アパート経営を始めるには、土地を購入したり、物件を建築したりする必要があります。ゼロからアパート経営を始めるには、土地の購入代金や建築費で費用がかかります。
そのため、どれくらいのコストがかかるのかを知ることが重要です。また、建築の流れや経営のポイントなども知っておかなければなりません。アパート経営の基本を知り、土地の購入から建物の建築までスムーズに行いましょう。
アパートの建築費を詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
購入した土地にアパートを建築する際の基礎知識
アパート経営をするなら、土地の購入や建物の建築に関する基礎知識を身につけておく必要があります。基礎知識として知っておくべきなのは、アパート建築に必要な土地の広さや建築費用、収益が得られる目安や建築期間の目安などです。
基礎知識を正しく身につけて、アパート経営に役立てましょう。
アパートの建築に必要な土地の広さ
アパートの建築は、30坪程度の土地でもできます。アパートは規模の大きい建物ですが、必ずしも広大な敷地が必要なわけではありません。
ただし、土地ごとに建ぺい率や容積率が定められており、建築できる建物の規模は異なります。建ぺい率は敷地面積に対する床面積の割合です。容積率は敷地面積に対する延べ床面積の割合を指します。
土地によって建ぺい率や容積率が何%までかが定められているため、ネットで都市計画図を検索し、どのような制限があるかを確認しておきましょう。
アパートの構造別の建築費用
アパートには以下のような構造があり、それぞれの構造によって建築費用が変わってきます。
建物構造 | 特徴 |
---|---|
木造 | 費用が安く設計の自由度が高い |
鉄骨造 | 柱と梁が不要なため広く丈夫な造りが安価でできる |
鉄筋コンクリート造 | 耐震や耐火、耐久性に優れた構造 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 耐久や耐火、耐震性が高く遮音性や耐熱、気密性も高い |
構造によって設計の自由度、耐久性などが異なるため、費用が大きく変わってきます。
耐久性や耐火、耐震性に優れているのは鉄骨鉄筋コンクリート造ですが、建築費は高額になりやすいです。アパートを建築するなら、構造別の特徴を把握し、予算に見合うものを選びましょう。
アパート建築費シュミレーター
新築アパートを建築する際は、アパート本体(躯体)、仕上げ、設備それぞれに建築費用がかかってきます。
試算条件を入力していただくと過去の建築事例をもとに、建築する際の概算費用を試算することができます。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。 予想建築費が、画面下部に表示されます。
坪数
坪
建ぺい率
%
容積率
%
未記入(不明)の場合は建ぺい率60%、容積率200%で自動試算
土地所在地
構造
坪単価
万円
<参考>構造別坪単価
木造 : 坪単価 73万円
軽量鉄骨造 : 坪単価 125万円
重量鉄骨造 : 坪単価 108万円
鉄筋コンクリート造 : 坪単価 108万円
予想建築費 万円
内訳
(坪数 × 建ぺい率 × 容積率) × 構造別の坪単価*1 = 予想建築費
*1 構造別の坪単価は、建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表中の 「共同住宅」における「工事予定額」に基づいています。
- 本当にシュミレーション通りの建築費用で建てられるかな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
イエウール土地活用なら、 最大で10社の建築費の見積もりを一括請求 することができます。
アパートの建築に必要な諸費用
アパート建築には建築費以外にも、以下のような費用が発生します。
支払うタイミング | 費用の項目 | 費用の目安 |
---|---|---|
建築計画時 | 現況測量費 | 30万円程度 |
地盤調査費用 | 1箇所あたり50万円程度 | |
建物解体費 | 坪あたり4~8万円 | |
請負契約・着工時請 | 印紙税 | 1万~10万円程度 |
水道分担金 | 100万~500万円程度 | |
工事期間中 | 追加工事 | 必要に応じて別途 |
竣工時 | 火災・地震保険料 | 保険会社・地域に準じる |
建物の登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4% | |
抵当権設定登記費用 | 借入金額×0.4% | |
司法書士手数料 | 5万~10万円程度 | |
新築建物不動産取得税 | 固定資産税評価額×3% | |
広告費 | 家賃保証型ではない場合 | 最大で賃料の1ヶ月分程度 |
各種費用を総額すると、おおむね工事費の5%程度になるため、建築計画時から入居者の募集まで、費用を支払えるように資金は多めに用意しておきましょう。
アパート経営の利回りの相場
アパート経営でどれくらいの利益が得られるかは、利回りという指標を用いて判断します。利回りは投資金額に対して、一定期間で得られるリターンのことです。利回りには経費を考慮しない表面利回りと、経費を含めて計算する実質利回りの2つがあります。表面利回りの計算方法は、次の通りです。
- (年間の家賃収入の総額÷アパートの購入価格)×100
実質利回りは経費を考慮するため、表面利回りと計算式が異なります。
- {(年間の家賃収入の総額-年間の経費)÷アパートの購入価格}×100
アパート経営の利回りの相場は3~5%程度です。利回りはあくまで目安ですが、収益の指標として事前に確認しておきましょう。
アパートの建築期間の目安
アパートの建築にどれくらいの期間がかかるかは、建物の階数や構造によって異なります。2階建ての建物なら、3ヶ月程度の工期が必要です。
基本的には木造や鉄骨造は工期が短く、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は工期が長くなります。アパート経営開始までの期間にも影響するため、工期が長くなるほど、収入が得られるまでの期間が延びることは理解しておきましょう。
活用事例:木造重層アパート「グレイスペア」
土地の購入からアパート建築までの流れ
土地を購入してからアパートを建築するまでの流れは、次の通りです。
- 建てたいアパートの理想を明確にする
- アパート建築に充てられる予算の確認
- ターゲットに需要がある土地探し
- 購入した土地に合わせてアパートの建築プランを作成
- 契約した会社で工事を開始
- 管理体制や入居者の募集をして竣工を待つ
アパートを建てるには、建てる予定の土地の周辺調査や立地調査などをまず初めに行います。その後、その土地に合わせた建築プランが出来上がり、実際に建築へと進みます。
立地に合わせたアパートを建てることが最も大切です。理想のアパート像があっても、立地によっては必ずしもその通りにならないこともあることは認識しておきましょう。
建てたいアパートの理想を明確にする
土地を購入する前に、どのようなアパートを建築したいのか、理想を明確にしておくことが大切です。考えておきたい条件としては、次の通りです。
- いつまでにいくら家賃収入を得たいか
- ターゲットが単身者かファミリー層か
- どのエリアに建築するか
理想を明確にしておくことで、アパート建築の立地や建物の規模などを考えやすくなります。
アパート建築に充てられる予算の確認
アパート建築にどれくらいの資金を使えるか、予算を確認しておくことも大切です。ローンが通るならフルローンでも建築はできますが、頭金なしだと借り入れ後の返済が苦しくなりやすいです。
また、審査の基準も厳しくなるため、頭金は多めに用意しておくとリスクヘッジにつながるでしょう。自己資金は多いほどリスクを回避できますが、頭金を含めて全体の1~3割の予算を用意しておくことがおすすめです。
ターゲットに需要がある土地探し
単身者かファミリー層かターゲットを決めたなら、需要がある土地を探します。土地を探す際には、不動産会社に依頼するか、土地探しから建築までをサポートしてくれる、土地活用の専門業者に相談しましょう。
単身者をターゲットにするなら、通勤や通学に便利な駅から近く、アクセスのよい立地がおすすめです。ファミリー層がターゲットなら、スーパーや病院、学校などの生活施設が豊富な立地が好まれます。
土地を探す際には、事前に相場を把握しておくことが大切です。相場を事前に把握しておくことで、割高な土地の購入を避けることができ、費用を節約できます。
購入した土地に合わせてアパートの建築プランを作成
土地を購入したなら、その土地に合ったアパートの建築プランを作成します。建築プランの作成は、ハウスメーカーや工務店に依頼しましょう。依頼する業者を探す際には、アパート建築の実績があるかを確認しておくことが大切です。
実績のない業者だと、ノウハウが蓄積されていないために、理想とするアパートを建築してもらえない場合があります。また、建築プランの作成は複数社に依頼し、それぞれの内容を比較検討しましょう。
同じ要望を出しても、業者によって提示するプランやかかる費用は異なります。それぞれの違いを確認し、もっとも自分の理想に近いプランを選ぶことが大切です。
契約した会社で工事を開始
建築プランを決めたなら、契約した会社で工事を開始してもらいます。工事を開始する前には、設計を細かく確認し、疑問点や不満な部分がないかを確認しておきましょう。建築を開始すると、プランは簡単には変更できないため、建築開始前に詳細までチェックしておくことが大切です。
設計の細部を詰めたなら、役所に建築確認申請を出してもらい、許可が下りたなら工事開始となります。建築するアパートによっては、地盤の工事からスタートとなり、この場合は期間が長くなります。
管理体制や入居者の募集をして竣工を待つ
工事が始まったなら、その間に管理会社と契約して管理会社を整えておきましょう。事前に体制を整えておくことで、スムーズに賃貸経営を始めやすくなります。また、竣工までに入居者の募集を開始し、完成前に入居者を確保しておくことも大切です。
完成してから入居者を募集すると、家賃収入を得るまでに時間がかかります。収入が得られない期間もローンの支払いはあるため、返済の負担を減らすには素早く家賃収入を得る必要があります。
入居者の募集から決定までには時間がかかるため、資金繰りで失敗しないためにも、早めに準備を始めておきましょう。
アパートの建築費や土地の購入費を節約するコツ
アパートを建てるには、数千万~数億円のアパート建築費がかかります。アパートの建築費や土地の購入費を節約するには、覚えておきたいコツがあります。
- 土地は相場を根拠に値引き交渉
- 設計と施工を一緒に行える会社へ依頼
- 間取りや設備はこだわりすぎない
コツを正しく理解して、少しでも費用を抑えてアパートの建築や土地の購入を行いましょう。
土地は相場を根拠に値引き交渉
土地を購入する際には、相場価格を根拠に値引きの交渉を行いましょう。購入することを前提に交渉することで、売主も値引きに応じやすくなります。
ただし、根拠なく値引きを求めても、応じてもらえない可能性が高いため注意が必要です。極端な値引きを求めると印象が悪くなり、売ってくれないリスクが高まります。
そのため、相場価格を参考にし、相場よりも高い場合はそれを理由に値引きを求めましょう。また、値引き交渉は自身で行うだけではなく、不動産会社の担当者に一任しても構いません。
設計と施工を一緒に行える会社へ依頼
建築費を節約するには、設計と施工を一緒に行える会社に依頼することがおすすめです。自社で設計から施工まで一括で行う業者なら、設計料や施工費が割安になる場合があります。設計と施工が同一の会社だと、他社へのマージンが発生しないため、割安で請け負ってくれると考えましょう。
設計施工一括方式は、大手のハウスメーカーが採用していることが多いです。そのため、費用を安くしたいなら、大手の業者を中心に探すとよいでしょう。
間取りや設備はこだわりすぎない
建築費を安くするには、間取りや設備にはこだわりすぎず、ある程度妥協することも考えましょう。できるだけシンプルな間取りにし、設備のグレードも下げたほうが、建築費は安くなります。
内装から外装を細部までこだわってしまうと、その分費用は高くなります。依頼した業者が建売りのモデルを用意しているなら、それを選んだほうが安価で建築してもらいやすいです。
アパートの土地購入や建築で気になる疑問
アパート用の土地の購入や建築をするなら、少しでも疑問を解消しておくことが大切です。
- アパートは中古の購入と新築のどちらがよいか
- アパートの建築で住宅ローンは使えないか
- アパート建築で使える補助金はあるか
健全にアパート経営をするためにも、細かな疑問も解決してから土地の購入や建築に臨みましょう。
アパートは中古の購入と新築のどちらがよいか
アパートは中古と新築のどちらで購入しても構いません。それぞれメリットとデメリットがあるため、両方を確認しておきましょう。
建物の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
中古アパート |
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新築アパート |
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中古アパートは安価で購入でき、かつ現在ある賃貸需要を確認できます。そのため、費用を安く抑えたい人や、賃貸需要の調査を念入りにしてから購入したい人におすすめです。
新築アパートは資産価値が高いため融資を受けやすく、家賃も高く設定できます。また、設備や外観が優れているため、入居者も獲得しやすい点がメリットです。
融資を受けてアパートを購入したい人や、入居者を素早く獲得したい人、長く賃貸経営をしたい人に新築アパートは向いています。アパートの建築で住宅ローンは使えないか
住宅ローンは自身の居住用住居の購入を前提としているため、原則アパートの購入や建築には利用できません。そのため、アパートローンや不動産投資ローンを利用して、融資を受けることになります。
ただし、自宅兼賃貸住宅の賃貸併用住宅を建てる場合は、自宅部分の割合が全体の2分の1以上に設定するなら住宅ローンの利用が可能です。
アパートローンや不動産投資ローンは、住宅ローンよりも金利が高いため、利用する場合は念入りに資金計画を立てて、返済に無理がないかシミュレーションしておくことが大切です。
アパート建築で使える補助金はあるか
一定の条件を満たして建築したアパートで、長期優良住宅と認定される場合は、補助金を受けられます。長期優良住宅と認定されるには、さまざまな基準を満たさなければなりません。
- 劣化対策
- 耐震性
- メンテナンス・リフォームのしやすさ
- バリアフリー対策
- 省エネ対策
- 維持保全計画
- 住戸面積
- 居住環境
各基準の要件を満たすことで、最大110万~140万円の補助金を受けられます。ただし、要件を満たすには高い工費がかかることもあるため、補助金を申請するなら費用対効果を考えることが大切です。
建築費用が高額になりすぎると、補助金を受けてもマイナスが出てしまうこともあるため、費用がかかりすぎないかを確認して申請するようにしましょう。
かかる費用を把握してアパート向けの土地の購入から始めよう
アパート経営を始めるなら、土地の購入や建築、その他諸費用がいくらかかるのかを把握しておくことが大切です。費用を把握し予算を決めておくことで、資金計画を立てやすくなります。
また、アパート建築は土地の購入から始める必要があり、立地条件にこだわって購入する土地を探す必要があります。最適な土地を見つけ、理想とするプランで建築を開始し、アパート経営を成功させましょう。