建築費3,000万円で可能なアパートの規模は、構造や地域によって異なります。
この記事では、建築費3,000万円で建てられるアパートの目安、費用の内訳や相場、建築時の注意点を解説します。
適切な建築会社を選べば、収益性の高い物件を実現することも可能です。以下のフォームで、大手ハウスメーカーや工務店が提案するプランを確認することができるので、ぜひご利用ください。
建築費3000万円で建てられるのはどんなアパート?
建築費は「坪単価×延べ床面積」で概算できます。
予算3,000万円では、1階あたり15~20坪の2階建てアパートが建築可能です。間取りによりますが、部屋数は4~6戸が目安となります。
▼建築費3000万円で建てられるのはどんなアパート?
例①:木造2階建てアパート(1K6戸)
建築費3,000万円で、建坪20坪・総戸数6戸の木造2階建てアパートを建築できます。
▼木造2階建てアパート(1K6戸)を建てる場合
- 構造:木造2階建て
- 建坪(建築面積):20坪
- 延べ床面積:40坪
- 間取り:1K(約6.5坪)
- 部屋数:6戸
- 家賃:5~7万円(地域によって異なる)
坪単価74万円では、40坪の建築費は約2,960万円が目安です。
建坪20坪の2階建てアパートは、敷地面積35坪で建築可能です。ただし、水道・ガス・電気工事、外構工事、税金や手数料も費用に含まれます。
木造アパートは建築費が安い点が大きなメリットです。木材価格が上がる中でも、他の構造より安く建築できます。2×4工法やプレハブ工法を使えば、さらに費用を抑え、短期間で建築可能です。
一方で、木造は遮音性や耐久性が他の構造より劣ります。耐火構造が必要な場合、木質部分の加工でコストが増えます。法定耐用年数が22年と短いため、減価償却やローン返済期間も短くなります。
\建築費は?初期費用は?/
例②:軽量鉄骨造2階建てアパート(1R6戸)
木造よりもやや狭くなりますが、軽量鉄骨造でも3,000万円程度を目安に総戸数6戸の2階建てアパートを建てられます。
▼軽量鉄骨造2階建てアパート(1R6戸)を建てる場合
- 構造:軽量鉄骨造2階建て
- 建坪(建築面積):19坪
- 延べ床面積:38坪
- 間取り:1R(6坪)
- 部屋数:6戸
- 家賃:6~7万円(地域によって異なる)
坪単価80万円では、38坪の建築費は約3,040万円が目安です。
初期費用は建築費に加え、工事費や税金などを含めて約3,952万円になります。
軽量鉄骨造は丈夫で比較的安価に建築可能な構造です。柱や梁が不要なため、広い空間を設計できる点が特徴です。
鉄骨は熱に弱く、耐火構造が必要な場合は建材の加工が必要です。
断熱性能が木造より劣るため、居住性向上には断熱対策が求められます。
初期費用3,000万円を予算とする場合
アパート建築にかかる費用の総額を3,000万円に収めたい場合は、建築費の予算は2,300万円が目安となります。
建築費2,300万円を予算とする場合に建てられるアパートは、以下のような規模になります。
▼建築費2,300万円を予算とする場合
- 構造:木造2階建て
- 建坪:15坪
- 延べ床面積:30坪
- 間取り:1K(7坪)
- 部屋数:4戸
- 家賃:5~7万円(地域によって異なる)
敷地25坪で建築は可能ですが、収益性はやや低下します。
限られた敷地面積では部屋数が少なくなり、投資費用に対する収益割合が減るためです。建築費2,000万円を予算にアパートを建てたい方は、以下の記事もご覧ください。
▼土地の広さ別2階建てアパートの建築費
敷地面積 | 木造 | 鉄骨造 |
---|---|---|
10坪 | 900万円 | 1,080万円 |
20坪 | 1,800万円 | 2,160万円 |
30坪 | 2,700万円 | 3,240万円 |
40坪 | 3,600万円 | 4,320万円 |
50坪 | 4,500万円 | 5,400万円 |
60坪 | 5,400万円 | 6,480万円 |
70坪 | 6,300万円 | 7,560万円 |
80坪 | 7,200万円 | 8,640万円 |
90坪 | 8,100万円 | 9,720万円 |
100坪 | 9,000万円 | 1億800万円 |
(建ぺい率60%、木造坪単価75万円、鉄骨造坪単価90万円、2階建てアパートの条件で概算しています。)
\建築費は?初期費用は?/
アパート建築費3,000万円で建てる物件の費用内訳
アパート建築費は本体工事費以外にも付帯工事費と諸費用が必要です。付帯工事費は本体工事費の約20%、諸費用は約10%が一般的です。
この章では、それぞれの費用の内訳について簡単に解説していきます。
▼アパート建築費3,000万円で建てる物件の費用内訳
本体工事費(建築費)
アパート本体の建築工事にかかる費用を「本体工事費」といいます。
▼本体工事費に含まれる工事の内容
- 仮設工事
- 建物の基礎工事
- 木工事・鉄骨工事
- 外装工事
- 内装工事
- 設備設置工事(キッチン・浴室・トイレなど)
アパート建築費は本体工事費を指す場合が多いです。
構造別の坪単価相場
坪単価は、主に建物の構造によって価格の相場が異なります。
建物の構造ごとの坪単価の相場は、以下の通りです。(イエウール編集部調べ)
▼本体工事費に含まれる工事の内容
- 木造(W造):74万円~105万円
- 軽量鉄骨造(S造):80万円~105万円
- 重量鉄骨造(S造):90万円~120万円
- 鉄筋コンクリート造(RC造):95万円~125万円
建築費の坪単価は、建築を依頼する会社によって異なります。
地域別の坪単価相場
アパートの建築費は、アパートを建てる地域によっても相場が異なります。
費用は建築会社や建築用地の条件により変動するため、注意が必要です。たとえば、トラックが進入できない狭い土地では、コストが高くなる傾向があります。
以下は、2023年に着工した共同住宅(貸家)の工事費予定額の平均から算出した坪単価を主要都市ごとにまとめた表です。
▼地域別の坪単価相場
地域 | 木造 | 鉄骨造 | RC造 |
---|---|---|---|
全国平均 | 66万円 | 92.4万円 | 95.7万円 |
東京都 | 79.2万円 | 115.5万円 | 122.1万円 |
神奈川県 | 72.6万円 | 102.3万円 | 108.9万円 |
大阪府 | 56.1万円 | 85.8万円 | 89.1万円 |
京都府 | 62.7万円 | 92.4万円 | 92.4万円 |
愛知県 | 59.4万円 | 92.4万円 | 89.1万円 |
福岡県 | 56.1万円 | 85.8万円 | 75.9万円 |
北海道 | 62.7万円 | 75.9万円 | 59.4万円 |
<参考>国土交通省:建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表(2023年)を元に作成
付帯工事費(別途工事費)
付帯工事費とは、土地にアパートを建てるにあたって必要となる工事にかかる費用のことです。「別途工事費」とも呼ばれます。
▼付帯工事費に含まれる工事の内容
- 地盤改良工事
- 門・塀・庭・駐車場の工事(外構工事)
- 水道・電気・ガスの引き込み工事
- 古家の解体・整地
土地の状況や建築プランによって行われる工事の内容は異なりますが、本体工事費の約20%が費用の目安です。
諸費用
工事費以外に発生する費用や税金を、まとめて「諸費用」と呼びます。▼諸費用の例
- アパート設計費
- 地盤調査費用
- 各種保険料
- 不動産取得税
- 登記費用
- アパートローンの事務手数料 など
本体工事費の約10%程度が費用の目安です。
\建築費は?初期費用は?/
建築費3,000万円のアパートの利回りシミュレーション
アパートの収益性は「利回り」という指標で測ることができます。
利回りは、投資費用に対する年間収益の割合を示す指標です。一般的には「年利回り」が使用されます。
本章では、建築費3,000万円でアパートを建設した場合の収益性を利回りでシミュレーションし、詳しく解説します。
▼建築費3,000万円のアパートの利回りシミュレーション
実質利回りでシミュレーションするのがおすすめ
利回りは、「アパートの年間家賃収入÷購入費用(建築費用)」で計算できます。
表面利回りは投資費用に対する大まかなリターンを把握できますが、登記費用や税金、運営にかかる経費は含まれていません。これらの必須経費を反映した収支計画を立てるためには、実質利回りの利用をおすすめします。
実質利回りは、以下の計算式でシミュレーションできます。
▼実質利回りのシミュレーション
年間諸経費は固定資産税や管理委託費、保険料、修繕費、リフォーム代などを含みます。金額は経営を始めるまで不明ですが、「年間家賃収入の15~20%」を目安にシミュレーション可能です。
利回りシミュレーション例
それでは例として、以下のケースにおける利回りをシミュレーションしてみましょう。
▼利回りシミュレーション例
- 木造2階建て
- 所有地に建築する
- 敷地面積:35坪
- 建坪:20坪
- 延べ床面積:40坪
- 間取り・部屋数:1R・6戸
- 家賃:5.5万円/月
- 空室率:10%
坪単価を75万円とすると、アパートの本体工事費、付帯工事費、諸費用は以下のように試算できます。
▼坪単価75万円の場合
- 本体工事費=坪単価×延べ床面積=75万円/坪×40坪
=3,000万円 - 付帯工事費=本体工事費×20%=3,000万円×20%
=600万円 - 諸費用=本体工事費×10%=3,000万円×10%
=300万円
空室率を10%とした場合の年間家賃収入の想定は、以下のように試算できます。
▼空室率10%の場合
- 年間家賃収入=月ごとの家賃×戸数×12ヶ月×(100%-空室率)
=5.5万円/月×6戸×12ヶ月×(100%-10%)
=356.4万円
年間の諸経費を、家賃収入の15%として仮定して計算します。
▼年間諸経費が家賃収入の15%の場合
- 年間諸経費=年間家賃収入×15%=356.4万円×15%
=53.46万円
したがって、実質利回りは以下のようにシミュレーションできます。
▼実質利回りのシミュレーション
=(356.4万円-53.46万円)÷(3,000万円+600万円+300万円)×100
=約7.77%
自己資金900万円、借入期間20年、年利3.2%の条件でアパートローンを借り入れるとすると、返済後利回りは以下のようにシミュレーションできます。
▼自己資金900万円、借入期間20年、年利3.2%の場合の返済後利回り
=(356.4万円-53.46万円-203.28万円)÷(3,000万円+600万円+300万円)×100
=約2.55%
活用事例:My Style ①




\建築費は?初期費用は?/
アパート建築費3,000万円で物件を建てる際の注意点
建築費3,000万円でアパートを建てる際には、投資した金額を回収できるだけの収益性を考慮しておく必要があります。
また、アパートを建築するにあたって押さえておきたい制限・規制も理解しておかなければなりません。
この章では、新築アパートを建てる際の注意点として、以下の3点をご紹介します。
▼アパート建築費3,000万円で物件を建てる際の注意点
「建ぺい率」「容積率」を押さえておく
建築できるアパートの規模や広さは、その土地に指定された「建ぺい率」「容積率」で決まります。
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合、容積率とは敷地面積に対する延べ床面積の割合のことです。
敷地面積100坪の土地で建ぺい率が60%、容積率が200%の場合、建築面積は最大60坪、延べ床面積は最大200坪です。アパートの設計は、これらの条件に収まるように進める必要があります。
用途地域によっては建物の高さに制限があったり、耐火性能の基準が変わる場合があります。建築計画はハウスメーカーや建築会社と十分に相談しながら進めましょう。
ランニングコストにも留意する
アパート経営では、建築費などの初期費用以外にも、アパートの維持・管理や修繕にかかる費用(ランニングコスト)が発生し続けます。
▼ランニングコストの種類
定期的にかかる費用 |
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---|---|
入退去がある度にかかる費用 |
|
適宜かかる費用 |
|
利回りシミュレーションの章では、暫定的に家賃収入の15%で計算していますが、依頼する管理会社や管理方式、アパートの状況によって、費用は変わります。
たとえばアパートを建てる敷地が広いと、固定資産税や管理会社に支払う管理委託費なども高額になりやすいです。
また、外装材・内装材のグレードによって、建物自体の劣化が遅くなり、大きな修繕が必要となる頻度が変わる可能性があります。
自己資金は1,000万円程度必要
アパートの建築に必要な資金は「アパートローン」で調達できます。金融機関の審査にもよりますが、頭金として借入額の1~3割が必要であるのが一般的です。融資前に支払いが必要な諸費用があるため、アパート建築時は総費用の約2~3割を自己資金として準備することが目安です。
借入可能な金額や頭金の必要額は、金融機関や審査状況によって異なります。また、アパート経営の実績がない場合は融資が難しくなることがあります。
ハウスメーカーを通じて計画を進める場合、提携する金融機関のローンを紹介されることがあります。初めてアパートを建てる場合は、建築プランの見積もりとあわせて融資についても相談してみましょう。
\建築費は?初期費用は?/
アパートの建築費を抑える方法
利回りシミュレーションでもわかる通り、アパートの建築にかかるコストを抑えることで、アパート経営の収益性を高めることができます。
▼アパートの建築費を抑える方法
建築会社の規格化プランで建てる
多くのハウスメーカーや工務店では、規格化されたアパート建築プランを用意しています。これらのプランは、間取りや外装・内装、設備があらかじめ決められた仕様に基づいています。
規格化プランを利用することで、建材の大量生産や作業の効率化が可能となり、オーダーメイドのプランより建築コストを抑えることができます。
デザイン・設備にこだわり過ぎない
アパートのデザインや設備は入居者への魅力となりますが、仕様のグレードを上げると費用が増加します。
入居率や家賃を維持するには周辺物件との差別化が重要ですが、すべての面で上回る必要はありません。入居者が重視しない部分やニーズが低い設備のグレードを抑えることで、コスト削減が可能です。
節約した予算に余裕があれば、一部の設備に集中投資して差別化を図ることができます。規格化プランを採用する場合、仕様変更を依頼すると追加費用が発生し、低価格で建築する利点が損なわれる可能性がある点に注意しましょう。
アパートの戸数を減らす
予算が見積もり段階で超過する場合は、アパートの規模を縮小することを検討しましょう。
特に所有地での建築では、土地の最大容積に合わせて計画すると、建築資金が不足する可能性があります。その際は延べ床面積を減らすことで建築費を抑えられます。
アパートでは部屋ごとに浴室やキッチンなどの設備が必要なため、戸数を減らすことで設備費用を削減可能です。
専有面積を広く取ることで入居者への魅力を高めることもできます。また、車を利用する人が多い地域では駐車場を広く設けると効果的です。
- 間取りについては、地域のニーズをよく調査した上で設計しましょう!
土地の収益性は下がりますが、必ずしも最大容積でアパートを建てる必要はありません。長期的な安定経営を目指す場合は、初期費用で無理をしないことが大切です。
\建築費は?初期費用は?/
アパート建築を依頼するハウスメーカー・建築会社の選び方
最後に、限られた予算でアパートの建築を依頼する際の、ハウスメーカー・建築会社の選び方についてご紹介します。
▼アパート建築を依頼するハウスメーカー・建築会社の選び方
ハウスメーカーの規模で選ぶ
大手のハウスメーカーと中小のハウスメーカーでは、得意分野が異なるためそれぞれの強みを理解して選ぶことが大切です。
たとえば中小のハウスメーカーでは、小回りのきく丁寧なサービスを受けられる特徴があります。
大手ハウスメーカーは質の高い施工と手厚いアフターフォローを提供する点が魅力です。
問い合わせへの対応品質で選ぶ
アパート経営の見積もりや相談に対する対応姿勢を確認することは重要です。
丁寧に対応する会社であれば、建築工事やアフターフォローでも高い品質が期待できます。
プランの内容や見積もり金額について質問し、親身に対応してくれるかをチェックしましょう。
建築会社の評判・口コミで選ぶ
ハウスメーカーや建築会社の評判は、ネット検索で簡単に調べられます。
肯定的な意見だけでなく否定的な意見も確認し、中立的な視点で評判を判断することが大切です。
\建築費は?初期費用は?/
アパート建築費3,000万円で物件を建てる際には相見積もりを確認
ただし、アパートの構造や建てる地域によっても変動するため、ハウスメーカーや建築会社から提示されるプランで最終的に確認すると安心です。
アパートを新築する際には、実質利回りやランニングコストを計算し、可能な限り正確な収益シミュレーションを行っておくことも大切です。
アパート経営のパートナー選びでは、規模や問い合わせ対応、評判・口コミなどを参照しながら信頼できる会社を選びましょう。
\建築費は?初期費用は?/