駐車場経営は初期費用があまりかからず、転用性が高い土地活用方法です。賃貸経営には適さない狭小地や変形地でも駐車場としてなら活用できることもあり、設備の建設費用がかかるものの比較的手軽に始めることができるため、相続した土地で副業として始める方が多いのではないでしょうか。
ただし失敗するリスクが小さい一方で、税対策としての効果や収入がいくらになるのか「本当に儲かるのか?」と不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。
本記事では駐車場経営についての気になる疑問や、メリット・デメリットなどについて解説します。
駐車場経営ってどんな土地活用?
儲かる?
駐車場経営は賃貸経営と比較して儲からない土地活用方法と言われていますが、全く儲からないわけではありません。土地の立地や料金設定、稼働率によっても大きく異なりますが、駐車場経営での平均年収は200万円~500万円です。この収入から管理費などの費用を差し引いた金額が手残り額となります。
「e-Stat 政府統計の総合窓口」の産業連関構造調査によると、令和2年、平成27年、平成23年のそれぞれの駐車場事業者の年間総費用と年間事業収入は以下の通りです。
年間売上高(事業収入) | 年間総費用 | 利益 | |
---|---|---|---|
令和2年 | 71億855万5,000円 | 61億4,508万9,000円 | 10億4,046万1,000円 |
平成27年 | 95億5,995万5,000円 | 65億3,571万6,000円 | 30億2,423万9,000円 |
平成23年 | 83億1,902万円 | 55億1,821万1,000円 | 28億80万9,000円 |
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口 『産業連関構造調査(有料駐車場に関する投入調査)』を参考に作成
いずれの年も事業収入が費用を上回っていて利益が出ています。つまり、儲かっていることがわかると思います。
個人でもできる?
駐車場経営を行なう際、オーナーの多くは業者に管理を依頼して運営する方法を選びますが、個人で運営することも可能です。
個人で運営する場合、契約者の募集から賃料の回収、トラブルの対応など全ての管理を自ら行う必要があります。しかし業者に依頼しないため、手数料が発生せず賃料全てが自分の収入になります。
ただし、駐車場経営は専門的な知識を要することが多く、初心者や経営のノウハウがない人にとっては失敗する可能性が高くなります。そのため、駐車場経営に精通している人であれば個人で行なっても問題ありませんが、そうでない場合は業者に管理を依頼して運営することをおすすめします。
どんな税金がかかる?
駐車場経営では主に以下のような税金がかかります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 消費税
- 所得税
- 個人事業税
固定資産税
駐車場経営では所有する土地に固定資産税がかかります。毎年1月1日時点で所有している場合に市町村から課税されます。
固定資産税は課税標準額に1.4%を乗ずることで求めることができます。
都市計画税
駐車場経営において都市計画税は、固定資産税と同じく毎年1月1日時点で所有する土地に課されます。ただし、その駐車場が市街化区域内にある場合にのみ課されます。
都市計画税は課税標準額に0.3%を乗ずることで求めることができます。
消費税
駐車場経営では、駐車車両の管理・有料駐車場としての土地の整備・設備の設置などは消費税の課税対象になります。ただし、課税期間の基準期間の売上高が1,000万円を超えない場合は納税義務が生まれません。
消費税は課税取引額に10%を乗ずることで求めることができます。
所得税
1年間で駐車場経営で得た収入に所得税が課されます。日本では累進課税制度がとられているため、所得が多ければ多いほど税率も高くなります。
所得税は、年間のすべての収入から必要経費を差し引いたものに税率を乗じて、そこから所得控除額を差し引いたものです。所得税の税率に関しては以下をご覧ください。
課税所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円超 330万円以下 | 10% |
330万円超 695万円以下 | 20% |
695万円超 900万円以下 | 23% |
900万円超1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
個人事業税
個人事業税は事業に対して課される税金ですが、対象となるかどうかは駐車可能台数や管理の状況などによって異なります。
個人事業税は所得から各種控除額を差し引いたものに、税率の5%を乗ずることで求めることができます。
資格や届け出は必要?
月極駐車場やコインパーキングの経営には特別な資格は必要なく、届け出も原則不要です。土地活用プランナーや日商簿記、ファイナンシャルプランナーなどの資格があれば有利に働きますが、必須というわけではありません。
ただし、届け出に関しては一定の条件に当てはまると必要になります。それは、500㎡以上の対規模なコインパーキングを経営する場合や管理規定者になる場合です。この場合に営業許可を取るために以下の4つの条件を満たします。
- 駐車場の面積が500㎡を超える
- 利用料金の徴収を行なう
- 都市計画区域内にある
- 不特定多数が利用可能である
届け出に記入する項目は決められているため、必要に応じて確認しておくと良いでしょう。
起こりやすい失敗とは?
失敗の定義は個人によって異なりますが、一般的に駐車場経営においての失敗は支出が収益を上回り赤字が続くことです。
駐車場経営は想定通りに収益が入ってくるわけではなく、思ったよりも利用してもらえないといったことはしばしば起こり、税金分をも下回る収益しか得られないこともあります。
また、利用者が想定よりも少ないことに加えて、想定外の出費が重なることで大幅に赤字になる可能性もあります。想定外の出費とは、災害による修繕費や放置車両の撤去費用などが挙げられます。そのため、イレギュラーに備えて資金を蓄えておくことが重要です。
土地なしで始めるのはアリ?
駐車場経営は土地なしで始めるのもアリです。なぜなら、土地なしで始めた場合でも経営が軌道に乗りさえすれば採算がとれるからです。
駐車場経営は修繕費や管理にかかる費用が少なく、需要の変化による影響も少ないという安定性の高さが強みです。しかし、大きな儲けが出るわけではないため土地の購入から始めてしまうと赤字になるのでは、と不安に思う気持ちがあると思います。
そのため、土地なしで駐車場経営を考えている場合、借地で始めることをおすすめします。超長期的に駐車場経営を行なう場合は借地だと購入の金額を超えてしまう可能性もありますが、そこまで長い期間でなければ初期の費用を抑えることができ、万が一失敗したとしても損失を抑えることができます。
他の活用方法と比べたらどうなの?
土地活用において、アパート・マンションなどの建築による賃貸経営がもっとも基本的な土地活用方法として挙げられます。
その敷地の相続税評価額の引き下げと、物件の建築費と相続税評価額の乖離を利用した方法であり、固定資産税等も軽減されるなどのメリットもあります。
しかし、多額の投下資金を必要とすることから経営が失敗するリスクも大きく、一般的にはハイリスク・ハイリターンの不動産投資であることはみなさんもご存じの通りなのではないでしょうか。収益性の高さ、リスクの小ささ、需要の安定性、広さや形状の柔軟さという観点で簡単に比較したのが以下の表です。
駐車場経営 | アパート・マンション経営 | 戸建賃貸経営 | |
---|---|---|---|
収益性の高さ | △ | ◎ | ○ |
リスクの小ささ | ◎ | △ | △ |
需要の安定性 | ○ | × | △ |
広さや形状の柔軟さ | ◎ | × | × |
駐車場経営を検討するなら、駐車場の設計・施工会社から初期費用の見積もりをもらいましょう。初期費用の見積もりをもらうときは複数の施工会社に問い合わせて見積もりや収支計画を比較するのがポイントです。
イエウール土地活用なら駐車場の施工実績豊富な建設会社に一括で問い合わせをすることができます。
\建築費は?初期費用は?/
駐車場経営のメリット
駐車場経営のメリットは、下記の4つです。それぞれ解説していきます。
- 手軽に始められる
- 初期費用が少ない
- 管理の手間が少ない
- 変形地でも始められる
手軽に始められる
駐車場経営は手軽に始められる点がメリットとして挙げられます。
急遽空地になったり、更地を相続したりした場合でも、駐車場経営なら最短1週間で始めることができ、すぐに収益化することができます。
また、手軽に設置して始められる分、撤去もすぐにすみます。やめたいと思ったらすぐにやめられるため、他の土地活用方法などに転用することが容易であることもメリットです。
初期費用が少ない
駐車場経営は他の土地活用と比べると比較的安い初期費用で始めることができます。アパート経営やマンション経営だと、数千万~数億円ほどの初期費用が必要になり、ローンを借りる必要があります。
その点月極駐車場の場合、舗装はせず、ロープのみで区割りを作るのであれば、材料はすべてホームセンターなどで揃えることができるため、数万円の初期費用で始めることも可能でしょう。
また、コインパーキングの場合でも、舗装費用や機械の設置費用などで済むため100坪ほどなら200万円〜500万円前後で始めることが可能です。
管理の手間が少ない
駐車場経営は、修理や大規模修繕などの手間が少なく、総じて管理の手間がかかりません。必要な業務は、「清掃」「トラブル対応」「設備点検」「確定申告」の4つがメインです。
近くにある場合は、1週間に1,2回ほど管理するだけでよいため、管理の手間をかけずに収益を得ることができます。また、遠隔地にある場合や全く手間をかけたくない場合でも、管理業務を委託すれば自分がすべき業務は、年一回の確定申告だけになります。
多少の管理費用を支払う必要がありますが、その分削減できる手間に比べたら十分お釣りがくると考えてよいでしょう。
変形地でも始められる
土地が狭く、戸建ての建築ができないような土地でも、車を1台でも停めることができれば、駐車場として土地活用が可能です。
1台あたり9坪あれば駐車場として活用できるため、変形地でも始められる点も魅力的です。
駐車場経営のデメリット
駐車場経営は手軽かつ低コストで始められる土地活用ですが、メリットだけではなくデメリットも存在します。
ここでは、駐車場経営のデメリットについて紹介します。
節税対策にならない
駐車場経営は節税対策にはなりません。アパート経営やマンション経営の場合、土地にかかる税金が抑えられ、固定資産税や相続税を節税することができますが、駐車場経営の場合は全くありません。
なぜなら駐車場の場合は何か建物を立てているわけではないため、税制上は更地と同じ扱いになり、更地と同じ分の税金がかかってくるためです。
そのため、収益が出たとしても税金で差し引かれる金額が多くなり、税引き後の利益は少なくなってしまいます。
収益性はほかの土地活用の方が良い
駐車場経営は、アパート経営やマンション経営に比べて利用単価が低いです。
また、車が通る通路や精算機などを設置する必要があるため、土地の広さに対して土地の利用効率が悪くなってしまいます。したがって、ほかの土地活用よりも多くの収益を得ることはできず、お小遣い程度の収益になる場合が多いです。
そのため、資産を分散化させたいという人や、収益源を分散化させたいという人には魅力的ですが、投資目的で「たくさんの収益を得たい」と考えている人には向いていないでしょう。
立地による影響を受けやすい
駐車場経営は、立地がカギを握る土地活用です。そのため、どんな土地でも収益が出るかといわれるそうではありません。
近くに車で訪れるような施設や住宅が多い場合だと収益が見込めますが、周りに何もない土地だとほとんと収益は見込めないと考えておきましょう。
ただ、空車リスクはあらかじめ計画段階で見積もっておくことが可能です。不安な場合は専門家に一度相談しておきましょう。
駐車場経営の種類
駐車場経営の種類は、大きく分けて月極駐車場とコインパーキングの2つに分けることができます。
月極駐車場
月極駐車場とは、賃貸契約の期間をひと月単位とする駐車場の種類です。住宅地や飲食店が多い地域で需要があり、収容できる台数によって月あたりの利用料収入の上限が決まります。
月極駐車場は契約者がいれば安定した利用料収入が得られますが、空室が出た場合は利用者を募集するための工夫をする必要があります。
また、月極駐車場はエリアごとに月あたりの利用金額の相場がはっきりとしており、相場より高い金額では利用者が集まらない傾向にあるのが特徴です。
月極駐車場に向いている土地
周辺に住宅街やオフィス街のあるような土地だと継続的な利用者を見込めるため、月極駐車場に向いていると言えます。
住宅街では自宅の駐車場では台数が足りない人や賃貸マンションに駐車場を確保できなかった人などが、オフィス街では敷地に駐車場のない会社員や来客用駐車場などとして、多くの人から利用される可能性があります。
また、住宅とオフィスが両立して存在しているような土地でも利用者を見込めるでしょう。
月極駐車場経営の収益シミュレーション
以下の条件で月極駐車場を経営する場合に、月にどのくらいの収益が見込めるのかを求めていきます。
月額料金:8,000円
台数:15台
管理費:6,000円/月(管理費は収入の5%)
固定資産税:25,000円/月(年30万円)
満車率80%:(8,000円×12台)₋(6,000円+25,000円)=65,000円/月
駐車場が満車の場合、月の収益は8,9000円。満車率を80%とすると、月の収益は6,5000円になります。
コインパーキング
コインパーキング経営とは、賃貸契約の期間を時間あたりとする駐車場の種類です。都心では住宅地でも見かけることも珍しくありませんが、需要が多いのは駅前やオフィス街、大型商業施設の近く、観光地などです。
コインパーキングも月極駐車場と同様に土地ごとに料金相場がありますが、コインパーキングの場合は料金設定が一律ではないので周辺のコインパーキングと差別化をすることが可能です。
そのため、利用者が停める時間や利用が多い時間帯に合った料金設定にすることで、月極駐車場より稼ぐことができます。立地や土地オーナーが投資できる初期費用によっては変わりますが、一般的には月極駐車場経営よりコインパーキング経営の方が儲かる種類として人気があります。
コインパーキングに向いている土地
駅近や商業施設などの人が集まる場所の周辺、来客の多い集合住宅の周辺やオフィス街などが需要が高いため、コインパーキングに向いている土地と言えます。
道路に入り口が広く面していること、土地に一定の広さがあることも重要です。コインパーキングに向いている土地なのかどうかは、エリアや周辺状況、土地の状況によって変わります。
コインパーキング経営の収益シミュレーション
月極駐車場と同じく、15台駐車可能なコインパーキングという設定で考えます。
例えば、1時間200円で5時間稼働の場合、1台あたりの収入は1,000円/日、1か月収入は30,000円になります。15台であれば以下の収益が見込まれます。(管理費は収入の5%)
450,000円₋(22,500円+25,000円)=402,500円/月
以上の条件の場合、月の収益は40,2500円になります。仮にこの条件で、機械導入費用300万円、整地費用100万円とすると、初期費用回収までは約10か月を要します
駐車場経営の経営方式
駐車場経営を進めていると、清掃・巡回・クレーム対応・集金など、さまざまな管理業務が発生します。この管理業務を自分でするかどうかによって、経営方式は3通りに分かれます。
自主管理 | 管理委託方式 | 一括借上方式(サブリース) | |
---|---|---|---|
建設費用の負担 | オーナー | オーナー | 駐車場会社 |
利用料の設定・変更 | オーナー | オーナー | 駐車場会社 |
利用者の募集・管理 | オーナー | 管理会社 | 駐車場会社 |
自主運営方式
自主運営方式とは、最初の敷地整備から管理業務まですべて自分でおこなう経営方式です。
管理の手間がかかることを考えると効率的でないため、あまりおすすめできません。
管理委託方式
管理費用を支払い、管理業務を代行してもらう方法が管理委託方式です。清掃・巡回・クレーム対応・集金などの管理業務を外注することができます。
建設費用の負担をするのはオーナー自身になり、利用料が収入源になるのが一括借り上げ方式との違いです。
一括借り上げ方式
土地そのものを駐車場会社に貸して、駐車場経営をその会社に一括して依頼する方法もあります。これが一括借り上げ方式と呼ばれる方法です。
この場合は駐車場経営の収益に関係なく駐車場から賃料を受け取ることができ、その賃料が収益源になります。
駐車場経営の収入に差がつくポイントとは
駐車場経営とひとくちに言っても、様々なポイントにより収入に差が付きます。そのポイントについて本章では詳しく解説します。
駐車場の立地
いうまでもなく、駐車場経営の収入源は駐車料金です。そのため、駐車する車がないとそもそも収益が生まれません。
駐車場を利用してくれるかどうかを左右するのは、その駐車場の立地です。したがって、駐車場経営は立地次第で収益が左右されます。
駅前の繁華街
駅前の繁華街のような立地であれば車通りも多く、駅までの道を車で来た人の利用も見込めるでしょう。
数時間単位の一時的な利用が多いため、月極駐車場よりもコインパーキングの方が適した立地になるはずです。
オフィス街・住宅街
オフィス街や住宅街のような立地の場合は、安定して定期的な利用者が見込めるでしょう。
勤務先や住んでいるマンションに駐車場が設備として付いていないこともあり、月極駐車場を探す人は少なくありません。
また、傾いた土地(傾斜地)をお持ちの方もいらっしゃると思います。傾斜地での駐車場経営を考えている方は以下の記事をご覧ください。
駐車場の形式・車庫数
駐車場経営の年収・収入は、車庫数にも大きく左右されます。駐車場にはさまざまな形の設備があり、平面式駐車場・自走式立体型駐車場・機械式駐車場などさまざまです。
平面式駐車場
地上に平面利用している駐車場が平面駐車場です。一台ごとに区切られており、低コストで始めることができる特徴があります。屋根が付いているタイプと屋根が付いていないタイプの2種類があります。どちらも、維持費もそこまでかからずに経営していくことができる形式です。
月極駐車場として活用するのであれば、入り口に設置するゲートなども必要なく、区画毎に区切るだけで経営できます。
時間貸し駐車場として活用するのであれば、精算機の設置が必要です。また入り口のゲートや各区画にパークロックを設置する必要があります。
自走式駐車場
ショッピングセンターなどの商業施設で多く見かける駐車場は立体駐車場です。駐車場だけでも複数回建てになっているものがほとんどです。
立体駐車場には機械式と自走式の2種類があります。ショッピングセンターなどで見かける多くの立体駐車場は自走式が一般的で、ドライバーが駐車場の中に、空きスペースを見つけ、自分の運転で駐車するというシステムです。
自走式のタイプには1つ1つの駐車スペースにフラップと呼ばれる板が貼り付けられており、精算しないと出庫できないものと、ゲートにて入出庫を行い場内は自由に動き回れるというものがあります。ゲートで入出庫するタイプは、1つ1つの駐車スペースに精算する機器などが設置されていないため、駐車が苦手な人でも停めやすいという特徴があります。
機械式駐車場
機械式の立体駐車場は、入り口に車を停めてドライバーは降車し、係員に任せるというシステムになっています。
車を載せて搬送するパレットと呼ばれる台ごとモーターや、油圧機構などで駐車場所に搬送するタイプで、駐車スペースは台車に乗せられた車が縦に配置されています。
機械式の立体駐車場は、狭いスペースでもたくさんの車を駐車できるメリットがあり、2~3台から20~30台程度の規模のものに多く採用されています。
駐車料金の設定
月極駐車場の料金体系はシンプルですが、コインパーキングの場合は料金体系によって年収・収入が変動します。
月極駐車場経営の料金設定
月極駐車場は、最初に料金について同意したうえで契約を交わすため、基本的に料金を変更しづらいものです。特に、料金を高く設定すると、その分集客できずに稼働率が下がってしまうため、近隣の駐車場同士で価格競争になる事例が多く見られます。
そのため、月極駐車場の料金設定は、競合の様子を見つつ進めることが重要です。競合との月極駐車場の状況を確認して、賃料が高すぎず低すぎない、ちょうど間くらいの料金から設定するのがおすすめです。
近くに住宅街や会社がある場合は、その距離も重要です。賃料が高くても、家からの距離が近ければ利用してくれることもあります。したがって、近隣の月極駐車場の状況を確認料金設定と、近くの主要施設との距離を見つつ、高すぎず低すぎない料金設定をすることが重要になります。
コインパーキング経営の料金設定
コインパーキングの場合は、緻密な料金設定がカギを握ります。料金が発生する単位や深夜料金など、料金設定にさまざまな条件を付けることができ、この条件次第で近くの駐車場よりも安い駐車場だと思ってもらえることが可能です。
例えば、同じ場所にあるコインパーキングAとコインパーキングBがあるとしましょう。コインパーキングAは1時間500円で、コインパーキングBは30分300円です。この場合、コインパーキングBで1時間利用すると600円になるため、一見するとコインパーキングAを利用する人の方が多いと感じるかもしれません。
しかし、この2つのコインパーキングがスーパーの近くにあるとどうでしょうか?
実は、スーパーの利用客がこのコインパーキングを使う場合、コインパーキングBの方が好まれます。それは、スーパーを利用する人は20~30分ほどで利用を終える人が多く、その場合コインパーキングBだと、300円で抑えられるためです。
つまり、そのコインパーキングを利用する人を想定し、その人たちがお得になるような料金設定を心掛けることで、稼働率の高い儲かるコインパーキングにすることができるのです。
コインパーキングの料金設定を見直す際は、以下の基準をそれぞれ見直すことがポイントです。
(下記の時間金額は、一例で、地域・立地により大きく異なります)
- 料金が発生する時間単位:1時間〇〇円なのか、30分△△円なのか
- 最大料金:1時間500円で、最大料金を2,000円に設定する
- 深夜料金:昼間は1時間500円だが、夜間22時~5時は1時間300円にする
駐車場の稼働率
稼働率とは、1日あたり何時間が稼働しているかということを表す割合のことです。
月極駐車場であれば月間の契約戸数とほぼ同義になるでしょう。コインパーキングでは、立地によりますが稼働率の平均は20~30%程度です。
- 24時間中9時間は駐車されている = 稼働率38%
- 24時間中12時間は駐車されている = 稼働率50%
- 24時間中15時間は駐車されている = 稼働率63%
- 24時間中18時間は駐車されている = 稼働率75%
- 24時間中20時間は駐車されている = 稼働率83%
駐車場経営の利回り
利回りとは、投資金額に対する利子も含めた年単位の収益の割合のことを指しています。
逆説的ですが、駐車場経営の利回りが高いと年収・収入は高くなります。そして駐車場経営の利回りは駐車場の稼働率によってかなり変動します。
コインパーキングの稼働率で40%~50%程度あれば利回りは6%~8%ほどを目指すことができる水準であり、儲かっていると言えるでしょう。
駐車場経営で高収入を得るための4つのコツ
他の土地活用方法と比べて儲からないと言われている駐車場経営ですが、失敗しないようにリスクを理解して始めれば低リスクで高収入を得ることもできます。
そのコツをこちらで解説します。
駐車ニーズが見込める立地で始める
「駐車場経営は立地で決まる」といっても過言ではありませんが、経営する駐車場によって適した立地は変わってきます。
ここでは、月極駐車場とコインパーキングに分けて、それぞれの経営に適した立地をについて解説します。
安易に値下げをしない
駐車場経営でよくある失敗パターンの1つが価格競争です。駐車場経営は、土地さえあればはじめやすく、かつ初期費用もそれほど掛からないので、近隣に競合の駐車場が増えることもあります。
そして、駐車場は価格以外の差別化が図りづらく、できるだけ競合駐車場に客を奪われないようにするためには、「料金を下げて利用者を募る」という方法に走ってしまいがちです。しかし、できるだけ多くの車に利用してもらうための集客方法は、必ずしも値下げだけではありません。
料金設定を変えたり、単位時間当たりの料金設定を変えたりすることで、利用者数が同じでも収益を増やすことは十分可能です。そのため、競合と価格競争に陥った際は、まず自分の駐車場の料金設定を見直してみることから始めてみましょう。
駐車場スペースの利便性を重視する
「利用者が車をとめやすいかどうか」という視点を欠かしてはいけません。「形がいびつだけど、なんとか車3台分のスペースを確保できそうだ」と言って駐車場を始めても、利用者が停めづらいと感じればどれだけ立地が良くても利用者は集まりません。
駐車場オーナーの多くは、「できるだけ多くの駐車スペースを作って多くの人に停めてもらおう」と考えますが、駐車スペースが狭くなればなるほど利用者は停めづらくなります。
本当に留めやすいかどうかを確認するためには、まず「自分で駐車してみる」ことが一番の方法です。駐車スペースを設定したときに、自分で利用してみて停めづらくないかを確認することは怠らないようにしましょう。
複数の施工会社に問い合わせる
駐車場経営を検討するなら、駐車場の設計・施工会社から初期費用の見積もりをもらいましょう。初期費用の見積もりをもらうときは複数の施工会社に問い合わせて見積もりや収支計画を比較するのがポイントです。
イエウール土地活用なら駐車場の施工実績豊富な建設会社に一括で問い合わせをすることができます。
\建築費は?初期費用は?/
駐車場経営は土地活用初心者におすすめ
駐車場経営は、相続税対策や固定資産税棟の軽減効果はあまり期待できませんが、多額の投下資金を必要とせず、経営リスクを最小限に抑えるための土地活用方法として検討するに値します。
できるだけ費用をかけずに土地活用をしたいと考えている方や、とりあえず今使っていない土地を活用してみたいと考えている方は、駐車場経営も土地活用方法の1つの選択肢にするといいでしょう。
また、駐車場経営について他にも知りたい方は以下の記事をご覧ください。