土地売却にかかる費用・手数料はいくら?まずはシミュレーションしよう
土地売却には多くの手数料や費用がかかります。まずは、実際にどのくらいの手数料や費用がかかるかシミュレーションしてみましょう。
おおよその「売却価格」と土地の「所有期間」と「取得費(取得時にかかった費用:購入価格)」と「諸経費」を入力すると、手取り金額が分かります。また、手取り金額の他にも、仲介手数料や印紙税・譲渡所得税などがそれぞれいくらかかるか分かります。
未記入(不明)の場合は5%で自動試算
未記入(不明)の場合は5%で自動試算
売却価格
0万円
仲介手数料
0万円
諸経費
0万円
印紙税
0万円
譲渡税
0万円
手取り金額
0万円
※このシミュレーション結果はあくまでも概算になります。
売却価格 | - | 0万円 |
仲介手数料 | - | 0万円 |
諸経費 | - | 0万円 |
印紙税 | - | 0万円 |
譲渡税 | - | 0万円 |
手取り金額 | 0万円 |
※このシミュレーション結果はあくまでも概算になります。
売却価格-(取得費+仲介手数料+諸経費+印紙税)=譲渡益(譲渡所得)
0-(0+0+0+0)=0万円
(譲渡益-特別控除) ×税率 (所得税+住民税)=譲渡税
(0-0) × 0% [0%+0%]=0万円
※上記所得税の税率には、復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされています。
後ほど、詳しく土地売却にかかる費用・手数料を解説していきます。
土地売却にかかる費用・手数料の種類【一覧表】
土地売却にかかる費用を税金と一般費用に分けて解説していきます。ケースによって必要となったりならなかったりする項目もありますので、1つ1つ確認していきましょう。まずは、費用の一覧をご確認ください。
内容 | 概要 | 金額 | 支払いの時期 | |
---|---|---|---|---|
一般費用 | 仲介手数料 | 不動産業者へ仲介を依頼した場合 | (売却額×3%)+6万円 | 売買契約時 |
抵当権抹消費用 | 土地に抵当権がある場合 |
| 土地の抵当権を清算するとき | |
測量費用 | 土地と土地の境界が不明な場合 | 35~45万円程度(面積が広いほど費用がかかる) | 測量依頼の際に | |
税金 | 印紙税 | 売買契約書に添付するためのもの |
| 売買契約時 |
登録免許税 | 土地の所有権を移すためのもの | 売却価格の1.5% | 所有権移転登記を行うとき | |
譲渡所得税 | 土地の売却により利益が出た場合 |
| 売却した翌年の3/15まで | |
住民税 | 土地の売却により利益が出た場合 |
| 確定申告後の5月以降(4回に分けて) |
ここから先は、費用項目毎に具体的に解説をしていきたいと思います。
一般費用には何があるの?
一般費用に含まれる、「仲介手数料」「抵当権抹消費用」「測量費用」について見ていきましょう仲介手数料
仲介手数料とはなにか?また、いくらかかるのか?
仲介手数料とは、土地売却の仲介を依頼する不動産会社に支払う手数料です。土地や建物などの不動産を売るときは、不動産業者に依頼して買主を見つけてもらうことが一般的なため、ほとんどのケースで発生する費用と言えるでしょう。仲介手数料には、- 「(売却額×3%+6万円)+ 消費税 」
という上限が設けられています。業者によって多少の差はありますが、上限額いっぱいの仲介手数料を取っているところがほとんどです。
「(売却額×3%+6万円)+ 消費税 」という金額はあくまで上限ですから、業者との交渉次第で値下げも可能です。しかし、不動産会社の収益はこの仲介手数料によって成り立っているため、値下げばかりにこだわるとサービスの品質が低下するリスクがあるだけでなく、トラブルのもとになる可能性があるため注意してください。
高く売れるかどうかは契約する不動産会社次第のため、不動産会社との無駄なトラブルは避けた方が結果的に大きな収益をあげることに繋がることを覚えておきましょう。
仲介手数料の「+6万円」とはなにか?
ところで「(売却額×3%+6万円)」の6万円という数字、何のために加算されているかご存知でしょうか?この数式は、不動産業界で用いられる「速算式」と呼ばれる計算方法です。不動産の仲介手数料は売却額によって異なり、厳密には次のような上限が設けられています。これを一括で計算できるようにしたものが「(売却額×3%+6万円)+消費税 」です。
国土交通省が定める不動産売買の仲介手数料
売却価格 | 手数料の上限(消費税抜き) |
---|---|
200万円以下の額 | 売却価格の5% |
200万円〜400万円以下の額 | 売却価格の4% |
400万円を超えた額 | 売却価格の3% |
例えば1,000万円の土地を売却するとき、手数料は下記のように計算します。
- 【200万円まで】→ 200万円×5%=10万円
- 【200万円〜400万円まで】→ 200万円×4%=8万円
- 【400万円以上】→ 600万円×3%=18万円10万円+8万円+18万円=36万円
- (1,000万円×3%)+6万=36万円
両方の式ともに仲介手数料の金額が一致しました。この通り、仲介手数料の複雑な計算も速算式であれば簡単に計算できます。豆知識として覚えておくと良いでしょう。
※平成30年1月1日の宅建業法一部改訂により、400万円以下の不動産売買の仲介手数料の上限が18万円となりました。
抵当権抹消費用
ローンが残っている土地を売却する際には「抵当権抹消」という手続きを行わなければなりません。抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1件つき1,000円です。土地のみなら1,000円ですが、土地と建物を別個に数える場合は、2,000円の費用が発生します。抵当権の抹消についても、所有権移転登記と同じく印鑑証明書や住民票などさまざまな書類を用意する必要があります。
手続きが煩雑なため、所有権移転登記と一緒に司法書士に依頼することが一般的です。司法書士への依頼費用は数万円程度が目安です。なお、抵当権抹消費用は土地の譲渡費用には含まれません。譲渡所得税・住民税を計算する際は注意してください。
測量費用
売却する土地について、隣の土地の境界があいまいな場合は測量を行って近隣の境界を明確に明示することとその面積を確定する必要があります。測量費用はその土地の広さや境界の明示が必要かどうかによって異なります。測量費用は売主が境界を明示する義務を負うことから売主が負担することが一般的となっています。また、土地の測量は仲介業者に紹介された業者や知り合いの測量事務所や土地家屋調査士に依頼することになります。確定測量について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
税金には何があるの?
印紙税
印紙税とは何か?また、いくらかかるのか?
印紙税とは、収入印紙にかかる税金です。不動産の売買においては売主と買主の間で売買契約書を取り交わしますが、その契約書に収入印紙を貼付する必要があります。税額は国税庁によって下記の通り定められています。ただし、これらの金額は2020年3月31日までの税額で、以降は変更される可能性があります。詳しくは国税庁のリーフレットをご覧ください。
契約書の記載金額 | 印紙税の金額 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
50万円以下 | 200円 |
100万円以下 | 500円 |
500万円以下 | 1,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 |
1億円以下 | 30,000円 |
5億円以下 | 60,000円 |
10億円以下 | 160,000円 |
50億円以下 | 320,000円 |
50億円以上 | 480,000円 |
記載金額がない | 200円 |
印紙税を節約する方法は?
印紙税は売買価格に応じて国で定められているため、減額は不可能です。ただし売主については印紙税を節約する方法があります。それは「買主の所持する不動産売買契約書の写し(コピー)を持つ」という方法です。法律的には、買主が不動産売買契約書の原本を持ち、売主がそのコピーを持つことでも問題ないとされています。この場合、コピーの契約書に収入印紙は必要ないため、売主は印紙税を払わずに済みます。
ただし、何らかのトラブルで裁判に至った場合、買主の持つ「原本」に対して「写し」が証拠として不利になる可能性があります。さらに、契約書のコピーに「写しは原本と相違ない」などの証明文言が記載されている場合は、収入印紙を貼付する必要があります。トラブルのリスクが心配な場合は、収入印紙を購入し売主・買主ともに原本を所有しておくことが無難です。
登録免許税
土地を売却にあたって、土地の所有権を売主から買主へと移行する「所有権移転登記」を行います。この際発生するのが「登録免許税」で、土地の売却では土地の固定資産税評価額に対して1.5%(1000分の15※)の税金が発生します。こちらは税率が定められているため、節約は不可能と言えます。令和3年度の税制改正により、登録免許税の税率の軽減措置について、その適用期限が令和 5 年3月 31 日まで2年延長されています。詳しくは登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせをご確認ください。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地を売却する際にかかる登録免許税は下記のとおりです。
- 1,000万円×0.015=15万円
なお、所有権移転登記は、法務局へ必要書類を提出することで完了します。しかし、売買契約書や売主の印鑑証明書、買主の住民票の用意など準備が煩雑なため、司法書士に代行を依頼することが一般的です。
仲介業者が司法書士へ登記申請を依頼するケースも少なくありません。報酬額は一般には2万~3万円程度といわれていますが、依頼する司法書士によって報酬額は異なります。自身で業者を探す場合はあらかじめ確認しておきましょう。あまりお勧めができませんが、もし、自分で所有権移転登記を行う場合は、必ず代金の受け取りと同時、もしくはそれ以降に手続きを行ってください。これは所有権を移転したのにお金を払ってもらえないなどのトラブルを防ぐ目的があります。
譲渡所得税・住民税
土地を売って利益を得た場合、「譲渡所得税」と「住民税」が発生します。土地の所有期間によって税率が異なるため、計算時は注意が必要です。なお、購入金額よりも安い値段で売却した場合は、税金を支払う必要はありません。譲渡所得税は国に納める所得税の一種です。売却した翌年に確定申告で納付します。住民税は地方自治体に納める税金であり、売却した翌年に市町村から送付される住民税納付書で支払いを行います。特別徴収として、給与から天引きすることも可能です。
どちらの税金も「売却額」ではなく「売却益(課税譲渡所得金額)」、つまり売った際の土地の価格ではなく、売った時の金額と取得した時の金額の差に利益があった場合を元に税金が計算されます。売却益の計算方法は下記のとおりです。
- 売却益=売却額-(取得費+譲渡費用)-特別控除・取得費……土地や建物の購入代金や、購入時の仲介手数料など。その後支払った改良費、設備費なども合計して算出します。・譲渡費用……土地や建物を売るために支出した費用。売却時の仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、借家人などに支払った立退料、建物を取り壊すための費用などがあります。
また、土地の所有期間によって税率が異なります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
所有期間が5年以下(短期譲渡所得) | 30% | 9% | 39% |
所有期間が5年超(長期譲渡所得) | 15% | 5% | 20% |
【計算例】
10年前に1,000万円で購入した土地を3,000万円で売却し、諸費用に200万円掛かった場合の税金を計算してみます。まず、売却益は下記のとおりです。
- 売却益=3,000万円-(1,000万円+200万円)=1,800万円
長期譲渡所得の税率は所得税:15%、住民税:5%なので税金額は下記のとおりです。
- 譲渡所得税=1,800万円×0.15=270万円
- 住民税=1,800万円×0.05=90万円
その他書類の取得費
土地の売買には主に下記の書類が必要です。いずれも300円から600円程度で高額ではありませんが、住民票等の交付手数料は各市町村で異なります。さらに市役所などに取りに行く手間もかかります。また、書類によっては「3カ月以内に発行した書類でなければ無効」などの規定が設けられているので注意しましょう。項目 | 料金 | 取得できる場所 | 注意事項 |
---|---|---|---|
登記済み権利書、または登記識別情報関する証明 | 300円 | 法務局またはオンラインでも申請可能 | ― |
登記簿謄本・登記事項証明書 | 書面請求 600円、オンライン請求・送付 500円、オンライン請求・窓口交付 480円 | 法務局またはオンラインでも申請可能 | ― |
売買契約書 | ― | 物件を購入した際に渡される | 再発行不可のため紛失に注意 |
重要事項説明書 | ― | 物件を購入した際に渡される | 再発行不可のため紛失に注意 |
固定資産税納税通知書および固定資産税課税明細書 | ― | 毎年4月1日以降、市町村役場・都税事務所から郵送される | 市町村役場・都税事務所から取り寄せも可能 |
土地測量図・境界確認書(地図等情報) | 書面請求 450円、オンライン請求・送付 450円、オンライン請求・窓口交付 430円 | 法務局またはオンラインでも申請可能 | ― |
本人確認書類 | ― | 自身で用意 | 運転免許証・パスポート、健康保険証など |
実印・印鑑証明書 | 市町村によって異なる | 市町村の役場で申請 | 発行から3ヶ月以内のものが有効 |
住民票 | 市町村によって異なる | 市町村の役場で申請 | 発行から3ヶ月以内のものが有効 |
その他、土地の条件によってローン残高証明書などが必要となる場合もあります。
その他 土地の環境によってかかってくる費用
売ろうとしている土地に、土壌汚染や何らかの埋設物がある可能性はありませんか?土地を売却する際に土壌汚染や埋設物について調査する義務はありませんが、売却後にそれらのトラブルが発覚すると、売り主が費用を賠償しなければなりません。土壌汚染の調査や浄化の費用は、汚れの度合や業者によって異なりますが、調査費用は20~30万円、浄化費用は土地1立方メートルあたり3~5万円程度のことが多いようです。
また、土地を宅地として売り出すケースでは、土地の造成や整地、水道管の引き直し・引き込み工事が必要になることもあります。
こうした工事費用の負担は売主の負担になるか、買主の負担になるかはケースバイケースです。したがって、売却前に工事を済ませておくか、工事費用を負担してもらうことを見込んで売却価格を設定するなどの対応が求められます。
売却前に土地の状態をきちんと調査し、どのような対応が必要か不動産会社に相談することが大切です。