「30坪のアパート建築費用の相場を教えて!」
30坪という比較的小規模なアパートでも、建築費用は概ね2,500万円~と高額になります。高額な費用を負担して建築しても、収支が回収できない場合は負債が残ってしまうので心配ですよね…。
30坪の土地にかかるアパート建築費用はいくら?
冒頭で触れたとおり、30坪の土地にアパート建築費用は、木造で2,664万円~3,780万円、鉄骨造で2,880万円~4,320万円、RC造で3,420万円~4,500万円が目安です。
▼30坪のアパート建築費用の目安
構造 | 建築費の相場 |
---|---|
木造 | 2,664万円~3,780万円 |
鉄骨造(軽量・重量) | 2,880万円~4,320万円 |
鉄筋コンクリート造 | 3,420万円~4,500万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 3,960万円~5,040万円 |
(※指定建ぺい率60%・2階建てアパートの条件で試算しています。)
坪単価は構造によって変わる
アパートの「坪単価」は建物の構造によって次のように変わります。
▼構造別の坪単価
構造 | 坪単価 |
---|---|
木造 | 74万円~105万円 |
鉄骨造(軽量・重量) | 80万円~120万円 |
鉄筋コンクリート造 | 95万円~125万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 110万円~140万円 |
建材は強度が高くなるほど高額になります。よって、木造が最も安く、次いで鉄骨造、鉄筋コンクリート造、最も高いのは鉄骨鉄筋コンクリート造となっています。
\建築費は?初期費用は?/
アパート建築費用を計算する方法
坪単価がわかる場合、アパート建築費用の総額は、以下の計算式でシミュレーションできます。
▼アパート建築費用の計算式
= 本体工事費(坪単価×延べ床面積)+付帯工事費(本体工事費の約20%) + 諸経費(本体工事費の約10%)
なお、その他の延べ床面積(坪数)別のアパート建築費は以下の記事で詳しく解説しています。坪数に応じて建築費用がいくらになるのか確認されたい方は、ぜひご参考ください。
30坪アパートの部屋数と家賃収入シミュレーション
30坪アパートの部屋数
30坪アパートの場合、30坪であれば1フロアあたり最大4部屋つくることができます。
30坪アパートであれば、1ルームや1Kで考えることが一般的で、1部屋あたりの必要面積は7坪前後が目安となるためです。
ただし、作れる部屋数は建ぺい率や容積率によって変わります。
建ぺい率とは、土地に対して建物を建てられる面積の割合のことです。また、容積率とは敷地面積に対する3次元空間の割合を指します。
例えば、30坪の土地の建ぺい率が60%の場合、建物を建てられる面積は18坪(30坪×60%)になります。また、容積率が200%である場合、建物の高さは60坪(30坪×200%)です。
つまり、各フロアあたり18坪かつ最大3階(60坪÷18坪)までのアパートしか建てられないことになります。
家賃収入シミュレーション
家賃収入は「家賃×部屋数」で概算できます。
例えば、家賃8万円、建蔽率60%、容積率150%の場合、部屋数と家賃収入は以下のようになります。
▼部屋あたり3.5坪(6.5畳)で家賃8万円の場合
- 部屋数
- フロアあたり最大18坪(30坪×建蔽率60%)
- フロアあたり最大5部屋(1フロア18坪÷1部屋3.5坪)
- 階数は最大2階(30坪×容積率150%÷1フロア18坪)まで建てられる
- ⇒全部屋数は最大10部屋(5部屋×2階)
- 家賃収入
- 10部屋×8万円=最大80万円
\建築費は?初期費用は?/
30坪アパートの収支シミュレーション
ここまで、30坪の土地にアパートを建てるときの建築費と収益性の目安をご紹介しました。
本章では、建築費と収益性の目安から、木造アパートを建てて経営したときの収支シミュレーションを行います。諸条件は以下の通りです。
諸条件 | |
---|---|
建築費 | 4,000万円 |
部屋数 | 6部屋/1ルーム |
家賃 | 6万円 |
諸経費率 | 15% |
空室率 | 10% |
借入額 | 3600万円 |
金利 | 3% |
一般的に、アパート経営を始めるために必要な自己資金は初期費用の10%以上といわれています。
以上の条件ともとに収支シミュレーションを行うと、以下のようになります。
シミュレーション結果 | |
---|---|
年間家賃収入 | 432万円 |
年間支出 | 約332万円 |
年間手取り | 約100万円 |
実質利回り | 8.1% |
アパート経営における利回りは、5%前後が目安です。今回のシミュレーションでは約8%であることから、十分良い経営状況であるといえます。
30坪の土地でアパート経営を成功させるポイント
本章では、30坪の土地でアパート経営を成功させるポイントを解説しています。
▼30坪の土地でアパート経営を成功させるポイント
- アパート建築費用を抑える
- 木造で建てる
- シンプルな形状にする
- 賃貸併用住宅にする
- アパート経営に向いている立地に建てる
アパート建築費用を抑える
アパート建築費用を抑えることで、初期投資額を減らし経営の安定が期待できます。初期投資を抑えると、ローン返済に余裕が生まれ、修繕費や管理費用に備える予備資金も確保しやすくなります。
木造やシンプルなデザインを選ぶなど、適切に費用を抑えてアパート経営の成功を目指しましょう。
\建築費は?初期費用は?/
木造で建てる
木造でアパートを建てると、他の構造よりも建築費用を抑えられます。木造は坪単価が低く、経済的な選択です。
設計段階でこれが確認されるため、木造だからといって特別に耐久性を心配する必要はありません。
シンプルな形状にする
アパートを建てる際は、シンプルな四角形や汎用性の高い形状にすると建築費用を抑えられます。
デザインに凝れば他の物件と差別化できますが、建築費が増える可能性があります。
賃貸併用住宅にする
賃貸併用住宅とは、自宅と賃貸住宅を一つの建物内で併用する形式です。
家賃収入をローン返済に充てることで、少ない負担でマイホームを持つことができ、リタイア後の収入源にもなります。
また、床面積の半分以上を自宅として利用する条件を満たせば、低金利の住宅ローンを利用可能です。住宅ローンは長期的に借りられ、アパートローンよりも金利面で有利です。
アパート経営に向いている立地に建てる
アパート経営は、立地によって収益が大きく変わります。立地条件が賃貸需要の強さを左右するためです。
特に以下のような特徴がある土地は、賃貸需要が高い傾向にあります。
▼賃貸需要が高い土地の特徴
- 駅から徒歩10分以内
- 知名度の高い地域
- 需要の強い施設の近く
これらの特徴を参考に、お持ちの土地と比較しながらご確認ください。
駅から徒歩10分圏内にある土地
駅から徒歩10分以内の土地は、アパート経営に適しています。多くの人が住む場所を選ぶ際に「駅からの距離」を重視するためです。
最寄り駅から徒歩10分圏内であれば、競争力の高い物件となり、空室リスクも低くなります。
駅に近いという条件だけで、多くの入居希望者を引き寄せることができるため、安定した賃貸経営が期待できます。
特定の需要がある施設が近くにある土地
企業や大学、病院などの特定の施設が近い土地は、アパート経営に有利です。これらの施設を利用する人々が安定した入居者層となり、一定の賃貸需要が期待できるため、空室リスクが低くなります。
知名度のある地域にある土地
知名度のある地域の土地は、アパート経営に適しています。「住みたい街ランキング」などで人気の地域は入居希望者が多く、家賃相場も高めです。そのため、アパート経営を成功させる可能性が高まります。
例えば、県庁所在地や大規模な商業施設、ターミナル駅のある地域は特に人気です。
こうした場所では、駅から徒歩10分以上の土地でも、入居者が見つかりやすく、アパート経営が成立しやすいでしょう。
\建築費は?初期費用は?/
30坪の土地にアパートを建てる流れ
本章では、30坪の土地にアパートを建てる流れについて詳しく解説します。
土地調査
アパート経営を始めるには、まず土地や周辺の調査を行い、適した土地か確認しましょう。
駅から徒歩10分圏内や、学校や病院が近いなど、生活の利便性が高い土地が理想的です。
また、土地の形状も重要です。三角形などの土地では、スペースを十分に活用できず、予定通りのアパートが建てられない可能性があります。
後々のトラブルを避けるためにも、立地だけでなく土地の形もしっかり確認しておくことが大切です。
ハウスメーカーに相談
土地調査が終わったら、ハウスメーカーに相談しましょう。
相談は、直接お店に出向くか、ホームページのフォームやオンラインで申し込むことができます。相談時には、土地調査の結果や予算、希望する設計を伝えておくとスムーズです。
また、ハウスメーカーへの相談は1社だけでなく複数に行うことが重要です。建築費や収支に大きな違いがあり、建築費に100万円以上の差が出ることもあります。
\建築費は?初期費用は?/
プランの比較検討・決定
ハウスメーカーと相談後、担当者がアパート建築プランを作成します。
複数の建築プランが揃ったら、建築費、設計、アフターサポートなどを比較して最適なプランを選びましょう。
請負工事契約締結・着工
建築プランが決定したら、ハウスメーカーと請負工事契約を締結し、いよいよ着工です。
アパートの建築期間は「階数+1ヶ月」が目安で、2階建てなら約3か月、3階建てなら約4か月です。
また、アパート経営の管理をハウスメーカー系列の管理会社に委託する場合、この段階で入居者募集を開始します。
竣工時に入居者が決まっていれば、完成直後から家賃収入を得ることができます。
建物引き渡し・経営開始
信頼できるハウスメーカーの選び方
アパートの建築費用は、決して安い金額ではありません。そのため、契約をするハウスメーカーは安心して任せられるところに頼むことが大切になります。
本章では、信頼できるハウスメーカーの選び方について詳しくご紹介しますので、参考にしていただきたいと思います。
▼信頼できるハウスメーカーの選び方
- アフターサポートの内容も確認する
- 実績や口コミも参考にする
- 複数のハウスメーカーに相談する
アフターサポートの内容も確認する
大手ハウスメーカーでは、さまざまなアフターアフターサポートが提供されています。
たとえば、24時間対応のサポートセンターや、経営に役立つセミナーの開催などが挙げられます。
特に初めてアパート経営を始める場合は、アフターサポートが充実しているハウスメーカーを選ぶと安心です。
アパート経営は、建物が完成してからが本番です。万一のトラブルにも対応できるよう、信頼できるサポート体制が整っているかどうかを必ず確認しておきましょう。
実績や口コミも参考にする
ハウスメーカーの信頼性を見極めるには、過去の実績や口コミを参考にすることが有効です。
具体的には、着工棟数やアパートの入居率などの実績は、その企業の経験や実力を測る材料になります。
さらに、実際にアパートを建てたオーナーや入居者からの口コミや評価も重要です。
第三者の声からは、建物やサポートの質など実際の経験に基づく評価を知ることができ、ハウスメーカー選びの参考になります。
複数のハウスメーカーに相談する
ハウスメーカーによって、得意なアパート形態から見積もる建築費、アフターサポートの内容まで大きく異なります。
そのため、1社のみの相談ではそのハウスメーカーがベストであるのか判断が難しいです。
複数のハウスメーカーに相談し建築プランを比較検討すれば、より良いプランどれなのか決めやすくなり納得した上で契約できるでしょう。
30坪の土地でも収益性の高いアパート建築を目指そう
30坪の土地に建てる2階建てアパートの建築費は、木造なら2,664万円~3,780万円、鉄骨造なら2,880万円~4,320万円、RC造なら3,420万円~4,500万円が目安です。
アパートを建てて経営をしようとお考えの方のなかには、30坪以下の土地で収益が上げられるかどうかが不安で、土地活用の方法に悩む人が多くいます。
しかしながら、アパート経営は土地が30坪程度であっても十分成り立たせることができます。
ニーズに合わせたプランニングさえできれば収益性の高いアパート建築が可能です。信頼できるハウスメーカーと契約を結び、大切な財産である土地を有効活用できるようにしましょう。