実は築20年のマンションは、市場での流通量は多く、市場での需要も高いです。
実際、首都圏の成約物件の平均築年数は20年を超えています。
ただし、築21年を過ぎると急激に売却相場が低下し、築25年を過ぎた場合には成約率が急激に低下します。
そのため、マンションを売却するにあたっては、築20年というタイミングは売却に適切であり、そして逃せないタイミングです。
築20年マンションの売却相場は首都圏だと5,250万円、三大都市圏・地方四市だと2,000~4,000万円です。
築20年マンションの需要は高いため、コツを踏まえて上手に売却しましょう。
「まずはマンション売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。中古マンション市場における築20年マンションの需要は高い
まずは実際の中古マンション市場において、築20年マンションに需要について、データをもとに詳しく見ていきましょう。
成約物件の平均築年数は20年超え
以下は2012年から2022年までの首都圏における中古マンションの成約物件と新規売り出し物件における平均築年数のデータです。
出典|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年) レインズ
こちらのグラフを見ると、2022年まで成約物件と新規売り出し物件ともに平均築年数が徐々に上昇しているのが分かります。
2015年以降では成約物件の平均築年数が20年を超えています。
- 売却が完了したマンションだけでも平均築年数は20年を超えているんだ!
「築20年のマンション」は実は需要が高いぞい!
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築20年マンション売却相場
では築20年マンションの売却相場を見ていきましょう。
同時に値下がり率や、地域別の築20年マンションの売却相場も紹介していきます。
首都圏における築20年マンションの売却相場は5250万円
以下は、2022年に首都圏で売買契約が成立した中古マンションについて、築年数ごとの売却価格と新築と比較した時の値下がり率をグラフに表したものです。
出典|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年) レインズ
※値下がり率=各築年数の売却価格÷築0~5年マンションの売却価格から算出(小数点第二位切り捨て)
ご覧のように、首都圏における中古マンションの価格は築年数の経過とともに徐々に低下しながら推移していることが分かります。
築16~20年のマンションの売却相場は5,250万円で、築21~25年のマンション売却相場は4,290万円です。
値下がり率を見ると、築11~15年マンションのが16.50%であるのに対して、築16~20年のマンションは20.91%、築21~25年のマンションは35.37%となっています。
一方で、築26~30年のマンションは売却価格が2,832万円で値下がり率が57.34%と、価格が急激に低下していることがわかります。
築20年前後のマンションは可能な限り早く、特に築25年を超えるまでに売却することでまだまだ高値で売却できるといえます。地域別の築20年マンション売却相場|おおよそ2000万円~4000万円
首都圏に続いて、地域別の築20年マンションの売却相場についても確認しましょう。
以下は、三大都市圏と地方四市における築20年マンション売却相場を示したグラフになります。
出典|国土交通省 土地総合情報システム「不動産取引価格情報検索」
参照|イエウール「地域に密着した不動産の売却情報」(2023年2月更新)
※築20年推定相場=(「築11~20年」+「築21~30年」)÷2
地域別の築20年マンション売却相場を見ると、東京における売却価格が突出していることがわかります。
東京の築20年マンション売却相場は5409万円と推定されていますが、内訳を見ると都区部が5899万円、多摩が3542万円と、東京都内でも中心地の相場が非常に高いことがわかります。一方、東京の周辺県や他の都市圏・地方四市における築20年マンションの売却相場は大差なく、およそ2000万円~4000万円です。
マンションが売れるのは築25年まで
それでは、現在築20年のマンションは、いつまでなら「売れる」といえるのでしょうか。
成約率は築25年を過ぎると急激に低下
築年数ごとのマンションの成約率のデータを見ていきましょう。
出典|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年) レインズ
グラフを見ると、2021/2022年ともに築16~20年マンションの成約率は築11~15年マンションの成約率とさほど変わらない水準であることが分かります。
一方で、築21年を過ぎた頃から成約率が下がり、築26年を超えると成約率は20%以下になっていることにも注意が必要です。
このことから、築20年のマンションの成約率は中古マンション市場全体で見てもかなり高い部類に入ることが分かるでしょう。
成約物件の平均築年数や成約率を確認し、築20年マンションが中古マンション市場でまだまだ現役であることがわかりました。
それでは、築20年のマンションはいつまでなら「現役」だといえるのでしょうか。
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結論を申し上げますと、築20年前後のマンションは築25年以内であれば現役といえるでしょう。
裏を返せば、築25年を過ぎると現役ではないということに。その理由を詳しく説明します。
先ほど、築年数ごとのマンション売却相場のグラフを見ましたが、中古マンションの売却相場は築25年あたりを境にその後急激に低下していました。
また、成約率についても築26年を超えると20%以下とかなり低くなることも確認しました。
これらの根拠から、築20年のマンションは築26年以上のマンションに比べて売却相場・成約率ともに高いことがわかります。
築20年マンションの成約率が高いと言うことは、それだけ買い手からの人気が集まりやすいということです。
一方で築26年を超えたマンションは、買い手からの人気が薄れ、売却しにくくなってしまっているともいえるでしょう。
このことから、築20年マンションは築年数が26年以上のマンションに比べて売れやすさという面から見ても十分売却が可能であることが分かるでしょう。
また、買主の立場に立って考えると、購入する際に気にするのは「そのマンションにあとどれくらい住めるのか」ということでしょう。
鉄筋コンクリートのマンションの法定耐用年数は47年です。これは減価償却する期間のことですが、築20年のマンションはあと27年住めることになります。
当然のことではありますが、築年数が増えれば増えるほど住める期間は短くなるため、買主が現れる可能性も低くなります。
これらを加味しても、築20年マンションは中古市場では需要が十分見込まれるといえるでしょう。
同時に、築20年前後のマンションは早めに売却しないと急激に売却相場も成約率も低下していくため注意が必要であることをよく理解しておきましょう。
築20年マンションを上手に売却するには?
さて、ここまで築20年マンションが売れやすいことや、一体どのくらいの価格で売れるのかを他の築年数マンションとの比較などを通じて確認してきました。
築20年マンションの売却は手遅れではないどころか、買い手からの人気も集まっている売れやすい築年数帯であることが分かって安心している方も多いのではないでしょうか。
そんな築20年のマンションですが、相場価格かそれ以上で売却するのにはコツがあります。
この章では、築20年のマンションを売却するコツを解説していきます。
築25年を過ぎる前に売ろう
まず1つ目のコツは、築20年前後のマンションの売却を検討している間に築25年を超えてしまわないようにするということです。
今まで解説してきた通り、マンションの売却相場や成約率は築25年を超えたあたりから急激に低下していきます。
マンションを少しでも高く売却したいと考えている方や、少しでも手残りを多くしたいしたいと考えている方にとって、この築20年マンションと築25年マンションの差は致命的なものになりかねません。
具体的には、売却時期がたったの4.5年違うだけで売却相場が約15%も変わってしまいます。築20年時点では3,000万円で売却できるはずのマンションが、築25年を過ぎてしまうと価格が450万円程低下してしまうという計算になります。
また、マンションの売却価格は売却にかかる期間が長引くほど低下していく傾向にあります。つまり、売れやすいタイミングで売り出すほど希望価格で売却できる可能性が高まるのに対し、売れにくいタイミングで売り出して売却期間が長引くほど希望価格から値下げした価格での売却となる可能性が高くなってしまいます。
つまり、成約率の違いはマンション売却期間に大きな影響を与えるために、結果的に売却価格にまで多大な影響を及ぼすと言うことです。
これらの点から、築20年マンション売却のコツとして、売却のタイミングが築25年を過ぎないようにするということは欠かせないでしょう。
リフォームはせずに売ろう
出典:2017年大型リフォーム実施者調査(リクルート住まいカンパニー)
2つ目のコツは、築20年マンションの売却に際して一般的にリフォームはしないことです。
築20年マンションは、新築や築浅のマンションなどと比較すると売却相場は低くなっているため、マンションを高く売って利益を得たいと考えている方にとっては物足りないかもしれません。
そんな時に、少しでもマンションを高く売りたいという気持ちから、売却前にリフォームやリノベーションなどをしてしまうという失敗事例が多く存在します。
リフォームやリノベーションを行えば、マンションは綺麗になったり設備も多少新しくなったりすることは事実です。しかし、リフォームなどにかけた費用がそのまま売却価格に上乗せされるケースはほとんど存在しないのが事実です。
そもそも築20年マンションは、設備などの破損や劣化は多少あるものの、修繕可能な範囲内であり新築・築浅マンションよりもかなり手頃な価格で購入できるという点が最大の魅力であり、買い手からの人気を集めている理由なのです。
そのため、リフォームを行ったからといって売り出し価格を高く設定すると、かえって買い手からの人気を集めることができずに売れ残ってしまう可能性が高くなり、結果的に損することになってしまうケースが非常に多いのです。
これが築20年マンションの売却の2つ目のコツになります。
売却前にハウスクリーニングを検討しよう
リフォームはしなくて良いと知ったけれど、20年住んでいたマンションは汚れやカビが気になることもありますよね。
設備が破損していたり汚れやシミが目立つ場合、購入希望者がそれを根拠に値下げを迫ることもあります。
そんな時は、マンション売却前にハウスクリーニングを検討しましょう。
ハウスクリーニングはリフォームに比べて価格が低いことも特徴です。
また、水回りや油汚れなどをまとめて依頼することで、さらに料金を割安に抑えることができます。
タイミングとしては、不動産会社と媒介契約を結んだあとの内覧前がおすすめです。譲渡費用として計上できるため、のちのち譲渡所得税の納税額を減らすことにもつながります。
広告に見栄えの良い室内写真を多く掲載しよう
購入者は、不動産会社や中古マンション情報サイトの広告に掲載されている写真を見て比較検討し、内覧する物件を決めます。
そのため、購入者が見る写真を多くしておけば、どのような部屋なのかを理解でき、興味を持つ人が増えるでしょう。
内覧希望者が増えれば、それだけ人気な物件として売却価格を相場かそれ以上に交渉することができます。
内覧見学が増える様に、マンションの見栄えの良い写真を多く掲載してもらうようにしましょう。
物件の不具合があれば告知しよう
築20年マンション売却のコツとして、物件に不具合があれば報告をすることは非常に重要です。
不具合は、「瑕疵(かし)」とも呼び、簡単に説明すると物件の欠陥や破損などのことです。マンションなどの売却においては告知義務が定められており、これらの不具合が存在する場合には売買契約締結前に買い手側に告知する義務が存在するのです。
築20年マンションであれば、そこまで大きな不具合はなくとも、設備の故障や不具合や劣化などがあるのは不思議なことではありません。
しかし、マンションを少しでも高く売却したいばかりにその物件の不具合を隠してしまうと、契約不適合責任に問われてしまう可能性があります。
マンションの売却後に大きなトラブルに発展したり、裁判沙汰になってしまうリスクを抑えるためにも、築20年マンションの売却では物件の不具合を必ず告知するようにしましょう。
住宅ローン残債に注意
住宅ローンの残債がいくら残っているかにも注意する必要があります。築10~20年程度のマンションを所有している方の多くは住宅ローンがかなり残っているケースが多いためです。なぜ住宅ローンが残ってしまっているのかというと、住宅ローンは借り入れた金額である元金と利息金額を返済していく必要がありますが、ある程度の期間返済を継続しておかないと元金部分の返済に届かないためです。
つまり、マンションの価格は購入後段々と低下していく一方で、住宅ローン残債は中々減っておらず、マンションの価格を住宅ローン残債が上回ってしまう状態となっているケースが多いということです。
基本的には、住宅ローンを事前に完済しておくか、マンションの売却金額で一括返済するなどしておかないと売却することができないため、築年数の浅いマンションの売却を考えている方は、事前に住宅ローンがどのくらい残っているのかをよく確認しておきましょう。
マンション売却に精通した優良な不動産会社に売却を頼もう
最後にして最大の築20年マンション売却のコツは、マンション売却に精通した優良な不動産会社に売却を頼むということ。
せっかくハウスクリーニングや室内写真をたくさん掲載したのに、売却を依頼した不動産会社がマンション売却に不得手だったら、売却価格が相場を下回り、手取り金も少なくなって損をしてしまうこともあります。
一方、マンション売却が得意で広告宣伝が上手な不動産会社に売却を依頼すれば、理想通りかそれ以上の価格で不動産売却ができることも。
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