不動産個人売買とは、不動産会社を介さずに売主と買主が直接不動産の売買を行う売却方法です。
自由度が高く仲介手数料もかからない売却方法ですが、住宅ローンの借り入れには注意が必要です。
この記事では、不動産個人売買で住宅ローンを組むことはできるのか、できなかった場合の対策などを詳しく解説しました。
「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
不動産個人売買では住宅ローンを組めない
不動産個人売買を行う上で、住宅ローンを組むことができるのか不安に思っている方もいるでしょう。
結論から申し上げますと、個人売買で住宅ローンを組むことは非常に難しいと言えます。
どうして個人売買では住宅ローンを組むことができないのか詳しく解説します。
理由1|重要事項説明書が必要だから
住宅ローンを借り入れる際は、重要事項説明書という書類が必要となります。
重要事項説明書とは、売買する物件の情報、売買時の詳しい条件など、取引内容が詳しく記載されている書類のことです。
重要事項説明書は宅地建物取引士の資格を持った人しか作成することができません。
そのため、不動産会社が介入しない個人売買では重要事項説明書を用意することができず、住宅ローンを組むことができないのです。
理由2|トラブルが発生するリスクが高いから
不動産個人売買は、不動産のプロが売買に携わらないため、トラブルが発生する可能性が非常に高いです。
買主が詐欺に巻き込まれる、買主と売主の間でトラブルが発生し契約が破綻になるなど、不動産個人売買では様々なトラブルが発生します。
銀行はトラブルに巻き込まれることを恐れて、不動産個人売買という高リスクな取引に融資をすることに消極的なのです。
理由3|家購入以外の用途に使われる可能性があるから
銀行は、住宅ローン利用者が借入金を家購入以外の用途に使うことも危惧しています。
住宅ローンはその他のローンと比較すると、金利が低く総返済額が少なくなります。
そのため、金利の低い住宅ローンを借り入れて、隠れて子どもの教育資金や生活費に利用しようと考える方もいます。
このような方に住宅ローンの借り入れを許可してしまうと、銀行の信用に関わります。そのため銀行は、個人売買というリスクのある取引では住宅ローンの借り入れを許可しないのです。
不動産個人売買で住宅ローンを組む方法
不動産個人売買では住宅ローンを借り入れることが難しいとはいえ、住宅ローンを借り入れることができなければ売買契約が成立しない場合もあるでしょう。
不動産個人売買でどうしても住宅ローンを組みたい場合は、以下の方法を試してみましょう。
重要事項説明書の作成だけ不動産会社に依頼する
住宅ローンを組むためには、宅地建物取引士の作成した重要事項説明書が必要です。
そのため、重要事項説明書の作成のみを不動産会社に依頼することで、問題なく住宅ローンを借り入れることができます。
しかし、不動産会社に依頼すると、売買にかかる費用が高くなってしまうのではないかと心配な方もいるでしょう。
少しでも売買にかかる費用を少なくしたい場合は、仲介手数料の値下げ交渉に応じてくれる不動産会社を探すことをおすすめします。
重要事項説明書の作成のみを依頼する場合、不動産会社の業務量は一般的な売却活動と比べると少なくなるため、仲介手数料の値下げに応じてくれる可能性は高いです。
そのため、重要事項説明書の作成を依頼する際は、「仲介手数料はいくらになりますか?」と質問し、仲介手数料の値下げ交渉をしてみましょう。
不動産個人売買サポートサービスを利用する
不動産の個人売買を検討している方に向けたサポートサービスを提供している会社に相談することによって、住宅ローンを借り入れることもできます。
個人売買専門のサポートを行っている不動産会社であれば、仲介手数料の相場よりも低い料金設定がしてあるなど、売買に費用をかけたくない方でも気軽に利用することが可能です。
また、重要事項説明書の作成だけでなく、住宅ローンの審査申し込みの代行や低金利商品の紹介など、不動産売買に必要な業務も行ってもらうことができます。
個人売買で不安な手続き等がある方は、手厚いサポートが用意されているサービスを探してみましょう。
住宅ローン以外のローンを利用する
不動産個人売買で住宅ローンを借り入れたいけど、どうしても不動産会社(宅建士)に重要事項説明書の作成依頼ができないという場合は、住宅ローンを借り入れることはできません。
よって、重要事項説明書を用意できない場合は、住宅ローン以外のローンを借り入れることも検討しましょう。
住宅ローンではないローンを利用する際は、重要事項説明書が不要な場合があり、個人売買であっても借り入れをすることが可能です。
しかし、重要事項説明書が不要なローンは、一般的な住宅ローンと比べると金利が高く、総返済額が高額になることが予測されます。
返済負担を減らすためにも、金利の低い住宅ローンを利用できるように、重要事項説明書を用意するようにしましょう。
不動産個人売買はおすすめできない売却方法
ここまで、不動産個人売買で住宅ローンを借りる方法を解説しました。
しかし、不動産個人売買はトラブルが起こりやすいため、あまりおすすめできる売却方法ではありません。
住宅ローン控除の特定取得とならない
不動産個人売買では住宅ローン控除に関係する特定取得に該当しません。
特定取得とは、消費税が8%・10%に増税された後に住宅を取得した場合に該当するもので、住宅ローン控除の年間再来控除額の引き上げ、控除期間の延長といった通常の住宅ローン控除よりも負担軽減措置を受けることができます。
しかし、個人売買では消費税がかからないため、特定取得には該当しません。よって住宅ローンを借り入れることができたとしても、最大年間控除額は20万円となってしまうのです。
契約不適合責任に問われるリスクがある
不動産個人売買をする際は、不動産会社の査定を行わずに売買を行うこともあるでしょう。
詳しい家の調査を行わずに家を売却した場合、後ほど契約不適合責任に問われ賠償金を支払うトラブルが発生する可能性があります。
契約不適合責任とは、契約書に記載している物件と違う物件を売却してしまった際に問われるものです。売却後に契約書に記載されていなかった欠陥(シロアリ被害、雨漏りなど)が見つかった場合、賠償金を請求されます。
不動産会社を介して売却を行う場合は、不動産のプロに物件を調査してもらうため、欠陥がある場合は指摘してもらうことができますが、個人間の売買では詳しい物件調査を行わないことが多いため、契約不適合責任に問われる可能性も高くなります。
もし売買時に家の欠陥が心配な方は、ホームインスペクションを行うことをおすすめします。
贈与税の対象となる可能性がある
不動産個人売買を行う際に、「知り合いに安い価格で家を譲ってもらう」と考えている方もいるでしょう。
しかし、相場より安い価格で家が売買された場合、贈与税の対象となり買主の負担が大きくなります。
贈与税の対象とならないためには、相場を確認して適正価格で売却する必要があります。
不動産会社に査定してもらう、査定シミュレーションを利用して家の価値を確認するといった対策を取ることをおすすめします。
住宅ローンを利用したいなら不動産会社に相談しよう
ここまで不動産個人売買での住宅ローンについて詳しく解説しました。
不動産個人売買で住宅ローンを借り入れることは難しいため、住宅ローンを利用して不動産を購入したい場合は、一度不動産会社に相談することをおすすめします。
また、家を売却する前は不動産一括査定を利用し、複数の査定結果を比較して適正価格を確認しましょう。
不動産一括査定サイト「イエウール」なら、一度の申し込みで最大6社の査定結果を比較することができ、適正価格を把握することができます。
全国の優良企業と提携しているため、不動産個人売買で分からないことがある場合も、親身になってサポートしてくれる不動産会社に出会うことができます。
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