離婚時の住宅ローンでまず行うべき3つのこと
離婚時に住宅ローンと家をどうするか決めるためには、まず始めに住宅ローンと家の現状を把握しておく必要があります。
住宅ローン返済中に離婚することになったら、まずは以下の事前準備を行いましょう。
- 家の名義人・価値を調べる
- 住宅ローンの契約内容・残債額を調べる
- アンダーローンかオーバーローンか確認する
STEP1|家の名義人・家の価値を調べる
まず、家の名義人の確認をしましょう。家を売却することができるのは家の名義人だけですので事前に家の名義が誰になっているか確認することが大切です。
家を売らずにどちらかが住み続ける場合でも、家の名義人以外が住むと相手に連絡をしなければ家の処理ができなくなることもありますので、後々のトラブルを避けるためにも事前に確認しておきましょう。
かなり昔に購入した場合や相続で譲り受けた場合など、家の名義人が分からない場合法務局で登記簿謄本を取得すれば調べることができます。
法務局の業務取扱時間は平日8時30分~17時15分となっています。平日昼間に法務局に行くことができない場合は、オンラインで登記簿謄本(登記事項証明書)の交付請求をすることも可能です。
夫妻や親族との共同名義になっている場合は、売却時にやや複雑な工程になる可能性があるため、いずれにしても正しく家の名義人を把握しておきましょう。
参考:法務局「登記事項証明書(土地・建物),地図・図面証明書を取得したい方」
また、売却する/しないに関わらず現在の家の価値がいくらなのかを知ることが大切です。
自分の想定と実際に売れそうな価格があっているかを確かめるためだけではなく、売却して住宅ローンの残債を完済することが出来るかどうかを判断するために非常に重要です。
なぜなら、売却時に住宅ローンが完済出来ないと金融機関に設定された「抵当権」を外すことができずに、原則売却が成立しないためです。(※住み替えローンや任意売却など例外はある)
ただ、基本的に、家の価値は築年数が経過するにつれて低下していきます。4000万円で購入した新築マンションも、10年後には3000万円程度の価値になっているというのもよくあることです。
そのため、売却が選択肢の候補にあるのであれば、不動産会社に査定を依頼しましょう。ポイントは、1社ではなく複数の不動産会社に査定してもらうことです。
査定額は不動産会社によって異なり、あたりまえのように数百万円の差がつきます。数百万高く売却出来るとしたら、住宅ローンが完済出来る!という方も少なくないと思います。
完全無料の不動産一括査定サイト「イエウール」なら、インターネット上からいつでもどこでも一度の情報入力で複数の不動産会社に査定を申し込むことが可能です。業界No.1の提携会社数なので、あなたの売りたい物件に対応した不動産会社を最大6社紹介してもらえます。
あなたの不動産、
売ったらいくら?
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STEP2|住宅ローンの契約内容・残額を調べる
次に、住宅ローンの契約書を見て、ローンの債務者を確認しましょう。住宅ローンの返済義務があるのはローンの債務者です。
住宅ローンの契約によって、夫婦のうち誰が債務を負うのかが決まります。
基本的に、夫婦で住宅ローンを契約する場合の契約方法はこの3つに分類できます。契約が変更されている場合もあるため、書類はすべて確認するようにしましょう。
そして、次に大切なのがローンがいくら残っているのか(=残債)の確認です。
家を売ってもローンが残るのか、ローンを完済できるのか判断する必要があるため、残債を把握しておくことはとても重要です。
住宅ローンの残債額を確認する方法として借入金融機関のウェブサイトを使う方法があります。
これは、インターネットバンキングを利用していること、あるいは借入金融機関のインターネットサービスに加入していることが前提条件となります。
ただし全ての金融機関がウェブサイトでローンに関する手続きや残債確認ができるわけではありません。自分の借入先の金融機関は対象かどうか確認してみましょう。
いますぐに、代替の残債額を知りたい方は入力欄に従って、数字を入力・選択するだけで、この場で住宅ローン残債を確認できます!
※こちらはシミュレーター機能であり、個人情報等が取得されることは一切ないため安心してご利用頂けます

STEP3|アンダーローンかオーバーローンかを確認する
家の価値とローン残債がわかったら、アンダーローンかオーバーローンかを確認しましょう。
アンダーローンとは家の売却額でローンが完済できる状態のこと。
売却額は買主と売買契約を結ぶまで分かりませんが、査定額の段階でアンダーローンと分かれば後はローン残債を下回らないように気をつけながら売却するだけです。
売り出し価格を少し高めに設定する、販売力の高い不動産会社を選ぶなど高く売るコツを意識して売却活動を行いましょう。
家の売却額はすべてが手に入る額ではなく、その中から仲介手数料や税金などの諸費用が引かれるので、ローン残債ギリギリの額で売却しないように注意しましょう。
オーバーローンとは家の売却額だけではローンが完済できない状態のことを言います。
家の売却額を使っても残ってしまうローン残債は自己資金で補填が必要になります。家を売るには住宅ローンを借りた際に設定された抵当権を抹消する必要があり、そのためには残りのローンを一括返済する必要があります。
家を売却する際には、家の名義人を売主から買主に変更する必要がありますが、ローンを完済しないと抵当権を抹消できないので家を売却することはできません。
売却額で足りない部分を補ってくれる住み替えローンもありますが、家を新しく購入する予定がないと利用できません。
住宅ローンを返済するのであれば、まずは家の査定です。
家がおおよそいくらで売れるのか分からなければ、オーバーローンかアンダーローンかも分かりません。査定額を調べてオーバーローンになりそうかアンダーローンになりそうかを判断しましょう。
家の査定方法はいくつかありますが住宅ローンの残債を完済できるか否かを判断したいので、まだ売却は検討の段階であっても一括査定を使って査定結果はできるだけ精度高く分かるようにしましょう。
あなたの不動産、
売ったらいくら?
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離婚時に住宅ローンを返済する方法
家を売りその代金で完済する
アンダーローンで家が売れそうなら、仲介か買取で家を売却すると良いでしょう。
仲介は不動産を売却する時、最も一般的な売却方法。売り出し価格を自分で設定できるので、高く売りやすいです。家を売却してできるだけ多くの財産が欲しい場合は仲介で売却すると良いでしょう。
一方、買取とは、仲介と異なり不動産会社に家を買い取ってもらう方法です。仲介と異なり買主が最初から不動産会社と決まっているので、買主を探すことなく大幅に時間短縮が可能です。
ただし、買取で家を売却した場合は、売却額が売却相場の70%~80%程度になってしまうことを注意しましょう。
なお、売却代金でローンを完済し、余ったお金は財産分与の対象となります。
家の売却額を使ってもローン完済が難しく、自己資金で補填するのも難しい場合は任意売却を選択しても良いでしょう。
任意売却とは、金融機関の許可を得て家を売却する方法で、売却額をすべてローン返済に使用する代わりに抵当権を抹消してもらう方法です。残ったローン残債は月々返済していくことになるので、返済も楽になるでしょう。
ただし、ローン残債が多すぎて月々の返済額が多くなったり返済期間が長くなってしまう場合は認めてもらえない場合もあるので注意しましょう。
また、そもそも任意売却を受け付けていない金融機関もあります。任意売却を行いたい時は任意売却専門の業者などに依頼し、任意売却を受けてもらえるように交渉が必要です。
離婚後に夫が住む場合の住宅ローン
離婚後、住宅ローンの名義人がそのまま住宅に住み続けるケースは、最もトラブルが少なく安心なパターンといえます。
持ち家のローンを名義人が自分で払い続けるのと同じであり、配偶者とは完全に縁を切ってまったく新しい人生を歩みたいという方が多く採用するパターンです。
ただ、住宅ローンの名義が完全な単独名義であるか、注意が必要です。
住宅ローンの連帯保証人として、配偶者(妻)が指定されている場合は夫の返済が滞ると、妻に支払い命令が下ります。
連帯保証人になっている場合は、共有名義で住宅ローンを組んでいる場合と同様、妻の名義と連帯保証を外すか別の親族に変更してもらうなど対応が必要になります。
離婚後に妻が住む場合の住宅ローン
離婚後も住宅ローンを支払い続けるけれど、家に住むのが非名義人であるケースが一番手続きも難しくトラブルも起きやすいです。(※逆のパターンもありますが、ここでは便宜上妻としています。)
そして、返済方法としてもいくつか選択肢がありますが、そのなかで最もポピュラーなのは「引き続き夫が住宅ローンを返済する」方法です。
妻側に離婚後の暮らしの心配がなかったり、子どもがいる場合は生活/教育環境を変えなくてよいというのが大きなメリットです。
ただ、非名義人の状態で住宅ローンが残っている家に住み続けることは様々なリスクがあるため、「住宅ローンの名義を妻に変更する」「住宅ローンを他の銀行で借り換え、そのタイミングで妻名義にする」という返済方法も検討出来ます。
しかし、いずれの方法も難しい条件や基準をクリアしなければならないため、あまり現実的な選択肢とはいえません。
最後に、少し特殊な方法として「妻が夫に家賃として毎月支払う」があげられます。離婚後も定期的に連絡を取り合わなければならない、ということを許せれば検討してみてもよいかもしれません。