アパート建築費として8000万円を出すと、そのようなアパートが建つのでしょうか。また、8000万円で建てられるアパートの収益性について気になっている方もいらっしゃるかと思います。
本記事では、実際にアパートを建てた80人の方を対象としたアンケート調査から分かった8000万円の予算で建つアパートの事例や、その収益性について詳しくご紹介します。
また、8000万円の予算で収益性を高めるためのポイントついても解説していますので、アパート建築を考えている方の参考となれば幸いです。
建築費が8000万円の時に建てられるアパートの事例
ここでは、イエウールが独自で行ったアンケート結果より、実際に8000万円ほどでアパートを建てた方の例をいくつかご紹介します。
事例①
まずは、50坪の土地にアパートを建てた方の事例です。
- 構造 : 鉄骨造
- 坪数 : 50坪
- 建築費 : 7900万円
- 階数 : 3階建て
- 戸数 : 9戸
- こだわったポイント : 共用部分を小さくし部屋を広くとり、採光と通風を確保した。
- 年齢・性別:40代・女性
8000万円の予算があれば、このような3階建てのアパートも建築可能です。土地が狭くても、階数を増やすことによって戸数を多く確保することができます。
また、この方は入居率を高くするために間取りに余裕を持たせるような建物構造に加えるなど、居住性を高める工夫をしています。
戸数を多くしても、空室が目立ってしまっては収益性としては期待できません。そのため、地域にある他の競合物件などを調査しつつ、競争力を確保できるような設備投資を行うようにするとよいです。
アパート建築費シュミレーター
新築アパートを建築する際は、アパート本体(躯体)、仕上げ、設備それぞれに建築費用がかかってきます。
試算条件を入力していただくと過去の建築事例をもとに、建築する際の概算費用を試算することができます。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。 予想建築費が、画面下部に表示されます。
坪数
坪
建ぺい率
%
容積率
%
未記入(不明)の場合は建ぺい率60%、容積率200%で自動試算
土地所在地
構造
坪単価
万円
<参考>構造別坪単価
木造 : 坪単価 73万円
軽量鉄骨造 : 坪単価 125万円
重量鉄骨造 : 坪単価 108万円
鉄筋コンクリート造 : 坪単価 108万円
予想建築費 万円
内訳
(坪数 × 建ぺい率 × 容積率) × 構造別の坪単価*1 = 予想建築費
*1 構造別の坪単価は、建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表中の 「共同住宅」における「工事予定額」に基づいています。
- 本当にシュミレーション通りの建築費用で建てられるかな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
イエウール土地活用なら、 最大で10社の建築費の見積もりを一括請求 することができます。
事例②
2つ目は、80坪の土地にアパートを建てた方の事例です。
- 構造 : 鉄筋コンクリート
- 坪数 : 80坪
- 建築費 : 7000万円
- 階数 : 2階建て
- 戸数 : 12戸
- こだわったポイント : コストを削減することよりも、快適性を上げるために防音性の壁にしたり建築材質にこだわった。
- 年齢・性別:30代・男性
この方は、7000万円で鉄筋コンクリート、2階建てアパートを建築しました。戸数も12あることから、収益性も高い物件であることがうかがえます。
また、相続税対策であれば戸数が多ければ多いほど節税効果が高まります。
相続税負担額を計算するために必要な評価額は、賃貸物件の賃貸割合が大きいほど少なくなるからです。そのため、アパートを建てる目的が相続税対策であれば、なるべく戸数を多くできるような建物規模がよいです。
ただし、戸数を多くしても、実際に入居している状態でなければ賃貸割合としてカウントされないため注意が必要です。
事例③
2つ目は、100坪の土地にアパートを建てた方の事例です。
- 構造 : 鉄筋コンクリート
- 坪数 : 100坪
- 建築費 : 7900万円
- 階数 : 2階建て
- 戸数 : 8戸
- こだわったポイント : 風呂は足が伸ばせる大きめのバスタブにした。
- 年齢・性別:50代・男性
この方は、100坪の土地で1棟当たり4戸あるアパートを2棟建築しました。
特徴的なのは、同じ土地で2棟のアパートを建てている点です。100坪ほどの広さがあれば、このように複数棟建築し経営していくことも可能です。
複数棟にするメリットとしては、リスクヘッジが可能になる点です。
アパートが2棟あれば、別々の設備を備えた建物を建てることによってターゲットとなる入居者像も異なります。そのため、1棟が思わしくない入居率でも、もう1棟が満室であればある程度の収益を得ることが可能です。
また、1棟を自分の家として、もう一棟を自分の家として、もう一棟を賃貸住宅とすることで疑似的な賃貸併用住宅として土地を活用することも可能です。
自分の家と賃貸住宅経営を同じ土地で行うことで、維持管理にかかる費用や手間が減り、入居者とのコミュニケーションが図りやすいといったメリットがあります。
活用事例:SCENA Palazzo(シエーナ・パラッツォ)
“坪数別のアパート建築費用はこちらご覧ください。
\建築費は?初期費用は?/
アパートの建築費が8000万円の場合の収益性
8000万円もの資金が必要になるのであれば、投資額に対してどのくらいの費用が必要なのか気になる方もいらっしゃるかと思います。
ここでは、アパートの収益性を確認する上で必要な利回りとその注意点、事例をもとにした収益性を詳しくご紹介します。
アパートの収益性は利回りを確認
アパート経営の収益性は、利回りを確認することで分かります。
利回りには3種類あり、それぞれ計算式が異なります。以下に3種類の利回りとその計算式をまとめました。
[lis-box]想定利回り・・・満室時の年間家賃収入÷建築費×100表面利回り・・・年間家賃収入÷建築費×100
実質利回り・・・(年間家賃収入-経費)÷(建築費用+諸費用)×100[/list-box]
どの利回りを求めるかで収益性が変わるので、注意が必要です。
特に、想定利回りと表面利回りは計算しやすいですが実際の収益性とは大きく違いますので、注意しておきましょう。
想定利回りと表面利回の落とし穴
想定利回りと表面利回りは、経費などを含まない計算のため実際の収益性よりも高くなります。そのため、想定利回りと表面利回りはあくまでも参考とし、経営を始めてからは実質利回りを計算するとよいです。
とりわけ想定利回りに関しては、満室時を想定するため一見すると高利回りとなりやすいです。しかし、実際には建築時の諸費用(100万円~)や建物の維持管理費、ローンの返済などを考慮して収益性を判断しなければなりません。
アパートの建築プランを確認する段階では、想定利回りで計算されていることがほとんどです。
想定利回りは、ざっくりとした収益性を比較する際の目安にとどめることをおすすめします。
事例を基にした収益シミュレーション
8000万円でアパートを建て方の事例から、収益シミュレーションをします。
ここでは、本記事の1章でご紹介した事例①のアパートを参考にします
アパートの条件は以下の通りです。
- 建築費:7900万円
- 坪数 : 50坪
- 構造:鉄骨
- 階数:3階
- 部屋数:9戸
その他条件は以下の通りです。
- 家賃 : 7万円
- 空室率 : 10%
- 自己資金 : 790万円
- 諸経費率 : 15%
- 借入機関 : 25年
- 金利 : 2%
アパート建築費に対する自己資金の割合は、少なくとも1割以上用意しておきましょう。
また、諸経費率はアパートの維持管理費や修繕費などが含まれたものです。
上記の条件をもとにしたシミュレーション結果は以下のようになります。
金額 | |
---|---|
返済額/月 | 約300,000円 |
年間支出/年(諸経費込) | 約5,500,000円 |
手取り/年 | 約2,050,000円 |
表面利回り | 9.6% |
実質利回り | 7.2% |
上記のように、表面利回りと実質利回りは大きく異なることが分かります。
アパート経営の場合、実質利回りは5%以上が望ましいです。
より詳しいシミュレーションについては、以下の記事をご覧ください。
アパート建築費8000万円で儲かる物件を建てるには?
アパート建築費として、8000万円は高額な予算規模となるため、絶対に失敗したくないとお考えの方が多くいらっしゃるかと思います。
そこで、アパート建築およびアパート経営を行う上で非常に重要な4点について詳しくご紹介したいと思います。
地域のニーズを調査する
アパートを建てるときには、前もって建築予定地の周辺地域にはどのようなニーズがあるのかを調べておくことをおすすめします。
地域によっては、例えばセキュリティ面に優れた物件や駐車場への需要が高いといった特徴がある場合、これらのニーズを満たすようなアパートを建てることによって入居率を高くすることができます。
ニーズを調査し、入居者層を絞ることは賃貸住宅経営における最大のリスクである空室リスクを回避することにもつながります。
競合となる物件と差別化する
近くに競合となる物件が複数ある場合、競争が激しくなり空室が目立って思うような収益が得られない可能性があります。
競合となる物件がある場合は、その物件にどのような特徴があるのかを調べてた上で、設備や間取りなどを工夫するとよいです。
人気物件となると入居待ちも発生し、空室である期間がなくなるというメリットが得られます。少しでも満室経営を維持できるよう、競合物件の調査は怠らずにしておきましょう。
収支計画をあらかじめ練る
アパート建築やアパート経営では、一度に数百万円や数千万円といったコストがかかります。そのため、せっかく建てたアパートが負債とならないよう、事前に立てた計画のもとでアパートを建てると安心です。
あらかじめ収支計画を練ることにより、どのくらいの収益が見込めるのかを把握しやすくなります。
実際にアパートが竣工し、経営を始めるまではどのくらいの費用がかかるのかの見通しをつけるのは難しいため、今回ご紹介した建築費の事例や、費用の内訳より、概算でもよいので費用感を掴んでおくとよいです。
かかる費用については、個々の状況で異なるため、費用が明らかになっていくなかで収支計画を修正していくことになります。
自己資金は3割以上を準備する
アパート建築には、多くの資金が必要になりますが、少なくとも建築費に対して3割以上の自己資金を用意しておくことをおすすめします。
3割が厳しいようであれば、最低でも1割は用意しておきたいところです。
より高利回りを目指すのであれば、3割以上がベストです。
アパートローンは、自己資金なしのフルローンで始めることも可能です。
しかし、不確実性の高いアパート経営においては、収支計画の見直しを迫られる場面もあります。そのため、ある程度資金繰りに余裕を持たすことができるよう最初から自己資金は用意しておくと安心です。
複数の建築プランを比較検討する
アパートを建てるにあたり、多くの場合はハウスメーカーや工務店と契約を結ぶことになります。注意しておきたい点は、これら各建築会社によって、提案されるプラン内容に大きな差があるということです。
建築費や収支計画、アフターサービスの充実度など自分にあったプランを選ぶためにも、必ずいくつかの建築会社に見積もりをお願いしプランの比較検討を行うとよいです。
特に、建築費用に関してはその内訳について各建築会社によって異なるため、契約前にどのような費用が別途かかってくるのかを明確にしておく必要があります。
アパート建築を検討されている方で、「そんなにいくつもの建築会社に足を運ぶ時間がない」という方もいらっしゃるかと思います。
そこでおすすめしたい方法が、土地活用比較サイトの利用です。
土地活用比較サイトのなかでも、日本でも最大級のイエウール土地活用を使えば最短10分程度で複数の建築会社に資料請求を行うことができます。
また、全国の優良建築会社のみと提携しているため、しつこい電話などがくる心配もありません。
画面に従って情報を入力していただくだけですので、誰でも簡単に資料請求を行うことができます。
アパート建築を検討されている方は、ぜひ利用をご検討ください。
\建築費は?初期費用は?/
アパート建築費が8000万円は平均的!
アパート建築費が8000万円の場合は、鉄骨造やRC造の2~3階建てのアパートを建てることができます。
実際にアパートを建てた80人の方を対象としたアンケート結果から、アパート建築費の平均は8400万円であることが分かりました。そのため、アパート建築費に8000万円は平均的といえるでしょう。
土地の広さによっては、数十の戸数を用意することができるため、収益性に期待が高まります。同時に、相続税対策でも効果を発揮しやすくなるでしょう。
また、予算だけでなく、土地の坪数や周辺地域のニーズを汲んだ競争力の高いアパートを建てることがアパート建築成功のコツといえます。