アパートやマンションなどの賃貸住宅を建築するときには「アパートローン」と呼ばれるローンを利用するのが一般的です。
アパートローンの金利は住宅ローンの金利よりも高く、利率は返済総額に大きな影響を及ぼします。低い金利で借り入れられるほどローンの返済負担を減らし、利益を増やすことができるため、事前によく調べて金融機関の選択肢を広げておきましょう。
また、アパートローンの金利は、経済情勢や金融政策の影響を受けて日々変動しています。常日頃から経済動向を注視し、最新の金利については各金融機関に直接確認するようにしてください。
アパートローンの金利は金融機関や金利タイプによって異なる
アパートローンの金利の相場は1~5%
金利の低い金融機関ほど融資の審査基準は厳しめ
アパートローンの金利とは
アパートローンの利用を検討しているなら、そもそも金利とはどのようなものなのか、基本的な理解を深めておくことが大切です。金利についての基礎知識を身につけておくことで、よりスムーズかつお得にローン契約をしやすくなります。
アパートローンの金利のタイプ
そもそも金利とは、融資を受けた人が金融機関に支払う、利息の割合を指します。金利が高いほど、借入額に対して発生する利息は大きくなり、最終的な返済額が大きくなります。また、低金利でだと、利息の割合が少なくなるため、返済額も少なくなります。
金利のタイプには、大きく分けて「変動型」と「固定型」の2つの種類があります。
アパートローンを組む際には、金利のパーセンテージだけではなく、それぞれ特徴をよく理解した上で、金利のタイプを選ぶことが大切です。
変動金利
経済状況や金融市場の変動によって、ローンの金利が変わるものが変動金利です。変動金利の場合は、一般的に短期プライムレートが上昇するとアパートローンの金利は上がり、下がるとアパートローンの金利も下がります。
そのため、低金利では借入額に対する利息が減るため、最終的な返済額合計は少なくなります。しかし、金利の上昇によって利息が増えることもあるため、現状だけではなく今後の金利見通しを考慮して契約を決めることが大切です。
固定金利
契約した時点の金利で完済時まで同じ利率で利息が発生するものが、固定金利です。
固定金利はローンを完済するまで金利が変わらないため、どれくらい利息がかかるのかを把握しやすく、返済計画を練りやすい点がメリットです。
しかし、金利上昇によるリスクは負いませんが、変動金利より利率が高い傾向があります。
また、契約後に金利が低下しても、既に借り入れているローンの金利は変わりません。そのため「損をした」感覚になることもあります。
なお、借り入れ後数年間(2年・5年・10年など)のみ固定金利が適用される「当初固定金利」という金利のタイプもあります。
固定金利が適用される期間が終了すると、変動金利に移行するか、金融機関によっては改めて固定金利の期間を選ぶことができます。
アパート経営が軌道に乗るまで固定金利によって返済を安定させられるメリットがありますが、状況によっては期間終了後に金利が上昇することもあるため、注意しましょう。
アパート経営をする上で、健全な資金計画を立てるには、アパートの建築費を抑えることも重要です。アパートの建築にかかる費用については、以下の記事をご参照ください。
住宅ローン金利との違い
住宅ローンの金利は、変動金利では0.3~0.5%、全期間固定金利でも1~2%程度と、アパートローンに比べて非常に安くなっています。
とはいえ、住宅ローンは「自宅の購入」に使途を限定されたローン商品であるため、『アパートを買いたい・建てたい』といった目的で借り入れることはできません。
賃貸目的で住宅を購入・建築するための資金は、アパートローンや不動産投資ローンからまかなう必要があります。
金利が安いからと言って、住宅ローンで購入した家を賃貸に使用していると、不正が明らかになった際に一括返済を求められます。
アパートを建築する可能性が出てきたら、複数の企業の建築費用の見積もりを比較しましょう。
アパートの建築費用は設計や工法によって大きく異なり、建築のプランによって将来の利回りも変わります。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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アパートローンの金利相場
アパートローンを利用するときには、現在の金利がどれくらいなのかを把握しておくことが大切です。相場を知っておくことで、金利がいくらくらいなら損なく借り入れができるのかが判断できます。借入先によって金利の相場は異なるため、それぞれの相場の違いを把握しておきましょう。
金融機関の種類 | 金利の相場 |
---|---|
都市銀行(メガバンク) | 1.5~2% |
地方銀行 | 1.5~3% |
信用金庫・信用組合 | 2%程度 |
ノンバンク | 2.9~4.5% |
日本政策金融公庫 | 1.2~2% |
都市銀行(メガバンク)の場合
大手都市銀行のメガバンクでは、ローンの申請方法によって金利が変動します。金融機関の店頭金利は2%台が相場です。
なお、店頭金利は名目的な金利で、契約者の条件次第では金利の優遇を受けることができます。住宅ローンよりも割引は少ないですが、優遇を受けられる場合は1.5~1.8%程度が相場(2021年秋現在:以下同じ)となります。
メガバンクのアパートローンの金利は低く、他の金融機関よりも好条件でローンを利用できる場合が多いです。
日本政策金融公庫の場合
日本政策金融公庫のアパートローンの金利は、1.2~2%程度が相場です。メガバンクの優遇金利と比較すると、やや金利は高くなっています。
金利は返済期間中固定となっており、契約時の金利が完済までそのまま続くと考えましょう。また、借入最長期間が短くなることが一般的です。
信用金庫や信用組合の場合
地域密着型の金融機関である信用金庫や信用組合は、おおむね2%程度が金利の相場です。これらの金融機関は、融資できるエリアが決まっています。信用金庫や信用組合は地域密着型であるため、基本的には近隣地域にのみ融資が可能であると考えましょう。
ノンバンクの場合
消費者金融やクレジットカード会社などの、ノンバンクでもアパートローンの融資は受けられます。ノンバンクは銀行のように預金業務を行わず、貸付業務のみを提供している金融機関を指します。
ノンバンクの金利は2.9~4.5%程度と高くなります。
一般的には審査に通りやすいと言われていますが、金利が高く、返済総額が大きくなってしまう点は覚えておかなければなりません。
地方銀行の場合
地方銀行のアパートローンの金利は、金融機関による幅が大きいようです。相場は1.5~3%程度となっており、申し込み先によって金利は大きく異なるため、複数の金融機関で確認しておくことがおすすめです。
アパートローンの融資に積極的な地方銀行だと、金利は低くなる傾向にあります。
アパートローンを組んでアパートを建築するのであれば、早い段階で施工会社から建築プランと建築費用の見積もりを取得しましょう。
施工会社に提案される建築プランには建築費用の見積もりだけでなく設計図面や収支計画が含まれています。複数の施工会社の建築プランを比較することで、客観的に利回りを算出することもできますし、自分の土地でどのようなアパートを建てられるかイメージが湧くようになります。
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アパートローン金利差による収益の違い【シミュレーション】
借り入れる元金や借入期間が同じでも、金利の違いによって、ローンの返済総額は変動します。つまり、収入に対する利益に影響を及ぼします。
以下の条件をもとにシミュレーションを行って、金利差による収益の違いについて見ていきましょう。
▼借り入れ条件
- 借入金額:5,000万円
- 返済期間:20年
- 元利均等返済
- 全期間固定金利
- ボーナス返済なし
▼経営するアパートの条件
- 満室時家賃収入:60万円/月
- 空室割合:10%
- 諸経費:家賃収入の15%
(※金利の違いによる収益の違いをわかりやすくするため、返済期間中に金利や家賃の変動がないと仮定します。)
ローン金利2%の場合の年間手取り額
金利2%の場合、月々の返済額は25.3万円です。
年間の返済額は、25.3万円×12ヶ月=303.6万円
アパートの年間想定収入は、60万円×12ヶ月×(100%-10%)=648万円
年間諸経費は、648万円×15%=97.2万円
したがって、年間あたりに手元に残る金額は、家賃収入から諸経費とローン返済額を差し引いて、以下のように計算できます。
年間手取り額=年間想定収入-諸経費-ローン返済額
=648万円-97.2万円-303.6万円
=247.2万円
なお、ローンの返済総額は6,072万円となります。
ローン金利3.5%の場合の年間手取り額
金利3.5%の場合、月々の返済額は29万円です。
年間の返済額は、29万円×12ヶ月=348万円
したがって、年間あたりに手元に残る金額は、家賃収入から諸経費とローン返済額を差し引いて、以下のように計算できます。
年間手取り額=年間想定収入-諸経費-ローン返済額
=648万円-97.2万円-348万円
=202.8万円
ローンの返済総額は、6,960万円となります。
金利2%のときの年間の手残りは247.2万円であるため、年利1.5%の違いによってに、年間あたり44.4万円、総額888万円もの収益差が生じることがわかります。
アパートローンの毎月の返済額は、以下のシミュレーターで簡易的に試算できます。月々あたりの返済負担の違いを確かめてみましょう。
ローン返済額シミュレーター
試算条件(お借入金額、ボーナス返金元金、金利、返済期間)を入力していただくことで毎月のご返済額を概算します。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。月額返済額が、画面下部に表示されます。
借入金額
万円
内ボーナス返済額
万円
借入れ金利
%
返済期間
年
ヶ月
※1年以上35年以内
想定年数経過後の借入残高
年後
※入力される年数経過後の借入残高を計算いたします。返済期間内でご希望の年数を入力ください。
[参考]アパートローン金利例
金融機関 | 固定金利 | 変動金利 |
---|---|---|
みずほ銀行 | 2.8~4.7% | 1~2.5% |
三井住友銀行 | 3.3~4.5% | 2.5~3% |
日本政策金融公庫 | 1.2~3% | なし |
毎月返済額
万円○○年後借入残高
万円※ローン返済額のシミュレーションは元利均等法に基づいて行われています。
※計算結果は簡易計算による概算金額です。
- 本当にシミュレーション通りの借入金額で大丈夫かな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用が変動すると最初に必要となる借入金額も異なります。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
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アパートローン金利の今後の見通し【2024年5月更新】
日銀は、2024年3月にYCC(イールドカーブ・コントロール)を撤廃し、マイナス金利も解除されました。それまでマイナス0.1%だった政策金利は、0.1%に上昇しています。
YCCは日銀が本来直接操作できない長期金利を抑制するための政策です。長期金利に関しては実際に、2024年5月22日に一時1%まで上昇しています。長期金利が1%台になるのは11年ぶりのことで、政策変更の影響が表れてきています。
日銀のマイナス金利政策の終焉によって、不動産投資市場に対して悲観視する意見もあります。
長期金利の動向は「固定金利」の利率に反映されます。ただし、長期金利の上昇は、昨年秋時点で1%を上回ることを容認されており、既にアメリカの長期国債の動向などの影響を受けて利率が上下しています。そのため、YCC撤廃が即座に金融機関の固定金利を引き上げさせるとは考えにくいです。
- いきなり利率を引き上げると、借主が他行へ借り換えをして離れてしまうので、金融機関も慎重に判断を行います。
ただし、長期的には利率に反映されていくため、固定金利や当初固定金利を選択する際は、タイミングや期間に注意しましょう。
なお、変動金利は短期金利を反映して変動します。今後も日銀はゆるやかに利上げを行っていくことが予測されるため、ローンの借入や借り換えを検討している方は、経済情勢や金融政策を注視しておきましょう。
アパートローンを低金利で借りるためのコツ
少しでも好条件で融資を受けるには、アパートローンを借りる際のコツがあります。
- 実績が豊富な建築会社、不動産会社依頼する
- 複数の金融機関と相談する
- 好条件の金融機関を回る
- アパートではなくマンションにする
上手に融資を受けるコツを把握し、低金利でアパートローンを利用しましょう。
実績が豊富な建築会社、不動産会社に依頼する
アパートの建築は実績が豊富な建築会社に依頼することが大切です。実績豊富な建築会社に依頼することで、スムーズに理想とするアパートが建てられることはもちろん、融資実績が豊富な金融機関を紹介してくれることがあります。
建築会社と提携している金融機関なら、低金利でアパートローンを組めることも多いです。建築会社から紹介してもらうことで優遇を受けられることもあるため、建築の依頼先は実績や提携している金融機関の有無を確認して決めることがおすすめです。
複数の金融機関と相談する
金融機関によって同じ融資額でも設定される金利は異なるため、低金利でローンを組むには複数の金融機関と相談することが大切です。普段利用している金融機関以外にも、複数の金融機関と相談することで、より低金利でローンを利用できる可能性があります。
好条件の金融機関を回る
ネットで検索したり、実際に店頭で確認したりして、低金利で好条件なローンを提示している金融機関を回りましょう。金利の低い金融機関に相談し、融資をしてもらえないか依頼することで、低金利でアパートローンを組める場合があります。
また、地域密着型の金融機関は、低金利で融資をしてくれることも多いです。そのため、メガバンクからの融資が難しい場合は、地域密着型の金融機関に切り替えて、アパートローンの打診をしてみるとよいでしょう。
アパートローンの審査基準と審査期間について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
アパートではなくマンションにする
低金利でローンを組むなら、アパートではなくマンションを建築することもおすすめです。アパートよりもマンションのほうが低金利で融資を受けやすい理由は、次の通りです。
- 一般的に担保評価が高い
- 賃料が安定している
- マンションの方が中古市場でも売買が活発
アパートよりもマンションのほうが好立地に建っていることが多く、市場価値の高さや収益性の高さから、好条件で融資を受けやすいといえます。また、マンションのほうがアパートよりも高値で家賃を設定でき、賃料が安定し、返済が滞りづらいことも、好条件で融資を受けられるポイントです。
最終的に売却によってローンを返済するとなった場合でも、マンションの中古市場は活発であるため、素早く売却できます。アパートの中古市場はそれほど活発ではなく、売却が難しい場合もあります。
つまり、売却によってローンの完済が目指しやすいかどうかという点でもマンションのほうが優れており、好条件での融資を受けやすいです。
アパートローンの金利に関する注意点
アパートローンを利用する際には、注意すべきポイントがあります。
- 事前準備を怠らない
- 融資期間はできるだけ長くする
- 借り換えは避ける
注意点を正しく把握して、無理のない金額、金利で融資を受けましょう。
事前準備を怠らない
アパートローンの融資を受けるには、事前準備を徹底して行うことが大切です。例えばアパート経営を始めるにあたっての賃貸ニーズの確認や、同一エリアでの家賃相場の調査など、やっておくべきことは多数あります。
また、現在の収入や預貯金なども改めて確認しておき、念入りに資金計画を立て、事業計画を練っておくことが大切です。事前準備なしでアパート経営に取り組むと、空室が増えて損失が発生する可能性があります。
計画が綿密に練られていないと、そもそも審査で落ちてしまい、融資が受けられないこともあります。融資を確実に受けるためにも、金融機関が納得できる事業計画を事前に考えておきましょう。
融資期間はできるだけ長くする
融資期間はできるだけ長くしておいたほうが、月々の返済額の負担を減ります。融資期間が長いと、その分金利によって生まれる利息の支払い総額は増えます。
しかし、返済する総額は増えるものの、毎月の返済額を縮小できるため、キャッシュフローが安定しやすくなります。無理に短期間での完済を目指そうとすると、もし空室ができて収入が得られなくなった場合に、自己資金を補填して返済しなければなりません。
月々の返済期間を増やすと返済が滞ってしまうリスクが高くなり、次に融資を受ける際にも悪影響を及ぼすため注意が必要です。
借り換えは避ける
より低金利の金融機関へ借り換えることで、利息の支払い分は減りますが、それ以上に大きなデメリットがあるため避けたほうが無難です。アパートローンの借り換えをしてしまうと、前に利用していた金融機関からの融資は、今後受けられなくなる可能性が高いようです。
損失が発生し、キャッシュフローがマイナスになっていてどうしようもない場合は借り換えがおすすめですが、それ以外のケースでは基本的には借り換え以外の方法での対処を考えましょう。
ローンを組む際に、心強い味方になるのはアパートの施工会社です。金融機関との交渉に慣れており、資金繰りについてもローン以外の解決策も見つかる可能性があります。
しかし、ローンや建築プランの相談をするため、その企業が信用できるかをきちんと比較しなければいけません。しかし、施工会社に一社ずつ問い合わせるのは手間がかかります。
そんなときは複数企業から一括で資料請求をすることができるイエウール土地活用がおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、わずか1分程度で複数の施工会社の経営プランを比較することができます。
\建築費は?初期費用は?/
活用事例:コンサルティング事例③



エリア | 東京都 |
土地面積(㎡) | 359 |
延べ床面積(㎡) | 445.69 |
工法 | 鉄骨造 |
アパートローンの融資を受けるときは金利を把握しておこう
アパートローンの融資を受ける際には、事前に金利を確認しておくことが大切です。利用する金融機関によって、設定されている金利は異なります。
できるだけ低金利でローンを利用できると、返済総額も少なくなり、利用者の負担は軽減できます。好条件でアパートローンを組み、金利による返済負担を縮小することで、有益なアパート経営を実現させましょう。
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