンもあります。隣人の生活音が聞こえにくい間取りにするなど配慮はされていますが完全に隣人の生活音が聞こえない生活をすることは難しいでしょう。角部屋は中部屋と比べて他の部屋と接している面積が半分のため他人の生活音も聞こえにくのです。
ここまでタワマンの売却について解説しました。タワマンは通常のマンションと性質が異なり売却が難しいとされています。タワマンの売却を滞りなく行うためにはタワマンの売却が得意な不動産会社を探して契約することが重要です。