築50年のマンションは[undreline]売却できます[/underline]。築50年マンションの資産価値は新築の約40%です。
売却できる可能性を上げるコツは、優秀な不動産会社を見極める・ホームインスペクションを依頼する・リフォームを行わない、などがあります。
築50年マンション売却は可能!
築50年前後のマンションを考えている方の多くは、「築50年マンションが本当に売却できるのか不安…」と感じているのではないでしょうか。
そこで、この章では築50年マンションの資産価値と成約物件中の築50年マンションの割合から、築50年マンションの売却が本当に可能なのかを見ていきましょう。
築50年マンションの資産価値は40%程度
まずは築50年マンションの資産価値について見ていきましょう。
以下のグラフは、マンションの価格が築年数と共にどのように変化していくのかを示しています。
出典|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年) レインズ
- 築年数別の詳細な平均売却価格のデータ
価格(万円) | 面積(㎡) | ㎡単価(万円) | |
---|---|---|---|
築0~5年 | 6239 | 55.40 | 112.61 |
築6~10年 | 5462 | 57.60 | 94.83 |
築11~15年 | 4686 | 59.06 | 79.35 |
築16~20年 | 5067 | 65.85 | 76.95 |
築21~25年 | 3979 | 65.03 | 61.18 |
築26~30年 | 2419 | 53.75 | 45.00 |
築31年~ | 2358 | 50.02 | 47.15 |
これらのデータから、築31年以上のマンションの平均売却価格は、新築~5年以内のマンションと比較しておよそ40%程度にまで価格が低下していることが分かります。
新築・築浅時と比較すると、マンションの資産価値はかなり低下していますが、築31年以降は価格の低下がほとんど止まっていることも分かります。
鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年であることから、築50年近くになるとマンションの建物の資産価値は0になります。
しかし、マンションの資産価値はマンションの建物部分と土地部分を合わせて決まるため、マンションの資産価値が0となることはありません。
そのため、築50年マンションであっても、ご自身のマンションに価格をつけて売却することが可能なのです。
成約物件中築50年マンションは3%程度
次に実際の成約物件の中で築50年マンションがどの程度の割合を占めているのかを見てみましょう。
以下は、2020年度の東京都における中古マンションの築年数別成約物件数を示したグラフになります。
出典|国土交通省 土地総合情報システム
2020年度に東京都にて取引された中古マンションの内、築46~50年マンションが4.4%、築51年以上のマンションが2.0%となっていることが分かります。
つまり、築50年前後のマンションは年間の成約物件の内、およそ3~4%程度だと考えることができるでしょう。
全体の3~4%と聞くとかなり少ないため不安になる方も多いのではないかと思われますが、東京都に絞っても1年間で成約している物件は10,000件以上存在します。
そのため、確かに築50年マンションの売却は難しいと言えますが、売却できない訳ではないことが理解できるでしょう。
築50年マンション売却相場
築50年マンションであっても売却が可能であることが理解できたら、次に実際にどのくらいの価格でマンションを売却できそうなのかについて見ていきましょう。
築50年マンションはいくらで売却できる?
以下は2020年度の東京都における中古マンションの築年数別平均売却価格を示したグラフになります。
出典|国土交通省 土地総合情報システム
2020年度の東京都における築46~50年マンションの平均売却価格は約2,500万円、築51年以上のマンションの平均売却価格は約2,700万円であることから、東京都の築50年マンションの売却相場はおよそ2,600万円であると言えるでしょう。
東京都における築0~5年以内のマンションの平均売却価格がおよそ5,200万円であることから、築50年マンションは50%程度値下がりしてはいるもののきちんと売却できていることが分かります。
東京都は全国的に見ても土地の価格が非常に高く、値下がりしづらいエリアでもあるため築50年マンションであっても築浅時の50%程度の価格で売却できているようです。
実際のマンションの価格は築年数だけでなく、物件の専有面積や立地条件など様々な条件から決まるため一概には言えませんが、少なくともそれなりの価格が付くことだけは確かなようです。
築50年マンションがいくらで売却できるかシミュレーションしてみよう!
築50年マンションの売却相場を理解できたところで、ご自身のマンションの価格がどのくらいなのかが気になっている方も多いのではないでしょうか。
マンションの価格が知りたい場合は、複数の不動産会社のマンション査定を依頼することが重要です。
築50年マンションは取引事例が少ない価格帯であることや、物件によって状態や条件が大きく異なるため、プロの目できちんと査定してもらう必要があるためです。
しかし、すぐにマンションの価格を知りたい方々は、以下のシミュレーターで簡易的にシミュレーションしておおよその想定売却価格を算出してみましょう!
築50年マンションを売却できる可能性を上げるためのコツ
築50年マンションの売却相場や簡易的にどのくらいの価格でマンションを売却できそうなのかが理解できたのではないでしょうか。
ここからは、築50年マンションの売却で、物件を売りきる可能性を上げるためのコツについて解説していきます。
築50年マンションを確実に売却したい方は特に必見の内容ですのでよく確認しておきましょう。
優秀な不動産会社を見極めて契約する
築50年マンションを売却できる可能性を上げる1つ目のコツは、売却に際して優秀な不動産会社を見極めて契約を結ぶことです。
優秀な不動産会社とは?
- マンションを高く売却する販売力や実績がある
- マンションを早く売却するノウハウや経験がある
- マンション売却を得意としている
- マンションが立地しているエリアを得意としている
- 築古マンションの売却実績がある
- 売主に対して誠実に向き合う姿勢が感じられる
これらを満たしている不動産会社を見極めて売却活動をサポートしてもらえば、売却が難しいと言われている築50年マンションであっても、売却成功に期待を持つことができるでしょう。
このような優秀な不動産会社を見つけるためにもマンションの査定は必ず複数の不動産会社に依頼するべきです。
査定価格だけでなく、その根拠や売却戦略、担当者の対応などをよく見極めて契約する不動産会社を選びましょう。
ハウスクリーニングを行う
築50年マンション売却の可能性を上げる2つ目のコツは、必要に応じてハウスクリーニングを行うことです。
ハウスクリーニングとは、清掃業者に依頼してプロに物件の掃除や清掃をしてもらうことです。
築50年マンションの売却では内覧が売却の成否を分けることになりますが、この内覧において清潔感をアピールすることが極めて重要になります。
内覧を成功させれば売却に大きく近づくため、築50年マンションを売却する際にはこのハウスクリーニングを行うことをおすすめします。
必要な箇所に絞って依頼することも可能なため、費用を抑えつつ効果的にマンションを売却できる可能性を上げることができるでしょう。
ホームインスペクションを依頼する
築50年マンションの売却の可能性を上げる3つ目のコツは、ホームインスペクションを依頼することです。
ホームインスペクションとは、専門家がご自身のマンションに欠陥や耐震性などの問題がないかや、住生活に関して危険がないかなど、マンションの安全性などを調査する住宅診断のことです。
築50年マンションともなれば、法定耐用年数を超えていることや、1981年以降の新耐震基準に適合していないマンションである可能性も高いため、このホームインスペクションを行うことで、買い手に物件の安全性をきちんとアピールすることができるでしょう。
築50年マンションなどの築古マンションの需要が高まっていることを考えれば、いかに競合となる築古マンションよりも買い手に良い印象を与えられるかが重要になってくるため、この点も抑えておきましょう。
建て替えが決まっていれば建て替え後に売却する
築50年マンション売却の可能性を上げる4つ目のコツは、マンションの建て替えが決まっている場合は建て替えが完了してからマンションを売却することです。
築50年程度のマンションでは、建て替えが行われるケースも存在します。その名の通りマンションが新しく建て替えられるため、建て替えが決まっている場合には、建て替え後に売りに出した方が大幅に高い価格で売却できるでしょう。
そのため、やむを得ない事情があるケースを除いては、マンションの建て替えが既に決まっている場合には建て替えが済んでから売却することで、売却できる可能性が高まるだけでなく、売却価格にも期待することができるでしょう。
買い手をイメージして売却戦略を練る
築50年マンション売却の可能性を上げる5つ目のコツは、買い手をイメージして売却戦略を練ることです。
簡単に言うと、築50年のマンションを購入する人が何を望んでいそうかや、どんな希望を持っていそうかを汲み取って売却活動を行うと言うことです。
築50年マンションを購入する人
- 築古マンションを安く購入して自分好みにリノベーションして暮らしたい
- とにかく安く購入したい
- 立地が良くて広い物件を探している
- 築古マンションに抵抗がない
- あまりに清潔感に欠ける物件は購入したくない etc…
このように築50年マンションを購入する買い手はどんな人なのかや、何を望んでいそうなのかをイメージしてみることで、ご自身のマンションのどんな魅力をアピールするべきかが見えてくるはずです。
効果的に買い手の興味を惹く魅力をアピールすることができれば売却に大きく近づくため、不動産会社の担当者のアドバイスなども参考に、売却戦略を考えていきましょう。
築50年マンション売却で後悔しないための注意点
築50年マンションを売却できる可能性を上げるためのコツが理解できたら、後悔しないための注意点についても確認しておきましょう。
この章では、築50年マンションの売却にあたって後悔しないための注意点を丁寧に解説していきます。
リフォームやリノベーションをしない
築50年マンションの売却で後悔しないための1つ目の注意点は、リフォームやリノベーションをしないことです。
この点は、築50年マンションを初めとする築古マンションの売却で多くの方が陥りがちなケースになるため注意が必要です。
というのも、築50年マンションともなると、マンションの劣化や破損などが目立つようになってきています。
このような場合に、マンションを少しでも高く売却したい方や、少しでも売却の可能性を高めたい方が焦ってリフォームやリノベーションを行った結果、仮に売却には成功してもそこにかけた費用を回収できなかったり、価格を高く設定したためにかえって売却しづらくなってしまったりするためです。
マンション売却において、売却前にリフォームやリノベーションを行った場合に、ほとんどのケースでその費用を売却価格に上乗せしても買い手は付きません。
さらに、築50年マンションの場合には自分好みにリフォームやリノベーションをするために安くマンションを購入したいと考えている方も多いため、逆効果になってしまう可能性が非常に高いのです。
このような理由で、築50年マンションの売却で後悔しないために、売却前にリフォームやリノベーションをしないように注意しておきましょう。
賃貸や空き家にして放置しない
築50年マンションの売却で後悔しないための2つ目の注意点として、物件を賃貸や空き家にして放置しないことが挙げられます。
築50年マンションの売却には築浅マンションの売却と比較して、売却期間が多少長くなってしまう可能性もあります。
そのような場合に、売却を一度諦めて賃貸や空き家にして放置するケースが存在しますが、マンションは時間が経つほど劣化が進み、建て替えなどを行う場合を除いては今よりも売却が難しくなっていきます。
そのため、築50年マンションを売却すると決めたら売却が完了するまで根気強く売却活動を行うようにしましょう。
不動産買取も検討する
築50年マンションの売却で後悔しないための3つ目の注意点は、どうしてもマンションが売れない場合には不動産買取も検討するということです。
不動産買取とは、通常のマンション売却とは異なり、不動産会社にご自身のマンションを直接買い取ってもらうという売却方法になります。
通常のマンション売却が仲介と呼ばれるのに対して、この方法は買取と呼ばれることが多いです。
不動産仲介では、多くのケースで不動産会社がマンションを直接買い取ってくれるため、「マンションがいつまでも売れずに身動きが取れなくなってしまった…」といったような最悪の事態を回避することができます。
また、買取が決まった場合にはすぐに契約締結となるため、スピーディーに売却を進めることができます。
一方で、不動産買取の場合には、通常の仲介による売却よりも低い価格での売却となってしまうケースがほとんどであることを理解しておく必要があります。
マンションが売れない場合に諦めてしまわずに、不動産仲介という方法が残されていることを知っておきましょう。
築50年マンションを売却しないとどうなる?
築50年マンション売却について解説してきましたが、仮に売却を諦めてしまうとどうなってしまうのでしょうか。
結論から言えば、建物の老朽化や故障の度に修繕を繰り返すか、建て替えるかのどちらかになります。
築50年マンションに住み続ける場合、建て替えが行われなければ修繕積立金は次第に値上がりしていき、負担が膨らんでいくことは想像に難くありません。
一方で建て替えについてはどうでしょうか。以下は国土交通省による建て替えの実施状況に関するデータになります。
実施準備中 | 5件 |
実施中 | 41件 |
工事完了済 | 270件 |
出典|国土交通省 マンション建替えの実施状況(2022年4月1日時点)
マンションの建て替えが実施されたのは、全国でわずか270件となっていることが分かります。
建て替えを行うためには、そのマンションの居住者も費用を負担する必要があるだけでなく、居住者の80%の合意を得なければならないため、実際にマンションの建て替えが行われるケースは非常に稀だと言えるでしょう。
このことから、売却を先延ばしにしていても、マンションの建て替えが行われない限りは値上がりしていく修繕積立金を負担し続けることになるばかりでなく、売却自体も難しくなっていくことが理解できるでしょう。
そのため、築50年前後のマンションの売却を考えている方は少しでも早く売却に取り掛かることをおすすめします。