賃貸経営を考えている人の中には、木造3階建て共同住宅(木三共)を選択肢の一つにしているものの、具体的にどういったものなのかは分からないという人もいるでしょう。
木三共の設計条件を示す法文が分かりづらかったり、法改正により基準が変わったりなどしたため、余計に理解することが難しいかと思います。
そのため本記事では、木三共の建築基準について分かりやすく解説しています。また、メリットやデメリットについても紹介しているため、参考にしていただければ幸いです。
木造3階建て共同住宅の建築基準
建築基準法27条において、3階建て以上の共同住宅は耐火建築物とする必要がありましたが、2019年の法改正によって、建設予定地の土地の延べ床面積が200㎡未満の小規模で、かつ一定条件を満たせば耐火建築物以外でも建築可能になりました。
法改正により、本来なら耐火建築物とすべきところを1時間準耐火建築物で建築ができるようになったのです。この1時間準耐火建築物として設計される木造3階建て共同住宅のことを「木三共」と呼びます。
耐火建築物とは
耐火建築物とは、建物の主要構造部に耐火性能のある材質が使用されている建物のことです。建築物の利用者が避難するまでの間は倒壊することなく性能の維持が可能で、近隣への延焼を防げるというのが条件です。
一般的にRC造やレンガ造、鉄鋼モルタル造などの建物が耐火建築物となります。木造でも耐火建築物の建築は可能ですが、基本的に軸組みの周りを耐火性能のある素材で覆う影響で柱や壁が厚くなるため、マンションや商業施設などの大規模な建築物に適用されることが多いです。
木三共で耐火建築物としないためには、建築基準法で定められた以下4つの基準を守る必要があります。
主要構造部を1時間準耐火構造にする
避難に有効なバルコニーを各住戸に設ける
敷地内で建物の外側に幅3m以上の通路を設ける
3階住戸の外壁の開口部に防火設備を設置する(防火地域・準防火地域に限る)
これら4つの基準を満たすことで木三共を建てることができます。
基準①:主要構造部を1時間準耐火構造にする
木造3階建て共同住宅は1時間準耐火構造であることが求められます。木造三階建て共同住宅では、火災から1時間の間は建物の構造を保つ必要があり、これを1時間準耐火建築物といいます。
1時間準耐火構造とするためには、主要構造部である壁、柱、梁 屋根の軒裏は耐火被覆工事を行い耐火性能を高めなければなりません。
非損傷性が、火災発生から1時間以上であることも条件です。加えて、外壁の遮炎性も1時間以上であることが求められます。ちなみに、通常の準耐火構造では遮炎性は45分以上です。木造3階建て共同住宅の場合は、建物規模や避難人数が加味されるため、さらに長い1時間に設定されています。
基準②:避難に有効なバルコニーを各住戸に設ける
火災が起きた際の避難経路として避難可能なバルコニーを取りつける必要があります。「避難に有効なバルコニー」の条件は以下の通りです。
- バルコニーの床面は耐火被覆工事がなされていること(1時間準耐火構造)
- 避難設備(ハッチなど)の設置
- 避難設備から建物外へ通じる道路への経路幅員が90cm確保されている
- バルコニーへ出るための出入り口が高さ1.8m・幅75cm以上であり、床から15cm以下である
しかし、以下の条件を満たすことにより「避難上有効なバルコニー」の設置を避けられます。
「避難上有効なバルコニー」の緩和条件
- 各住戸から地上に通じる廊下、階段が直接外気に開放されていること
- 各住戸の廊下、階段に面する窓・扉が防火設備であること
上記の「各住戸から地上に通じる廊下、階段が直接外気に開放されていること」に関して、廊下の開放とは廊下の手すり上部から天井までの高さが1m以上開放されていることで、階段の開放とは階段の中間踊り場で2㎡以上の開口部が設けられていることです。
基準③:敷地内で建物の外側に幅3m以上の通路を設ける
敷地内には原則幅員3m以上の敷地内通路を設ける必要があります。しかし、敷地内に幅3m以上の通路を設ける場合、建物の面積がかなり限られてしまいます。そこで、以下の条件を満たせば「幅員3mの敷地内通路」を緩和できることになりました。
「建物周囲の幅3mの通路」の建築基準を満たすための緩和条件
- 宿泊室などに避難上有効なバルコニーなどを設けている
- 宿泊室などから地上に通じる主な廊下や階段、その他の通路が直接外気に開放されている
- 宿泊室などの通路に面する開口部に遮炎性能を持つ防火設備を設けている
- 外壁の開口部の上部に遮炎性能のあるひさしなどが防火上有効に設けられている
- どういうこと?バルコニーは緩和条件を満たせば設置しなくてもいいんじゃないの?
- バルコニーか通路のどちらかで避難経路を確保する必要があるということじゃ
基準②と基準③の緩和条件を照らし合わせるとわかりますが、基準②の緩和条件を満たせば避難上有効なバルコニーの設置をしなくてもいいというわけではなく、その場合建物周囲の幅3mの通路の確保が必要だということです。
逆に言うと、避難上有効なバルコニーが設置できれば幅3mの通路は確保できなくても準耐火基準の建物として認められるということです。これは施工会社の担当者の方も理解が難しいような箇所でしょう。
基準④:3階住戸の外壁の開口部に防火設備を設置する
建設予定地が防火地域、あるいは準防火地域の場合は3階住戸の外壁の開口部に防火設備を設置します。3階の宿泊室や外壁の開口部、宿泊室以外の部分に面する開口部に、遮炎性のある防火設備の設置が必要であることは覚えておきましょう。
ただし、開口部が「延焼の恐れのある範囲」にない場合、次の条件のうちいずれかを満たせば例外として防火設備の設置が不要になります。
- 開口部から90cm未満の部分に宿泊室など以外の部分の開口部を設けない
- 宿泊室以外の部分の開口部と50cm以上突出したひさし、そで壁などを設けている
上記の条件を満たしていたとしても、延焼ライン内にある開口部は防火設備の設置が必要であるため注意しましょう。
参考:建築基準法 第27条(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)|e-GOV
防火地域・準防火地域とは
防火地域・準防火地域とは都市計画法において、「市街地における火災を予防するため定める地域」として指定されたエリアのことです。火災の危険を防いで取り除くことが目的であるため、駅前や建物の密集地、幹線道路沿いなどが指定されることが多いです。
加えて建築基準法によって、燃えにくい屋根や外壁を使用しなければならない区域として規定された、法22条区域というものがあります。さらに、東京都の場合は「新たな防火規制区域」も存在します。東京都は他の都道府県と比べて防火地域・準防火地域が多いですが、木造住宅が密集して道が狭い地域も多いため条例に基づき「新たな防火規制区域」が定められました。
規制が厳しい順に①防火地域、②新たな防火規制区域、③準防火地域、④法22条区域であり、それぞれの地域・区域の建築制限は以下のようになっています。
- 防火地域
延床面積100㎡以下 | 延床面積100㎡超 | |
---|---|---|
1階建て・2階建て | 耐火建築物・準耐火建築物 | 耐火建築物 |
3階建て以上 | 耐火建築物 | 耐火建築物 |
- 新たな防火規制区域
延床面積500㎡以下 | 延床面積500㎡超・1500㎡以下 | 延床面積1500㎡超 | |
---|---|---|---|
1階建て~3階建て | 準耐火建築物 | 耐火建築物 | 耐火建築物 |
4階建て以上 | 耐火建築物 | 耐火建築物 | 耐火建築物 |
- 準防火地域
延床面積500㎡以下 | 延床面積500㎡超・1500㎡以下 | 延床面積1500㎡超 | |
---|---|---|---|
1階建て~2階建て | 防火構造 | 耐火建築物・準耐火建築物 | 耐火建築物 |
3階建て | 耐火建築物・準耐火建築物・一定の防火措置 | 耐火建築物・準耐火建築物 | 耐火建築物 |
4階建て以上 | 耐火建築物 | 耐火建築物 | 耐火建築物 |
法22条区域については、屋根に燃えにくい不燃材料を使用し、外壁には防火性能のある材料を使用する必要があります。
アパート経営を始めようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
日本最大級の土地活用プラン比較サイトイエウール土地活用なら土地所在地を入力するだけで複数の大手ハウスメーカーからアパート経営プランの提案を受けることができます。
\建築費は?初期費用は?/
本当に木造三階建て共同住宅で良いの?
木三共には、3階建てでありながら鉄骨造などと比べて建築費を抑えることができるなどのメリットがありますが、建築申請に通常より時間がかかったり対応する建築会社が少なかったりといったデメリットもあります。
そのため、自分にとって木造三階建て共同住宅が本当に一番良い選択肢なのかを考えることが大切です。あとになってから後悔しないように、他の構造と比較したうえで検討することをおすすめします。
アパート経営を始めようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
収益性は高い?
木造3階建て共同住宅は、建築費のコストを抑えやすいと同時に戸数を多くとれることから他のアパートや土地活用と比べても収益性を高めやすいといえます。
木造3階建て共同住宅では、特に以下の要素が収益性に関わってきます。
- 立地
- 外観・デザイン
- 建ぺい率・容積率
木造3階建て共同住宅が賃貸住宅経営である以上、立地が重要なのはもちろんですが、その他にも建物の外観や建ぺい率・容積率も収益性を上げるために大事な要素です。
賃貸住宅のなかでも、鉄骨造やRC造に比べ木造にマイナスなイメージを持っている方もいます。そのため、建物の外観やデザインにこだわることもおすすめです。大手ハウスメーカーでは、魅力的な木造3階建てアパートがラインナップされています。
また、どのくらいの規模の建物を建てられるのかを決める建ぺい率と容積率についても確認しておくと安心です。木造3階建て共同住宅に求められる建築基準のなかには、建物の規模を大きくする必要があるものもあります。そのため、建ぺい率と容積率によっては収益性や建築可否に影響がある可能性もありますので、注意が必要です。
建ぺい率とは
建ぺい率とは、土地の広さに対して建物の敷地部分が占める割合で、簡単に言えばその土地ではどのくらいの割合を建物用に使えるかということです。
例えば、100坪(約330㎡)の土地の建ぺい率が60%であるとき、実際に建築可能な建物の敷地面積は60坪(約198㎡)となります。
一般的なワンルームの広さは、一部屋当たり最大でも7坪ほどです。そのため、100坪の土地で建ぺい率が60%であれば1階部分で8戸程度を確保することができます。ただし、3階建てにする場合は、容積率を超えないよう1フロア当たり面積を少なくさせる必要があることに注意が必要です。
容積率とは
容積率とは、土地の広さに対して建物が建てられる面積を立体的にさだめたものです。簡単に言えば、その土地ではどのくらいの床面積をもつ建物を建てられるのかということです。
例えば、100坪(約330㎡)の土地の建ぺい率が60%、容積率が200%であるとき、建物が建てられる敷地面積は198㎡、総延べ床面積は396㎡となります。
上記の土地で木造3階建て共同住宅を建てるとなると、1フロアあたりの床面積は40坪(約132㎡)前後となります。
収益の例
ここでは、100坪の土地に木造3階建て共同住宅を建てた際の収益性をシミュレーションします。
条件は以下の通りです。
項目 | 条件 |
---|---|
建築費 | 5600万円 |
部屋数 | 12 |
家賃 | 6万円 |
空室率 | 10% |
諸経費率 | 10% |
諸経費率とは、木造3階建て共同住宅を経営するにあたり1年間で発生する固定資産税などの税金や維持管理にかかる費用の建築費に対する割合です。
また、自己資金の割合は建築費の10%、アパートローンの借入期間を22年、金利を2%として計算します。収益シミュレーション結果は以下の通りです。
項目 | 結果 |
---|---|
1年間の家賃収入 | 864万円 |
1年間の支出 | 約472万円 |
1年間の手取り | 約390万円 |
実質利回り | 11.6% |
このように、木造の場合は建築費を抑えられるため利回りが高くなる傾向にあります。アパート経営における実質利回りの基準は5%ですので、これを基準に利回りをチェックすると安心です。
また、アパートの収益性を計算する際は、建築費や家賃収入に加え、自己資金や諸経費率、ローンを組む場合は借入期間などを含めます。
借入期間については、木造の場合は法定耐用年数が22年のためローンの借入期間は22年が限度になります。そのため、鉄骨造などに比べて早く返済を追えることができますが、その分月々の支出が増えるため注意が必要です。
向いている土地の特徴
土地によって、木造3階建て共同住宅に向いているか向いていないかは分かれます。
例え1章で解説した木三共の条件をクリアしていたとしても、不向きな土地で経営を始めてしまうと失敗する可能性が高くなります。
そのため、予めどういった土地が向いているのかを確認しておきましょう。以下が木造3階建て共同住宅に向いている土地です。
- 広大な土地
- 容積率が150%以上の土地
- 高さ制限が10メートル以上の土地
- 若年層の多い場所
木造3階建て共同住宅のメリット
木造3階建て共同住宅のメリットとしては、次の5つがあげられます。
鉄骨造などと比べて建築コストを抑えることができる
狭い土地を有効に活用できる
安全性をアピールできる
高い節税効果が期待できる
高級感を演出できる
どのようなメリットがあるのかを知り、木造3階建て共同住宅ならではの魅力を知っていきましょう。
鉄骨造などと比べて建築コストを抑えることができる
2019年以降は、建築基準法が改正され、木造3階建て共同住宅は防火地域でないことなどの基準を満たせば準耐火建築物として建築することができるようになりました。
木造のメリットとして、鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも建築費が安くすむことが多いです。それぞれの構造における坪単価の目安は以下の通りです。
構造 | 坪単価 |
---|---|
木造 | 56万円~73万円 |
鉄骨造 | 83万円~108万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 83万円~108万円 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 96万円~125万円 |
そして、100坪の土地に3階建てでそれぞれの構造で建築した際の費用の目安は以下のようになります。
構造 | 3階建て |
---|---|
木造 | 1億80万円~1億3140万円 |
鉄骨造 | 1億4940万円~1億9440万円 |
RC造 | 1億4940万円~1億9440万円 |
SRC造 | 1億7280万円~2億2500万円 |
(※建ぺい率は60%とする)
上記の表から、木造建築は比較的費用が安く済むことが分かると思います。そのため、「コストを抑えつつ収益性を高めたい」とお考えの方であれば、木三共仕様の建物を検討してみましょう。
使用する建材や施工費用の違いのより、一般的には、木造はそれ以外の構造建築物の中でももっとも安価で建築できるため、建築コストが抑えられるのは大きなメリットです。
狭い土地を有効に活用できる
木造3階建て共同住宅は、狭い土地でも建てやすく、狭小地や変形地も柔軟に活用できる点がメリットです。木造3階建て共同住宅なら、土地が狭くてもある程度の戸数を確保できるため、安定した利回りが期待できます。
賃貸住宅経営では不利になってしまう狭小地でも、収益を安定させることができる点は大きな強みです。
変形や規格外の設計が難しい鉄骨造や鉄筋コンクリート造でも、木造であれば加工がしやすいため土地の形状に合わせて柔軟な設計プランを作成することができます。
このように、どんな土地でも有効活用がしやすい点は大きなメリットです。
安全性をアピールできる
木造3階建て共同住宅の建築時には、構造計算が義務化されています。
構造計算とは、例えば、一定震度の地震や強風があった際など、建物がどこまで耐えられるのかといったことを数値化し、計算したものです。構造計算によって耐震性や耐風性が保証されていると言える建築物であるため、居住者に安全性をアピールできます。
また、建物の安全性を明確な根拠を持ってアピールできることで、入居希望者を募りやすく空室リスクを回避しやすい点はメリットです。
特に、自然災害の多い地域では建物の安全性が強く問われるケースが多いため、建築エリアによっては建物の安全性が物件競争力を大きく高めてくれます。
なお、構造計算は専門家による精密検査を経た後、各自治体から構造計算合格判定を受ける必要があります。合格判定が出されるまでは建築許可が下りませんので、請負工事契約から着工までタイムラグがあります。
高い節税効果が期待できる
木造3階建て共同住宅は他の構造に比べて、節税効果が高い点もメリットです。木造の住宅は他の構造よりも法定耐用年数が短く(22年)、毎年計上できる減価償却費が多くなります。
以下は、各構造の法定耐用年数です。
- 木造・・・22年
- 鉄骨造・・・34年
- 鉄筋コンクリート造・・・47年
鉄骨造に関しては、厚さが4ミリ以上の場合の法定耐用年数となります。
このように、短期間で減価償却が完了する木造は、1年に計上できる経費が増えるため、所得税額を計算する際の基準となる課税対象額を少なくすることができます。
高級感が演出できる
木造3階建て共同住宅は耐火性の向上のために、高性能な厚みのある外壁を使用しなければなりません。外壁がしっかりしているため、高級感を演出しやすく、見た目のよさから居住者を募りやすい点もメリットの1つです。
同じ木造の共同住宅でも、2階建てと3階建てでは使用する壁の厚みが違い、高級感の有無も異なります。より厚みのある外壁を使用する3階建ての共同住宅のほうが、雰囲気の演出ができて、集客効果も高まるといえます。
建物の外観も入居希望者への訴求に重要な要素ですので、通常の外壁に比べ収益を達成しやすいといえます。
木造3階建て共同住宅のデメリット
木造3階建て共同住宅には、メリットだけではなく、デメリットもあります。
2階建てよりも建築費が高い
施工期間が長期化する
部屋数が少なくなる場合もある
構造計算に時間がかかる
対応する建築会社が少ない
デメリットも正しく把握した上で、木造3階建て共同住宅の建築が自身の利益になるかを考えてみましょう。
2階建てよりも建築費が高い
2階建ての木造共同住宅と比較すると、3階建てのほうが建築費は高くなります。階数が増える分、建築するスペースは広がり、階段や住宅設備など、より多くの設備導入が必要となるため、2階建てよりも費用は高額です。
また、木造3階建て共同住宅の場合は、2階建てでは不要な構造計算も行わなければなりません。構造計算には別途費用がかかるため、この点からも建築費が高くなってしまうことは覚えておきましょう。以下は100坪の土地に2階建て・3階建てでそれぞれの構造で建築した際の費用の目安です。
構造 | 2階建て | 3階建て |
---|---|---|
木造 | 6720万円~8760万円 | 1億80万円~1億3140万円 |
鉄骨造 | 9960万円~1億2960万円 | 1億4940万円~1億9440万円 |
RC造 | 9960万円~1億2960万円 | 1億4940万円~1億9440万円 |
SRC造 | 1億1520万円~1億5000万円 | 1億7280万円~2億2500万円 |
(※建ぺい率は60%とする)
施工期間が長期化する
2階建てと比較すると、木造3階建て共同住宅は階数が1階多い分、施工期間は長くなります。2階建ての場合は標準的な建物で3ヶ月程度が相場ですが、3階建てだと4ヶ月程度の施工期間がかかります。
階数の増加による作業箇所の増加はもちろん、構造計算にも時間がかかるため、施工期間が長引くと考えましょう。通常よりも長期間要するため、施工期間は長めに見ておき、余裕を持ってスケジュールを立てることが大切です。
部屋数が少なくなる場合もある
木造3階建て共同住宅は敷地内に通路を設けなければならず、その幅員は3m以上です。もし敷地面積が狭いと、敷地内通路に幅を取られてしまい、2階建てよりも部屋数が少なくなってしまうこともあります。
敷地面積が広いなら問題はありませんが、狭小地で木造3階建て共同住宅の建築を考えている場合は、どれくらいの部屋数が確保できるのか、事前に確認しておくことが大切です。
構造計算に時間がかかる
木造3階建て共同住宅は構造計算が必要であり、これに時間がかかります。構造計算をするには、別途建築申請が必要であり、通常の場合よりも長時間かかってしまうことは覚えておきましょう。
木造3階建て共同住宅を建築するまでに時間がかかりやすいため、居住者を募って収益化するまでの期間も少し長くなりやすいようです。
対応する建築会社が少ない
そもそも木造3階建て共同住宅の建築に対応している建築会社はそれほど多くなく、建築を依頼するだけでも手間がかかります。木造3階建て共同住宅の建築に精通した建築会社を探すのに苦労する場合もあり、建築の依頼段階でつまずいてしまうケースもあるようです。
アパートの建築会社については、以下の記事をご覧ください。
活用事例:Letoit Duet
エリア | 北海道 |
延べ床面積(㎡) | 854.14 |
工法 | ユニット工法(軽量鉄骨造) |
木造3階建て共同住宅は法改正によって建てやすくなった!
2019年の建築基準法第27条の改正によって、200㎡未満の木造3階建て共同住宅を建築する場合には耐火要件を満たす必要なく建築することが可能となりました。
ただし、耐火要件を緩和させるためには自動火災報知器の設置や、階段の安全装置の設置が必要です。
建築基準が複雑な木造3階建て共同住宅ですが、条件を満たしていない場合は建築許可が下りません。そのため、木造3階建て共同住宅の建築基準についてしっかりと理解することが重要です。