建築費の予算が2,000万円程度の場合、敷地面積30坪程度の土地に建つ2階建て4戸の木造アパートが建てられるアパートの規模の目安となります。
必要な自己資金の目安は、600~800万円です。この記事では建築事例や収益シミュレーションを交えながら、建築費2,000万円を目安としたアパートの建築について解説しています。
アパート建築費2,000万円の建築事例
2,000万円程度を建築費の予算とする場合、坪単価が最も安い木造で、平屋または2階建てのアパートを建築できます。建坪は10~25坪程度が目安です。なお、3階建て以上のアパートはコストがかさむため、現実的ではありません。
ここからは、実際にどのような間取りのアパートが建てられるのか、建築事例を2例ご紹介します。
木造平屋のアパート
2,000万円の予算でアパートを建てる場合、以下のような木造平屋アパートを建築できます。
- 敷地面積:45坪(約132㎡)
- 建坪(建築面積):24坪(約79㎡)
- 間取り : 1R
- 部屋数:4戸
- 家賃 : 5~6万円/月
- 年間想定家賃収入:240万円
(※家賃5万円で満室経営の場合)
坪単価が74万円の場合、建築費の目安は「74万円/坪×24坪=1,796万円」となります。
※新築アパートを建てて賃貸経営する場合には、この他にもかかる費用があります。詳しくは、次章にて解説します。
家賃は、都市部なら6万円前後、地方であれば5万円前後が目安となります。利便性の高い駅前や都心部の土地であれば、7万円以上に設定できることもあります。
木造2階建てアパート
2階建てにすることで、より狭い敷地面積で平屋建てと同じ戸数のアパートを建築できます。
- 敷地面積:30坪(約99㎡)
- 建坪(建築面積):14坪(約46㎡)
- 延べ床面積:28坪(約93㎡)
- 間取り : 1K
- 部屋数:4戸
- 家賃:6~7万円/月
- 年間想定家賃収入:288万円
(※家賃6万円で満室経営の場合)
坪単価が74万円の場合、建築費の目安は「74万円/坪×28坪=2,072万円」となります。
※新築アパートを建てて賃貸経営する場合には、この他にもかかる費用があります。詳しくは、次章にて解説します。
建築費は延べ床面積や戸数が増えるほど増額していくため、2階建ての場合も最大4戸程度のアパートが目安となるでしょう。
敷地面積が狭く、標準的なアパートを建てづらい場合は、建物をメゾネットタイプにしたり重層長屋にすることで、階段や通路を設けるスペースを省く工夫ができます。
アパート建築費の計算方法や坪単価について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ある程度の予算が決まり、アパートを建築する可能性が出てきたら、複数の企業から見積もりを取得して比較しましょう。アパートの実際の建築費は、建築会社によって大きく異なります。ハウスメーカーや工務店の建築プランによっては、ご紹介した事例よりも更に安い価格で建築できる可能性もあります。
日本最大級の土地活用プラン比較サイト「イエウール土地活用」なら、土地の所在地を入力するだけで複数の大手ハウスメーカーの見積もりを一括請求できます。
\建築費は?初期費用は?/
- 収益性の高いアパート経営をおこなうために投資すべき金額や満室経営を実現させる方法など気になるところを建築会社に相談してみましょう。
アパート建築について、以下の記事もご参考になります。
活用事例:Afit(メゾネット)
エリア | 広島県 |
土地面積(㎡) | 330 |
延べ床面積(㎡) | 244.63 |
工法 | 木造在来 |
建築費用(円) | 3,000万 |
建築費2,000万円のアパートにかかる費用の総額
アパート建築の予算を組む上では、建物本体の建築工事費(本体工事費)以外にかかる費用があるということも念頭に置いておかなければなりません。
アパート建築には、建築費(本体工事費)の約3割程度の費用が別途必要となります。つまり、建築費が2,000万円のアパートを建てるのにかかる費用の総額は2,600万円です。(土地代含まず)
アパートの建築にかかる費用の大まかな内訳は以下の通りです。
アパート建築にかかる費用 | ||
---|---|---|
本体工事費 | 付帯工事費 | 諸費用 |
全体の約75~80% | 全体の約15~20% | 全体の約5~10% |
この章では、それぞれの費用について簡単に解説します。
本体工事費(建築費)
本体工事費とは、建物の基礎工事や木工事、外装・内装の仕上げ工事、キッチンやトイレ・浴室等の設備の設置工事など、アパートの本体部分の工事にかかる費用の総称です。
「建築費」と言う時は、この本体工事費を指すことが多いです。
本体工事費は、「建築費の坪単価×建物の延べ床面積」で費用を概算できます。
なお、仮設工事費を本体工事費に含める会社と含めない会社があるため、見積もりを出してもらう際には注意して確認しましょう。
付帯工事費
付帯工事費とは、土地にアパートを建てるにあたって必要となる工事にかかる費用の総称です。
アパートを建てる土地の整地費用や造成費用、地盤改良工事費用のほか、給排水設備工事や電気・ガスの引き込み工事、庭や塀、門などの外構工事にかかる費用も付帯工事費に含まれます。
状況によって必要な工事が異なり、工事の内容によって金額も変動しますが、本体工事費の約20%程度かかるのが一般的です。
諸費用
アパートを建築する際の登記費用や不動産取得税、各種保険料、アパートローンの事務手数料など、工事費以外に発生する費用や税金をまとめて「諸費用」と呼びます。
諸費用は、本体工事費の約10%程度かかります。
アパートの建築費用は、建築を依頼する企業や建築プランによって大きく異なります。あなたの土地でアパートを建てるのに実際にかかる費用は、建築会社に見積もりを請求して確認してみましょう。
\建築費は?初期費用は?/
※工事請負契約を締結するまでは、完全無料でご利用いただけます。
2,000万円でアパートを建てる時に必要な資金
アパートの建築にかかる費用を全て自己資金で捻出する方は珍しく、多くの方が「アパートローン」を借り入れて資金を調達しています。
この章ではアパートローン借入に必要な自己資金と借入時の注意点を解説します。
必要な自己資金割合は約3割
アパート建築にかかる費用の総額に対して、必要な自己資金の割合は約3割が目安です。
現在、アパートローンの借入時には、金融機関にもよりますが、借入額の約2割程度の頭金を求められることが多いです。不動産投資への融資は引き締めが厳しくなっているため、フルローンで借り入れるのは難しい状況です。
また、アパート建築にかかる諸費用の多くは、融資が下りる前に支払わなければなりません。そこで、「頭金+諸費用」として、費用総額の約3割を自己資金として用意しておくとよいでしょう。
もしも自己資金に余裕がある場合は、より大きなアパートの建築も視野に入れてみましょう。融資を活用して行う不動産投資はレバレッジ効果が大きく、2,000万円で建築するアパートよりも高い収益を得られる可能性があります。
アパートローンの返済期間
アパートローンの返済期間の上限は、新築アパートの耐用年数内であることが一般的です。
木造の建物の法定耐用年数は22年間なので、22年間が最長期間と考えておくよいでしょう。
アパートローンを組む時の注意点
アパートローンの審査には、個人の属性(本業の勤務先や年収、借入履歴など)以外にも、過去のアパート経営実績や、建築するアパートの収益性(収支計画)も評価の対象となります。
また、土地の購入代金まで満額でアパートローンで調達するのは難しいことが多いです。対策としては、自己資金で土地代をまかない、建築費をアパートローンで調達するといった方法があります。
アパート経営が初めての方は、金融機関に相談しても融資が通りづらいことがあります。ハウスメーカーのプランでアパートを建築する場合は、提携先の金融機関の紹介を受けられます。収支計画まで含めてプランニングしてもらえるため、アパート経営が初めての方はハウスメーカーでアパートを建てるのがおすすめです。
アパートローンについては、以下の記事もご参考になります。
建築費が2,000万円のアパートの収益性
2,000万円というローコストでアパートを建てたとしても、十分な収益が得られなければアパートが負債となってしまう可能性が高いです。
本章では、アパート建築を考えるときに欠かせない収益性の考え方や、1章でご紹介した2000万アパートの事例から具体的な収益シミュレーションを行ってみたいと思います。
アパートの収益性は利回りを確認しよう
アパートの収益性は、利回りとして表されます。
利回りを確認することで、投資額(建築費や諸経費)に対してどのくらいの割合でリターンが得られるのかを知ることができます。
アパートを建てるときには、この利回りを必ず確認すべきです。初期段階で収益性を確認することで、「アパートを建てたはいいが赤字となってしまった」という最悪の自体を避けることができます。
また、後に解説しますが、自己資金の割合を決めるときにも役立ちます。
利回りにはいくつか種類がありますが、表面利回りと実質利回りだけ覚えておけば問題ありません。
次に、表面利回りと実質利回りがそれぞれどのような利回りなのかを詳しく解説します。
表面利回り
表面利回りとは、初期投資額を収益性で割ったものです。計算式は以下のようになります。
- 表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 建築費用 × 100
表面利回りは、アパート建築を行う前に確認することが多い利回りです。
空室率(通常は10%ほど)を想定に入れて計算しておくと、年間あたりのリターンを大まかに検討できます。
しかし、この後説明する実質利回りと比べると、経営中にかかる維持管理費用や、その他諸費用が考慮されていない点に注意が必要です。
また、建築会社によっては表面利回りと称して満室時の年間家賃収入をもとに計算した想定利回りを提示している場合があることにも注意しましょう。
表面利回りは、あくまでも参考として確認して、より綿密な収支計画を立てる際は、実質利回りを計算するようにしましょう。
実質利回り
実質利回りとは、アパート建築時の諸費用や、アパート経営にかかる年間の維持費を反映させた利回りです。
計算式は、以下の通りです。
- 実質利回り = (年間家賃収入 - 年間経費) ÷ (建築費用 + 諸費用) × 100
経費を織り込む必要があるため、正確な実質利回りはアパート経営を始めてからわかりますが、経費を仮定して実質利回りを計算することで、実際の運用時の収益性をシミュレーションできます。アパート経営の収支計画を立てる際に、活用しましょう。
新築アパートの利回りの目安
土地にアパートを新築して運用する場合、理想的な実質利回りは5~8%です。
アパートの建築には大きな費用がかかります。計画時点で実質利回りをシミュレーションして照らし合わせることで、実際に建築を始めるかどうかを判断する目安にしてみてください。
また、実質利回りが3%を切ってしまう場合は、アパート経営が立ち行かなくなる恐れがあります。
新築アパートの利回りについては、以下の記事で詳しく解説しています。
事例からみる2,000万円アパートの収益性
それでは、1章でご紹介した木造2階建てのアパート建築事例に、更に詳しい条件を設定して、具体的な収益シミュレーションしてみましょう。
- 木造2階建て
- 敷地面積:30坪(約99㎡)
- 建坪:14坪(約46㎡)
- 延べ床面積:28坪(約93㎡)
- 間取り : 1K
- 部屋数:4戸
- 家賃:6万円/月
- 空室率:10%
建築費や資金についての条件は、以下の通りです。
- 本体工事費:2,072万円
- 付帯工事費:410万円
- 諸費用:200万円
- 年間諸経費:家賃収入の15%
表面利回りは、年間家賃収入を建築にかかった費用で割り算して求めます。
年間家賃収入=家賃×戸数×12ヶ月×(100%-空室率)
=6万円×4戸×12ヶ月×(100%-90%)
=259.2万円
建築費用=本体工事費+付帯工事費
=2,072万円+410万円
=2,482万円
表面利回り=年間家賃収入÷建築費用×100
=259.2万円÷2,482万円×100
=約10.4%
次に、実質利回りを求めてみましょう。
実質利回り=(年間家賃収入-諸経費)÷(建築費用+諸費用)×100
=(年間家賃収入-年間家賃収入×15%)÷(建築費用+諸費用)×100
=(259.2万円-259.2万円×15%)÷(2,482万円+200万円)×100
=(220.32万円÷2,682万円)×100
=約8.2%
今回のシミュレーションでは所有地にアパートを建築する前提で、土地の購入代金を考慮していません。そのため、ご紹介した利回りの目安よりも高い割合となっています。
実際にアパート経営の収支計画を立てる上では、アパートローンの返済スケジュールも考慮する必要があります。また、空室率や経費の金額はあくまで想定値のため、適宜修正していく必要があります。
シミュレーションはあくまで1例として、ご参考にしてください。
アパート建築費を2,000万円に抑える方法
アパートの建築費が2,000万円であるというのは、建築費の相場からみてもローコストの部類に入ります。
本章ではできるだけコストを抑え、予算内でアパートを建築できるようにするための方法を詳しくご紹介しています。
デザインや設備にこだわらない
アパートの建築費を抑えるためには、外観や間取り、設備に対する投資を抑える必要があります。
例えば、デザイナーズアパートなど、おしゃれなデザインの建物はそれだけで競合物件と差別化ができ入居者も集まりやすいです。しかし、複雑なデザインをもつアパートは設計や施工にコストがかかりやすく、この場合2,000万円という予算でアパートを建てることは現実的ではありません。
ローコストアパートを専門に引き受けている建築会社であれば、あらかじめ設計されたアパートがラインナップされていますので、そのなかから選ぶことをおすすめします。
ローコストアパートについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
低コストアパートに強い建築会社に相談する
数ある建築会社のなかでも、比較的低コストでアパートの建築を請け負っている建築会社がいくつかあります。
このような建築会社は、低コストアパートの相談実績や建築実績が豊富なため、大手ハウスメーカー等とは異なり予算にあった設備や収益例を提案してくれる確率が高いです。
土地や建物規模にもよりますが、1000万円以下で建てられるアパートもありますので、一度相談してみるとよいでしょう。
複数の建築会社に相談する
建築会社を決めるにあたっては、必ず複数の建築会社に相談するとよいです。
建築会社によって、提案する建築費や収支計画などが異なります。そのため、いくつかの建築会社から請求したプランを比較検討し、より良い条件のプランを見つけることが大切です。
また、アパートを建てようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
イエウール土地活用なら複数の大手ハウスメーカーから提案を受けることができます。
ローコストアパートを建てるときの注意点
2,000万円という予算でアパートを建てようとすると、コストを抑える必要があるために注意しておくべきポイントがあります。
本章では、アパート建築費が2,000万円である場合の注意点をいくつかご紹介します。
修繕費がかさむ可能性がある
アパートの建築費用が抑えられる理由にはいくつかありますが、その理由の一つに構造や建築方法があります。
アパートの建築費が2,000万円~3000万円台では、坪単価が最も低い木造が使われることが多いです。そのため、腐食やシロアリなどによる被害が考えられます。
耐久性については充実した施工が施されていない可能性が高いので、修繕費が高額になり収益性を悪化させないよう注意すべきです。
特に、リフォームなどを行うと数十万円~数百万円ほどかかりますので、修繕にお金をかけないためには日々の建物管理をおろそかにしないことが重要です。
設備投資は節約しすぎない
アパートの収益性を左右する家賃や入居率を高く保つためには、設備投資が重要です。
一般的に、入居率が高く高収益を得やすいのは都心部や駅から徒歩圏内にあるアパートであり、これらの特徴を満たさないアパートの場合は設備投資によって競争力を確保することをおすすめします。
近年では、セキュリティ面や遮音性に対する需要が強いため、インターホンや振動が伝わりにくい素材を用いるのもよいでしょう。
過度な設備投資は、建築費を抑えることができますが、長期的な視点だと収益的にマイナスとなってしまう可能性が高いです。
ローコストで建築してくれる会社の探し方
建築費の予算が2,000万円のアパートは、「ローコストアパート」に分類されます。
建てられるアパートの規模は最大でも30坪程度で、設備にお金をかける余裕がないケースも多く、収益性を確保するのに苦戦する可能性があります。
費用を抑えてアパートを建築してくれる会社を探すには、根気強く、多くの会社から資料を集めることが重要です。情報収集を進めることで、理想のアパートづくりのパートナーを見つけられる可能性が高まります。
「イエウール土地活用」の一括見積サービスなら、一度にまとめて複数の会社から建築プランや費用の見積もりを取得できます。アパート建築を計画する際に、是非ご利用ください。