「新築マンションを購入したけどすぐに売却しなければならない事情ができてしまった」という方は実は意外と多いです。
新築マンションを売却する際は、住宅ローンの返済や住み替え先の購入費用のことを考えて、できるだけ高く売却したいですよね。
この記事では新築マンションを売却するベストタイミングや高く売る方法について解説しました。
新築マンションの売却相場の推移
新築マンションを高く売却するためにも、現在のマンションがどのくらいの価格で売却されているのか把握しましょう。
この章ではマンション売却相場の推移や築年数別の売却相場について解説します。
マンションの売却価格は値上がり中
国土交通省が毎月発表している不動産価格指数を見ると、マンションの価格は2013年から現在までずっと上昇しています。
新築マンションの価格が高くなっていることに伴って中古マンションの売却価格も上昇していると言われています。
今後もマンションの価格が上昇するかは不明ですが、2022年現在がマンションが最も高値で売れる年と言えるのは確かです。
築年数別のマンション売却相場
築年数はマンションの価格を決める重要な要素です。まずは築年数によって売却価格がどのように異なるのか確認してみましょう。
築0年~築5年 | 築6年~築10年 | 築11年~築15年 | |
---|---|---|---|
㎡単価(万円) | 95.9 | 85.8 | 72.7 |
価格(万円) | 6,181 | 5,758 | 5,032 |
専有面積(㎡) | 64.5 | 67.1 | 69.2 |
こちらはレインズが公表した首都圏の中古マンションの築年帯別成約状況です。
表を見てみると、築0年~築5年の中古マンションが最も高く売却できていることが分かります。そのまま築年数が経つにつれて売却価格は段々下がっていき、築10年を過ぎると新築マンションと比べて約1000万円も売却価格が下がっています。
新築マンションを損せずに高く売却するためには、築浅のうちに売却することが重要です。
神奈川県横浜市の新築マンション売出事例
不動産種別 | マンション |
売出価格 | 8480万円 |
エリア | 神奈川県横浜市 |
築年 | 2023年 |
駅徒歩 | 山手駅 13分 |
専有面積 | 90.06 |
千葉県千葉市の築5年のマンション売出事例
不動産種別 | マンション |
売出価格 | 6580万円 |
エリア | 千葉県千葉市 |
築年 | 2018年 |
駅徒歩 | 海浜幕張駅 15分 |
専有面積 | 86.43 |
千葉県船橋市の築10年のマンション売出事例
不動産種別 | マンション |
売出価格 | 5380万円 |
エリア | 千葉県船橋市 |
築年 | 2013年 |
駅徒歩 | 新船橋駅 1分 |
専有面積 | 75.88 |
大阪府三島郡の築15年のマンション売出事例
不動産種別 | マンション |
売出価格 | 4780万円 |
エリア | 大阪府三島郡 |
築年 | 2008年 |
駅徒歩 | 水無瀬駅 6分 |
専有面積 | 95.64 |
自分でマンション売却相場を調べる方法
新築マンションを高く売れる適切なタイミングで売却するためにも、常に最新の売却相場を把握しておきましょう。
自分でマンションの売却相場を調べるには、「不動産取引価格情報検索」を利用します。不動産取引価格情報検索とは、国土交通省が運営しており、買主にアンケート調査を行った結果がまとめられています。実際の売却価格に近い価格が分かるので、売却相場を調べる際に参考にしやすいのです。
不動産取引価格情報検索にアクセスして、左上にある条件を設定する部分に、調べたい時期・中古マンション・地域を入力して検索しましょう。
検索結果の中から、築年数・駅からの距離・広さといった条件が近いマンションの売却価格の平均が売却相場となります。
また、過去の実績をもとに判断したい方はイエウールの価格相場シミュレーションも参考にしてみてください。過去のデータをもとに、ご自身が居住するマンションの売却価格を見積もることが可能です。
新築マンションの売却に適したタイミング
新築マンションは購入後すぐに売却すると損をすることがあります。では少しでも損をせずに売却できるタイミングはいつでしょうか?
この章では、新築マンションの売却に適したタイミングを築年数と税金の観点から解説します。
築年数の観点から見たベストタイミング
築年数の観点から見た新築マンション売却のベストタイミングは、築5年以内です。
中古マンションは築年数が経過すると売却価格が低くなってしまいます。よって高く売却するためには築浅のうちに売却することが重要なのです。
そもそも新築の定義とは、新たに建設された住宅で、竣工から1年未満でありまだ誰も住んだことのないものと住宅品質確保法第二条第2項に定められています。
新築マンションとして売りに出す場合は、「新築プレミアム」の価値が付いたまま売却することができるので、購入時と同じくらいの価格、もしくは購入時以上の価格で売却することができます。
1日でも入居して中古マンションとして売りに出すことになると、どんなに築浅のマンションでも価値が下がってしまうのです。
しかし近年のマンション売却相場の上昇により、築年数の浅い中古マンションは新築とさほど変わらない値段で取り引きされているケースも多く見受けられます。
特に築5年未満のマンションでは部屋や設備もまだ新しく、買主からすると新築に近いイメージを持たれることが多いです。
以上のことから、少しでも高く売却するなら築5年以内がベストタイミングだと言えるでしょう。
税金の観点から見たベストタイミング
税金の観点から見た新築マンションの売却ベストタイミングは、マンションの所有期間が5年を過ぎてからでしょう。購入してすぐ新築マンションを売却する場合は税金に関して損をしてしまうからです。
入居前の新築マンションを売却した場合、譲渡所得が発生することがあります。
譲渡所得とは、不動産を売却して得た利益(売却益)のことを言います。この譲渡所得は不動産の売却価格から取得費(不動産を取得した際にかかった費用)と譲渡費用(不動産を売却した際にかかった費用)を差し引いて計算されます。
新築マンションを売却して売却益が生じた場合、所得税と住民税を支払うことになり、これらはまとめて譲渡所得税と呼ばれています。
譲渡所得税は家の所有期間によって税率が変わり、売却したマンションの所有期間が売却した年の1月1日時点で5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年超の場合は「長期譲渡所得」となりそれぞれの税率で課税されます。
短期譲渡所得(5年以下) | 長期譲渡所得(5年超) | |
---|---|---|
所得税 | 30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
合計 | 39.63% | 20.315% |
購入してすぐの新築マンションを売却する場合、短期譲渡所得の適用期間となり、税金の負担が大きくなってしまいます。
よって税金で損をしないためには所有期間5年超で売却することがおすすめです。
譲渡所得税は売却活動中に支払うのではなく、売却した翌年の確定申告で譲渡所得を申告して納付します。
譲渡所得があるにも関わらず申告をしなかった場合、譲渡所得税の納税を忘れてしまった場合は、無申告加算税や延滞税を納めることになり、さらに納税額が高くなるので注意しましょう。
買った時よりも高く売れる新築マンションの特徴
マンションを購入した後にマンションの価値が上がった場合、購入時より高く売却できることもあります。
どのようなときに購入時より高く売却できるのでしょうか。
話題になった街にある
テレビ番組や新聞、雑誌、インターネットなどで「住みたい街」に選ばれるなど注目されている街にあるマンションは高く売れる傾向にあります。
住んでいる街が話題になると、その街に興味を持つ人が増えるため少し高めの価格でも購入したいという買主が増えるのです。
街だけでなく話題になった駅の近くにマンションがある場合も高値で取り引きされることもあります。
再開発された・される予定のある地域にある
再開発された地域は一帯の価値が高くなります。マンションの近くに駅や病院、有名学校などがあるとマンションの需要が高くなり売却価格も高くなります。まだ再開発されていない地域でも。近くに大型ショッピングセンターが建設されるといった再開発の情報があれば多少強気の価格でも家を売ることができるでしょう。
高級マンションが建設された地域にある
マンションの周辺に高級マンションが建築されるとその地域のイメージが良くなるため注目が集まるようになり、新築マンションだけでなく中古マンションの購入を検討している人も増えるでしょう。
このように自分のマンション自体の価値が上がらなくても周囲のマンション次第では高く売却することができるのです。
新築マンションを高く売却するコツ
新築マンションを売却する際は、住宅ローンの完済や、住み替え先での費用など多くのことを考えながら家の売却をしなければなりません。
ここからは新築マンションを高く売るためのコツを解説します。
できるだけ早く売る
繰り返しにはなりますが、築年数が浅いマンションほど高く売却することができます。
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)|東日本不動産流通機構
グラフを見てみると、築年数が浅いマンションほど高い売却価格であることが分かります。
少しでも高く売却したいと考えているならば築年数が経過する前にすぐ売却することが大切だと言えるでしょう。
複数の不動産会社に査定をしてもらう
マンションを売却する際は不動産会社に査定を依頼していくらで売れそうか価格を出してもらいます。その査定を行う際には複数の不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。
不動産会社の査定には明確なルールがないため、不動産会社によって査定結果が異なります。
つまり、1社の査定結果を見ただけでは、その査定結果が正しいのか判断することはできず、安く売却してしまう可能性があります。また、査定結果が1つだけではマンションの売却相場を把握することもできません。
不動産会社の査定価格が正しいのか、マンションの売却相場を知るためにも3社以上の不動産会社に査定依頼をするとよいでしょう。
複数の不動産会社に査定を依頼する際は不動産一括査定サイトのイエウールの利用がおすすめです。簡単な必要事項を入力するだけで24時間いつでも無料で査定依頼をすることができます。
あなたの不動産、
売ったら
マンションの売却が得意な不動産会社と媒介契約を結ぶ
数多くある不動産会社の中でも、「売却業」「賃貸業」「管理業」など専門にしている業務が違います。マンションを売却する際は「売却業」を専門にしている不動産会社を探して媒介契約を結ぶようにしましょう。
売却専門の不動産会社のほうが売却実績が多く、ノウハウや専門知識があるためよりスムーズに売却業務を行えます。
また、マンションの売却が得意であるかも確認しましょう。同じ売却業を専門としている不動産会社でも「一戸建てを売るのが得意」というように得意な物件があります。マンション売却が得意な不動産会社であれば、売却ノウハウが蓄積されており、高く売却するためのアドバイスをもらうことができるでしょう。
不動産会社の専門領域や得意な物件を確認するには、不動産会社のホームページを確認するか、担当者に直接質問してみるとよいでしょう。
売り出し価格を高く設定しておく
少しでも高く売却したい場合は、マンションの査定価格より少し高めに売り出し価格を設定するとよいでしょう。
査定価格は不動産会社が算出する「うちの会社ならこのくらいで売却できそうです」という価格のことです。あくまで売却できそうな目安の価格のため、査定価格以上の売り出し価格を設定しても売れる可能性は十分にあります。
また、買主候補が見つかった際に値下げを交渉されることもあります。初めから売却希望額で売りに出すと値下げ対応をした際に売却希望額より低い価格で売却することになってしまいます。
新築マンションの売却額で住宅ローンの返済をしたり、住み替え先の購入費用にあてたいと考えている方は、手元に残したい価格を考えて売り出し価格を設定するとよいでしょう。
しかし売り出し価格を高く設定しすぎると買主が見つからずマンションが売れ残ってしまうこともあるので、売り出し価格を設定するときは不動産会社に相談してみるのもよいでしょう。
2月・3月に売る
1年を通していつマンションを売っても問題ないというわけではありません。新築マンションの売却に適しているのは新生活が始まる前の2~3月です。
新生活が始まる4月までに住み替えを完了させるために転勤や子どもの進学に合わせて引っ越しをする人が多いことから特に3月は成約件数が増えると言われています。
反対に1月と8月は不動産の取引があまり行われずマンションが売れない時期と言われています。
マンション売却を成功させるためにもマンションの売買が活発な2月と3月に合わせてマンションを売りに出せるように計画しておきましょう。
余裕のある売却計画を立てる
マンションを高く売却したいなら、余裕のある売却計画を立てることも大切です。
高く売りたいのであれば、値引き交渉をじっくりと行い値引き率を抑えたり、高値でも購入したいという買主が現れるまで探す必要があります。
売却期間を十分に確保していないと、売却価格を下げて買主を探すことになります。
高値での売却にこだわりたい方は余裕をもって半年程度を見込んで売却計画を立てておくと安心です。
新築マンションの売却では税金対策と住宅ローン残債に注意
新築マンションの売却で忘れてはならないのが税金対策と住宅ローンです。
売却利益にかかる譲渡所得税は確定申告時に3000万円の特別控除を利用することで税金対策をすることができます。
また、購入時に借り入れした住宅ローンを完済しなければマンションを売却することはできません。
それぞれ詳しく解説します。
3000万円の特別控除とは
住んでいるマンションを売却する際に譲渡所得から3000万円まで控除できる特例のことを、「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」と言います。
この控除を使うことで売却益が3000万円以下であれば譲渡所得税の課税対象ではなくなるため、税金対策ができるということです。
この3000万円の特別控除を受けるための適用条件には以下のようなものがあります。
- 自分が住んでいたマイホームを売却する
- 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係でないこと
- 3000万円の特別控除を受けることだけを目的として入居したマイホームでないこと
- 生活の拠点となっている建物であること
3000万円の特別控除を受けるためには多くの適用条件を満たす必要があります。
詳しい適用条件は国税庁のタックスアンサーNo.3302「マイホームを売ったときの特例」にてご確認ください。
3000万円の特別控除は住宅ローン控除と併用できない
上記で解説した3000万円特別控除の特例と住宅ローン控除は併用することができません。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームの購入やリフォームした際に一定期間所得税から控除を受けることができる制度のことを言います。
どちらの控除も節税に使える控除ですが、適した控除を使えなかった場合は損をしてしまいます。
もし購入してすぐのマンションを売り、新しい家を購入する際は住宅ローン控除と3000万円控除のどちらを使用したほうが損をせずに売買できるかあらかじめシミュレーションして使用しましょう。
自分でどの控除を使用することが適しているか判断できない場合は不動産会社に相談するとよいでしょう。
3000万円の特別控除を受けることができないケース
2年以内に以前住んでいた家を売った際に税金対策に使える特例を使用していた場合は、新築マンションを売却する際に控除を受けることができない場合があります。
マイホームを売却した際に売却益から3000万円控除できる特例は、前年及び前々年にこの特例を受けていないことが適用条件として挙げられています。
そのため以前住んでいたマイホームを前々年以降に売却していて、3000万円控除の特例を使用していた場合は、新築マンションを売却する際に同じ3000万円控除の特例を使用することができません。
売却益によってはかなり高額な譲渡所得税を支払うことになります。もし近年中にマイホームを売却した人は注意しましょう。
新築マンションを購入する際に住宅ローンを利用した人がほとんどでしょう。住宅ローン返済中の場合はローンを完済していなければ家を売ることはできません。
ここからはマンションを売却する際の住宅ローンについて解説します。
住宅ローンを完済しなければマンション売却できない
住宅ローン残債があってもマンションの売却活動を進めることは可能ですが、売買契約が完了して新しい買主にマンションを引き渡すときには住宅ローンを完済し抵当権の抹消手続きをしている必要があります。
抵当権とは住宅ローンの債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合に住宅ローンの融資元である金融機関によって行使される権利のことです。万が一、住宅ローンの返済が滞っても抵当権を設定していれば金融機関が家を差し押さえて競売にかけることができ、住宅ローンの返済に充当できるということです。
抵当権は債務者に設定されるのではなく、マンションに設定されるため、抵当権を抹消せずに売却してマンションを差し押さえられることになった場合、新しい買主が家を失ってしまうことになります。
このようなトラブルのもとになるため不動産会社も抵当権のある家は売却しません。
住宅ローンを完済する方法
手元にある資金でローンを完済することが難しいとしても、マンションを売った売却額で返済することができれば問題ありません。
家の売却額がローンの残債額を上回ることをアンダーローンと言います。この場合、家の売却額でローンを完済できるため問題なく家を売却することができます。
ローンを返済するタイミングは家の引き渡しの日です。買主から振り込まれた家の売買代金からローン残債が引き落とされることで完済できます。
家の売却額がローンの残債額を下回ることをオーバーローンと言います。オーバーローンの場合、家の売却額だけではローンを完済できないため自己資金(個人での貯蓄や扶養家族の収入など)から足りない部分を返済することになります。
住宅ローンを完済しなければ家を売ることはできません。家の売却額から足りない部分を自己資金を使って返済できるのなら、自己資金を使って完済することをおすすめします。
オーバーローンになった時の対処法
家の売却額と自己資金を使っても完済できないケースもあります。新居の購入を考えている方は住み替えローンを利用するという方法もあります。
新しい家を購入する際に、古い家の売却益や自己資金で払いきることができなかった住宅ローン残債(担保割れ)を、新しい家の住宅ローンに合算できるのが住み替えローンです。
住み替えローンを利用する際、金融機関による審査が行われるほか新居を購入しなければならないなどの制約はありますが、それ以上に古い家で払いきれなかったローン残債を新しい住宅ローンに合算できる点が、債務者にとって最大のメリットです。
ローンの支払いを一元化することができれば、それだけ返済計画も立てやすくなりますね。
もしも家を売るだけではなく新居の購入や住み替えを考えているのであれば、住み替えローンの利用も検討してみるのがおすすめです。
住宅ローンの返済について解説しました。自己資金でローンを返済できない場合は住み替えローンを使用するという方法もありますが、住み替えローンは金利が高く審査も厳しいため、自己資金もしくは家の売却額でローンを完済する方法をおすすめします。
ここまで新築マンションの売却について解説してきました。
1日でも入居してしまうと中古マンションとしての売却になり購入時と同じくらいの価格で売ることは難しいですが、築5年未満のマンションでは、新築マンションと同じくらいの価格帯で取り引きされるケースもあります。
新築マンションを高く売却するためには、築年数が浅いうちに売却することがポイントです。まずは不動産会社に査定を依頼して売却活動を始めてみましょう。