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居住用財産買い換えの特例とは?
特定居住用財産の買い換えの特例とは分かりやすく表現すると、「マイホームを買い換えたときに発生した売却益に対して特例を認める」という制度です。マイホームを譲渡して得た収入よりも、買い換えたマイホームの取得にかかった費用の方が大きかったら課税されないという内容です。
なおこの特例には期限があり、令和5年(2023年)12月31日までにマイホームを売って、かわりに居住用財産を買い替えた方が対象となります。
ただし一点注意が必要です。買い換えの特例は課税の繰り延べであり、将来買い換えた資産を譲渡した場合は、繰り延べられた所得についても課税されますので気を付けましょう。譲渡益が非課税になるということではないので注意です。
また、譲渡資産に対する譲渡所得税は、買い換え資産のときに引き継がれるので、その場合、譲渡資産の「取得費」は次の買い換え資産に引き継がれますが、「取得日」は引き継がれません。
居住用財産買い換えの特例【譲渡所得】の計算方法
居住用財産買い換えの特例を使うことで非常に高い節税効果が期待できます。それでは、具体例にどのような計算方法で特例をつかえるのか事例をみながらイメージしてみましょう。
まずは、居住用財産の買い換えの特例が使えるケースは次のとおりです。
課税されない | 譲渡資産の譲渡価格 < 買い換え資産の取得価格 |
課税される | 譲渡資産の譲渡価格 > 買い換え資産の取得価格 |
続いて譲渡所得の計算方法と買い換え特例の計算方法は次の通りです。
譲渡資産の譲渡価格-買い換え資産の取得価格
②必要経費
(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×収入金額①÷譲渡資産の譲渡価格
③長期譲渡所得の金額
収入金額①- 必要経費②=課税長期譲渡所得金額
④税額
長期譲渡所得金額に対する税率 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
15% | 5% | 20% |
※上記税率には、別途復興特別所得税=所得税額×2.1%が課税されます。
具体例で計算しよう
実際に譲渡資産と買い換え資産の金額を計算しイメージしてみましょう。今回は、具体的に算出するために税率に復興特別所得税も計算します。▼ 前提条件
(譲渡資産について) ・所有期間28年の居住用家屋とその敷地 ・居住期間 12年 ・譲渡価格 7,000万円 ・取得費 1,000万円 ・譲渡費用 300万円 |
(買い換え資産について) ・一戸建て新築住宅(敷地面積120?、家屋の床面積100?) ・取得価格 5,000万円 ・取得と同時にただちに居住用として使用するものとします。 |
▼ 計算方法
項目 | 買い換え特例を受ける場合 |
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譲渡所得金額 | (1)収入金額 7,000万円-6,000万円=1,000万円 (2)必要経費 (1,000万円+300万円)× 1,000万円 ÷ 7,000万円 = 186万円 ※千円単位は四捨五入によりカット (3)譲渡所得の金額 1,000万円 – 186万円 = 814万円 |
課税長期譲渡所得金額 | 814万円 |
税額 | 814万円 × 20.315% = 165万円 ※千円単位は四捨五入によりカット |
いかがでしょうか?本来は、【 譲渡収入金額 – (取得費 + 譲渡費用)】で譲渡所得額が計算されるので多額の税金が課税されてしまいますが、買い換え特例を使うことで大幅な節税が実現できました。
かかる費用・税金は不動産の種類や状況によって異なります。そこで、かかる費用・税金を簡単にチェックしましょう!
必要項目を選択して「かかる費用・税金を見る」を押すと、ご自身の場合にかかる金額や項目の内訳が一覧で表示されます。
費用・税金名 | 金額 | 内容 |
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控除名 | 内容 |
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居住用財産買い換えの特例の適用要件は?
居住用財産の特例をうけるには、次にあげる要件全てにあてはまることが必要です。譲渡資産 | ・譲渡した年の1月1日における所有期間が住宅と敷地のいずれも10年を超えていること ・居住期間が10年以上であること(譲渡した住宅に居住していなかった期間がある場合には、居住していなかった期間を除き前後の期間を合算して計算します。) ・令和5年12月31日までに譲渡していること ・譲渡資産の譲渡の対価の額が1億円以下であること |
買い換え資産 | ・住宅の居住用部分の床面積が50㎡以上であること(登記簿上の面積) ・住宅の敷地の面積が500㎡以下であること ・住宅が既存の対価建築物である場合、次にあげるどれかに該当すること 1、取得日から起算して25年以内に建築された住宅であること 2、地震に対する安全性にかかる基準に適合することが証明されたもの※1 ・買い換え資産は、譲渡した当年・前年・翌年末までに取得をすること ・買い換え資産(居住用財産)は、取得年の翌年末までに居住すること |
その他 | ・譲渡資産の譲受者が譲渡者の配偶者や生計を一にする親族でないこと ・住宅ローン控除との併用は不可 ・交換や特別控除などの他の課税の特例をうけていないこと |
※1証明書類一覧
- 耐震基準適合証明書(住宅取得日の2年以内に証明のための住宅の調査が終了したもの)
- 住宅性能評価書の写し(住宅取得日の2年以内に評価されたもの)
- 既存住宅売買瑕疵担保責任保険付保証明書(加入後2年以内のもの)
(平成25年度改正で、地震に対する安全性基準の適合要件を証明する書類の範囲に、既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入していることを証明する書類が加わりました)
買い換え特例を利用する条件とは
ここまで、マイホームを売却する際の節税として3つの方法を紹介してきましたが、 この3つの特例は併用することができません。したがって、売却益が出た際は、どの特例を使うかを考え選択することが非常に重要になります。これを選択適用といいます。
考え方としては、まず3,000万円の特別控除が使えるかどうかを最優先的に確認してください。なぜなら、売却益が3,000万円以下であればそもそも税金を支払う必要がありませんので、特例の選択をする必要がないからです。売却益が3,000万円以上になる可能性が出てきた段階で買い換えの特例を検討すれば良いでしょう。
適用を受けるための手続き方法
この特例を受けるためには、次にあげる書類を用意し、確定申告をしなくてはなりません。確定申告書に添付する書類 |
・譲渡所得計算明細書 ・譲渡に係る売買契約書の写しその他の書類で、譲渡に係る対価の額が1億円以下であることを証明するもの ・譲渡した不動産の登記事項証明書(または登記簿謄本・抄本) ・住民票の写し(譲渡日から2ヶ月経過後に譲渡した資産のある市区町村から交付されたもの) ・買い替え資産を取得予定の場合は、買い換え資産の明細書 《確定申告時にすでに買い換え資産を取得済の場合は、上記に加えて次の書類を準備》 ・買い換え資産の購入金額が明らかになる書類(契約書、領収書のコピーなど) ・買い換え不動産の登記事項証明書(または登記簿謄本・抄本) ・住民票の写し(買い換え資産の所在地のもの) ・買い換え資産が耐火建築物の中古住宅である場合で、取得日から25年以内に建築されたものでないときは、耐震基準適合証明書、住宅性能評価書の写しまたは既存住宅売買瑕疵担保責任保険付保証明書が必要です。 |
上記以外にも税務署からの指摘により追加の書類が必要になる場合もあります。まずは管轄の税務署に相談し確定申告の準備をしましょう。
必要な書類は不動産の種類や状況によって異なります。そこで、必要書類を簡単にチェックしましょう!
必要項目を選択して「必要書類を見る」を押すと、ご自身の場合に必要な書類が一覧で表示されます。
タイミング | 重要度 | 書類 | 内容 | 取得方法 |
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令和5年中までに売却する必要があるので一括査定を利用しよう
既に説明をしたように、居住用財産の買い換え特例を利用するに令和5年12月31日までに不動産を売却しなくてはなりません。期間が過ぎてしまうと、せっかく使える特例が使えなくなってしまい、莫大な譲渡所得税を支払うことになりかねません。今後不動産を売却する予定のある方は、期間を過ぎてしまう前に不動産の一括査定サイトを利用して、売却に向けて早めの準備をしておきましょう。
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