親と住んでいた家の老朽化により建て替えが必要になった、中古物件を購入したが傷みが激しいので建て替えを検討している、など、建て替えを検討する理由はさまざまです。
建て替えはすぐにできるものではなく、古い家を取り壊し、新しい家を建てるのが一般的な流れです。
古い家を建て替える場合、必ず更地にする必要がありますが、更地にするタイミングによっては、固定資産税の額が異なる可能性があるのをご存じでしょうか?
この記事では、建て替えをする際にかかる固定資産税の額や、解体時期によっては高くなる可能性、固定資産税の特例措置、建て替え時に固定資産税を高くしない方法を解説します。
現在家の建て替えを検討されている方は、ご覧いただき、解体時期のタイミングなどの参考にしてください。
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固定資産税の建て替え特例とは?
古い家の建て替えをする際に気になるのが、固定資産税の額ではないでしょうか?
古い家を建て替えする場合、条件をクリアしたうえで申請をすると、建て替え特例による減税が受けられます。
固定資産税は、土地建物それぞれに課税され、建て替えをすると建物に対する評価額が変わってきます。
古い家の評価額よりも新しい家の方が評価が高く、課税額も高くなってしまう理由があります。これまで古い家だったので固定資産税が安かった方も、建て替えによって固定資産税が高くなってしまったと嘆く方が多い理由はここにあります。
固定資産税が高くなるから建て替えができないのが本音ですが、老朽化する家をそのままにしておくのは危険であり、できれば建て替えをして安心安全な家に住みたいはずです。
しかし、減税を受けるためには、建て替えるタイミングがとても重要です。固定資産税が安くなる可能性のある、建て替え特例とはどのような仕組みなのか知る必要がありそうです。
建て替え特例とは
1月1日時点で建物がない更地の状態の場合、本来は特例措置を受けられませんが、建て替え中の場合にのみ固定資産税の宅地用例外が適用されます。
適用となるためには、住宅の敷地となる予定を申請する必要があり、一定条件を満たす必要があります。
建て替え特例が適用されると、宅地用地として認められ、これまで認められていた固定資産税の特例で納税が可能です。
これは建て替えをする土地に関する特例措置であり、新しく建てられた住宅については、新築の家の価値に応じて固定資産税も変わるので注意が必要です。
1月1日前までに住宅を取り壊している場合は、1月1日までに建築確認申請を行う必要があるので必ず申請をおこない、建て替え特例を適用するようにしましょう。
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固定資産税とは
住宅を購入した方が必ず納税する義務のある固定資産税とは、どのような税金なのでしょうか?固定資産税の仕組みと納税する理由、固定資産税の特例措置について詳しく解説します。
毎年1月1日現在の土地・建物にかかる税金
固定資産税は、地方税の一種で所有している固定資産(土地・家屋・償却資産などが該当)が対象です。
具体例では、土地は田・畑・山林、牧場など、家屋は住宅・店舗・工場・倉庫、諸客資産とは、土地や建物以外の事業用資産であり、会社の設備や工場の機会などが該当します。これらの固定資産にかかる固定資産税は、毎年1月1日時点で所有する資産が対象です。
1月1日時点で所有する固定資産に対しての固定試案税評価額によって納税額が決定します。
1月1日時点の固定資産と固定資産税評価額によって決定した固定資産税は、4月から5月に通知が届きます。一度に全額を納付するのではなく、年4回に分けて納付しましょう。
土地と建物それぞれに固定資産税がかかる
固定資産税は固定資産に課せられる税金ですが、土地・家屋・償却資産とそれぞれが課税対象です。自宅の固定資産税の場合、土地と建物それぞれに固定資産税がかかります。
基本的な固定資産税の計算方法は、固定資産税評価額に標準税率となる1.4%を掛けます。
固定資産税評価額はずっと同じ額ではなく、土地の公的価格や家屋の時価を基に算定されます。3年に1度見直されますが、この見直しの時期に時価が高ければ固定資産税も高くなり、価格が下落している場合は、固定資産税も安くなり、次の見直しまで評価額が変わりません。
固定資産税の特例措置
固定資産税を納税している方はお分かりだと思いますが、年間に納税する固定資産税額は決して安いものではありません。家庭の負担としてはかなり大きな負担になる金額なので、納税するのが難しいと頭を悩ませている方もいるでしょう。
建て替えで固定資産税額が変わってしまうと、建て替え自体を躊躇してしまいます。
家庭や企業などの負担となってしまう固定資産税には、減額および減免などの措置があります。
該当となる条件は以下の通りであり、減額および減免期間は条件によって異なるため、申請時に確認が必要です。
- 2024年3月31日までに建てられた新築住宅
- 一般住宅
- 3階建て以上で準耐火・耐火構造の住宅
- 長期優良住宅
- 3階建て以上で準耐火・耐火構造を有する長期優良住宅
建物がない更地の場合は固定資産税が高くなる
減額や減免措置のある固定資産税ですが、特例措置の条件の1つとして、土地の上に家屋が建てられているのが条件です。
固定資産税の評価対象になる1月1日時点で、土地が更地になっている場合には、土地にかかる特例措置による減額の対象にはなりません。この場合、特例措置で減額されている額よりも、3~6倍の高い固定資産税を支払う羽目になってしまいます。
建て替えの際に解体工事を行うタイミングを見誤ると、1年間高額な固定資産税を払ってしまうので、解体時期や建築時期は必ず解体・建築業者と相談しましょう。
建て替え時に固定資産税が高くならないための建て替え特例とは
建て替えをすると建物が新しくなり、古い家が減価償却され、減額および減免されるので固定資産税が高くなったりしません。固定資産税が住宅用地として特例が認められる要件を4つ紹介します。
前年1月1日において住宅用地である
まず、第一の条件として、前年1月1日時点で宅地用地である必要があります。これまで家が建てられていた場所に新しい家の建て替えが条件であり、自身が所有している土地であっても新たに宅地用地として利用する場合は認められません。
建て替えが条件となっているので、必ず守りましょう。
前年1月1日において住宅建設工事が着工され翌年までに完成予定
解体工事が前年1月1日時点で完了し、既に住宅建築工事が着工されており、翌年までに完成が必要です。
1月1日時点で着工が条件ですが、これは解体工事は含まれず、既に解体工事は完了している状態を指しています。
解体工事は完了し、建築確認申請の提出が完了している状態であり、3月までには新しい住宅の建築工事が始まっていなければ認定されません。
建て替えが建て替え前と同一の敷地内である
住宅用地と似ていますが、同一敷地内に建て替えが必要です。例えば隣の土地が売りに出されていたので購入し、隣の敷地であった新しい土地の部分に建て替えを予定している場合には、自身の土地であったとしても、特例は認められません。
同一敷地内の場合、同じ位置に建て替えをする必要はないので、土地が広い場合は新しい家が建つ前で古い家に住み続けていても問題ではありません。
あくまで、建て替え前と同じ土地に建て替えをする場合のみに特例が認められるので、
注意しましょう。
該当年と前年度において土地建物の所有者が一緒
建て替えをする際、子どもが相続後に建て替えをするケースもあります。相続をしているので問題がないかと思われますが、特例が認められる条件には該当しません。
前年度の所有者と建て替え時の所有者は、同一が認定条件となっているからです。
もしも、相続した土地に建て替えをしたいと考えている場合には、相続後すぐに建て替えをするのではなく、数年住んでから建て替えにより認められます。
所有者と同一である必要がありますが「原則として同一である」と決められています。原則として同一であとは、建て替え前後の所有者が、所有者の配偶者、直結血族です。
それ以外の方が相続をしたり、中古物件を購入したりする場合は該当しません。
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二世帯住宅の建て替え時には建て替え特例が認められる?
二世帯住宅を建てるための建て替えや、もともと二世帯住宅であるが老朽化などの理由で建て替えをする場合にも、上記の建て替え特例に該当するかチェックをしたうえで建て替えを行うようにします。
特例の条件は二世帯住宅でも変わりはありませんが、親名義の土地に子どもが家を建てる場合は建物を共有名義にするなど、対応が必要です。
この際注意してほしいのが、課税標準の特例から外れてしまう可能性です。
住宅用地で住宅1戸につき、200㎡までの部分は固定資産税評価額の1/6相当額を課税標準とし、それ以上の部分は1/3になってしまいます。
元の広さよりも広い家を建てる場合には、課税標準の特例から外れてしまうので、広い土地を所有する場合は特例の額が高いと覚えておきましょう。
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固定資産税の建て替え特例は申請が必要か
建て替えを行う場合、固定資産税の建て替え申請を行う必要があります。申請は適切な時期の申請を行わないと、建て替え特例を受けられない可能性もあるので、必ず申請を行う時期を確認し、期限内に正しい手続きで申請をおこないましょう。
要件の詳細
固定資産税の軽減は、申告により特例措置が受けられます。自ら申請を行わない限り特例措置が受けられないので、建て替えを決めた時点で特例措置を受けるための申請準備をします。
1月1日時点で住宅を取り壊してしまった場合、特例措置が適用されないので、解体時期は1月1日に重ならないようしましょう。
特例要件は既に説明をしていますが、条件すべてを満たしたうえで、申請をおこないます。
申請は建て替えをする土地のあるもよりの税事務所が窓口であり、書類自体は税事務所に直接取りに行くか、ホームページなどからダウンロードが可能です。
手続き方法
必要書類一式を準備し、土地が所在する税事務所へ提出します。
提出期限は、住宅を取り壊した翌年の1月31日であり、必要書類は以下の通りです。
- 固定資産税の住宅用地等申請書
- 建築確認申請書(受領印があるもの)・建築確認済証の写し。中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例等に基づすき行政庁に提出した書類のいずれかの写し
- 建て替え前の住宅所有者と建築主の関係を証明するもの(同一の場合は不要)
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固定資産税の建て替え特例でよくある質問
建て替え時に適用される固定資産税の特例措置について紹介しましたが、わからない部分も多いはずです。いくつかの例を挙げて事例とともに紹介します。
新築工事を着手している状態
新築工事を着手している状態が適用条件となっていても、いまいちピンとこない方も多いはずです。
新築工事の着手をしている状態とは、1月1日時点で、水盛り、遣り方、根切り等の住宅の基礎工事に着手している状態です。
これらの作業を行っていれば、適用要件として認められます。そして翌年の1月1日までに住宅の完成が必要です。
着手状態には、造成工事など開発工事、地盤改良、擁壁工事、地鎮祭、地縄張りなどは含まれませんので注意しましょう。
参照:東京都主税局(特例措置のご案内)
中古物件を購入し取り壊し後新築住宅を新築する場合に適用
中古物件は前年度の所有者と現在の所有者が異なります。取り壊し時期や新築工事のタイミングが、条件に該当していても、前年度の所有者が異なります。
このような場合は、特例の適用要件に該当しません。現在の所有者が配偶者や親族(直結血族)以外の方物は、継続した特例の適用から除外されてるので、注意が必要です。
固定資産税の額を変えず建て替え特例を生かす場合
家の建て替えをする場合の固定資産税と建て替え特例について紹介しました。建て替えを検討する際、一番気をつけなくてはいけないのが「更地になる時期」「新築工事のタイミング」です。
年明けに建築工事を開始する場合、年末年始(1月1日時点)は更地になってしまいます。
1月1日の土地が更地の場合、固定資産税の特例措置が受けられず、高い固定資産税を建て替え後も支払わなくてはいけません。
建て替えを検討する際は、1月1日時点の状態を話し合い、次期をずらすなどするようにしましょう。自分たちでは判断がつきにくいとお悩みの場合には、建築会社や解体業者に相談するのもおすすめです。
記事のおさらい