「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
不動産取引の基本法律
不動産に売買は、人生に何度も経験する方も多くないため、難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、日本の不動産取引に関連する法律について、各カテゴリごとに紹介していきます。まずは、不動産取引の基本法律について、どのような法律があるのか、見ていきましょう。
法律は、改正されることもあります。
例えば、2024年4月1日に、相続した不動産に対して、名義変更することが「義務」になります。こういったケースがあるので、不動産売却の前に必ず最新の情報を調べるようにしましょう。
売買や賃貸借などの契約に関する法律
民法は契約の基礎となる法律で、「売買」や「賃貸借」の契約についても基本的な考え方が規定されている。
民法では、契約関係にある当事者同士が対等・公平であることが原則とされているが、土地や住宅など、不動産を売買するときや賃貸借するときには、事業者と消費者の間に交渉力や情報量等に差がある。
そのため、消費者に不利な取引にならないよう、民法とは別に消費者を保護するための法律も定められている。
民法(法務省)
民法では、契約の成立要件や手付け、瑕疵担保責任など、契約の基本的な考え方が規定されている。
契約内容について、当事者間で争いがあった場合や取り決めがない場合には、原則として民法に基づき解決することになる。
宅地建物取引業法(国土交通省)
宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が自ら売り主となる売買契約について、消費者保護の観点から、民法の規定にかかわらず、契約内容の一部に制限を加えるなどの規制がある。
具体的には、手付金や違約金等の金額の制限、瑕疵担保責任に関する制限が設けられており、これらの制限に違反する契約条項は無効となる。
一方、賃貸借契約の内容に関しては、宅地建物取引業法に特別な規制はない。原則として、借地借家法、民法、消費者契約法などに基づいて取り扱われる。
借地借家法(法務省)
賃借人保護等の観点から、土地(建物の所有を目的とするもの)及び建物の賃貸借契約に関して、民法の規定に優先して適用される法律である。
例えば、土地の賃借権の存続期間や更新、建物の賃貸借契約の期間や更新・終了などについて定められている。あわせて、定期借地や定期借家などについても規定されている。
また、借地借家法には、当事者で法の規定と異なる合意をしても、借地借家法の規定が適用される条項(このような規定を「強行規定」という)も含まれている。
消費者契約法(内閣府)
消費者契約法は、事業者と消費者には交渉力や情報量等に差があることから、事業者と消費者との間で締結された契約(これを「消費者契約」という)を対象として、消費者保護の観点から、民法に優先する規定を設けている。
具体的には、事業者の不適切な行為の結果、消費者が誤認、困惑したまま契約を締結した場合は、その契約を取り消すことができる。
また、契約内容に消費者の権利を不当に害する条項がある場合には、その契約条項を無効とすることなどが規定されている。
住宅の品質確保の促進に関する法律
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」 は、違法建築や不適切な売買によって買い主が不利益をこうむらないようにするための法律です。
売買された物件が新築の場合、その基礎などの構造に関わる部分や雨水の侵入に関わる部分について、10年間 の瑕疵担保責任が定められています。
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律
品確法では新築物件に対して10年間の瑕疵担保責任が課されていますが、損害賠償や契約解除になったとしても売り主側にその責任を負うだけの資金がなければ、そもそも補償を確実に果たすことができません。
そういった事態を避けるために、この法律では売り主に保険への加入や保証金の積み立てを義務づけています。
2020年4月の民放改正により、「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと変更されました。
「隠れた瑕疵」であったかどうかを立証するのが難しいため、売主が知っていたかどうかは論点にせず、契約時に伝えていた内容と違った場合に、買主から売主に損害賠償等を請求できるという規定になりました。
契約不適合責任について、詳しくは法務省の説明資料をご確認ください。
宅地建物取引業法とその役割
不動産取引における消費者保護と流通の円滑化を目的とする重要な法律が宅地建物取引業法(宅建業法)です。
この法律は、却手数料についてのトラブルを回避するための法律 「宅地建物取引業法」 によって、仲介手数料の上限が定められています。
物件の売り主が個人ではなく宅地建物取引業者(宅建業者)の場合は、宅地建物取引業法 によって物件の引き渡し日から最低2年間 の瑕疵担保責任が課されています。
不動産会社に課される規制
宅建業法は、不動産会社に対して広告規制、重要事項の説明義務、書面の交付義務などの規制を課しています。
これらの規制は、消費者が不動産取引を行う際に正確かつ十分な情報を得られるようにするためのものです。
・200万円以下の場合は5%、
・200万円を超えて400万円以下の場合は4%、
・400万円を超える場合は3%
が上限となっています(仲介手数料には別途消費税がかかります)。
※平成30年1月1日の宅建業法一部改訂により、400万円以下の不動産売買の仲介手数料の上限が18万円となりました。
注意いただきたいのは、これは、あくまでも上限なので必ずこの金額が請求されるわけではありません 。また、決められているのは上限のみで最低額は決まっていません。
消費者保護の観点
宅建業法の最大の目的は、消費者保護です。不動産取引は高額で複雑なものが多く、消費者が不利な立場に置かれることがあります。
不動産売買に関わる法律はとても多く、専門的な知識が必要になります。基本的には物件の相場やトレンド、競合物件などについて不動産業者のほうが圧倒的にくわしいため、どうしても業者側が契約の主導権を握りがちです。
そういった状況でも消費者が不利になることがないよう、「消費者契約法」でさまざまな取り決めがなされています。
また、宅地や建物の取引を業務としておこなうものに対して規制をおこなう法律が「宅地建物取引業法」です。
不動産を扱う上では、宅地建物取引業法による免許制度がとられています。
あくまでもそれを業務としておこなうもの、業者が売り主として契約をする場合に適用される法律なので、個人が売却する場合は適用の対象外です。先述した瑕疵担保責任についての規制や、手付金あるいは違約金についての取り決めなどがなされています。
借地借家法の概要
不動産取引において、賃貸物件に関する法律として重要なのが借地借家法です。この法律は、賃借人の権利を保護し、土地や建物の賃貸借契約に関する特別な規定を設けています。主に、賃貸契約の期間や更新などについて定められています。
また、先ほど説明した宅地建物取引業法と同じく、民法に優先して適用されます。
借地借家法の主な内容とその適用について理解することは、賃貸物件に関わるトラブルを避けるために重要です。
賃借人の権利保護
借地借家法は、賃借人保護の観点から、土地(建物の所有を目的とするもの)及び建物の賃貸借契約に関して、民法の規定に優先して適用される法律です。この法律は、賃借人の権利を保護するために、土地の賃借権の存続期間や更新、建物の賃貸借契約の期間や更新・終了などについて特別な規定を設けています。
契約の安定性と公平性
借地借家法による規定は、賃貸契約の安定性と公平性を保証するために重要です。例えば、定期借地や定期借家などについても規定されており、賃借人が安心して物件を利用できるようにするための措置が講じられています。また、当事者間で法の規定と異なる合意をしても、借地借家法の規定が適用される条項(強行規定)も含まれています。
トラブル回避のための法的枠組み
借地借家法は、賃貸物件に関するトラブルを回避するための法的枠組みを提供します。賃貸契約を結ぶ際には、借地借家法の規定を理解し、適切に契約内容を確認することが重要です。また、賃貸契約に関するトラブルが発生した場合には、借地借家法に基づいて解決することが可能です。
消費者契約法と消費者保護
不動産取引において、消費者の権利を保護するための重要な法律が消費者契約法です。この法律は、事業者と消費者間の契約における不平等を是正し、消費者を保護することを目的としています。消費者契約法の主な内容とその適用について理解することは、不動産取引における消費者の権利を守るために重要です。
消費者契約の特徴と保護
消費者契約法は、事業者と消費者との間で締結された契約(消費者契約)を対象としています。この法律は、事業者と消費者には交渉力や情報量等に差があることを認識し、消費者保護の観点から特別な規定を設けています。消費者が不利な立場に置かれないようにするための法的措置が講じられています。
契約の取り消しと無効条項
消費者契約法では、事業者の不適切な行為の結果、消費者が誤認や困惑したまま契約を締結した場合、その契約を取り消すことができます。また、契約内容に消費者の権利を不当に害する条項がある場合には、その契約条項を無効とすることが規定されています。これにより、消費者は不公平な契約条件から保護されます。
消費者の権利と救済措置
消費者契約法は、消費者が適切な情報に基づいて自由かつ公正な意思決定を行えるようにするための法的枠組みを提供します。不動産取引においても、この法律による保護は重要であり、消費者が不当な契約条件や不適切な商慣行によって損害を受けることを防ぎます。また、消費者が法的救済を求める際の基準となります。
消費者契約法は、不動産取引における消費者の権利を保護し、公正な取引環境を確保するための重要な法律です。この法律による規定を理解し、適切に活用することで、消費者は安心して不動産取引を行うことができます。
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土地と建物の利用に関する法律
不動産取引において、土地と建物の利用に関する法律は、都市の計画、開発、建築に関する基準を定め、環境の保全や公共の安全を確保するために重要です。以下では、主要な法律とその目的について解説します。
都市計画法(国土交通省)
都市計画法では、街が無秩序に開発されて、住みにくくなることなどを防止するために、市街化区域、市街化調整区域などの都市計画区域を定めるほか、市街化区域における土地の利用用途等を定めている。
市街化区域については、土地の利用用途のほか、建物の建ぺい率や容積率など、建物の建築に影響する規制がある。
国土利用計画法(国土交通省)
国土利用計画法は、土地の投機的取引や乱開発などを未然に防ぐために、総合的かつ計画的に国土の利用を図ることを目的とした法律である。
不動産取引に関しては、一定規模以上の土地の売買や交換などの取引に関する届出義務などを規定している。
建物の建築に関する法律
土地の都市計画法に従って適切に建物が建築されるため、また、建物の安全性を確保することなどを目的に建物の建築には、法律などにより制限が設けられています。以下が建物の建築に関する法律です。
建築基準法(国土交通省)
建築基準法は、建物の建築について最低限の基準を定めることにより、建物の安全性や居住性などを確保することを目的とする法律である。
例えば、都市計画法で定められた「用途地域」ごとに、建物の具体的な用途(住宅や商業施設、工場など)や、その高さ、面積などを定めている。
また、建物の安全確保に関する基準、防火・避難に関する基準などについても規定されている。
長期優良住宅の普及の促進に関する法律(国土交通省)
この法律は住宅を長期にわたり使用することにより、住宅の解体などによる廃棄物の排出を抑制し、環境への負荷を低減するとともに、建て替えに伴う費用の削減によって負担を軽減し、より豊かでより優しい暮らしへの転換を図ることを目的としている。
長期優良住宅の認定基準として、劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画などの性能項目を定めている。
都市の低炭素化の促進に関する法律(国土交通省、環境省、経済産業省)
この法律は、社会経済活動その他の活動に伴って発生する二酸化炭素は、その相当部分が都市において発生しているものであることから、都市の低炭素化の促進を図り、都市の健全な発展に寄与することを目的としている。
都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針の策定、市町村による低炭素まちづくり計画の作成やこれに基づく特別の措置、低炭素建築物の普及の促進のための措置を講じることが定められている。
不動産会社を規制するための法律
不動産取引において、不動産会社の行動を規制し、消費者を保護する法律は重要な役割を果たします。これらの法律は、不動産会社の業務運営を適正化し、不動産市場の透明性と信頼性を高めることを目的としています。ただし、すべての業種が法律で規制されているわけではないので注意が必要。例えば不動産の賃貸業や賃貸物件の管理業を規制する法律はない。
宅地建物取引業法(国土交通省)
宅地建物取引業法は、不動産取引における消費者保護と流通の円滑化などを図ることを目的として、
(1)自らが行う宅地や建物の売買や交換
(2)売買や交換、貸借をするときの代理や媒介(仲介)を営む不動産会社を規制する法律である。
具体的には、広告規制、買い主や借り主に対する重要事項の説明義務(物件や取引条件などを説明)、契約内容を記載した書面の交付義務、自ら売り主となる場合の契約内容の規制など、不動産会社の業務に様々な規制を定めている。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律(国土交通省)
マンションの管理の適正化の推進に関する法律は、マンションの良好な居住環境の確保を図るために、マンション管理業者への規制などを設けている。
具体的には、マンション管理業者に対して、管理業務に関する重要事項の説明や財産の分別管理などの義務を課すとともに、宅地建物取引業者には、分譲時における管理組合への設計図書の交付義務を課すなど、適正な管理が行われるための規制をしている。
また、管理組合に対して専門的な助言を行うマンション管
広告に関する法律や規制
不動産広告は、消費者が物件を選ぶ際の重要な情報源です。
そのため、消費者が物件の状態、法令による規制、購入の条件などについて適正な情報を入手して、取引を行うかどうかの判断を適切に行うことができるよう、不動産広告には次のような法律や規制がある。
宅地建物取引業法(国土交通省)
宅地建物取引業法では、誇大広告の禁止、未完成物件の広告開始時期の制限など、不動産広告に関する基本的な規制が定められている。
不動産の表示に関する公正競争規約(不動産公正取引協議会連合会)
不動産の表示に関する公正競争規約は、消費者保護を目的として、不動産業界が自主的に定めた不動産広告のルールで、不当景品類及び不当表示防止法の規定に基づき公正取引委員会の認定を受けている。
具体的には、消費者が正しく広告内容を理解できるよう、広告表示の開始時期の制限や広告表示の詳細な基準等を定めている。
権利関係に関する法律
不動産の権利には、土地に対する権利(主に所有権と借地権)、建物に対する権利(主に所有権と借家権)などがある。
利害関係者とのトラブルを回避するためには、こうした権利を正しく理解する必要がある。不動産の権利関係については、主に次のような法律が定められている。
民法(法務省)
民法では、不動産に関する権利を大きく物権(所有権や地上権、抵当権など)と債権(賃借権など)に分け、権利の内容やその効力など、基本的な権利関係を定めている。例えば、自らの権利を第三者に主張するための要件(一般的に「第三者対抗要件」といわれる)などが規定されている。
建物の区分所有等に関する法律(法務省)
建物の区分所有等に関する法律は、分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利や義務のほか、管理に関する事項などを規定した法律である。
例えば、専有部分・共用部分・敷地に関する権利関係のほか、区分所有者の集会における議決権に関する事項な
どが定められている。
借地借家法(法務省)
賃借人保護等の観点から、借地権や建物賃貸借の権利関係に関して、民法の規定に優先して適用される法律で
ある。
例えば、自らの借地権や建物賃貸借を第三者に主張するための要件(一般的に「第三者対抗要件」といわれる)、その他借地人や借家人に認められた権利などが定められている。
また、借地借家法には、当事者で法の規定と異なる合意をしても、借地借家法の規定が適用される条項(このような規定を「強行規定」という)も含まれている。
マンションの建替えの円滑化等に関する法律(国土交通省)
多くのマンションが今後老朽化することへの対応策として、マンションの良好な居住環境の確保や生活の安定向上、経済の健全な発展のために、マンションの建て替えを円滑に行うための法律である。
マンションの建て替えの円滑化等を図るために、マンション建替組合の設立、権利変換手続による関係権利の円
滑な移行等の措置を定めている。
不動産登記に関する法律
土地や住宅の所有権等を第三者に主張(対抗)するためには、不動産の登記をする必要がある。
登記により、不動産の現況や、権利関係を公示し、不動産の所有権などの権利者とその内容を、第三者に明らかにすることができる。不動産登記の手続きなどは法律で定められている。
不動産登記法(法務省)
不動産登記法は、不動産登記に関する手続きを定めることで、不動産に関する権利の保全と取引の円滑化を図るための法律である。
例えば、登記の対象となる権利や登記の内容、必要な書類と手続き、その他登記に関する義務などについて規定している。なお、不動産登記法は平成16(2004)年に大幅な改正が行われ(施行は平成17(2005)年3月7日から)、オンライン登記が可能になるなど、登記手続きも大きく変更されている。
マンション管理に関する法律
マンションでの共同生活を円滑にし、所有者の共同の財産を守るために、マンション管理に関する法律が整備されている。
建物の区分所有等に関する法律(法務省)
建物の区分所有等に関する法律は、分譲マンションなどの区分所有建物の管理に関する事項のほか、権利や義務権利関係などを規定した法律である。例えば、管理組合の規約や運営、建物の修繕や建て替えなどについて定められている。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律(国土交通省)
マンションの管理の適正化の推進に関する法律は、マンションの良好な居住環境の確保を図るために、マンション管理業者への規制などを設けている。
具体的には、マンション管理業者に対して、管理業務に関する重要事項の説明や財産の分別管理などの義務を課すとともに、宅地建物取引業者には、分譲時における管理組合への設計図書の交付義務を課すなど、適正な管理が行われるための規制をしている。
また、管理組合に対して専門的な助言を行うマンション管理士の制度や管理組合の支援団体であるマンション管理適正化推進センターの創設なども定められている。
住宅の瑕疵(欠陥など)に関する法律
購入した住宅に、買い主が知り得なかった瑕疵(かし)があることを発見したときに、売り主がその瑕疵について責任を負うことを瑕疵担保責任という。瑕疵担保責任については、次のような法律で定められている。
民法(法務省)
民法では、売買における売り主の瑕疵担保責任について、買い主は契約の解除または損害賠償の請求ができるものと定めている。(ただし、契約の解除は、瑕疵があるために売買の目的を達成することができない場合に限る)
なお、民法では、売り主が瑕疵担保責任を負うのは、買い主が隠れた瑕疵があることを知った日から1年以内と定
めている。
宅地建物取引業法(国土交通省)
宅地建物取引業法の規制により、宅地建物取引業者は、自ら売り主となる契約においては、瑕疵担保責任を2年以上負わなければならない。
この規定は民法の規定に優先するため、この制限に違反する契約条項は無効となる。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(国土交通省)
住宅の品質確保の促進等に関する法律は、住宅の品質確保の促進や、住宅購入者等の利益の保護、住宅にかかわる紛争の迅速かつ適正な解決を図ることなどを目的として定められた法律である。
具体的には、新築住宅の売り主などに10年間の瑕疵担保責任を負うことを義務づけるとともに、住宅の性能の表示基準や、住宅性能評価を受けた住宅にかかわる紛争処理を円滑に行うための体制についても規定している。略して「品確法」と呼ばれることがある。
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(国土交通省)
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律は、新築住宅の売り主などが、住宅の品質確保の促進等に関する法律で規定されている10年間の瑕疵担保責任を確実に履行するための規制が設けられている。
具体的には、平成21(2009)年10月1日以降に引き渡す新築住宅の売り主などに対して、保険加入または保証金の供託(積み立て)を義務づけている。
これによって、新築住宅の売り主が、倒産などにより瑕疵担保責任を負うことができない場合でも、瑕疵の補修などの費用について、保険会社に請求または供託金の還付請求を行うことができる。
出所:公益財団法人不動産流通近代化センター「不動産ジャパン」
不動産に関する法律の改正まとめ
法律はときによって、必要に応じて改正されることがあります。
20204年から名義変更が義務化
まず、直近に控えている法改正についてお伝えします。
2024年4月より、「名義変更が義務化」されます。改正民法は2020年4月1日に施行され、実に明治以来120年ぶりの大改正となります。この変更は、相続後の不動産取引や権利関係の明確化を図るためのものです。
これにより、死亡後に不動産の名義変更を行わない場合、罰金などのペナルティが発生する可能性が出てきます。
法定利率の変更
つぎに2020年に施行された民法についてご紹介します。
5%だった法定利率が、民法の改正によって3%に引き上げられました。契約時に利率が明示されていない場合には、この利率が適用されます。
現在は「超低金利時代」と言われていますが、そういった時代背景に即した形の法定利率に見直された格好です。
また、今までは5%で一定でしたが、改正によって3年ごとに見直しが可能になりました。より時代に即した運用が求められている結果と言えるでしょう。
契約不適合責任
民法改正による大きな変更点に、瑕疵担保責任の廃止 があります。
当サイトで繰り返し説明している「瑕疵」に関して、売り主の売買における義務は以下の内容を前提としたものに変わります。
・物の種類、品質、数量に関して契約の内容に適合するものを引き渡すべき義務→引き渡したものが契約に適合していない場合、売り主の責任は債務不履行責任となる。
・契約の内容に適合する権利を供与すべき義務→権利が契約の内容に適合していない場合、売り主の責任は債務不履行責任となる。
従来の瑕疵担保責任では「隠れた瑕疵」、つまり、「その不具合や欠陥が事前にわかっていたか(知らされていたか)」という点が重要でしたが、改正によって 「契約の内容に適合しないかどうか」 という点が重要になります。
つまり、買い主がその事実を知っていたかどうかにかかわらず、売買物件に契約内容と相違がある場合には売り主は債務不履行責任を問われることになり、追完請求や代金減額請求に応じなくてはならないということです。
この責任を、「契約不適合責任」 と言います。
債務不履行責任が生じた場合、買い主が売り主に対して請求できる権利は以下の2つです。
保管請求権(改正民法562条より引用)
1.引き渡された目的物が種類,品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは,買主は売主に対し,目的物の修補,代替物の引き渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし,売主は,買主に不相当な負担を課すものでないときは,買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2.前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは,買主は,同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
代金減額請求権(改正民法562条より引用)
2.前項の規定にかかわらず,次に掲げる場合には,買主は,同項の催告をすることなく,直ちに代金の減額を請求することができる。 – 履行の追完が不可能であるとき。 – 売主が履行の追完を拒絶する意思表示を明確に表示したとき。 – 契約の性質又は当事者の意思表示により,特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において,売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。 – 前3号に掲げる場合のほか,買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3.第1項の不適合が買主の責めに帰すべき事由であるときは,買主は前2項の規定による代金の減額を請求することができない。
一方で、従来は売り主側の故意や過失にかかわらず、「隠れた瑕疵」の存在によっては責任を負う必要がありました。
改正後は、売り主に予見できなかったような責任を負うべき理由がない欠陥の場合には免責 となります。
2018年4月施行のインスペクションとは?
インスペクション(記事#20へリンク) は調査・診断といった意味。不動産業界では「ホームインスペクション」といって、不動産の状態を診断する調査 を指します。
中古住宅売買における欠陥や不具合によるトラブルを未然に防ぐため、不動産業者は中古物件を売りに出す前にホームインスペクションを活用することを促さなければならないと、改正版の宅地建物取引業法 に盛り込まれています。
不動産売却で売り主がもっとも気にする点が、「瑕疵」について。
民法改正後は、売り主がその瑕疵を知っているかいないかにかかわらず責任を負わなければならない可能性も出てきますので、ホームインスペクションの活用で双方が安心できる取引の実施が期待されています。
専門家に相談をするのも一つの手
不動産売却には、住宅に関する多くの法律と専門的な知識が必要になることがおわかりいただけたでしょうか?
自分で問題を解決しようとするとさらに複雑化する場合もあるので、状況に応じて専門家に相談しましょう。
専門家に相談すべきケース
所有者が認知症を患っていて本人では売却をすることができない場合、成年後見人や特別代理人を立てる必要があります。本人の判断能力があるものとして、家族や親族が勝手な判断をすると犯罪になってしまう可能性があるので、専門家への相談が必要です。
弁護士に査定してもらうほうがスムーズなケースも
不動産の売却については、不動産業者に相談するのが定石。ですが、法律に関わるトラブルがあるような物件の場合は弁護士に依頼したほうが良い場合もあります。
契約中や契約後に瑕疵が発覚したり、土地の境界があいまいだったりなど、裁判に発展しかねないケースでは不動産業者よりも弁護士に相談したほうが安心です。
不動産は大きな金額が動くだけに、トラブルが発覚した際にはできるだけ早く相談をするのが賢明です。
多くの不動産会社から自分の希望に合う会社を見つけるには、イエウールの一括査定を利用するのも一つの手です。
物件の査定額を手間なく一括で知る ことができますし、査定額の違いはその会社の強みや弱みといった情報として見ることができ、自分の希望に合う会社を知る手がかりにもなります。
土地、戸建て、マンションなどの不動産を売却しようと考えている方は、まずはイエウール で一括査定してみましょう。
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