「まずは土地売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
太陽光発電の事業者へ土地を売る際のトラブル
さまざまな理由から、売れにくいと判断される土地を売却する方法として、「太陽光発電の事業者への売却」があります。
不動産会社に仲介してもらい、個人に売買する形と違い、事業者へ売却する際は、トラブルが起こるリスクもあります。
太陽光発電の事業者へ土地売却を検討している方は、よくあるトラブルを事前に把握しておくと、売却がスムーズに進むでしょう。解説していきます。
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事業者への売却時間する場合実際の取引まで時間を要する
太陽光発電事業者への土地売却は、一般的な不動産取引と比較すると、非常に時間がかかる場合があります。
その主な原因は、事業者が土地の環境調査、土壌調査、日射量調査などの事前調査に多くの時間をかけるからです。
そのため、買い主が見つかってから実際の引き渡しまで、数ヶ月〜数年の期間が必要とされるケースも少なくありません。
そのため、早く売却することを希望している方には、デメリットになりえます。
また、太陽光発電の目的で、土地を使用するばあい、「地目の転用申請」や「開発許可」、「経済産業省への申請」、そして「電力会社への申請」の手続きが追加で必要になります。
もちろん申請から、登録完了までも時間を要することになります。
それらの申請には、事業者と売買契約を結んだ証明が必要になります。そのため、先に事業者と契約したあとに、申請をする流れになります。
ここでトラブルになったり、損益を生じさせないために、「停止条件付売買契約」という契約を結ぶケースが多くなります。
事業者と売買契約を結んでも売却できないケースがある
太陽光発電土地売却においては、土地の所有者が太陽光発電事業者と売買契約を結んだにも関わらず、実際に売却が完了できないケースもあります。
理由としては、事業者側の資金調達が未確定である場合や、計画が地方自治体のガイドラインに適合しない場合などに発生します。
また、事業者の行う事前調査の結果によって、土壌汚染が確認された場合や日射量が事業計画に合わない時などに、契約停止条例が発令するケースもあります。
予防策としては、契約を結ぶ前に、事業者側の資金源が安定しているか確認したり、地方自治体の規制状況を調べ、計画が地域の開発基準に合致していることを確認するべきです。事業者の信頼性は、過去のプロジェクトなどの実績から判断しても良いでしょう。
業者に早めの対応を求められて相場より安く売却する
不動産会社に売りづらい土地を所有している方にとって、太陽光発電事業者への売却は売れる可能性が高い売却方法の一つなため、少し無理な要求をされる可能性があります。
例えば、補助金の申請期限や他の事業計画に合わせて、土地所有者に早めの対応を求めるなどがあります。
このような状況下では、売却価格が相場よりも低くなるリスクが高いです。
特に、土地所有者が太陽光発電土地売却の市場価格に詳しくない場合、事業者の提示する価格について急かされてしまいがちです。
そこで、急な決済を求められた場合は、市場価格をしっかりと調査した上で交渉することが重要です。
ソーラーパネル設置による近隣トラブル
最後は、近隣とのトラブルについて説明していきます。
ソーラーパネルの設置は、見かけによらず高い位置に設置されることが多く、これが原因で視覚的な影響や土地利用の変化による近隣トラブルが起きる場合があります。
特に、ソーラーパネルが近隣の景観を損ねる、または反射光が近隣に影響を与える場合、トラブルが発生したり、地価が下落する場合があります。
トラブルにならないために、事業計画を立てる際には、コミュニティとの良好な関係を築くため・事業内容やリスクを伝えるために、開発前に近隣住民を対象とした説明会を開催することが望ましいです。
また、景観を損なわない設計を採用し、必要に応じて緑化計画を導入することで、視覚的な影響を最小限に抑えることができます。
太陽光発電事業者への土地売却の注意点
トラブルを防いでスムーズに売却を進めるために、太陽光発電事業者への土地売却の注意点を確認しましょう。
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事業者の対応から安心できるサービスか見極める
太陽光発電事業者との取引においては、事業者自体が提供するサービスの品質をしっかりと見極める必要があります。
一般的に、信頼できる事業者は、土地所有者からの依頼や問い合わせに対して、迅速かつ丁寧な対応をします。
また、不明点や疑問に対する説明も十分に行います。
逆に、事業者から十分な情報提供がない、または進捗状況の報告が不足している場合は、その事業者に対する警戒が必要です。
不動産会社の協力が得づらい可能性がある
太陽光発電の事業者に土地売却において、一般的な不動産会社の協力を得るのは比較的困難です。
太陽光発電土地は一般的な土地と違い特殊な取引とされ、技術的な側面や規制の複雑さがあります。
太陽光パネルの設置には、土地の地質、日照条件、接続可能な電力網の位置など、特有の考慮事項が必要です。
一般の不動産会社はこれらの専門知識を持ち合わせていないことが多く、太陽光発電プロジェクトの詳細な評価や適切なマーケティングが難しい場合があります。
これらの理由から、太陽光発電用土地の売却には通常、その分野に特化した不動産業者や、エネルギー分野に精通した専門の仲介者の協力が必要となります。
売買契約書の内容について確認する
太陽光発電土地売却においては、売買契約書の内容をしっかりと確認することが非常に重要です。
例えば、売買の条件や決済の流れ、引き渡し時期など、売却に直接関わる項目は慎重にチェックする必要があります。
その中でも特に、相場とかけ離れた査定額を提示してくる買取業者や、土地の引き渡し前になると何らかの理由をつけて買取金額の変更をしてくる業者は悪質な業者です。
契約内容を確認し、途中で買取代金を変更して良い仕様になっている場合は、騙されてしまう可能性があります。
不明点や不安な点があれば、専門の法律家に相談することをおすすめします。
農地転用許可の取得が可能かの確認する
太陽光発電事業を行うには、多くの場合、農地の転用が必要となります。
この転用には、農地転用許可を取得する必要があり、申請にはさまざまな書類の準備が必要です。
必要な書類は、土地の登記事項証明書や事業計画書などになります。
これらの手続きは時間がかかる可能性が高く、市区町村によっても申請条件が変わるいとがあるため、、早めに行動を起こす必要があります。
税金の影響を考慮する
太陽光発電土地の売却には、様々な税金がかかりす。
具体的には、譲渡所得に対しては譲渡所得税、所得に対する住民税、そして売却額に対する消費税などの納税義務が課せられます。
特に譲渡所得に関する税金は、土地の所有期間やその他の所得と合算される場合もあり、複雑な計算が必要とされることがあります。
それぞれの計算式は以下のようになります。
譲渡所得税: 売却益=売却額ー(取得費用+譲渡費用) 所得税=売却益ー特別控除(50万円)✕ 所得税率 |
譲渡所得の所得税率は、不動産の所有期間によってかわります。
- 所有期間が5年未満:約30%
- 所有期間が5年超え:約15%
※多くの場合、太陽光発電の稼働期間は10年以上であるため、税率15%で所得税を計算できます。
住民税=売却益ー特別控除(50万円)✕ 所得税率 |
所得税率も所有期間によって変わります。
- 所有期間が5年未満:約9%
- 所有期間が5年超え:約5%
専門の税理士や会計士と相談することで、税負担を最小限に抑える戦略を考えることができます。
消費税=売却額 ✕ 消費税率 |
現在の日本の法律上、消費税率は10%であるため、売却額が1000万円だった場合、【1000✕10%】100万円の消費税がかかることになります。
地域ルールや制限を確認する
地域によっては、太陽光発電施設の設置に特定のルールや制限が存在する場合があります。
例えば、風景保全地域や文化財保護地域では、設置が制限される可能性があります。
また、地元の自治体が独自の規制を設けている場合もありますので、事前にしっかりと調査する必要があります。
事後のメンテナンスや管理についても確認する
土地を太陽光発電事業者に売却した後も、その土地に何が行われるのか、またそれによってどういったメンテナンスが必要なのかを確認することは非常に重要です。
特に、故障や自然災害が発生した場合の対応計画や責任範囲、そしてそれに伴うコスト負担について明確にしておくべきです。