100坪もの土地があれば、賃貸経営で十分な収入を得られるアパートを建てることができます。
ただし、大きなアパートを建てるほど建築費は高額になっていくため、収益性を重視するのであれば、事前に建築費や利回りをシミュレーションして検討しておきましょう。
この記事では、100坪の土地に建てるアパート建築費の目安や利回りについて解説しています。建築事例から収益性をシミュレーションも行っているため、ご参考にしてください。
100坪の土地にかかるアパート建築費
イエウール編集部が以前行った「実際にアパートを建てたことがある人80人を対象にしたアンケート調査(2021年8月31日~9月4日)」では、100坪の土地でのアパート建築費には、おおよそ8,800万円程度かかるという結果でした。
アパートの建築費は、主に建物の構造と延べ床面積によって、かかる費用が変動します。
この章では、100坪の土地でのアパート建築にかかる費用の目安と、構造別の建築費坪単価の相場をご紹介します。これさえわかれば、建築するアパートの大きさ・間取りが決まっていなくてもおおよその金額を見積もれるため、是非ご活用ください。
100坪の土地のアパート建築費の目安【構造別】
100坪の土地に建てられる最大の大きさでアパートを建築した場合にかかる建築費の目安を、以下にご紹介します。
建物の構造・階数 | 建築費の目安 |
---|---|
木造2階建て | 8,880万円~1億2,600万円 |
鉄骨造2階建て | 9,600万円~1億2,600万円 |
鉄骨造3階建て | 1億4,400万円~2億1,600万円 |
RC造3階建て | 1億7,100万円~2億2,500万円 |
(※土地の指定建ぺい率60%、容積率200%という仮定のもとで試算しています。)
建築費の坪単価相場
先程ご紹介した建築費の目安は、建物の構造別の建築費の坪単価相場に、建てられるアパートの最大延べ床面積をかけ合わせて試算しています。
建てたいアパートの規模が決まっていれば、以上の計算式に坪単価を当てはめることで、おおよその金額を概算できます。
以下に、主要な構造ごとの建築費の坪単価の相場をまとめました。(イエウール編集部調べ)
建物の構造 | 坪単価相場 |
---|---|
木造(W造) | 74万円~105万円/坪 |
軽量鉄骨造(S造) | 80万円~105万円/坪 |
重量鉄骨造(S造) | 90万円~120万円/坪 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 95万円~125万円/坪 |
鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造) | 110万円~140万円/坪 |
「構造」とは、建物を支える骨組みのことです。用いられる建材によって種類が大分されています。
賃貸住宅に用いられることが多い構造は、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造です。2~3階建てのアパートには、軽量鉄骨造がよく採用されます。
大規模なビルや集合住宅には、鉄骨の柱にコンクリートを流し込んだ鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が用いられることもありますが、個人が建築する規模の建物では、あまり採用されることはありません。
アパートの構造について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
アパートの建築にかかる費用の内訳
「坪単価×延べ床面積」で試算できる建築費は、アパート本体の建築工事費(本体工事費)となっています。
アパート建築時には本体工事費以外にも、「付帯工事費」や「諸費用」と呼ばれる費用がかかります。
費用の種類 | 金額の目安 | 概要 |
本体工事費 (建築費) | 坪単価×延べ床面積 |
|
付帯工事費 | 本体工事費×20% |
|
諸費用 | 本体工事費×10% |
|
注意点として、建築会社によって費用の内訳が異なることがあります。
たとえば、建築工事のための仮設工事費が本体工事費に含まれていたり、付帯工事費に含まれていることがあります。付帯工事費に含まれている方が、坪単価として提示される金額が安くなるため、各建築会社の見積もりを比較する時は坪単価のみに着目せず、費用の内訳も確認するようにしましょう。
アパートの建築費や費用の内訳について、より詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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100坪以外の坪数の土地のアパートの建築費用については、以下の記事をご覧ください。
100坪の土地のアパートの間取り・部屋数は?
100坪の土地に建てられるアパートに何部屋設けられるかは、部屋の間取り設計や土地の建築規制によって異なります。
一般的な土地に、一人暮らし向けの1Rや1Kのアパートを建てるのであれば、2階建てなら10~14部屋、3階建てなら15~21部屋ほど確保することができるでしょう。
部屋数はあくまでも目安で、1部屋あたりの間取りを広くすれば、その分、総部屋数は少なくなります。たとえば、1LDK(12坪~15坪)なら2階建てで8部屋・3階建てで12部屋、2DK(15~18坪)なら2階建てで6部屋・3階建てで10部屋取れます。
反対に部屋の専有面積を小さくすればするほど、部屋数を増やすことができますが、入居者が見込めるかどうかには気をつける必要があります。
たとえば、大学や専門学校の周辺や、交通の便の良い好立地であれば、専有面積6坪以下の1Rでも学生や若者の入居者が見込めるかもしれません。
しかしながら、賃貸需要がそこまで高くないエリアであったり、周辺に競合となる賃貸物件が多い場合は、入居者を呼び込むための工夫が必要です。日当たりの良い部屋を増やしたり、やや広めの間取りにするために部屋を設けすぎないアパートづくりをした方が、空室ができず、かえって収益を高められることもあります。
また、車移動の多い地域であれば、敷地内に駐車場も設けるのもおすすめです。
100坪の土地であれば、60坪分にアパートを建て、40坪分を駐車場にすると、無駄なく土地を活用できる可能性があります。詳しくは、次の章の建ぺい率の解説で説明します。
以下の記事もご参考になります。
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あなたの土地でどのようなアパートが建てられるかが具体的にわかるだけでなく、建築費用の相場感も掴めるので、アパート建築を考え始めたらぜひ資料請求してみてください。
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アパートの建築に関わる建築規制とは
「100坪の土地」と一口に言っても、土地によって建てられるアパートの規模は変わります。これは、地域ごとに土地の建築規制が異なるからです。
この章では、アパートの建築に関わる建築規制について、簡単に解説します。
- 建ぺい率と容積率による制限
- 用途地域による制限
- 接道義務
- 防火地域・準防火地域の指定による制限
建ぺい率と容積率による制限
アパートは、たとえば100坪の土地があったとして、その土地いっぱいに建物を建てることはできません。
隣地や道路との距離をある程度取らなければならず、この程度は「建ぺい率」という割合で指定されています。また、建てられる建物の高さは、「容積率」という割合で制限されています。
- 基本的に建ぺい率は1階あたりの広さ、容積率は建物の高さの規制に関わると考えておくとよいでしょう。
たとえば、100坪の土地に2階建てのアパートを建てる場合、建坪や建物の延べ床面積の上限値には、建ぺい率の指定によって以下のような違いが出てきます。
▼指定建ぺい率60%の場合
- 建坪の上限=100坪×60%=60坪
- 延べ床面積の上限=60坪×2階=120坪
▼指定建ぺい率80%の場合
- 建坪の上限=100坪×80%=80坪
- 延べ床面積の上限=80坪×2階=160坪
40坪の差は、たとえば専有面積8坪の1Kなら5部屋分の違いになります。
なお、敷地内の庭や駐車場は、建ぺい率の計算に含まれません。つまり、建ぺい率60%の土地であれば、60坪分にアパートを建て、残り40坪分に駐車場等を設けると、100坪の土地を余すところなく利用できます。実際の設計で実現できるかどうかは土地の形状によりますが、覚えておくとよいでしょう。
建築できるアパートのボリュームは、アパート経営の収支に大きく影響します。どれくらいの規模のアパートを建てられるかシミュレーションしたい方は、まずは所有地に指定された建ぺい率と容積率を調べてみましょう。
用途地域による制限
都市計画区域内の土地は、13の用途地域のいずれかに区分されています。
土地に建てられる建物の用途や規模は、振り分けられた用途地域によって決められています。
13の用途地域のうち、「工業専用地域」に区分された土地は、アパートを含め住宅が一切建築できないため、注意が必要です。
また、第一種・第二種低層住居専用地域、または田園住居地域に指定されている土地には、「絶対高さ制限」が設けられています。高さが10mまたは12mを超える建物は建築不可となっているため、2階建てアパートか、あるいはギリギリ3階建てのアパートしか建築できません。
その他の用途地域の土地には一律的な高さ制限は指定されていませんが、隣地や道路との境界によって高さに制限が設けられることがあります。
なお、先述した「建ぺい率・容積率」の指定も、用途地域の振り分けに基づいて行われています。
土地の用途地域の区分は、インターネット上で検索して閲覧できます。
接道義務
アパートに限らず、土地に建物を建築する場合は、原則として建築基準法第43条に規定されている「接道義務」を満たしている必要があります。
接道義務とは、建物を建てる土地が、以下の条件のもとで建築基準法上の「道路」に接していなければならないというものです。
- 土地が間口2m以上で道路に接しているか
- 接している前面道路の幅員が4m以上あるか
前面道路の幅員が1.8m以上4m未満の場合は、セットバックすることによって、建物の建築が可能になります。
なお、地域によっては一定規模以上の集合住宅(アパート・マンション)の間口は4m以上でなければならないという規定があることがあります。
詳しい要件は、建築予定地の自治体の窓口やHPにて確認してみましょう。
接道義務については、以下の記事で更に詳しく解説しています。
防火地域・準防火地域の指定による制限
土地が防火地域または準防火地域に指定されている場合、建物の耐火構造化が必須となるケースがあります。
100坪の土地いっぱいにアパートを建てる場合、防火地域・準防火地域の指定による建築制限の基準は以下の通りです。
▼防火地域
- 耐火構造化が必須
▼準防火地域
- 2階建て以下:延べ床面積500㎡以下の場合は外壁・軒裏の防火構造化が必須(木造)、延べ床面積500㎡超の場合は45分準耐火構造化が必須
- 3階建て:延べ床面積500㎡以下の場合は一定の防火措置が必須、延べ床面積500㎡超の場合は45分準耐火構造化が必須
- 4階建て以上:耐火構造化が必須
土地が防火地域と準防火地域にまたがる場合は、より厳しい制限に準じます。
火や熱に弱いとされる木造や鉄骨造であっても「耐火被覆」を行えば、耐火建築物として建築可能です。ただし、通常の木造・鉄骨造のアパートよりも、建築費用は割高になります。
建築規制は地域ごとに異なり、関係する法律や条例も多いため、ご自身で全て確認するのは大変です。
ハウスメーカーや建築会社に相談すると、あなたの土地の建築規制を踏まえた上で、アパートの建築プランを見積もりしてもらえます。
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100坪の土地に建築するアパートの利回り
アパート経営において、かかる費用に対してどれくらいの収益を得られるかは、「利回り」という指標で確認できます。
この章では利回りの計算方法と、100坪の土地に建てるアパートの利回りシミュレーションをご紹介します。
利回りの計算方法
賃貸経営の収益性を検討する指標には、表面利回りと実質利回りという、2種類の「利回り」が用いられることが多いです。
どちらも、年間あたりの数値を計算するのが一般的です。
表面利回り
表面利回りとは、賃貸物件の取得費用に対する年間の家賃収入の割合を表したものです。
経費を考慮しないため大まかな指標ではありますが、簡単に計算できます。
所有地にアパートを建てた場合の表面利回りの計算方法は、以下の通りです。
表面利回り(%)=年間の家賃収入÷アパートの建築費用×100
たとえば、建築に6,000万円かかったアパートの年間家賃収入が600万円であるとすると、表面利回りは「600万円÷6,000万円×100=10%」となります。
簡易的に収益プランを提示される際には「表面利回り」が紹介されることが多いです。
しかし、実際のアパート経営にはランニングコストもかかるため、より詳しく収益性を検討する際には、「実質利回り」をシミュレーションしましょう。
実質利回り
実質利回りとは、賃貸物件の取得価格以外のアパート経営の初期費用やランニングコストを考慮した収益割合のことです。
所有地にアパートを建てた場合の実質利回りの計算方法は、以下の通りです。
実質利回り(%)=(年間の家賃収入-年間諸経費)÷(アパートの建築費用+建築時諸費用)×100
たとえば、建築費用が6,000万円、建築時にかかった諸費用が600万円で、年間家賃収入が600万円のアパートで、年間あたりの諸経費が100万円だった場合、実質利回りは「(600万円-100万円)÷(6,000万円+600万円)×100=約7.6%」となります。
実質利回りは経費を考慮するため、表面利回りよりも高い精度で収益性を評価できます。
アパート経営にかかる諸経費は、実際に運用を始めてみなければわかりませんが、目安として家賃収入の15~20%ほどと言われています。
また、土地にアパートを建てて経営する場合の実質利回りは5~8%あるのが理想的です。
ご自身でシミュレーションしてみる際には、数字を色々と変更してみて、アパート経営が成り立つ家賃収入や経費のラインを調べてみましょう。
以下の記事もご参考になります。
100坪の土地に建てるアパートの利回りシミュレーション
所有している土地に、木造2階建てのアパートを建てて経営するケースで、実質利回りをシミュレーションしてみましょう。
土地やアパートの条件は以下の通りとします。
土地面積:100坪
木造2階建て
間取り:1K
部屋数:10部屋
家賃:7万円/部屋
建築費用:7,500万円(本体工事費+付帯工事費)
諸費用:600万円
今回は、アパート経営の諸経費が家賃収入の15%であると仮定して、入居者数を変更しながらシミュレーションしていきます。
まずは、満室経営時の利回りをシミュレーションしてみましょう。
- 表面利回り=(年間家賃収入)÷(建築費用)×100
=(7万円×10部屋×12ヶ月)÷7,500万円×100
=840万円÷7,500万円×100
=11.2% - 実質利回り=(年間家賃収入-年間諸経費)÷(建築費用+諸費用)×100
=(840万円-840万円×15%)÷(7,500万円+600万円)×100
=714万円÷8,100万円×100
=約8.8%
経営しているアパートに空室がある場合の実質利回りを想定してみましょう。10部屋中2部屋が空室の場合の実質利回りはいくらになるでしょうか。
このとき、入居率は「(10部屋-8部屋)÷10部屋=80%」です。(空室率は20%)
- 実質利回り=(満室時家賃収入×入居率-年間諸経費)÷(建築費用+諸費用)×100
=(840万円×80%-840万円×80%×15%)÷8,100万円×100
=(672万円-100.8万円×15%)÷8,100万円×100
=571.2万円÷8,100万円×100
=約7.1%
入居率が下がると、家賃収入が低くなる一方で、初期費用は変わらないため、収益割合が下がります。
それでは、10部屋中5部屋が空室(入居率50%)の場合の実質利回りをシミュレーションしてみましょう。
- 実質利回り=(満室時家賃収入×入居率-年間諸経費)÷(建築費用+諸費用)×100
=(840万円×50%-840万円×50%×15%)÷8,100万円×100
=(420万円-420万円×15%)÷8,100万円×100
=357万円÷8,100万円×100
=約4.4%
入居率が半分になると、実質利回りが5%を下回ってしまうことが分かりました。
このように、数値を色々と変更しながら「建築費や経費はいくらまでに抑えるべきか」「どの程度まで家賃下落や入居率を許容できるか」といった最低ラインを調べておくことで、アパート経営開始後のリスクを減らすことができます。
アパートの建築費を抑えられれば、アパート経営の利回りを高めることができます。
建築費を抑えるためにはさまざまな方法がありますが、一番簡単な方法は建築プランを比較して、コストに見合ったアパートを建築してくれる建築会社を選ぶことです。
建築プランを比較するには、土地活用比較サイトを利用することがおすすめです。中でもイエウール土地活用では、一度、土地の情報を入力するだけで、複数社にプラン請求ができるため本業が忙しい方でも、簡単に建築プランを比較することができます。
また、チャット形式の入力フォームなので、簡単にご利用できます。
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100坪の土地でのアパート建築プランは比較・検討して決めよう
100坪の土地にアパートを建築する場合、土地の条件にもよりますが、木造2階建てなら8,880万円~1億2,600万円、鉄骨造3階建てなら1億4,400万円~2億1,600万円が建築費の目安となります。
100坪の土地は、アパートを建築する上で不自由なく設計を行える広さがあります。しかしながら自由度が高い分、建物や設備の仕様・グレードをきちんと検討しなければ、思いがけず建築費が高額になってしまうこともあります。
無駄のない建築プランを立てるには、事前に複数の企業のプランや見積もりを比較しましょう。
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建築費を抑えてアパートを建てられれば、収益性を高めることも可能です。土地活用を成功させるためにも、建築プランの比較・検討はしっかりと行いましょう!