マンションの価格は、景気や金利、住宅需要などの影響を受けて変動します。
過去の価格推移を振り返り、現在の市場動向を分析することで、今後の価格変動を予測することが可能です。特に、近年の金利政策や都市開発の影響は、マンション価格に大きな影響を与えています。
本記事では、過去10年間の価格推移データをもとに、今後のマンション市場の見通しを詳しく解説します。また、今後の価格変動を予測し、購入・売却のベストなタイミングを考えるヒントを紹介します。不動産投資を検討している方や、マイホームの購入を検討している方にとって役立つ情報をお届けします。
マンション価格の推移【2008年~2024年】
参考:国土交通省 不動産価格指数掲載ウェブサイト (公表日:2024/06/28)
国土交通省が公表している情報を基に、マンション価格の推移に注目して見ると、マンションの価格は2013年からずっと上昇していることが分かります。またマンション価格は、他の戸建住宅や住宅総合の価格相場よりも上昇伸び率が大きくなっています。
2008年のリーマン・ショック時や2011年の東日本大震災の時期は、マンション価格は低迷を続けていましたが、その後2013年辺りから急激に上昇し始めます。
また、2020年には新型コロナの流行、2021年には東京オリンピック閉幕があり、マンションの価格が下落するのではないかと言われていましたが、現在もマンションの価格は上昇を続けていて、特に2021年以降では、マンションの価格が急激に高騰しています。
マンション価格の推移【2021年~2024年】
月 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
---|---|---|---|---|
1月 | 157.0 | 174.7 | 188.2 | 197.9 |
2月 | 158.9 | 178.0 | 188.1 | 199.3 |
3月 | 159.7 | 177.8 | 189.0 | 197.9 |
4月 | 160.7 | 179.4 | 190.4 | – |
5月 | 164.4 | 182.9 | 189.2 | – |
6月 | 165.2 | 179.7 | 190.9 | – |
7月 | 166.5 | 184.0 | 191.1 | – |
8月 | 168.8 | 183.5 | 192.0 | – |
9月 | 169.4 | 184.6 | 193.6 | – |
10月 | 167.8 | 185.5 | 194.3 | – |
11月 | 171.5 | 187.3 | 194.3 | – |
12月 | 172.3 | 187.4 | 196.1 | – |
参考:国土交通省 不動産価格指数掲載ウェブサイト (公表日:2024/06/28※2010年平均=100
新型コロナ禍の2021年からポストコロナとなった2024年までのマンション価格の推移を詳しく見てみましょう。
2021年から現在に至るまで、マンション価格は基本的に右肩上がりに上昇しています。
2022年と2023年は、4月から6月にかけて価格の上昇が停滞している時期もありますが、この時期にも価格の大きな下落はなく、それ以外の時期には順調に価格が上昇しています。
さらに、2022年と2023年の不動産価格指数を月ごとに比べてみても、2023年は全ての月が2022年の指数を上回っています。
2021年から2024年の間にはマンション価格は大きく下落することなく、順調に上昇し続けてきたといえます。
マンション価格はなぜ上昇し続けていたのか
2013年以降のマンション価格の上昇は、低金利環境、都市部への人口集中、土地の希少性、建設コストの上昇、投資としての魅力、国際的な資本流入といった多様な要因が組み合わさって生じた現象です。
2013年以降のマンション価格は主に次の3つの要因で上昇しています。
- 不動産投資の活発化
- 建設コストの増大
- (特にコロナ禍以降の)住宅需要の増大
不動産投資の活発化
多くの国で中央銀行によって低金利政策が採用されていたため、住宅ローンの金利が低下しました。
金利の低下により、マンションを含む不動産への投資が促進され、価格が押し上げられる一因となりました。
さらに、グローバル化が進む中で、外国人投資家による不動産投資も活発化しました。
特にアジアの経済成長が著しい国々からの資本が、主要都市の不動産市場に流入したことで、マンション価格の上昇が進んでいると考えられます。
大都市圏では、利用可能な土地が限られており、新たな開発が難しい状況にあるということも、マンション価格の上昇を後押ししています。
直近では急激な円安が進んでいるためにさらに外国人投資家の資金流入が進み、マンション価格の上昇を後押ししていると考えられます。
建設コスト増大
原材料費の高騰や人件費の上昇によって建設コストが増大したことも、新築マンションの価格上昇に影響を与えました。
特に、近年では環境に配慮した建築材料やエネルギー効率の高い設備への需要が高まっていることが、コスト増加の一因となっています。
さらに、材料の多くは輸入品であることから、直近では円安の影響も大きいです。
円安のために原材料費が増大していることもコスト増加の一因となっています。
コロナ禍以降の住宅需要の増大
特に2021年以降には、コロナ禍で急激にテレワークが普及したことで、在宅勤務をする人が増えました。
在宅勤務によって自宅で過ごす時間が長くなったことで、より広く、より快適な住宅への需要が高まりました。
そしてポストコロナの現在でも、依然としてテレワークしている人の割合は高いので、住宅需要も高いままです。
この需要の増大も、マンション価格の上昇の一因となっています。
地域別のマンション価格推移
さらに詳しくマンションの価格推移を把握するために、地域別のマンション価格の推移について解説します。
全国のマンション価格推移と同じく、国土交通省が発表している不動産価格指数の推移を参考に、価格がどのように変動しているか見てみましょう。
北海道地方のマンション価格推移
出典:不動産価格指数 国土交通省(2024/07/23閲覧)
北海道地方のマンション価格は、他の地域と比べて一番上昇していました。
北海道地方のマンション価格は右肩上がりの上昇傾向にあります。
最新の不動産価格指数を見てみると、関東地方が193.4であるのに対し、北海道地方は243.7と、首都圏よりも価格の上昇率が高いことが分かります。
東北地方のマンション価格推移
出典:不動産価格指数 国土交通省(2024/07/23閲覧)
東北地方のマンション価格の推移を見てみると、全国版のマンション価格推移と同様に上昇傾向にあるといえます。
しかし直近の2年間では価格の上昇が停滞しています。
今後も安定してマンション価格が上昇するとは限らないため、今後の価格推移に注目しましょう。
関東地方のマンション価格推移
出典:不動産価格指数 国土交通省(2024/07/23閲覧)
関東地方のマンション価格推移を見てみると、先ほど解説した北海道地方や東北地方と比べて、マンション価格の上昇幅が小さいことが分かります。
しかし
他の地域に比べて価格の上昇幅は見られませんが、高い価格でマンションが売却されていると判断できるでしょう。
北陸地方のマンション価格推移
出典:不動産価格指数 国土交通省(2024/07/23閲覧)
北陸地方のマンション価格の推移は、基本的には上昇傾向にはあるものの、他の地域と比べて変動が安定していません。
特に直近5年の間には、大きな価格変動が見られます。
このようにマンションの価格が変動している地域では、いつがマンションの売り時か見極めて売却することが重要です。
高く売れるベストタイミングで売却できるように不動産会社と相談して売り出しタイミングを決めましょう。
中部地方のマンション価格推移
出典:不動産価格指数 国土交通省(2024/07/23閲覧)
中国地方のマンション価格の推移を見てみると、全国のマンション価格推移と同様に安定して価格が上昇しているといえます。
近畿地方の中では愛知県が特にマンションの価格が上昇しています。
レインズのデータによると、愛知県のマンション売買価格は、直近1年間だと10月と12月を除いて前年より高くなっていることから、愛知県のマンション価格は上昇トレンドであることがうかがえます。
近畿地方のマンション価格推移
出典:不動産価格指数 国土交通省(2024/07/23閲覧)
近畿地方のマンション価格は、安定して上昇していると言えるでしょう。
近畿地方の中では大阪府が特にマンションの価格が上昇しています。
レインズのデータによると、大阪府のマンション売買価格は直近1年間のうち6月を除いて前年より高くなっていることから、大阪府のマンション価格は上昇トレンドであることがうかがえます。
中国地方のマンション価格推移
出典:不動産価格指数 国土交通省(2024/07/23閲覧)
中国地方のマンション価格も、長期的に見ると上昇しているといえますが、関東地方や近畿地方と比べると、変動の幅が大きいことが分かります。
中国地方でマンションの売却を考えている方は、直近1年など短期的にマンションの価格がどう推移しているか確認しておくとよいでしょう。
四国地方のマンション価格推移
出典:不動産価格指数 国土交通省(2024/07/23閲覧)
四国地方のマンション価格は、長期的に見ると上昇トレンドではあるものの、ほかの地域と比べて変動が安定していません。
特に2018年以降は、価格の変動幅が非常に大きくなっています。
価格変動が大きい四国地方のマンションを売るにあたっては、売り時を見極めて売却することが重要です。
高く売れるタイミングで売却できるように、事前に不動産会社と相談しておくとよいでしょう。
このまま価格が下がり続けるとは限りませんが、マンションの売却や購入を考えている方は価格がどう推移しているか確認して売却活動を始めるようにしましょう。
九州・沖縄地方のマンション価格推移
出典:不動産価格指数 国土交通省(2024/07/23閲覧)
九州・沖縄地方のマンション価格は、北海道地方や東北地方、中国地方のように大幅に上昇しているといえます。
年に1回ほどのペースで大幅な価格の下落が見られますが、基本的には順調に価格が右肩上がりとなっています。
ただし、今後も価格の上昇が続くとは限らないため、マンションの購入や売却を控えている方は、こまめに価格の推移を確認するようにしましょう。
築年数別のマンション価格推移
マンションの価格は、マンションの所在している地域だけでなく、築年数によっても大きく変化します。築年数によってマンションの価格がどのように推移するのか把握しておきましょう。
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年) レインズ
築年数によるマンションの価格推移のグラフを見てみると、築年数が古くなるほど売却価格が低くなっていることが分かります。
ここで、中古マンション成約状況の表を見てみましょう。
価格(万円) | 面積(㎡) | ㎡単価(万円) | |
築0~5年 | 7,077 | 62.78 | 112.55 |
築6~10年 | 6,655 | 66.19 | 100.54 |
築11~15年 | 5,932 | 68.19 | 86.99 |
築16~20年 | 5,506 | 70.49 | 78.15 |
築21~25年 | 4,887 | 70.60 | 69.23 |
築26~30年 | 3,344 | 64.94 | 51.48 |
築31~35年 | 2,303 | 57.66 | 39.94 |
築36~40年 | 2,672 | 57.63 | 50.49 |
築41年~ | 2,260 | 56.00 | 46.37 |
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年) レインズ
築0~5年と築31年以降の価格を比べてみると、3分の1程度まで価格が低くなっています。
マンションの売却を考えている方は、不動産市場でのマンション価格の推移だけでなく、高く売れる築年数にも注意して売却計画を立てると、より損をせずに売却することができます。
今後のマンション価格はどのように推移する?
今後のマンション価格の推移がどのように変化するのか、正確には分かりません。
しかし、今後”暴落”というほど大きく価格下落することはないのではないと予想されます。国土交通省も令和6年地価公示の概要にて、住宅地について、「全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏・地方圏ともに上昇が継続するとともに、三大都市圏では上昇率が拡大し、地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど、上昇基調を強めている。」と考察しています。
住宅地の価値上昇の要因については、国土交通省が「都市中心部や、利便性・住環境に優れた地域などでは住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続している。
三大都市圏や地方四市の中心部における地価上昇に伴い、周辺部においても上昇の範囲が拡大しており、特に地方四市の周辺の市等では、高い上昇となった地点が見られる。」と指摘しています。
現在のトレンドが続く限り、マンション価格が直近で下落する可能性は低いでしょう。
簡単にマンションの売却価格を見積もりたい方は、以下の機能を入力して簡単に売却額を見積もってみてください。
自分の所有しているマンションがいくらで売れそうか知りたい方は、インターネット経由で不動産会社からの査定を受けましょう!いつでもどこでも無料で依頼出来て、売却を考えている不動産に適した不動産会社を紹介してくれるので初めて使う方も安心して利用できます。
まずは、物件種別を選択してから査定依頼をスタートしてみましょう。査定依頼に必要な情報入力はわずか60秒ほどで完了します。
あなたの不動産、
売ったらいくら?
あなたの不動産、
売ったらいくら?
今、マンションは買い時か?
今年マンションは買っても問題ないといえるでしょう。
地域や実際に売却しているマンションにもより異なりますが、今後もマンション価格の上昇傾向は継続する可能性が高いです。
社会情勢の先行きが不透明ではありますが、先程解説した通りマンションの価格が大幅に下がる可能性は低いので、来年まで待った方が安くなるという可能性は低いです。
それよりも、欲しいと思った物件が成約できるかどうかです。
2013年からの価格上昇により高級物件となってしまった新築マンション。
都市部などでマンションの購入を検討されている多くの方は中古マンションも検討されていると思います。
しかし、東日本不動産流通機構の最新データ(2024年7月現在)である月度マーケットデータを見ると、中古マンションの在庫件数は前年比で-2.5%の減少となっている状態。
在庫が増えていないにもかかわらず、首都圏における中古マンションの成約件数は前年同月比より+4.8%と多くの人が中古マンションを購入している結果となりました。
つまり、中古マンションの競争が激化している可能性が高いということ。
来年の地価下落を期待し、購入を先延ばしにしているうちに他の人に買われてしまうということが考えられるので、良いと思った物件に出会った際は購入を本格的に検討することをおすすめします。
ただし、予算以上の物件の場合はよく検討を。
マンションを購入した際には住宅ローンの支配の他に維持費も必要です。
管理費や修繕費積立金の維持費を気にしても固定資産税が発生することを忘れてしまっている人は少なくありません。
予算以上の住宅ローンと固定資産税の支払いで家計を予想以上に圧迫してしまい、生活が苦しくなることもあります。
先行き不安な時期だからこそ、住宅ローンだけでなく月々の出費を考えたマンション選びを行いましょう。
マンションの固定資産税に関する内容はこちらをご確認ください。
まとめ
社会情勢の見通しが立たない中で、今後マンションの価格はどうなるのか気になる方も多いと思います。
しかし、この後不動産価格がどのように変化するのか明確に知るのは難しい状態。
現状を細かく観察して、売り時や買い時を逃さないことが重要です。
今後住み替えを検討しているのなら、まずは現在住んでいる住宅の価格を知っておくのも重要です。
住宅の価格を知ることで、次に住むマンションの購入資金の計画を立てられたり、今住み替えるべきか否か判断しやすくなります。