別荘の相続|所有・売却・相続放棄など複数の選択肢を知ろう

別荘の相続|所有・売却・相続放棄など複数の選択肢を知ろう

バブル景気に別荘を購入した世代が高齢化し、使わなくなり、別荘の相場も下がり続けて、そんな状態で子供が相続する。これは、近年増加傾向にあるパターンとされます。すでに他で生活基盤を持っている子供世代が、相続した別荘を持て余すのも想像に難くありません
ただ、不動産を手放すのは容易ではない上、所有し続けるとしてもさまざまな問題が出てきます。ここでは、実際にどんな選択肢があり、どのようなことに注意するべきかを、詳しく解説していきます。

先読み!この記事の結論
  • 別荘を相続したら所有か売却の二択しかない
  • 所有の場合はセカンドハウスにしたしたり、ゲストハウスとして活用する
  • 売却の場合は地元の不動産業者に相談するか、別荘の買取販売を専門に取り扱う業者を探す

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別荘にかかる相続税について

別荘を相続する際にも、本宅と同じように相続税がかかります。別荘であるからと言って、減額されるような措置はありません。
相続税の算出には、別荘のある土地と建物、それぞれの「相続税評価額」を知る必要があります。相続税評価額とは、相続税を計算するために必要な財産の価額(値打ちに相当する金額)です。
まず、別荘地の「地目(ちもく)」から考えます。地目とは土地の用途による区分であり、「宅地」「山林」など全部で23種類あります。登記上の地目ではなく相続時の現況で判断されますが、別荘(建物)なら「宅地」になります。
宅地なら、「路線価」または「評価倍率」から相続税評価額を求めます。相続した別荘が、「路線価地域」または「倍率地域」のどちらに当てはまるかを、国税庁のホームページで確認しましょう。
道路に面した宅地の1㎡あたりの価額(値段)を「路線価」と呼び、「路線価図」で調べることができます。
それ以外の路線価の付いていない土地は「評価倍率業表」を参照し、固定資産税評価額に倍率を掛けて、相続税評価額を算出します。
建物の相続評価額は、「固定資産税評価額」と同じです。固定資産税の納税通知書に同封されている、固定資産税の課税明細書に記載されています。
相続税の計算は別荘単独で考えることができず、相続するすべての財産の評価額の合計から算出することになります。ただ、相続財産のうち不動産はかなりの割合を占めるため、別荘の評価額が分かると、おおよその税額を知ることができます。
路線価方式路線価×面積=相続税評価額
倍率方式固定資産税評価額×倍率=相続税評価額

参考:国税庁・路線価図・評価倍率表相続した別荘にかかる税金

相続した別荘にかかる税金の節税ポイント

別荘にかかる相続税の節税対策について解説します。

他人に貸し付ける

別荘が建っている土地の評価額を下げて、相続税の減額を目指す方法です。
相続税は全ての相続財産の評価額を合計して算出されるため、土地の評価額が下がれば相続税も下がることになります。
住居用の土地のことを「宅地」といい、自分や親族の家が建っていると「自用地」と呼びます。宅地を他人に貸し付けると「貸宅地(かしたくち)」となり、評価額が安くなります。
自分や親族の家が建っているなら土地は自由に処分できますが、他人が住んでいるなら立退料が必要になってきます。
つまり、他人に貸して家が建っている土地は、高く売れない=価額が低いということです。
たとえば、同じ土地を貸宅地として評価すると、評価額は自用地の30~40%ほどになります。これは、「借地権」の評価額が自用地評価額の60~70%となるためです。
借地権とは、貸宅地を借りている人(借地人)が持つ、借りた土地に自分の家を建てられる権利です。残り30~40%は地主の持ち分として「底地権(そこちけん)」と呼び、これが貸宅地の評価額となります。
貸宅地評価額算出例
自用地評価額2,000万円×0.6=借地権評価額1200万円
2000万円-1200万円=貸宅地評価額800万円(底地権)

相続税評価額が時価より高い場合の節税対策

相続税の算出に用いられる土地の「相続税評価額」は通常、路線価や評価倍率から計算されます。これが、今現在の土地本来の市場価値、つまり「時価」よりも高く出てしまうことが、別荘地ではよく起こります。
その原因としては、毎年7月の路線価公表があったあと、不況や災害などによって土地の価値が急落してしまうケースや、倍率方式に用いる固定資産評価額(3年に1回改訂)が古く、適正な評価額が算出されていないケースなどがあります。
想像以上にその土地に需要がなく、評価額が実状に即しておらず、時価より高くなるケースも考えられます。相続税の算出には、路線価や評価倍率の他に、時価による評価額を使用することもできます
土地本来の市場価値、時価で相続税評価額を出すには、2つの方法があります。

不動産鑑定士に時価の算定を依頼する

不動産の時価評価をすることを、唯一認められている国家資格が「不動産鑑定士」です。鑑定士に依頼すれば、公平中立な立場から算定した、適正な時価を知ることができます。
不動産鑑定士の数は少なく、報酬も30~50万円と高額な点がデメリットです。

相続税の納付期限までに売却する

相続税の納付期限は、被相続人の死亡の翌日から10カ月以内です。それまでに別荘を売却してしまえば、売却価格が時価となり、相続税の算出に使用することができます。
  • 貸宅地にする
  • 時価を把握する
  • 売却も節税対策に
別荘を所有するとかかかる維持費
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別荘を所有するとかかる維持費

相続した別荘を、そのまま所有するパターンを選ぶなら、コストを知っておく必要があります。
建物は、居住しなくても維持費がかかります。人が住んでいない建物は劣化が早く、その主な原因は湿気です。カビ対策として、定期的に風通しや掃除に訪れることになり、時間や労力、交通費などの出費といった負担が出てきます。
別荘が管理体制の整った別荘地にある場合、「管理費」がかかることが通常です。管理体制のない別荘でも、維持管理を業者に依頼できるケースもありますが、当然費用が発生します。リゾートマンションなら「管理費」や「修繕積立金」の徴収があります。
また、固定資産税も所有者が支払い義務を負います。
建物を取り壊して更地にすれば建物の管理は不要となりますが、取り壊す費用に加え、土地の固定資産税が大幅に上がることがあり、いずれにせよ費用の負担は避けられません。
別荘は所有しているだけでも、一定のコストがかかるのです。
相続した別荘

相続した別荘の選択肢は大きく2つ

別荘を相続したあと、選択できるパターンは「所有」か「売却」の二択です。
所有する場合は、自分が居住する、貸し出す、空き家といった選択肢があります。売却する場合は、不動産業者に査定や仲介を依頼することになります。どちらを選択しても、別荘の管理者として関わらなければならない手続きや費用があります。
相続する際には、その後のことをある程度は見据えておきましょう。
売却せずに維持する場合

売却せずそのまま維持する場合

別荘を所有する場合、いくつかの活用法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、しっかり把握した上で選択しましょう。

資産として保有した場合の活用方法

まず考えるのが、自分が住むというパターン。
今現在の生活基盤を思うと、本宅として移住することが可能なケースは限られています。そうなると「セカンドハウス」という選択肢がより現実的です。セカンドハウスは“第二の自宅”という概念で、月に1回以上、定期的に居住する住まいを指します。
次に「ゲストハウス」として活用する方法。外国人観光客などを相手に、宿泊施設として別荘を提供するパターンです。ネット上の民泊サービスに登録するなどして、ゲストに貸し出します。別荘が戸建てなら「貸別荘」と呼ぶこともあります。

共有名義で費用を分担

どのパターンでも、別荘の維持費が気になる場合は、共有名義にするという方法があります。不動産の維持管理費は、各共有者が持分(もちぶん)の割合に応じて支払うことになっています。実際に住んでいなくても、ゲストハウスの運営に関わっていなくても、共有者であれば負担する義務があります。
ただし、別荘を処分する際などに、全共有者の足並みが揃わないと話が進まない欠点があります。

別荘を保有するメリット

それぞれの方法におけるメリットをまとめます。

セカンドハウス

生活する上で必要な住まいと見なされるため、年に数回、避暑や休暇のために滞在する“贅沢品”の「別荘」とは区別されます。
セカンドハウスとして認定されると、税制上で優遇を受けることができます。

ゲストハウス

最も大きなメリットは、やはり収入が見込める点です。宿泊費の設定も、おもてなしの裁量もすべてホスト側に委ねられており、貸し出す頻度も自由です。

別荘を保有するデメリット

いいことばかりでなく、かならずデメリットも理解しましょう。

セカンドハウス

固定資産税や光熱費、水道代が個別にかかるなど、維持費が負担となります。また利用回数が極端に少ないとセカンドハウスとは認められず、税制上も別荘として扱われます。

ゲストハウス

収入はありますが、建物や敷地の維持管理が必要になってきます。「有料で他人を宿泊させる営業」となるため、簡易宿泊所として旅館業法・建築基準法・消防法上で規制を受けることになります。
ゲストへの対応も大切な仕事です。室内の破損や汚れなど、トラブルも想定されます。
  • 自分で住むパターン
  • 貸し出すパターン
  • 共有名義で負担軽減
別荘の売却

売却を考える場合

所有してもあまり得はなさそうだと考えたなら、「売却」も視野に入れます。別荘を売りに出したいと考えたとき、なにから始めれば良いでしょうか。

売却した方が良いか見極めるには

住宅や土地と同じように、別荘を売却するには不動産業者に仲介を依頼するのが一般的です。
ポイントは、別荘のある地元の不動産業者に相談すること。別荘地の相場や需要に詳しく、より精度の高い査定が期待できます。
または別荘の買取販売を専門に取り扱う業者を探すのも良いでしょう。知識や購入希望者のアテが豊富で、取り引きがスムーズに進むメリットもあります。

別荘を少しでも高く売却するには

別荘は自宅から離れていることが多く、地元の不動産業者を探すと言っても物理的・時間的に難しい場合がほとんどです。
別荘の査定依頼は複数の業者へ行うことが原則ですが、別荘地へ何度も通って、1社1社を回り売却活動をするのは現実的ではありません。
そこで利用したいのは、無料一括査定依頼サイトの「イエウール」です。
フォームに必要事項を入力するだけで、1,600社以上の不動産業者の中から一括で、最大6社まで査定を依頼できます。
大手だけでなく地元の中小の業者も多く提携しているため、別荘の売却に強い業者に巡り合える可能性は高くなります。
査定額は業者によって100万円単位の差が出ることもあり、より高く売るためには、適正な査定ができる業者を見つけることが重要です。
  • 地元の業者に相談を
  • 別荘の専門業者も
  • 自宅で査定依頼可能

そもそも別荘を相続したくない場合は

所有と売却は、別荘を相続してからの話です。ここでは、それ以前に「相続しない」という選択肢についても説明します。

相続放棄

別荘を相続しないには「相続放棄」という形をとることになりますが、法律上、別荘だけを相続放棄することはできません。家や預貯金など他にも相続財産がある場合、それらと別荘を「全て相続する」または「全て相続しない」の二択になります。
別荘を自分以外の相続人(親や兄弟など)に譲りたい場合は、相続放棄ではなく「遺産分割協議」を行い、相続分を決定しましょう。
相続を放棄するには、被相続人の死亡を知った日から3カ月以内に手続きしなければならないという期限があります。「相続放棄における熟慮期間の伸長」を相続発生から3カ月以内に申し立てると、期限をさらに3カ月延長することができます。
相続放棄の手続きは、被相続人の住所地にある家庭裁判所で行います。その後、書面による照会や、直接の呼び出しなどに応じる必要があります。
相続放棄の必要書類
・相続放棄申述書
・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の住民票
・相続人の戸籍謄本
・収入印紙800円
参考:裁判所・相続の放棄の申述書

物納

金銭による相続税の納付が不可能な場合、「物納(ぶつのう)」が認められるケースがあります。
物納とは、相続税の納付期限を過ぎても、金銭による支払いが困難であると納税者が申請した場合に、不足分を限度額として、相続した財産を相続税として国へ納めることができる制度です。
金銭での相続税納付が不可能な場合に、別荘を物納できることもある、ということです。
国が収納する価額は、相続税の算出に使用された財産の評価額になります。
物納の申請には期限があり、相続税の納付期限(相続発生の翌日から10カ月以内)または相続した年の翌年2月1日~3月15日に申請することになっています。提出期限延長届出書を出すと、最長で1年、期限を延長できます。
申請先は納税地の税務署で、物納申請書に必要書類を添付して提出します。申請書等の様式は、国税庁のホームページからダウンロードでき、審査期間は3カ月以内となっています。
物納申請財産には順位があり、第1順位は不動産や船舶、上場株式など、第2順位は非上場株式、第3順位は動産となっています。
物納には細かい要件が定められており、申請が通らないこともあります。特に不動産の場合、権利の帰属について争いがあったり、隣接する不動産の所有者との揉め事が予想されるような物件だと、物納に不適格と判断されてしまいます。
申請が却下されると、1回限り、別の財産で再申請することが可能です。
参考:国税庁・様式集
  • 相続放棄は期限有り
  • 別荘のみ放棄は不可
  • 物納できることも
別荘を相続

別荘を相続するときはその後のことまで考えよう

相続するかしないか、判断するには期限があり、あまり多くを熟考できないこともあります。ただ、なにも考えずに相続してしまうと、後々負担となってくる可能性が高いです。
維持するか売却するか、ある程度は見通しをつけておくのが理想です。

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