60坪の土地でアパート建築を検討している方の中には、「建築費はいくらになるのか?」「60坪ならどんなアパートが建つのか?」というような疑問を持つ人もいると思います。
60坪の土地であれば、3階建てのアパートでも建築することができるため、収益性の高いアパート経営を始めることも可能です。そこでこの記事では、60坪の土地にアパートを建てるときの建築費用や建築事例、アパート建築のコツなどについて解説しています。
また、アパート経営をすることを迷っている人向けに、60坪の土地の活用方法についても紹介しています。
60坪の土地にかかるアパート建築費
60坪の土地には、間取りにもよりますが、部屋数6~10戸のアパートを建てられます。十分に収益を期待できる規模のアパートです。
また、土地の条件によっては、3階建てのアパートを建てることもできます。
60坪の土地に建てるアパート建築費の目安
60坪の土地いっぱいに2階建てのアパートを建てるときにかかる建築費の目安は以下の通りです。
建物の構造 | 建築費の相場 |
---|---|
木造(W造) | 5,328万円~7,560万円 |
軽量鉄骨造(S造) | 5,760万円~7,560万円 |
重量鉄骨造(S造) | 6,480万円~8,640万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 6,840万円~9,000万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 7,920万円~1億80万円 |
コンクリートブロック造(CB造) | 5,760万円~7,200万円 |
(指定建ぺい率60%で試算しています。)
3階建てのアパートを建てる場合は、木造なら7,992万円~、鉄骨造なら8,640万円~、鉄筋コンクリート造なら1億260万円~が建築費の目安となります。
構造によって坪単価は変わる
アパートの坪単価は、建物に採用する構造によって大きく異なります。
建物の構造によって建材や工期が変わるため、相場に違いが生じます。
主要な構造別の坪単価相場は以下の通りです。
構造 | 坪単価 |
---|---|
木造(W) | 74万~105万円 |
軽量鉄骨造(S) | 80万~105万円 |
重量鉄骨造(S) | 90万~120万円 |
鉄筋コンクリート造(RC) | 95万~125万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC) | 110万~140万円 |
コンクリートブロック造(CB) | 80万~100万円 |
(※イエウール編集部調べ)
賃貸アパートの構造にはコストの観点から、木造や軽量鉄骨造を用いることが多いです。
アパート建築費の坪単価や計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
アパートの構造について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
本体工事以外にも費用はかかる
アパートの建築には、建物の建築にかかる本体工事費以外にも、駐車場や塀の設置などにかかる付帯工事費や諸費用がかかります。
付帯工事費は本体工事費の20%、諸費用は本体工事費の10%程度かかるため、費用の総額は「坪単価×延べ床面積」で概算できる建築費の1.3倍ほどになります。
ただし、それぞれの費用の金額は、建築会社によって大きく異なります。そのため、実際にかかる建築費用を知りたい場合は、まずは建築会社に見積もりを請求することをおすすめします。
「イエウール土地活用」の一括見積サービスを利用すると、複数の大手ハウスメーカーにまとめて見積もり依頼ができます。提案された建築プランをもとに、アパート建築のイメージを固めていきましょう。
\建築費は?初期費用は?/
60坪以外の坪数別のアパート建築費用は、以下の記事をご覧ください。
60坪の土地でのアパート建築事例
この章では、実際のアパート建築事例をご紹介します。
60坪の土地にどのようなアパートが建てられるか、イメージすることにお役立てください。
木造3階建てアパートの建築事例
- 性別:男性
- 年齢:50代
- 建築費:4,000万円
- 構造:木造
- 階数:3階
- 部屋数:12部屋
- 目的:相続税対策として有効な手段だったから
- こだわりのポイント:できるだけ安い土地を購入したこと
50代のこの男性は、木造3階建て8部屋のアパートを約4,000万円かけて建築しました。施主のこだわりとして、土地を所有していなかったので、できるだけ安い土地を購入して初期費用を抑えたそうです。
この事例のように、60坪の土地に12戸の部屋を確保できれば、収益性の高いアパート経営を始めることができます。アパート経営において、部屋数を増やし、賃料単価を高めることは収益性を上げるうえで重要なことです。
そのため、アパートの建築をするときには、できるだけ部屋数を増やすように心がけることが大切になります。
ペット可のアパートの建築事例
エリア | 神奈川県 |
土地面積(㎡) | 181.81(約60坪) |
延べ床面積(㎡) | 295.5 |
工法 | 木造2×4工法 |
(大東建託株式会社の土地活用事例)
アパートの規模を決める建築規制
土地に建てられるアパートの規模は、土地の建築規制によって異なります。
場合によっては希望する大きさのアパートが建てられないこともあるため、アパートを建てるときには事前に建築規制を確認しておくことが重要です。
ここでは、アパート建築において重要な建築規制について解説します。
建ぺい率
建ぺい率とは、敷地面積に対する建物の建築面積の割合のことです。
たとえば、60坪の土地に1階の面積が30坪の建物を建てたときの建ぺい率は、30坪÷60坪×100=50%です。
市街地の土地は、自治体によってそれぞれ建ぺい率の上限が指定されています。
たとえば、60坪の土地の指定建ぺい率が60%だった場合、建坪の最大の面積は36坪となります。
指定建ぺい率は用途地域ごとに30~80%の範囲で定められていて、制限を超えるような規模の建物は建てられません。
容積率
容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のことです。敷地面積に対する立体的な容積比率を表します。
たとえば、60坪の土地に延べ床面積108坪の建物を建てた場合、容積率は108坪÷60坪×100=180%です。
市街地の土地は、建ぺい率同様に容積率の上限が指定されています。用途地域ごとに50~500%の範囲で制限が決められていて、指定容積率が大きいほど、高い建物を建てやすくなります。
たとえば、60坪の土地で建ぺい率が60%、容積率が200%という土地の場合、建てられる建坪の上限は36坪、延べ床面積の上限は120坪です。
アパートの建築予定地の建ぺい率・容積率は、自治体HPや用途地域マップなどで調べることができます。
接道義務
アパートを建築するときには、接道義務を守る必要があります。
接道義務とは、建築物の敷地が幅員4m以上の道路に2m(ないし3m)以上接しなければならないという規則です。
土地が幅員4m未満の道路に面している場合は、原則としてアパートを建てることはできませんので、セットバックを行う必要があります。
セットバックとは、道路と土地の境界線から間口を後退させることで、道路の中心から2m離れた位置を間口とする方法です。これを行うことにより、接道義務をクリアし、アパート建てられるようになります。
用途地域
用途地域とは、都市計画法により、13種類の区分ごとに建築可能な建物が規制され、住環境の保護と商工業の利便性を高めるために、さまざまな制限が設けられた地域のことを指します。
たとえば、大規模な工場が立ち並ぶ工業地帯に戸建住宅を建てられないような規制となっています。
アパートに関しては、工業の業務の利便性を向上させることを目的として設定される用途地域である工業専用地域以外のすべての用途地域で建築することができます。また、先述の建ぺい率と容積率も用途地域ごとに定められています。
アパートを建築する可能性が出てきたら、複数の企業の建築費用の見積もりを比較しましょう。
アパートの建築費用は設計や工法によって大きく異なり、建築のプランによって将来の利回りも変わります。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
イエウール土地活用なら複数の大手ハウスメーカーの見積もりを一括請求することができます。
\建築費は?初期費用は?/
高収益のアパートを建築するコツ
せっかくアパートを建てて経営するなら、高い収益で運用したいものですよね。
この章では、アパート経営で高収益を上げるためのポイントをご紹介します。
自己資金比率をあげる
アパートを建てるにあたり、ローンを組むことが一般的ですが、借入額が増えるほどアパート経営の収支計画に影響があります。
アパート経営を安定させるためには、まず初期投資の段階で自己資金の割合を建築費の3割以上にしておくと安心です。
一般的には、自己資金の目安は建築費の1割以上とされていますが、可能であれば3割以上を準備しておくことで余裕をもった収支計画を組むことができます。初期費用をすべてローンで充てるフルローンでアパートを建てることもできますが、収益性が低く、返済のリスクも大きいためおすすめできません。
ニーズを汲んだ間取りや設備投資をする
アパートの競争力は、間取りや設備によって大きく変わります。
例えば、昨今のリモートワークの増加により、共働き世代でもそれぞれ仕事に集中できるスペースが必要とされる状況が続いています。実際にハウスメーカーでも、リモートワークに最適な間取りを提案しているところもあります。
また、繁華街など人出の多い場所にあるアパートではオートロック付物件の人気が高いです。このように社会状況や立地によってアパートに求められるものが異なります。そのため、アパートを建てる際には事前に情報収集を行い、ハウスメーカーの担当者と話し合いながら建築プランを仕上げましょう。
建築会社・管理会社は比較検討する
アパートを建てるには、建築会社に相談することになるかと思いますが、どこの建築会社と契約を結ぶかはアパート経営において非常に重要です。
建築会社によって建築費や提案される建築プランや収支プランが異なるため、より自分に合ったプランを選べるよう必ず複数の会社に相談し比較検討することが望ましいです。
また、建築会社と同様、アパートを経営していくにあたり管理会社選びも重要です。建物の清掃や入居者対応は入居率に関わりますので、しっかりと管理を任せられる会社を選ぶ必要があります。そのため、管理費だけで選ばずに過去どのような管理を行ってきたかなどの実績をもとに管理会社を決めていきましょう。
アパートを建てたいと思ったら、まずは土地活用のプロに建築プランの相談をしてみることをおすすめします。
アパートは2階建てがいいのか、3階建てがいいのか、どのような間取りで建てるべきか、最適なプランは建築予定地の条件やご自身のアパート経営の目的によって変わります。
「イエウール土地活用」の一括見積なら複数の大手ハウスメーカーから提案を受けることができます。工事請負契約を結ぶまでは無料で利用できるので、お気軽にご利用ください。
\建築費は?初期費用は?/
アパート建築以外の土地活用方法
60坪の土地を所有している場合にできる土地活用は、アパート経営だけではありません。建築費などを考慮した結果アパート経営に乗り気になれないなら、他の土地活用を検討するのも良いでしょう。
土地活用法には様々なものがあり、いずれもメリットとデメリットが両立しています。そのため、土地活用法を決めるときは自分の目的を明確にして、その目的に合った活用法を選ぶことが大切です。
本章では、目的別のおすすめの土地活用法について紹介します。
初期費用を抑えたいなら
アパート経営やマンション経営などの土地に建物を建築する土地活用は、初期費用の負担が大きいためローンの借入を行なわなければなりません。加えて、アパート経営やマンション経営では多額の初期費用をかけたとしても、回収するまでに数十年がかかってしまうこともあり得ます。
そのためリスクを避けて土地活用を行ないたい人なら、初期費用を抑えることのできる土地活用法を選ぶでしょう。その活用方法とは以下の通りです。
- 駐車場経営
- トランクルーム経営
- 資材置き場
- 貸農園
駐車場経営
駐車場経営には、1ヶ月単位で借主と賃貸借契約を結んで毎月定額の家賃収入を得る「月極駐車場経営」と、コインパーキングを作りその利用料金を収益とする「コインパーキング経営」の2種類があります。
それぞれの特徴としては、月極駐車場経営は初期費用が少なく済みこまめな修繕が必要ありません。コインパーキング経営は手間をかけずに運用することができ、収益性にも期待することができます。
トランクルーム経営
トランクルーム経営とはコンテナを建築し、コンテナスペースを貸し出すことで収益を得る事業です。
利用者に貸す際に「寄託契約」というものを交わして物品の保管・保証の義務を負うことになります。そのため、レンタル収納スペースと比べてトランクルームの防犯対策が強いという特徴があります。
トランクルームには「屋外型」と「屋内型」の2つの形式があります。屋外型はコンテナを設置するだけであるため、初期費用を抑えることができます。屋内型の場合は建物内で保管するため、様々なニーズに応えることができます。
資材置き場
資材置き場の最大のメリットであり特徴であるのは、土地活用のための事前コストがかからないというところです。また、整地の必要があったとしても、貸し出す相手である建設業者が行なってくれることが殆どであるため、初期コストはほとんどかかりません。
そのほかには、安定収入が見込める・土地の管理の手間が不要・転用がしやすいなどのメリットがあります。
貸農園
農園として土地を整備すれば手軽に賃貸することができますし、活用までのスピードが速い点や周辺の環境に適用して土地を転用しやすい点も貸農園の特徴です。
貸農園は、比較的都心部に近い郊外に土地を持っている人におすすめできる土地活用方法です。
税金対策をしたいなら
土地活用をする目的の一つとして節税が挙げられます。60坪の土地では固定資産税や都市計画税なども少ない額ではないでしょう。土地は所有しているだけで費用がかかってしまいますし、節税を目的とする人も多いと思います。
節税効果を得られる土地活用方法としては、アパート経営・マンション経営や戸建賃貸経営が挙げられます。
アパート経営・マンション経営
アパマン経営を行なうことで、小規模宅地の特例などを活用することができます。これらによって固定資産税を1/6、都市計画税は1/3まで減額することが可能です。
また、相続税の節税効果についても、ローンの借入の分だけ相続税評価額を減額することができる上に、小規模宅地の特例を適用することで相続税評価額の減額も行なえます。
アパート・マンション経営は一度入居者が決まれば数年間は安定して収益が発生するというメリットがある一方で、初期費用が大きくリスクも高い、手間がかかるといったデメリットもあります。
戸建賃貸経営
家賃収入の大きさよりも、節税効果と初期費用のリスクを両立させたい場合は戸建賃貸経営がおすすめの土地活用方法です。
戸建賃貸経営は、一度入居者が入れば長期的に賃貸することが多いため、安定性にも優れているというメリットもあります。また、入居者トラブルなどがないのでアパート経営やマンション経営に手間がかからずに済みます。
60坪の土地は集合住宅を建築するには少し小さめの土地ですが、戸建賃貸であれば十分な広さの物件を建てることができます。
収益性を重視するなら
節税効果や初期費用の少なさよりも、収益性の高さを重視する場合は小規模店舗経営をおすすめします。小規模店舗経営とは美容院やコンビニなどへのテナントへ賃貸を行なう土地活用の方法です。
この方法であれば、もし収益性の高いテナントが入居すれば集客効果を期待できて、入居希望者も増えることから空室リスクを軽減することができます。しかし、逆に店舗の売り上げが思わしくない場合、早期撤退される可能性もあるため気を付けましょう。
そのため、土地の近くに飲食店があるなど、テナントニーズが既に確認できる場合におすすめできる土地活用方法です。
60坪の土地でもアパートは建築できる!
60坪の土地に2階建てアパートを建てたときの建築費の目安は、木造で5,328万円~7,560万円、鉄骨造で5,760万円~7,560万円、鉄筋コンクリート造で6,840万円~9,000万円です。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資といわれていますが、リスクが伴うことには変わりありません。
土地にアパートを建てて運用するなら、事前の情報収集が重要です。費用の相場を掴み、収益性をシミュレーションすることで、アパート経営に失敗してしまう可能性を抑えられます。
この記事も参考としていただきながら、さまざまな情報をもとに、あなたに合った方法でアパート経営を始めましょう。