アパートを建てるベストタイミングを計るには、アパートの建築にかかる期間について知っておくことが重要です。
竣工をアパート入居の繁忙期に合わせることで、空室の埋まった状態で賃貸経営をスタートさせやすくなります。
この記事では、アパートの建築期間の目安についてわかりやすく解説します。
また、アパートの建築期間の流れや着工前にするべきこと、工事費を支払うタイミング、注意点についても解説しています。
アパートを建築して賃貸経営を始めたい方は、是非この記事を最後まで読んで、お役立てください。
アパートの建築期間の目安
アパートの建築期間(工期)の目安は、最短で「アパートの階数+1ヶ月」です。
たとえば2階建てのアパートであれば3ヶ月、3階建てのアパートであれば4ヶ月が、着工から竣工までの最短期間です。
ただし、アパートの建築期間は、アパートの構造や工法、規模によって長くなっていきます。また、お盆やお正月、雨の多い時期に建築期間が重なると、休工日が増える分だけ工期が延びます。
ここからはアパートの建築期間の目安の見方について、より詳しく解説していきます。
木造・軽量鉄骨造の工期は「階数+1ヶ月」
ツーバイフォー工法やプレハブ工法で建築する木造・軽量鉄骨造のアパートは、建築期間が短いことが特徴です。早くて「アパートの階数+1ヶ月」でアパートが竣工します。
これらの構造・工法では、基礎工事が終わると、既製の面材や工場で事前にある程度組み立てられた部材を建築現場で組み合わせるだけでアパートの躯体が完成するため、短い期間で建築工事を行うことが可能です。
ただし、竣工時期を賃貸需要の高まる3月中旬~下旬に合わせようとすると、工期が建築会社の繁忙期に重なります。繁忙期に合わせてアパート建築を依頼する場合には、4~5ヶ月程度かかることを見込んでおくと、万が一にも竣工を遅らせずに済むためおすすめです。
なお、木造軸組工法(在来工法)でアパートを建築する場合は、職人が建築現場で一から木材を組み立てて構造を造っていくため、プレハブ工法やツーバイフォー工法に比べて工期がかかります。在来工法はオーダーメイドの設計で建物を建てる場合によく用いられます。着工から竣工までの期間が長くなる以外に、アパートの設計にも時間がかかることに留意が必要です。
- 賃貸専用アパートは、工期と工費を抑えるために、ツーバイフォー工法やプレハブ工法で建てるのが一般的です。
アパートの建築費の目安について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
重量鉄骨造・RC造の工期は「階数+2~3ヶ月」
重量鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート造)で、4階建て以上の建物を建築する場合の建築期間の目安は「建物の階数+2~3ヶ月」となります。
重量鉄骨造やRC造は、木造や軽量鉄骨造に比べて、建築資材の重量が増します。より強固な基礎工事や、地盤の状態によっては地盤改良工事が必要となるため、建築期間が長くなります。
特に、RC造の場合は流し入れたコンクリートが固まるのを待って次の工程に移るため、工期がかさみます。
また、部屋数が増えると、内装工事を行う箇所や住宅設備を設置する数も増えます。そのため、アパートの規模が大きくなるほど、建築期間が長くなっていくという訳です。
重量鉄骨造やRC造で建物を建築する場合も、9月や12月~3月の建築会社の繁忙期に工期が重なる場合は、少し長めに建築期間を見積もっておくとよいでしょう。
アパートの構造や工法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
付帯工事が増えると工期が長くなりやすい
アパートの構造や規模以外に、アパート建築に伴う「付帯工事」が多いと、竣工までの期間が長くなります。
たとえば、土地に残存家屋がある場合は、まず解体工事を行わなければならないため、追加で数週間~1ヶ月ほどかかります。
軟弱地盤の改良工事を行う場合や、地中埋設物の除去工事が必要な場合にも、工期が延びます。
他にも、塀や門戸、庭、駐車場などの工事(外構工事)はアパート本体が完成してから行われることが多く、内容を凝るほど時間がかかります。
また、アパートの建築期間中に追加で必要な工事が発生することもあるため、建築期間の想定にはゆとりを持たせておくとよいでしょう。
アパートの建築には、アパートの設計や建築会社の選定など、プランニングにも時間がかかります。
特に、建築費を適切に抑えてアパート経営を成功させるためには、複数の企業へ見積もり相談を行うことが重要です。
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アパート建築期間中の流れ
アパート建築工事の、着工前の準備から竣工までの流れは以下の通りです。
- 間取りの決定・建築確認申請
- 近隣挨拶
- 地鎮祭
- 解体工事・地盤改良工事
- 着工(定期的な現場の視察)
- 追加工事の有無の判断
- 住居表示の取得
- 竣工検査・引き渡し
アパートの建築期間中に施主がするべきことを中心に、流れを詳しく見ていきましょう。
間取りの決定・建築確認申請
大まかな建築プランを元にアパートの建築を依頼する企業を選定したら、建築するアパートの設計や仕様を本決定します。
設計事務所に依頼してオーダーメイドで設計をしてもらう場合には基本設計・実施設計に数ヶ月ほどかかりますが、建築会社の規格化プランでアパートを建てる場合にはこの期間を短縮できます。
アパートの建築にあたっては、自治体に「建築確認申請」を行い、建築工事の許可を得ます。
建築確認申請の手続き自体は設計事務所やハウスメーカーが行ってくれますが、審査には数週間から1ヶ月程度かかります。
<参考:建築関係法の概要|国土交通省>
建築確認が完了して「建築確認済証」が交付されたら、建築工事を始めることができます。
近隣への挨拶
アパートの建築工事が始まる前には、近隣の住民へ挨拶をしておきましょう。
現場の担当者と一緒に工程表を持参し、簡単に工程の説明を行うと、相手に安心感を持ってもらいやすいです。手土産品は、菓子折り、洗剤、タオルセットなどがポピュラーです。
建築工事の間は騒音や振動が発生して、少なからず近隣に迷惑がかかります。事前にオーナー自ら挨拶をしておくことで、工事期間中のトラブルを避けやすくなります。
地鎮祭
地鎮祭とは、工事を始める前に土地を祓い清め、工事の安全を祈願する儀式のことです。地鎮祭では祭壇を設け、お供え物を用意して、建主、建主の家族、施工者など関係者が参列します。地鎮祭の手配は建築会社に行ってもらえますが、施主側で「奉献酒」を用意することもあります。
地鎮祭の実施は義務ではないため、建築会社から行わない旨を伝えられていれば、省略されます。
解体工事・地盤改良工事
建設予定地に残存家屋がある場合は、建築工事に先立って解体工事が必要です。
更地にした後に地盤調査を行い、地盤に問題がなければ基礎工事に移ります。地盤調査によって地盤の強度が足りないことが判明したら、先に地盤改良工事を行ってから基礎工事を実施します。
解体工事や地盤調査は建築確認申請中の期間にも行えますが、地盤改良工事は建築許可が下りた後の実施となります。地盤改良工事には、おおよそ1~2週間かかることが多いです。
定期的な現場の視察
アパートの建築が着工したら、定期的に建築現場を視察するのがおすすめです。事前に現場担当者に連絡して、月に1回程度は工事の状況を把握しましょう。
施工会社に任せきりでも工事は完了しますが、順調に工事が進んでいるのか、問題は起こっていないかなど、実際に現場を見て確認することで、工事の遅れやミス・トラブルを防げます。
「本来の予定とは異なる設備が取り付けられている」といったミスに気付いた場合には、すぐに確認して対応してもらいましょう。
追加工事の有無の判断
工事が始まると、設計の時点では気づかなかった問題が明らかになったり、後から対処しなければならない問題が発生することがあります。
問題に対処するために追加工事が必要な場合には、工事期間中に対応をお願いしましょう。
工事期間中であれば現場に職人が配置されているため、竣工後に追加で工事を依頼するよりも、早く・安く対応してもらえる可能性が高いです。
定期的に現場の視察に行き、現場の担当者とコミュニケーションを取っていれば、追加工事が必要な箇所を早めに発見することができるでしょう。
住居表示の届出
基礎工事の完了から建物の竣工までに、住居表示の届出を行います。
住居表示とは、市町村が指定する、郵便物を届けるための番号です。住居表示は建物の入口の方向で枝番が割り振られているため、入口が確定すると住居表示も決定します。
住居表示の届出が受理されると、住居番号が記載されたプレートを受け取ります。現場の担当者に依頼して、竣工までに建物に住居番号のプレートを貼ってもらいましょう。
<参考:住居表示に関する法律|総務省>
竣工検査と引き渡し
建物が完成したら、自治体の「完了検査」を受けて、建築確認申請時に届け出た計図通りにきちんと建てられているかを確認してもらいます。
完了検査に合格したら、「検査済証」が交付されます。
また、自治体の完了検査とは別に、オーナーご自身の目でも建物のチェックを行いましょう。事前の打ち合わせ通りの仕様・設備になっているか、使いにくい場所はないかを確認します。部屋の扉の開き具合やシャワーの水圧など、公的な検査ではチェックされない細かな箇所もしっかり確認しておきましょう。
建物や設備に問題なければ、引き渡しを受けます。
引き渡しの際には各種設備について取り扱い説明を受けます。この時渡される説明書や、検査済証などの書類は紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
<参考:建築基準法|国土交通省>
以下の記事もご参考になります。
建築費用を支払うタイミングはいつ?
アパート建築の工事費は、一般的に着工時、柱や屋根の骨組みができる上棟時、建物の完成時の3回に分けて支払うのが一般的です。
他にも、着工前に工務店と建築請負契約を結んだ際に、建築費用の何割かを前払いする場合もあります。
いずれにせよ、工事費をいつ・いくら支払うかは、当事者の間で決めるのが原則です。
特に工期の短いアパート建築では、着工前に大きな金額を支払うこともあります。資金繰りに困ることがないように、支払い条件は早めに確認しておきましょう。
アパートの建築期間での3つの注意点
1章でご紹介したアパートの建築期間は、あくまでも目安です。実際に建築する場合には、様々な要素によって竣工時期が前後します。
アパートの建築期間を見積もる際には、以下の注意点に気をつけておくとよいでしょう。
- 建築予定の周辺環境によって工期が変わる
- 竣工時期を意識して工期を決めるようにする
- 工期が長引きやすくなっている
建築予定の周辺環境によって工期が変わる
アパートの建築期間は、土地の周辺環境によって変わることがあります。
工事の際には、周辺の環境に配慮しなければなりません。例えば、工事現場の前の道路が通学路になっている場合、登下校の時間帯には大型車の通行を避けるようにしたり、場合によっては工事を一時中断したりする必要があります。
また、工事の際の騒音や粉じんが周辺住民の迷惑にならないような対策を取ったり、工事の時間を制限したりすることも必要です。
建設予定地の地盤が弱い場合には、土地の改良工事やくい打ちなどの基礎工事に予定以上の時間がかかることもあります。想定外に建築期間が伸びることも考えられるため、事前にどの工程にどのくらいの時間がかかるのか、具体的にイメージしておくと良いでしょう。
竣工時期を意識して工期を決めるようにする
アパートを建築する際には、竣工(建築工事が完了し建物が完成すること)時期を意識して、工期を決めるようにしましょう。
アパートの場合、2月末~3月中旬までに竣工すると、入社や入学、転勤シーズンである4月に新築物件となるため、部屋が埋まりやすくなります。また、半期の始まりで異動などが多い10月に合わせた竣工もちょうど良い時期と言えます。
賃貸物件としてベストな時期に竣工できるよう、かかる工期を想定して計画を立てましょう。
工期が長引きやすくなっている
近年、建築需要の高まりや建築業界の労働環境改善の取り組み等に伴い建築工事の人手不足が激しくなっているため、建築期間が長期化しやすくなっています。
建築業界は高齢化も進んでいて、人手不足の状況は今後も続く見込みです。
地域によっては希望する時期に工事に着工できないケースもあるため、アパートを建築する際には、時間にゆとりをもって計画を進めましょう。
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アパート建築期間は意外に短い!準備をしてスムーズに進めよう
アパートの建築期間は、木造・軽量鉄骨造のアパートは3~5ヶ月、重量鉄骨造・RC造の場合は「アパートの階数+2~3ヶ月」が目安です。
土地の状態や建物の規模、建築を行う時期などで工期にはブレが生じますが、「意外に短い」と感じる方も多いのではないでしょうか。
アパートの建築を希望の竣工時期に間に合うようにするためには、着工までの準備を段取りよく進めて、建築期間に余裕を持って工事を依頼することが重要です。
アパート建築を検討し始めたら、早い段階でハウスメーカーや建築会社に相談しておくことで、建築計画をスムーズに進めやすくなります。
アパートの建築プランや建築費は、企業によって大きく異なります。
ご自身に合ったアパート経営を行うには、是非とも複数の企業に相談してプランと見積もりを比較しましょう。
「イエウール土地活用」なら、大手ハウスメーカー・建築会社に一括で見積もり請求できます。建てるアパートによって建築期間も変わってくるため、詳細なスケジュールを立てたい方も、まずは建築会社にプランの相談をしてみましょう。