専有部分とは?マンションの共有部分との違いや気をつけることを解説

専有部分とは?マンションの共有部分との違いや気をつけることを解説

マンションを売買する際や、賃貸契約をする際に、契約書や重要事項説明書に「専用部分」という言葉が出てきます。

専有部分とは何か正しく答えられる方は予意外と少ないかもしれません。

この記事では今さら聞けない「専有部分とは」についての詳しく説明していきます。

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専有部分と共用部分とは

マンションを売買する際や、賃貸契約をする際に、契約書や重要事項説明書に「専用部分」という言葉が出てきて何だろうと調べている方はあなただけではありません。

実は、マンションには専有部分と共用部分があることをご存知ですか?

建物の区分所有等に関する法律では、専有部分なのか、共有部分なのかは、自分に所有権があるかどうかで区分されています。

まずは、それぞれの言葉の定義から確認していきましょう。

専有部分とは、区分所有権の目的に当たる建物の部分を指します。

簡単に言うと、マンションの中で自分だけが使える居住スペース内を指します。
この部分は、その住戸の所有者または賃借人が私的に使用する権利があり、他の住人や管理組合から勝手に侵入されることはありません。

共用部分とは、専有部分以外の建物の部分を指します。

要するに、マンションの住戸以外の部分で、住人全員が共同で使用する場所を指します。
これには、廊下、階段、エレベーター、ロビー、屋上、庭園、駐車場、ゴミ置き場などが含まれます。

参照:「e-Gov法令検索」建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)

共用部分の管理と維持は、マンションの管理組合が行います。管理組合は、住人から徴収した管理費や修繕積立金を用いて、共用部分の清掃、修繕、保守などを行います。

共用部分か専用部分かは具体的にどのように区分されるのか、見分け方や具体的な例を見ていきましょう。

区分所有法と標準管理規約により区分されている

マンションの各部屋には、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)により、区分所有権が設定されています。

区分所有権とは、マンションの中で区分された部分に所有権を設定するというものです。

マンション標準管理規約によっても、専有部分の範囲がきめられています。区分所有法や標準管理規約によると、自分が購入したマンションの部屋は専有部分となり、個別の所有権が与えられるのです。
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専有部分の見分け方

専有部分は、コンクリートの内側である居住スペースです。

ほとんどのマンションが、天井、床、壁などの形がコンクリートで作られていますが、これらの内側の部分であれば、専有部分となります。

専有部分はマンションを購入した居住者の所有物になるので、クロスを変えたり、インテリアを変えたりするなど、専有部分のリフォームや模様替えは自由です。

しかし、専有部分と共用部分を完ぺきに見分けることは意外と難しく、専有部分だと思っている場所が共用部分だったということは多々あります。

専有部分だと勘違いをして、共用部分を勝手にリフォームしてしまうと、後でトラブルになる可能性があるので注意が必要です。専有部分であっても、大規模なリフォームをする場合は、事前にマンションを管理する業者に確認をしましょう。

専有部分の例

コンクリートの躯体で区画された居住スペースは、専有部分です。しかし、居住スペースと思っている部分が、共有部分だったということがあります。以下が、専有部分の一部の例です。

・居住スペースの内装
・共用範囲以外にある設備は専有部分
・メーター以降の配管
・メーター以降の配線
・共用管までの排水管
・共用ダクトまでのダクト
・住宅用火災警報器
・居住スペースにある消化器
・居住部分の壁や床、天井などの内側部分
・玄関扉の錠
・玄関扉内部の塗装部分

共用部分の見分け方

専有部分(居住スペース)以外は共用部分です。

区分所有法によると、共用部分の定義は、廊下や階段などの専有部分以外の建物の部分、配線や配管や給排水設備等の専有部分以外にある建物の付属物、共有部分とされた付属の建物です。

共用部分は、そのマンションに住む人全員が共有するため、原則として管理組合の総会の決議なしで勝手にリフォームや修繕などをして変更することはできません。

共用部分の例

共用部分は、例を挙げるとキリがないくらいにたくさんあります。そのため全ての共用部分の例は記載できませんが、一部の例を厳選して掲載します。

・躯体部分(支柱、屋根、外壁など)
・躯体のコンクリート
・共用廊下や階段
・エントランスホール
・屋上
・駐車場や駐輪場
・エレベーター
・パイプシャフト
・縦配管
・宅配ボックス
・バルコニー、ルーフバルコニー
・室外機置き場
・メーターボックス
・目隠しパネルや乗越え防止柵

共用部分は不明確な部分が多い

先述した通り専有部分と共用部分の境界線は曖昧で、マンションによって異なることがあります。

確認が必要な部分の例を以下に記載するので、マンションの管理会社に確認しましょう。

・玄関扉の外側
・窓枠
・窓ガラス
・網戸
・サッシ
(これらは共有部分とされているが、マンションによりルールが異なる可能性がある)
その他:
・ネームプレート
・店舗用看板
・専用庭
・居住スペースにある自動火災警報設備や発信機
・玄関ドアチェック
・単独型のインターホン
・共用連動型インターホン

共用部分には法定共用部分と規約共用部分がある

マンションの共用部分には、「法定共用部分」と「規約共用部分」という二つの区分があります。これらは共用部分の利用や管理に関する権利と責任を明確にするために設けられています。以下、それぞれの特徴について詳しく説明します。

法定共用部分

法定共用部分とは、マンションの管理に関する法律、特に「区分所有法」に基づいて共用部分と定められている部分です。これには、マンションの構造上、必ず共用することになる部分が含まれます。

例えば、建物の基礎や主要構造体、廊下、階段、エレベーター、屋上、外壁などがこれに該当します。法定共用部分は、マンションを構成する全ての区分所有者が共同で所有し、利用する権利があります。

規約共用部分

規約共用部分とは、マンションの管理組合が定めた規約によって共用部分とされた部分です。これは、法律による定義を超えて、特定のマンションでのみ共用部分とされる場所や設備を指します。

例えば、フィットネスルーム、集会室、ゲストルームなど、追加のサービスや施設が規約共用部分に該当することがあります。規約共用部分の設定や変更は、管理組合の決定によります。

専有部分で気をつけること

専有部分であれば自由に何でも出来るということではありません。

例えばリフォームや修繕を行う際には、各マンションの管理会社に確認をしたほうがよいです。

専有部分のリフォームや修繕に関しては、管理規約や使用細則でルールがきめられている可能性があります。

その規定に従い、リフォームや修繕を行う必要があるのです。もしルールに反するリフォームや修繕行為を行った場合、原状回復や工事停止を求められるなどのトラブルが起こります

リフォームや修繕を行う際には、総会での決議が必要になることもあるので、必ず確認をしましょう。
この章では、マンションの専有部分に関するトラブルの例を記載します。事前に確認し未然にトラブルを防ぎましょう。

窓ガラスを壁に変得たいときは確認を

窓ガラスは共用部分になります。

ただ、窓ガラスに関しては境界線が曖昧で、マンションによっては認識が異なる可能性もあるので、確認が必要です。

そうは言っても、ほとんどのマンションが窓ガラスは共用部分なので、勝手に窓ガラスを壁などに変えてはいけません。

窓ガラスになにか不具合があった場合は、管理会社に相談しましょう。

部屋の境の壁を取り除いて改造することはできない

隣接する2つの部屋を購入し、大きな1つの居住スペースにしたいと考えている方は要注意。

勝手に部屋との境の壁を取り除いたり、扉を付けたりして改造するのは禁止です。

構造上重要な耐震壁になっている場合、壁を壊すことで強度が弱くなることも考えられます。

壁や床や天井の骨組みを作るコンクリートは共用部分です。そのコンクリートに穴をあけたり壊してしまうのは、区分所有法にも反する行為になります。

カーペット床からフローリング床に変えることはできない

防音性を高めるために、カーペット床に指定されているマンションもあります。

その使用細則を無視してフローリング床に変えてしまう行為も厳禁。

フローリング床にして防音性が低くなってしまうと、下の階の方や隣の部屋の方からクレームが来る恐れがあります。

室内にユニットバスをスムーズに搬入するために柱を取り除いた

室内にユニットバスを入れること自体はよいのですが、大きなユニットバスを搬入しやすくするために、部屋にある柱を取り除いてしまうことは禁止行為です。

建物を支える役割の1つになっている梁などの重要な躯体を取り除いてしまった場合、建物全体の強度に関わるため、大きなトラブルになる可能性もあります。

玄関ドアを変えることも禁止

玄関ドアの内側(居住スペース側)は専有部分、外側は共用部分とされています。

内側のみ色を変えるなどすることは可能ですが、玄関ドア自体を別のドアなどに変えることは禁止です。玄関ドアはおおよそ共有部分であり、さらに防火性能も考えられてその玄関ドアになっている可能性もあるので、勝手に変えてはいけません。

また、玄関ドアの内側は専有部分だから色などを変えてもよいのですが、マンションによってルールが異なる可能性もあるので、事前確認をしたほうが安心です。

専有部分のリフォームによる騒音や振動はトラブルの原因に

専有部分のリフォームも注意が必要。専有部分であることは間違いなくても、リフォームする際に騒音や振動がひどく、苦情が来たというケースもあります。リフォームによる騒音や振動で周囲に迷惑をかける可能性は高いです。いずれにしても、リフォームや修繕をするなら、管理会社に相談することをおすすめします。


共用部分で気をつけること

エントランスホール、共用廊下、駐車場など、マンションの居住者全員で使用する共用部分は、居住者全員が気持ち良く利用できるように気をつけなければいけません。共用廊下や非常階段は、緊急時に避難通路にもなるので、自転車や傘などの私物を置くのは禁止です。
また、管理をするのは専有部分だけでよいと考えがちですが、共用部分の管理も必要。共用部分はマンションの居住者全員のものなので、綺麗に使いましょう。また、バルコニーや専用庭は自由に使えますが、実は共用部分とされています。そのため、ガーデニングやバーベキューをする際には注意が必要です。万が一設備を壊してしまった場合、管理会社とトラブルになる可能性もあります。

共有部分に手を加えたい場合は4分の3以上の賛成意見が必要

マンションなどの集合住宅において、共有部分に手を加える、つまり改修や改造などを行う場合には、区分所有者間の合意が必要になります。この合意形成の基準として、「4分の3以上の賛成意見が必要」というものが区分所有法第十七条で設けられています。

改装や改造の合意形成の手順は、以下になります。

STEP
  • 改修や改造を行いたい区分所有者が、管理組合に提案
  • 管理組合の会議などで、提案された改修や改造について議論
  • 提案に対して、区分所有者が投票行う
  • 4分の3以上の賛成で改装や改造が可能

共用部分の修繕で自己負担になるケースも

数年経つと物が壊れたり使えなくなったりします。

共用部分の修繕でも、場合によっては自己負担になるケースがあるので注意が必要です。

マンションを購入すると、修繕積立金を毎月支払うことになります。本来であれば、老朽化により共用部分で修繕が必要になった場合は、毎月支払っている修繕積立金が使用されるので、それ以外の自己負担はありません。

しかし、場合によっては修繕積立金とは別で、自己負担になるケースもあるのです。

よくある故障で、宅配ボックスの開閉が不能になる、共用部連動型のインターホンが故障するということがあります。

この2つに関しては、自ら壊したのでなければ自己負担にはなりません。以下は、よくある故障でも自己負担になるケースです。

・窓ガラスを割った場合
・サッシや網戸の開閉不良、網戸が敗れた場合
・自己破損により集合郵便受けやダイヤル錠などを壊してしまった場合
・玄関ドアの鍵の差し込み不良になった場合


専有部分と共用部分を併せて査定してもらおう

マンションの売買を検討している場合、マンションの専有部分も共用部分もどちらも不動産会社の査定マンション内覧時に評価されます。

マンションを少しでも高く売りたいなら、まずは一括査定が評判のイエウールで査定を行い、自身のマンションの価値を知りましょう。

不動産査定は不動産会社により着目点や評価ポイントが異なります。

そのため、複数社に査定依頼を出し、結果を比べてくることをおすすめします。100万円以上査定価格に差が出ることも珍しくありません。

「本当はもっと高く売れたかも」と後悔しないためにも複数の不動産会社の査定価格を比較することは重要です。

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