「まずは不動産売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
羅災証明書とは
罹災証明書とは、災害の被害にあった場合に、火災被害の程度を証明する書類です。
万が一、火災の被害にあった場合、各公共サービスや保険会社に報告する必要がありますが、その際の証明となります。
火災で被害を受けた際に発行される罹災証明書は、被災者が生活を再建するために必要な多くの手続きや支援を受ける際に不可欠な証明書です。例えば、罹災証明書は、火災保険の請求時に必要です。保険会社に対して被害の証明を行うために提出します。
また、火災によって住居がなくなった場合、仮設住宅を利用したいと考える方も多くいらっしゃいます。
その被災者向けの仮設住宅の利用申請時に、罹災証明書が求められることがあります。
さらに、地方自治体や政府から提供される災害援助金や補助金を申請する際にも必要です。
取得方法や具体的な申請手順は次の章をご覧ください。
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羅災証明書の請求先は消防署
災害により家屋に被害が生じた場合は、管轄の消防署に罹災証明書を申請・発行してもらいましょう。管轄の消防署とは、火災が発生した場所を管轄する消防署です。
申請書の様式は消防署に備えてあるほか、ウェブサイトからダウンロードできる自治体もあります。
管轄の消防署は、該当する市区町村のウェブサイトから調べることができますよ。
罹災証明書の申請する手順
罹災証明書は次の手順で取得できます。
- 火災現場の写真撮影する
- 消防署への罹災申告書の提出
- 被害の状況調査・被害の程度を認定する
- 罹災証明書の申請
- 罹災証明書交付
罹災証明書はご自身で請求する必要がある書類です。
罹災証明書はさまざまな場面で必要になるので、余裕をもった枚数を取得しておくとよいでしょう。
罹災証明書は必要になる場面は非常に多く、証書などの再交付申請時、火災保険の請求時、税の減免手続き等のタイミングで必要となります。
罹災証明書は持家でも賃貸でも、いずれの場合でも発行してもらえます。
なお、罹災証明書とよく似ているものに被災証明書がありますが、こちらは人に対して災害による被害を受けた証明書に当たります。
罹災証明書とは目的も内容も大きく異なるため、間違えないようにしましょう。
※参考:内閣府、防災証明書概要
罹災証明書の申請前後にすべきこと
罹災証明書の申請前後にすべきことは、次の6つです。
- 現場写真の撮影
- 罹災状況申告書の提出
- 罹災証明書の申請
- 加入している保険会社への連絡
- 後かたづけ
- 近隣へのあいさつや諸証書の再発行手続きなど
それぞれ詳しく見ていきましょう。
現場写真の撮影
まずは、警察・消防の現場検証が終わってから撮影をします。被害の状況が良く分かるように、できるだけ多く細かく撮影しておくとよいでしょう。撮影した写真は、罹災状況申告書の提出、罹災証明書の申請、保険会社への申告などに使用することがあります。できるだけ多く撮影しておいた方が、書類を作成する際にも便利です。
もしも市区町村の職員が現状を確認する前に、建物を修繕する必要性がある場合には、被害当時の状況が分かるように修繕前に撮影しておきましょう。
また火災があった時点で二次災害を防ぐべく、ライフラインについては消防署から各供給会社へ止めてもらうよう連絡が入っていることがほとんどです。ただ万が一のこともありますから、自分でも確認の連絡を入れておくと安心です。
※参考:和光市、罹災証明書について
罹災状況申告書の提出
罹災状況申告書を管轄の消防署を提出することが必要です(消防法第34条)。提出期限は消防署に確認しましょう。概ね1週間以内ですが、それ以上の場合もあれば、それ以下のこともあります。また、書式は消防署が用意してくれる場合が多いです。消防署では火災の原因などを調べ、今後の予防策に役立てるために火災調査を行います。この時に渡してもらえることが多いのですが、提出自体はあくまでも任意です。
しかし提出すると罹災証明書が早期に発行してもらえるため、提出しておいて損ではありません。住宅の火災の場合は不動産罹災申告書と動産罹災申告書の2種が必要となります。
参考:仙台市、罹災申告書
東京消防庁、火災に遭われた方へ
罹災証明書の申請
罹災状況申告書の手続きが終了したら、罹災証明願を提出し、罹災証明書の申請を行います。申請期限
もし申請期限が設けられていなかったら、遡って勝手に申告してきて、不正な申請が起きるかもしれません。そのため、申請期限が設けられており、例として火災から2週間以内としている市町村もあります。申請期限を消防署に確認し、できるだけ速やかに手続きをすることがポイントです。火災に遭った本人や家の持ち主は気落ちしてしまっていることもありますから、率先して周囲の人が手助けしてあげるのも良いでしょう。
申請者
本人、もしくは親族が申請できます。証明書を受領する際には印鑑が必要になるため、代理人を立てる場合は信頼できる人にお願いしましょう。また本人・親族以外の代理人が消防署に出向く場合は、委任状を準備することが必要です。委任状についてはPDFやWord形式でダウンロードできる場合もあるため、こちらも市区町村のサイトを確認しておくと役立ちます。
参考:東京消防庁
持参するもの
印鑑、運転免許証など顔写真つきの本人確認文書、現場写真などが挙げられます。基本的には、事前に消防署に電話で確認をしてから準備しておきましょう。また焼失している場合は、どうしたらよいかの相談もあわせてすると便利です。申請から発行までの期間
罹災台帳に記載がある場合は、即日か翌日までに発行されます。しかし罹災台帳に記載がない場合は、火災現場の現地調査の後に発行されるため、時間がかかります。1週間以上かかる場合もあり、広範囲な火災だった場合は1か月近くかかってしまうケースもあります。そのため申請はなるべく早めに行い、そのほかの手続きもスムーズに進められるように、何枚必要なのかなども把握しておくことがポイントです。
しかし1か月もかかるとなると、手続きや家屋の片づけにも支障が出てしまいます。そんな時に便利なのが罹災届証明書です。
発行に時間がかかる場合は罹災届出証明書の申請を
罹災証明書がすぐに発行できない場合、急いで手続きしなければならない手続きのため、罹災届出証明書を即日発行してくれます。これは罹災証明書を発行申請していること自体を証明する書類で、様々な場面で罹災証明書の代わりになってくれます。
罹災証明書の申請時に、発行期間の確認とあわせて問い合わせをしてみましょう。申請できる人は火災損害届の提出者で、代理人を立てることも可能です。
罹災証明書を待つ余裕があると確実に判明している場合は、合わせて申請する必要はありません。ただもらっておくと、万が一の時に利用できるため、発行してもらって損はありません。
参考:岡山市、火災による罹災(届出)証明書の発行
加入している保険会社への連絡
担当者に火災に遭ったことを伝え、現地調査、被害金額と保険金の算定を依頼しましょう。全焼扱いになれば保険は全額支払われますが、そうでない場合は損害額と評価額から算定されます。罹災証明書または罹災届出証明書が必要な場合があるので、具体的な手続きは、担当者に確認をしながら進めるのが一番です。ただ保険会社へ連絡する前に家屋を解体してしまうと、火災保険金がおりない場合があるので注意しましょう。
保険の内容によっては、建物だけの補償、建物と内部の家具なども含めた補償など違いが出ます。また税金や法律上における問題など、様々な相談に無償で対応してくれることもあるため、連絡は必ず行っておきましょう。
この時同時に、クレジットカード会社にも連絡を入れて、第三者からの不正利用を避けましょう。
後かたづけ
後片付けは、消防署や保険会社の現地調査が終わってからにしましょう。それより前に行うと、火災にあった時の正確な情報が分からないため、調査に影響が出る恐れもあります。痛々しい現場なので早く片づけたい気持ちも分かりますが、ここは後のことも考えて調査を待ちましょう。
調査後片づけを開始しますが、燃えていないごみや火災ごみは、この時点でできるだけ処分をしておくと良いでしょう。処分をしていないと、解体する必要が出た場合に工事費が高額になるためです。
また火災ごみ・粗大ごみの処分は、ごみ処理場の予約が必要な場合が多いので、後かたづけをする前に市町村の清掃担当部署に相談します。
罹災証明書があれば、ごみ処理料の減免される場合もあるので、あわせて相談することをおすすめします。できる限り燃えていないごみや粗大ごみが片付けられたら、ここで解体業者に依頼するようにしましょう。
また建物登記関係において、法務局で滅失登記をすることで固定資産税が翌年以降、火災を受けて全焼した建物に対してはかからなくなります。
近隣へのあいさつや諸証書の再発行手続きなど
もし家が全焼していて、他に住む場所がなかったり、頼れる人がいない場合は都営住宅や市営住宅などへの入居ができないか市区町村へ相談してみましょう。また仮に近隣に被害が出なかったとしても、煙や炎で怖い思いをしていることを考えると、粗品を持ってお詫びの挨拶をしておくとスムーズです。一般的に、タオルや菓子折、洗剤など2,000〜3,000円の物です。ただ炎が他の家にも燃え広がっている場合は、この限りではありません。
また、電気・ガス・電話・水道の手続き、証書類の再発行、亡くなったり障害を負った人がいる場合は年金などの手続きを進めることが必要です。保険証は、罹災証明書を確認して再発行されますが、運転免許証などは身分証明書が必要になるためまた異なります。
それぞれにどのような手続きが必要かは、市町村の生活安全担当部署で一覧表を作成している場合があるので取り寄せたり、相談をしながら手続きをしましょう。
被災した人が高齢者や障がい者の場合は、地域の民生委員にも相談しておきます。特に重要なのは、市区町村で行っている火災に遭った人向けの減税措置です。
市民税などの減税、市税の徴収猶予、固定資産税などの減免、国民保険や介護保険の免除、保育所保育料の減免などなど、様々な減税措置が受けられます。これについては、次の項目で詳しく説明します。
罹災証明書が発行によりどのような支援が受けられるのか
それではどのような支援が市区町村や国から受けられるのか、代表的なものを解説します。税金や国民健康保険料などの減免
火災で被害を受けた家屋の固定資産税や国民健康保険料、医療費などが減免されます。また所得税の確定申告や住民税の申告の際に、雑損控除または減免が適用となる場合があります。届け出先は、所轄の税務署や市町村・特別区の保険年金・税務担当部署などです。ただ受け取れるかどうかの判断や手続きの概要が非常に複雑で、申請先が違います。
たとえば福祉資金の場合は、被災から6か月以内に社会福祉協議会へ申請することになりますが、水道料金などの減免は対象地域の水道局水道事務所に申請しなくてはなりません。さらにこれはあくまで一例で、市町村によって異なります。
市町村で作成している火災の被害を受けた場合の手続きの一覧表などで確認したり、役所の総合窓口で相談するとよいでしょう。
見舞金や支援物資の支給
市町村によっては、被害の程度によって見舞金や支援物資などの支給をしている場合があります。市町村の生活安全担当部署や社会福祉協議会に相談しましょう。たとえば都城市では日本赤十字社より、毛布やタオルケット、救急セット、ブルーシートなどが支給されます。福祉課から見舞金が送られたりしますが、基本的にはどれも支給申請が必要になることは覚えておきましょう。
自分で情報を得て申請する必要がある
ここまで見てきて分かるように、火災に遭った場合の行政の支援策は様々なものがあります。しかし罹災証明書が発行されれば、自動的に支援が受けられるというものではありません。自分で情報を得て、期限内に自分で申請をする必要がある申請主義が原則です。不明・不安なことは、市町村の生活安全担当部署に遠慮なく相談しましょう。また被災した人が高齢者や障がい者の場合は、地域の民生委員にも相談しておくと安心です。
- 減免措置あり
- 支援金ももらえる
- 自分で申請が原則
住まいの再建に向けて
様々な手続きに目が回りそうですが、もう一度暮らしを立て直すために住まいの再建も考えていかねばなりません。そこで、再建に向けてまずしていくべきことをおさえましょう。仮住まいの確保
火災によって住む所がなくなってしまった場合は、公営住宅などに一時的に入居できます。場合によっては、被害を受けた住居が修復されて再び住むことができるようになるまで、優先的に公営住宅に入居することができます。火事の当日の宿泊先については、消防隊員が案内してくれる場合が多く、ひとまずは安心です。ただその後については市町村の住宅担当部署に相談する必要があるため、それぞれの部署に問い合わせましょう。
家族の協力を得て一時的にそちらへ住む、という方法もあります。もし火災によって燃えた家を取り壊し、土地を売却する場合には、かつて火災があった物件であることを前提に売ることになります。
したがって信頼できる不動産会社を選ぶ必要があるため、そんな時に全国1,600か所以上の優良な不動産会社へ一括査定が依頼できるイエウールはおすすめです。
家屋を修理・修繕する場合
火事に遭った家屋を修理・修繕した場合、その費用を確定申告の際、雑損控除の損害額として計上できます。領収書、罹災証明書、源泉徴収票、火災保険金の支払通知書を保管しておきましょう。家屋を解体する場合
修理しても住めない場合や、これを気に家屋を解体する場合には、業者へ依頼が必要です。どのような業者に解体を依頼すべきか
解体工事の見積りは、必ず複数の業者に依頼しましょう。また、火事に遭った物件であることを必ず伝えます。見積もりを複数行うのはただでさえお金がなく不安な状態では辛いかもしれませんが、最低でも2社以上がベストです。また火災を受けた家屋の解体経験が少ない業者だと、思わぬトラブルを招くかもしれません。以下の4つのポイントにこだわって、業者を決めましょう。
業者を決めるポイント |
①火災家屋解体の制度に詳しいこと ②親切に対応してくれること ③料金体系が明確であること ④火災家屋の解体工事は近隣の目が厳しいので、近隣への気遣いと丁寧・慎重に仕事を進めることを心得ていることである。 |
火事を経験することは、人生でそう多いことでもありません。契約をしたら不安・不明なことは業者に相談し、アドバイスを受けながら手続きや近隣住民への対応をしていきましょう。
解体にかかる費用
火災家屋の解体費は、一般住宅の解体費と比較すると高額になりがちです。ごみの処分費用だけにとどまらず、廃棄物の内容にもよります。ただし、行政の一般廃棄物処理場が火災を受けた建物に対して一般廃棄物とみなし、引き取る際の廃棄物処理手数料の減免が受けられる場合があるので、市町村・特別区の廃棄物担当部署に相談します。
また、解体工事業者がこの制度に詳しい場合があるので、相談しながら手続きを進めていきましょう。解体に要した費用に関しても、確定申告の際に雑損控除の損害額として計上できます。
領収書、罹災証明書、源泉徴収票、火災保険金の支払通知書を保管しておき、確定申告の時に内容が確認できるようまとめておくと便利です。
解体した後の手続き
火災家屋を解体した後は、1か月以内に建物の滅失登記をすることが不動産登記法で定められています。滅失登記(建物滅失登記)をしないと、翌年以降も固定資産税が課されてしまうため、重要な手続きです。滅失登記の手続きは法務局ですが、建物の所有者が行うことになっています。その際、罹災証明書が必要になるので準備をしておきましょう。手続きのやり方がわからない場合は、法務局や司法書士に相談します。
なお、解体した建物が登記されていなかった場合は、届出先は市町村の税務関係部署になります。
代替の不動産を取得する場合
火災によって失った不動産の代わりに新たな不動産を取得した場合には、不動産取得税の減免が受けられる場合があります。不動産取得税とは、不動産を売買や贈与、新築、増築などのかたちで取得した際にかかる税金です。代替の不動産を取得することを決めたら、早めに都道府県税事務所に相談をします。その際、罹災証明書が必要になるので準備をしておきましょう。
- 仮住まいを確保
- 解体は専門業者へ
- 領収書は保管
不動産を処分するときは信頼できる不動産会社選びが大切
火災に遭った後はどうしても、精神的にも疲労してしまいがちです。そんな時に不動産を処分するのはとても大変ですが、今後の生活のことを考えると手放したい、と決意することもあるでしょう。しかし、かつて火事があった場所として売る場合は、信頼できる不動産会社を選ぶことがとても重要になります。
カンタン60秒で最大6社から一括で査定が受けられるイエウールがおすすめ
火災があった場所は心理的な負担だけでなく書類上の表記など、目に見えない部分の価値は物件へ大きな影響をもたらします。「もしかしたら自分も火事に遭うかも」と考えて、購入を避ける人も多いのです。
そうした火災に遭った土地でも売却経験のある会社や、デメリットをメリットとして売り込んでくれる経験豊富な不動産会社を選ぶことが大切です。
イエウールなら入力60秒で、最大6社から一括で査定が受けられます。信頼できる不動産会社を見つけるのにぴったりですから、不動産売却を検討している場合はぜひ活用してみましょう。