築40年のマンションは売却できます。理由は4つあり、①価格が手頃、②立地が良いマンションが多い、③管理状況を把握しやすい、④買手がリノベーションしやすいからです。 一方で売却しづらいポイントもあります。
築40年マンション売却は可能?
築40年マンションの売却を考えている方にとって、ご自身のマンションを本当に売却できるのかはとても気になるところではないでしょうか。
そこで、まず初めに実際に売却が成立している物件を築年数ごとに分けて見てみましょう。
以下は2020年度の東京都における中古マンションの成約物件を築年数ごとに示したグラフになります。
出典|国土交通省 土地総合情報システム(改:不動産情報ライブラリ)
このデータによると、中古マンションで売却に成功した物件の中でも、60%以上を築25年以内の物件が占めていることが分かります。
一方で築40年マンションは、築36~40年が6.8%、築41~45年が5.0%となっていることから、全体の11%程度を占めていることになります。
つまり、1年間に売却され成約に至ったマンションの内、およそ1割の物件は築40年程度のマンションであったということです。
このことから、築40年マンションは築25年や30年以内のマンションなどと比較すると、売却しにくいのは事実ではありますが、成約件数に占める割合もおよそ1割程度であることから、売却することも可能であると言えるでしょう。
築40年マンションでも売却できる理由と難しい理由
さて、築40年マンションは売却しづらいことは確かですが、実際に売却することも可能であることが分かりました。
そこでこの章では、築40年マンション売却が可能な理由と、売却が難しい理由をそれぞれ解説していきます。
売却できる理由①|買い手が購入しやすい価格であることが多い
築40年マンションでも売却が可能な理由の1つとして、築40年マンションは買い手が購入しやすい価格であることが挙げられます。
ご存知の通り、マンションの価格は築年数の経過によって低下していきます。築40年マンションともなれば多くの物件が新築・築浅時を大きく下回る価格で売りに出されています。
そのため、築40年マンションは買い手にとって購入しやすい価格帯であることが多く、人気を集めているため売却が可能だと言えるのです。
売却できる理由②|立地条件が良いマンションが多い
築40年マンションでも売却が可能な2つ目の理由として、立地条件が良いマンションが多いことが挙げられます。
というのも、マンションは出来るだけ立地の良い場所に建てた方が、買い手からの人気が集まりやすく、マンションとしての価値も高くなります。
しかし、毎年多くのマンションが建てられているため、条件の良い土地を巡る競争が激しくなっていることも事実です。
その点、築40年マンションなどの場合は今ほど土地を巡る競争が激しくなかったこともあり、比較的立地条件の良い物件であるケースが多いようです。
立地条件の良いマンションであれば、築古であっても十分売却は可能であるケースも多いため、この点も築40年マンションでも売却が可能な理由として挙げられるでしょう。
売却できる理由③|管理状況を確認しやすい
築40年マンションでも売却が可能な3つ目の理由に、買い手側がマンションの管理状況を確認しやすいという点が挙げられます。
新築マンションや築浅マンションの場合、今後の管理状況は不透明であったり、計画が把握しづらいケースも多いようです。
一方で、築40年マンションの場合は、マンションの管理組合がこれまでどのようにマンションを維持・管理してきたのかをデータや建物の状況から詳細に確認することができます。
特に、居住者がより住みやすいマンションにしていくための工夫を行っている場合などは買い手からの人気も集めやすいケースが多いようです。
そのため、この点も築40年マンションでも売却が可能な理由として挙げられるでしょう。
売却できる理由④|買い手がリノベーションするケースもある
築40年マンションでも売却が可能な4つ目の理由は、マンションの買い手が購入後にリノベーションするケースもあるという点です。
築40年マンションは、新築マンションや築浅マンションなどと比較して手頃な価格で手に入れやすいことが、購入者側への大きなメリットです。
築40年マンションなどの築古マンションの購入を検討している方の中には、購入後にリノベーションなどを行い、自分の理想の住空間を創りたいと考えている方も多いため、あえて築40年マンションなどの築古マンションを購入するケースも存在します。
そのため、この点も築40年マンションでも売却が可能な理由として挙げられるでしょう。
難しい理由①|建物や設備の老朽化
一方で、築40年マンションの売却が難しいと言われる理由についても見ていきましょう。
築40年マンションの売却が難しいと言われる大きな理由の1つに、建物や設備が老朽化してしまっているということが挙げられます。
当たり前と言えば当たり前の理由ですが、建物や設備が老朽化がかなり進んでいるマンションでは、外観が古っぽく見える、清潔な印象を与えづらいなどの目に見えるマイナスポイントだけでなく、売却に際して買い手からの人気を損なってしまうような問題も引き起こす可能性が高いと言えます。
例えば、耐震性については築40年丁度であれば新耐震基準をクリアしている物件も多いため、一般的には問題ないことが多いのですが、買い手に何となく不安を与える可能性があります。
また、修繕積立金などに関してもこれから説明していきますので、詳しく理解しておきましょう。
難しい理由②|耐震性に不安がある
築40年マンションの売却が難しいと言われる2つ目の理由は、耐震性に不安を抱く買い手が多いためです。
地震の多い日本において、1981年の新耐震基準に適合したマンションであるかを気にしている買い手が非常に多いのが事実です。
ご自身のマンションが築40年を超える場合、建築年がいつかを再度確認して、1981年よりも前の旧耐震基準と1981年以降の新耐震基準のどちらに適合した物件なのかを確認しておきましょう。
今後も、南海トラフ地震などの自然災害が危惧されている日本において、この耐震性を重視している買い手が多いということは、築40年を超えるマンションの場合は新耐震基準を満たしていないケースも多く、そのような場合には売却が多少難しくなることも考えられるでしょう。
難しい理由③|修繕積立金が高いケースが多い
築40年マンションの売却が難しいと言われる3つ目の理由は、修繕積立金が高いケースが多いということです。
修繕積立金とは、マンションの修繕工事などが必要になった場合に備えて、居住者が毎月決まった額を支払うことで積み立てていくものになります。
マンションの長期修繕計画などによって金額や目的などが定められていますが、築年数の経過とともに修繕箇所や規模が拡大して、修繕積立金が値上がりしているケースもあります。
そのため、マンションの買い手側にとっては修繕積立金が高いと感じるケースも多く、買い手側にとってはそのまま購入後の固定費となってしまうため、築40年マンションの売却が難しいと言われている原因でもあります。
築40年マンションの売却相場からいくらで売れるか想定しよう!
ここまで、築40年マンションが本当に売却できるのかや、売却できる理由と難しいと言われる理由について詳しく見てきました。
これらを理解できた方の多くは、「実際に築40年マンションはどのくらいの価格で売却できるの?」という点が特に気になっているのではないでしょうか。
そこで、この章では築40年マンションの売却相場からご自身のマンションがいくらで売却できそうかを把握してみましょう。
築40年マンションの売却相場
以下は東京都における2020年度の中古マンションの築年数別平均売却価格のデータになります。
出典|国土交通省 旧:土地総合情報システム(改:不動産情報ライブラリ)
- 築年数ごとのより詳しいデータ
築年数 | 平均売却価格 |
築0~5年 | ¥52,393,534 |
築6~10年 | ¥46,566,848 |
築11~15年 | ¥37,480,030 |
築16~20年 | ¥40,791,734 |
築21~25年 | ¥38,494,205 |
築26~30年 | ¥27,331,921 |
築31~35年 | ¥24,512,632 |
築36~40年 | ¥25,762,658 |
築41~45年 | ¥26,957,803 |
築46~50年 | ¥25,174,346 |
築51年~ | ¥26,958,974 |
全体 | ¥37,342,540 |
2020年度の東京都における築36~40年マンションの平均売却価格は約2,580万円、築41~45年マンションの平均売却価格は2,700万円であることが分かります。
そのため、東京都における築40年前後のマンションの売却相場はおよそ2,600万円であると考えることができるでしょう。
実際には、個々の物件によって立地や専有面積を初めとする様々な要素を加味して売却価格や成約価格が決まっていくため、一概にこの価格が基準になるとは言えないでしょう。
しかし、土地の価格が最も高いと言われる東京都において、築40年マンションの平均売却価格が約2,600万円であるというのはご自身のマンションの売却相場を知る上で参考になるデータであることに変わりはないでしょう。
実際にマンションの売却価格をシミュレーションしてみよう!
以下は実際にご自身のマンションの想定売却価格を簡単にシミュレーションできるツールです。
ご自身のマンションがいくらで売れそうなのかを簡単に把握したい方は是非一度シミュレーションしてみましょう!
築40年マンション売却で損せず売りきるためのコツ
さて、ここまで築40年マンションは本当に売却できるのかや、売却が可能な理由、売却が難しいと言われる理由、売却相場などについて解説してきました。
この章ではそんな築40年マンションの売却で損をせずに、きちんと売りきるためのコツには以下のようなものがあります。
- リフォームやリノベーションを行わない
- 必要に応じてハウスクリーニングを行う
- ホームインスペクションを行う
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
それぞれについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。(築40年のマンションを売るためのコツは築50年のマンションを売るためのコツと似ています)