土地を売るときに注意すべき点を事前に知っておくことで、注意不足から来る失敗やトラブルを未然に防げる可能性が高くなります。
この記事では、土地売却を不動産仲介会社に依頼したときの注意点を土地売却の流れに合わせて紹介します。
どのタイミングで、どういった注意点に気をつけるべきかが分かります。
また、最後に土地売却を個人間で行う際の注意点、仲介会社に依頼する際の注意点、不動産買取を依頼する際の注意点など売却方法別に注意点を紹介します。
注意すべきことを事前に把握し、安心して土地の売却に踏み出しましょう!
「まずは土地売却の基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
土地を売る|①最初に確認するべき注意点
土地を売却する際の事前準備の段階において、特に注意すべき点を紹介します。
何に気を付けるべきかを事前に把握し、安心して土地売却を始められるようにしましょう!
相続した土地の相続登記を忘れずに実施しておく
土地を相続した際、まず最初に行うべきことの一つが相続登記です。
相続登記とは、土地の所有者が変わったことを法的に認められるための手続きです。これを行わなければ、新しい所有者としての権利を主張することができず、売却の際にも多くの問題が発生します。
相続登記を怠ると、まず、土地の売却が進まないという問題があります。
土地の購入者が決まっても、登記が済んでいなければ所有権の移転ができず、取引が成立しません。
また、相続人の間でのトラブルの原因になる可能性もあります。
例えば、将来的に相続人が増えたり、相続人の住所や名前が変わることで登記手続きがさらに複雑化します。相続登記は、相続が発生した時点で速やかに行うことが大切です。
手続き自体はそれほど難しくありませんが、書類の準備や提出先など細かな点で不明なことがある場合は、司法書士など専門家の助けを借りるとスムーズに進めることができます。
ローンの完済有無を確認しておく
土地を売却を検討する際にもう一つ重要な確認事項は、土地に関わるローンが完済されているかどうかです。
多くの人は住宅ローンや土地購入時の借入を利用しており、ローンが残っている状態では土地の自由な売却が制限される場合があります。
ローンが残っている土地を売却する場合、その売却代金でローンを完済する必要があります。
この手続きが済んでいないと、売却後に新しい所有者に対しても抵当権が残るため、トラブルの元となります。
特に、売却価格がローン残高を下回る場合は、自己資金で不足分を補う必要があるため、計画的な準備が求められます。
ローンの完済状況を確認する方法として、まず金融機関から最新の残高証明書を取得します。
次に、売却予定の価格と残高を比較し、必要な手続きを整理します。場合によっては、金融機関との相談を通じて適切な対応策を検討することが必要です。
土地の査定は複数の不動産会社に依頼する
最後に土地の売却を検討する際に、複数の不動産会社に査定依頼をだし、売却価格の相場を抑えましょう。
不動産会社によっては、相場価格と全くかけ離れたものを提示してくる場合もあるので、1社に査定依頼を出し、満足するのは注意が必要です。
土地の価格を明確に知るためにも査定依頼は3社以上に依頼するようにしましょう。
ここで活用したいのが、一括査定サイトのイエウールです。
イエウールでは、全国2300社を超える不動産会社と提携し、一度の申し込みで最大6つの不動産会社へ査定依頼を出せます。
実は、不動産会社によって査定基準や査定金額が異なる場合も多くあります。
一度も査定をしたことがないからこそ、複数社に査定を依頼し結果比較してみましょう。完全無料のサービスとなりますので、安心してご利用いただけます。
土地を売る|②売り出し前の注意点
この章では、売却をすると決め手から、実際に売却活動をする前に注意するべき点を解説していきます。
売り出し前の準備を見落としていると土地をスムーズに売れなくなってしまう場合もあるので、注意しておきましょう。
必要書類の取得漏れがないように注意しよう
土地を売却する際には様々な書類が必要です。
しかし、書類は最初からすべて必要なわけではなく、不動産会社との媒介契約時や売買契約時や、引き渡し時などそれぞれのタイミングで必要となります。
以下の5つの項目に必要事項を記入するだけで、あなたにの状況に合った必要書類の情報がでてきます。
土地の所在地によっては、何度も取りに行くことが難しいケースもあるため、事前に確認し、市区町村役場など取得する場所が同じ書類はまとめて取っておくというのもいいでしょう。
ただし、市区町村役場で取得する公的な書類には受け取る側で有効期間が決められていることが多く、あまり早く取得してしまうと無駄になってしまうので注意しましょう。
タイミング | 重要度 | 書類 | 内容 | 取得方法 |
---|
土地の境界に注意する
土地を売るには、土地の境界が明確になっていない場合近隣とのトラブルや法律を破っている可能性もあるため注意しましょう。
まずは、「確定測量図」を所有しているかどうか確認しましょう。確定測量図とは、隣地所有者の立ち会いのもとで、対象となる土地の境界を測量した結果を示した資料です。確定測量図があれば、土地の境界が正式に確定していることになります。測量図がなければ、専門の調査士に確定測量を依頼する必要があります。また、境界杭の有無も確認し、足りなければ復元する必要があります。
さらに、土地の境界線には、境界線に接する者同士が互いに認めた境界線を指す「所有権界」と、不動産登記法によって定められた境界線の「筆界」の2種類があり、どちらも登記をしない限り移動ができません。そのため、土地を売る場合には、この「所有権界」と「筆界」の双方が登記されている必要があります。もしもこの2つが一致していない場合は、後々近隣とトラブルに陥る可能性がありますので、近隣の方とよく話し合いをして整理調整を行い、所有権界を筆界に一致させるようにしましょう。
土地の境界が確定していなかった場合は、測量の専門家である土地家屋調査士に測量を依頼しましょう。また、測量時には隣接地に立ち入ったり、隣接地の所有者に立ち合いをお願いしたりする必要があるため、近隣住民に了承を得るようにしましょう。
土地に関する接道義務を満たしているか注意する
建築基準法では、道路と土地に関する接道義務というものが規定されています。
接道義務とは、土地に建物を建てる場合に、道路から2メートル以上接していなければならない決まりのことです。この接道義務を満たしていない場合は建築中であっても神塩停止命令を命じられたり、再建築を命じられます。
また、道路の幅員が4メートル未満の場合、セットバックが必要になり、こちらの確認もしましょう。
セットバックとは、道と土地の境界線を、道路の中心線から2メートルの位置まで後退させることです。この2メートルの間には、建物を建てる・駐車スペースにする・花壇・塀を作るといったことが禁止されています。この場合、土地の有効面積が減ってしまうため、売却価格が安くなることも考えられるということを把握しておきましょう。
ご自身の土地が接道義務を満たせているか、あらかじめ確認しておきましょう。
土地に土壌汚染がないかどうか確認しよう
土地を売るときに注意すべき点として、土壌汚染がないかどうかが挙げられます。
土地売買では、買主から土壌汚染の調査を求められることがあります。売却予定の土地がもともとガソリンスタンドのあった土地であったり、瓦礫などが埋まっている場合にはその情報を不動産会社に提供して、売買契約書に記載する必要があります。
そのため、土壌汚染の調査をすることをおすすめします。
万が一売買契約書に記載しておらず、売買成立後に土壌汚染が発覚すると、「契約不適合責任」に問われたり、説明義務違反となったりすることもあるため、注意が必要です。「契約不適合責任」については後ほど解説します。
土地売却相場を正しく理解しよう
不動産会社に査定を出してもらうとおおよその売却価格が分かりますが、その前に、ご自身で土地の売却相場を確認することが重要です。
あらかじめ土地売却の相場を見ておくことで、不動産会社の査定価格が適切であるかどうかの判断も可能になります。
売却相場の調べ方には5種類あります。
- 実勢価格から調べる
- 公示地価・基準地価から調べる
- 相続税路線価から調べる
- 固定資産税路線価から調べる
- AI査定で調べる
ここでご紹介するのは、イエウールの簡易査定シミュレーターです。
このシミュレーターなら、必要な項目を入力するだけで素早く簡単に相場を把握することができます。
さらに詳しい土地の売却相場の調べ方は以下の記事で解説をしているので、ご確認ください。
相場と一緒に土地売却でかかる費用や税金について把握しよう
続いて、土地を売る際に発生する費用を確認しましょう。
土地の売却額から費用を引いた金額が、手元に残るお金となります。「最初に考えていたより手取り金が少なかった」という状況に陥らないためにも、事前にどのくらいの費用がかかるのか把握しておきましょう。
内容 | 概要 | 金額 | 支払いの時期 | |
---|---|---|---|---|
一般費用 | 仲介手数料 | 不動産業者へ仲介を依頼した場合 | (売却額×3%)+6万円 | 売買契約時 |
測量費用 | 土地と土地の境界が不明な場合 | 35~45万円程度(面積が広いほど費用がかかる) | 測量依頼の際に | |
税金 | 印紙税 | 売買契約書に添付するためのもの |
| 売買契約時 |
登録免許税 (抵当権抹消) | 土地に抵当権がある場合 |
| 土地の抵当権を清算するとき | |
譲渡所得税 | 土地の売却により利益が出た場合 |
| 売却した翌年の3/15まで | |
住民税 | 土地の売却により利益が出た場合 |
| 確定申告後の5月以降(4回に分けて) |
土地を売る|③売り出し中の注意点
売り出し前に注意すべきことを把握したら、いよいよ本格的に土地の売却を始めるステップです。
ここからの注意点は、売却を進めていく上で売却価格や売却スピードに大きく影響するものなので、特に注意が必要です。
媒介契約は自身の土地の条件や希望に適した媒介契約を選ぼう
契約を結びたい不動産会社を決めたら、媒介契約を選択しましょう。
不動産会社と仲介の契約を結ぶ際の媒介契約は「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類あります。それぞれの特徴を理解し、売却する土地の条件や希望に適した媒介契約を選択するようにしたください。
一度契約を結ぶと、3ヶ月間はその企業と契約を結んだ状態が維持されるため、自身の重要視するポイントを抑えたうえで検討した方が良いでしょう。
専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数業者との契約 | × | × | 〇 |
他社への通知義務 | × | × | ○ ※明示型の場合 |
自己発見取引 | ○ | × | 〇 |
契約の有効期間 | 3か月以内 | 3か月以内 | 指定なし |
指定流通機構への登録 | 7日以内に登録 | 5日以内に登録 | 任意 |
業務状況の報告義務 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 | 任意 |
不動産会社に騙されていないか注意しよう
媒介契約を結んだら、いよいよ売却活動がはじまりますが、ここでもトラブルに陥る危険性があります。
例えば、いつまで経っても買主が現れない場合は、不動産会社とのトラブルで一番大きい囲い込みを疑っても良いかもしれません。
囲い込みとは、1つの物件の売却と購入のいずれも1社の不動産会社が成約するように意図的に調整することです。
不動産会社が1つの土地の売却と購入の両方を担うこと自体は全く問題がありません。
しかし、他の不動産会社から依頼された内覧を断ったり、既に買主が現れていると嘘をついたりして自社で買主が見つかるまで物件を売れないようにする行為を「囲い込み」と言います。囲い込みが行われると、買主候補の数は少なくなってしまうので売却するまでに時間を要するようになったり、物件を安く売ってしまうといったことが起こり、売主は損をしてしまうのです。そのため、囲い込みの可能性がないか注意をしましょう。
売り出し価格の調整は適切になるように注意しよう
土地売却における「売り出し価格の調整」は非常に重要なポイントになります。
事前に調べた市場の動向や競合他社の状況、そして土地の特性に応じて適切に価格を設定し直すことが求められます。
例えば、条件付き土地などではない土地売却で、売り出し開始後にすぐに複数のお問い合わせが合った場合は、設定した価格が適正である可能性が高いですが、反対に反応が薄い場合は、価格の見直しを検討しても良いかもしれません。
価格設定が高すぎると売れ残ってしまう原因になりますが、価格が低すぎると損失を招く可能性があるため、同エリアの市場価格を比較してみることは非常に大切です。不動産売却市場は常に変動しています。以前調べたから大丈夫だと思っている方でも、再度調査を行い柔軟に対応するようにしましょう。
契約不適合責任に問われる危険性がある
ここで注意していただきたいのが、売り出している土地の状況は正しく公開せず、買い主に提供した情報と土地の状態が異なっていると、契約不適合責任に問われてしまう危険性があるので注意しましょう。
「契約不適合責任」とは、契約時に伝えていた内容と違う場合に買い主は損害賠償や代金減額の請求ができるというものです。売り主が破損や不具合に気づいていなかったかどうかは論点にはならず、契約時に伝えられていた内容と異なる点があった場合に買主が売主に損害賠償等を請求することができます。
そのため、事前に土地の状況を把握したうえで、しっかり情報開示するようにしましょう。
契約不適合責任について、詳しくは法務省の説明資料をご確認ください。
参考:民法(債権関係)の改正に関する説明資料(法務省民事局)
土地を売る| ④売り出し後の注意点
売却が決まってからもまだ油断はできません。この章では、売買契約以降注意すべきポイントについて解説します。
契約書は必ず隅々まで注意して確認しよう
まず注意していただきたいのは、必ず、契約書の確認をすることです。
買い主と決めるのは土地の価格だけではありません。
土地を引き渡す日はいつにするのか、残りの固定資産税はどちらが支払うのかなど、土地に関わるすべてのことを双方の合意のもと決めていきます。
売買契約を締結すると、その後は契約書の内容に沿った権利や義務を履行することとなります。
そのため、売買契約に記載されている事項をよく確認し、わからないことがあれば不動産会社に相談するようにしましょう。
また、税金未払いに注意しましょう。
土地の売却により利益が出た場合、確定申告を行う必要があります。
土地を売却して得た所得は「譲渡所得」といい、譲渡所得は土地を売却して得た金額から税金や登記費用、仲介手数料などを引いた金額のことです。
売り主も買い主も双方での確認が漏れていないか注意しよう
土地売却の際の決算と引き渡しは、取引の最終段階であり、法的・財務的な要素が含まれるため注意していただくポイントが複数あります。
まず、決算前には、土地売買契約書の内容を再確認し、すべての条項が適切に履行されているか売り主側も、買い主側も確認するようにしましょう。契約書には、引き渡し条件、支払条件、違約金の条項など、重要な事項が記載されているので、確認していただき、質問があれば担当の不動産仲介会社の方に聞いておきましょう。
また、決算時に必要な必要書類も数点あります。準備が漏れていた場合、双方に影響が出てしまうため、事前に準備し漏れや未記入の部分がないか確認しておきましょう。
加えて、引き渡し時には、土地の現状が契約書に記載された条件と一致しているか、また、土地の利用に関わる制限や権利の確認もその場で確認が必要です。この段階で何か問題が発生した場合は、すぐに解決策を見つける必要があります。
土地をどの方法で売る?【状況別注意点】
土地売却を控えている方は、どの売却方法で売ろうか決めるうえで、まずどういった売却方法があるのか、その方法を選ぶうえでの注意点を抑えておく必要があります。
土地の売却方法は大きく分けて、以下の3種類あります。
次の章で、各売却方法を選ぶ際の注意点を解説していきます。
土地を個人売買する上での注意点
個人売買というのは、土地の所有者が直接買い主を探して売却を進める方法です。
不動産会社が間を仲介することがないので、仲介手数料が不要な点が経済的な大きなメリットとなります。
個人で進めていくため、一般的な土地売買よりも注意しなければ行けない点が多くあります。
- 価格設定
市場価格に対して適切な価格設定を行う必要があります。
不動産の査定をプロに依頼することが望ましいです。 - 契約手続き
売買契約書の作成や登記手続きなど、法的な手続きが複雑であるため、専門家のアドバイスが必要になる可能性が高くなります。 - 買主の信用調査
買主の支払い能力や信用情報を確認することが重要です。 - マーケティング
自分で広告や宣伝を行う必要があります。不動産ポータルサイトの活用やSNSでの情報発信が効果的です。
不動産買取を依頼する上での注意点
次に不動産買取を利用する上での注意点を紹介します。
不動産買取とは、不動産買取業者に土地を売却する方法です。
個人売買や不動産仲介を利用するよりも、確実に早く、現金化できる点がメリットです。
過不動産買取を選ぶ上での注意点の例は以下になります。
- 買取価格
買取業者は再販利益を見込んでいる。また、仲介手数料を取らないため、市場価格の7割~8割り程度が買取価格になるのが一般的です。 - 信頼性の確認
業者の信頼性や実績を確認することが重要です。
サイトのレビューや評判をチェックし、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。 - 契約条件
売却条件や支払い条件を詳細に確認し、不明点は全てクリアにしておくことが必要です。
不動産仲介を依頼する上での注意点
最後に不動産仲介を依頼する上での注意点を説明します。
不動産仲介とは、不動産仲介業者を通じて土地を売却する方法です。
仲介業者が売買をサポートし、買主を探す売却活動全般をサポートしてくださるため、土地の売却方法の中で多くの方は、不動産会社の仲介を利用します。
不動産仲介を利用するうえで抑えておいていただきたい注意点は、
- 仲介手数料
仲介手数料が発生します。手数料の相場や支払いタイミングを確認しておくことが大切です。 - 仲介業者の選定
信頼できる仲介業者を選ぶことが重要です。実績や口コミを確認し、契約前に十分な情報を集めましょう。 - 価格設定
仲介業者のアドバイスを基に適切な価格設定を行いますが、自分でも市場調査を行い納得のいく価格設定を心掛けましょう。 - 広告・宣伝
仲介業者が広告や宣伝を行ってくれますが、どのような方法でプロモーションを行うのかを確認しておくと良いでしょう。 - 売却期間
仲介を依頼して土地を売却すると、売却には約3ヶ月~6ヶ月かかります。
あなたの不動産、
売ったら