アパートの資金計画を立てている人の中には、
「アパートローンの返済計画はどうしよう…」
「ローンは無理なく返済していきたい」
と感じている方もいらっしゃると思います。
そこでこの記事では、アパートローンの返済計画に関係する返済期間・金利・返済方法について解説します。
また、アパートローンの基礎知識や金利相場、アパートローンの返済シミュレーション、無理なく返済するポイント、アパートローンの審査基準も解説していますので、是非参考にしてください。
アパートローンについて
ここでは、アパートローンの基礎知識を解説します。
融資の対象
アパートローンは、投資用のアパートやマンションの建築・購入の際に利用できる事業用のローンです。
そして、アパートローンでは、借主が所有する土地や建物が担保になるため、金融機関は土地や建物を評価して、融資の審査を行います。
審査の際は、不動産としての単純な資産価値だけではなく、アパート経営をした場合の収益性も審査では見られており、収益性の高い物件ほど、高額な融資を組みやすくなります。
また、不動産担保以外で見られているポイントは、借主の貯蓄や返済能力、賃貸経営の実績やノウハウの有無なども審査基準になっています。
借り入れ限度額
アパートローンの借り入れ限度額は、申し込みをする金融機関によって異なります。
借り入れ限度額が10億円の金融機関もあれば、1億円の金融機関もあるため、金融機関ごとの上限額の違いを調べておき、希望額を融資してくれる機関に相談することが大切です。
また、借主の貯蓄やアパートの収益性によっては、希望の金額を融資してもらえない可能性もあります。
住宅ローンとの違い
住宅ローンとは、マイホームを建築・購入するために低金利で長期間借り入れすることができる不動産ローンです。
このように、ローンを利用する目的が異なるため、投資用アパートの建築・購入では、住宅ローンは利用することができません。
また、審査基準や節税制度、連帯保証人の有無が異なることからも、アパートローンとはまったくの別物と覚えておきましょう。
アパート経営を始める可能性が出てきたら、複数の企業にプランを提案してもらうことをおすすめします。なぜなら、アパート経営は建築費の見積もりや賃料設定など経営のプランによって将来の利回りも変わってくるからです。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、利回りはどのくらいが適切なのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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アパートローンの返済計画
ここでは、アパートローンの返済計画に大きく関係する返済期間・金利・返済方法について解説します。
アパートローンの返済期間
アパートローンの返済期間は、以下の要素で決まります。
- 建物の法定耐用年数
- ローン完済時の年齢
法定耐用年数によって決まる
アパートローンの返済期間は、建築するアパートの法定耐用年数によって決められます。
アパートの法定耐用年数は、構造ごとに決まっており、構造ごとの法定耐用年数は以下の通りです。
建物構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
骨格材の厚みが3mm以下の鉄骨造 | 19年 |
骨格材の厚みが3mm超4mm以下の鉄骨造 | 27年 |
骨格材の厚みが4mm超の鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
たとえば、木造のアパートを建築する場合、22年以内が返済期間の目安になります。
完済時の年齢が考慮される
アパートローンの返済期間は、完済時の年齢も考慮されることもあります。
特に団体信用生命保険に加入する場合、金融機関によって異なりますが、最終返済時の年齢が75歳~82歳になるように返済期間が設定されます。
また、団体信用生命保険(団信)とは、ローンの契約者が死亡した場合に保険金が支払われ、これによってローンの残債を返済することができる生命保険のことです。
団信に加入しておくことで、さまざまなメリットがあるため、アパートローンを組む前に加入条件などを確認しておくとよいでしょう。
アパートローンの金利
アパートローンの金利には、固定金利と変動金利の2種類があります。
固定金利は、借り入れ期間中に適用される金利が固定されている金利タイプです。対して、変動金利は、借り入れ期間中に適用される金利が変動する金利タイプです。
それぞれの金利タイプも特徴が異なるため、契約時にはどの金利タイプなのかを確認しておくことが重要になります。
固定金利タイプ
ローンの完済まで金利の変動がないことが固定金利タイプの特徴ですが、固定金利には2つの種類があります。
- 全期間固定金利型
- 固定金利期間選択型
固定金利タイプでも、固定金利期間選択型の場合は、一定期間は金利の変動がないものの、期間を過ぎると変動金利に切り替わります。
たとえば、契約から5年間は固定金利で、5年目以降は金融情勢に応じて金利が変動するものは、固定金利期間選択型です。
変動金利タイプ
契約から金利が一定ではなく、金融情勢によって金利が変動するものが変動金利タイプの特徴です。
市場金利が下がると、アパートローンの金利も下がり、返済総額が少なくなる点は大きなメリットでしょう。
ただし、市場金利が上がると返済総額も増えるため、場合によっては返済が苦しくなることもあります。
変動金利は完済額が少なくなる可能性がある一方で、金利の上昇による返済総額の増加や、最終的な返済額の見込みが立てづらいことに注意が必要です。
アパートローンの返済方法
アパートローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。
それぞれに特徴がありますので、よく確認して、自分に合った返済方法を選びましょう。
元利均等返済方式
元利均等返済方式は、初年度から完済まで、毎月一定の返済額になることが特徴の返済方法です。
月々の返済額が一定であることから、無理のない返済計画を立てることができます。
また、一定の返済額を支払い続けるため、修繕費などの貯蓄にまわす金額も考えやすくなります。
ただ、元利均等返済方式では、元金と利息を組み合わせて毎月均等に返済していくことから、返済当初は利息が返済の大部分を占め、元金部分の減りが遅いことも特徴です。
そのため、先に元金部分を多く返済する元金均等返済方式よりも返済総額が増えてしまいます。
元金均等返済方式
元金均等返済方式は、毎月一定額の元金と、残高に対応して発生する利息を支払う返済方式です。
元金部分、つまりローンの残高が減ると利息も減少する点が大きな特徴です。
ローンを返済していくほど、利息も減っていくため、元利均等返済方式よりも最終的な返済額を減らすことができます。
ただ、元金均等返済方式では、返済開始後すぐだと、元金が多く残っているため、返済額が大きくなってしまいます。
また、スタート時の返済負担が大きいことから、審査基準は元利均等返済方式よりも厳しくなっています。
アパートローンの金利相場
アパートローンの金利は、多くの金融機関で正確な数字が公表されておらず、実態を把握することは難しくなっています。
特に都市銀行のアパートローンで多いのが、短期プライムレートに連動して金利が決定するという方法で、短期プライムレート(1.475%)にプラス数%の金利になります。
そのため、実際に店頭に行き、金利が提示されるまでは正確な金利がわからないのが実情となっています。
また、2022年9月現在、各行のホームページに公開されている金利をいくつか名称とともにまとめたものが以下の表となります。
金融機関:商品名 | 変動金利 | 固定金利 |
---|---|---|
みずほ銀行:アパートローン | 年2.475% | 店頭にて提示 |
三井住友銀行:アパートローン | 年2.475% | 店頭にて提示 |
三井住友信託銀行:アパートローン | 年2.575% | 年3.30%~4.35% |
東北銀行:とうぎんアパートローン | 年2.175%~3.025% | 年2.277%~3.124% |
広島銀行:ビル・アパートローン | 年2.975% | 年2.900%~3.250% |
東京スター銀行:スター不動産担保ローン | 年0.85%~7.85% | 年1.35%~8.55% |
オリックス銀行:不動産投資ローン | 年2.675%~3.675% | 年2.300%~3.500% |
※金利は経済状況によって変動します。必ず各行にお問い合わせください。
また、金利はメガバンク→地方銀行→信用金庫→ノンバンクの順番で高くなります。
金融機関 | 金利 |
---|---|
都市銀行(メガバンク) | 1.5%~1.8% |
日本政策金融公庫 | 1.2%~2% |
信用金庫 | 2% |
信用組合 | 2% |
ノンバンク | 2.9%~4.5% |
地方銀行 | 1.5%~3% |
※金利相場は2021年秋のものを参考にしています。
どこから融資を受けるのかは、金利や返済方法などを確認して慎重に決めることが大切です。
アパートローンの返済シミュレーション
ここでは、アパートローンの返済シミュレーションをしていきます。
今回の条件は以下の通りです。
- 借り入れ金額:8,000万円
- 返済期間:20年
- 金利:3.675%
実際にアパートローンを利用する場合、融資の条件や金利などは金融機関によって異なるため、複数の商品を比較して自分に合ったものを選びましょう。
ローン返済額シミュレーター
試算条件(お借入金額、ボーナス返金元金、金利、返済期間)を入力していただくことで毎月のご返済額を概算します。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。月額返済額が、画面下部に表示されます。
借入金額
万円
内ボーナス返済額
万円
借入れ金利
%
返済期間
年
ヶ月
※1年以上35年以内
想定年数経過後の借入残高
年後
※入力される年数経過後の借入残高を計算いたします。返済期間内でご希望の年数を入力ください。
[参考]アパートローン金利例
金融機関 | 固定金利 | 変動金利 |
---|---|---|
みずほ銀行 | 2.8~4.7% | 1~2.5% |
三井住友銀行 | 3.3~4.5% | 2.5~3% |
日本政策金融公庫 | 1.2~3% | なし |
毎月返済額
万円○○年後借入残高
万円※ローン返済額のシミュレーションは元利均等法に基づいて行われています。
※計算結果は簡易計算による概算金額です。
- 本当にシミュレーション通りの借入金額で大丈夫かな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用が変動すると最初に必要となる借入金額も異なります。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
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アパートローンの審査基準
ここでは、アパートローンの審査基準を解説します。
物件の収益性
アパートローンの審査では、建築・購入するアパートの収益性を審査基準としています。
アパートローンの返済は、毎月の家賃収入から行われることため、その物件がしっかりと利益を上げられるのかが重要になります。
また、アパートの収益性を審査するときに見られるのが、建物の概要や建築費、初期費用、家賃収入から算出される収益が記された事業計画書です。
事業計画書では、計画地や建物の概要・投資物件のコンセプト・家賃の想定表・事業にかかる総費用・資金計画や収支計画などを事細かに記入します。
これがないとアパートローンの審査に通過するのが難しいため、しっかりと事業計画書を作成しましょう。
詳しい事業計画書の作成方法は以下の記事をご覧ください。
本人の属性
アパートローンの審査でも住宅ローンと同様に借主本人の属性も審査基準になります。
特に見られるポイントは以下のようになっています。
- 資産(預貯金・有価証券・不動産など)
- 職業
- 勤務先
- 勤続年数
- 年収
- 家族構成
- 現在の住まいの種類(持家か借家かなど)
- 経歴
- 年間の各種税金支払額、支払い状況
融資を行う金融機関としても、全く経験がない方よりも経験がある方の方が融資する相手として信頼できるため、審査に通りやすくなります。
物件の担保価値
アパートローンの審査では、担保物件の資産価値も審査基準になります。
これは、万が一アパートローンの返済が滞ったときに、金融機関がその物件を売却してローン残高の返済を行います。
そのため、担保物件に価値がないとローンの審査に通ることが難しくなっています。
また、机上での計算では収益性が高くても、立地や地域ニーズにそわないなどの理由から資産価値や担保価値が低いと判断されると融資を受けることができない場合もあります。
アパートローンの返済を無理なく続けるポイント
アパートローンを無理なく返済し続けるためには、覚えておくべきポイントが3つあります。
- 長期的な返済シミュレーションをする
- 返済比率は低め・期間は長めにする
- 入居率の高いアパートにする
ポイントを把握して、滞納なしで完済を目指しましょう。
長期的な返済シミュレーションをする
アパートローンの借入をする前には、返済を長期的に考えてシミュレーションしておくことが大切です。
長期的なシミュレーションをしておくことで、無理なく完済できるかどうかが判断しやすくなります。
シミュレーションは金融機関のサイトで提供されているシミュレーターを利用するほか、金融機関の担当者やファイナンシャルプランナーに相談して、シミュレーションをしてもらうことがおすすめです。
返済比率は低め・期間は長めにする
滞納なく完済を目指すには、ローンの返済比率を低めに設定し、かつ返済期間を長めにしておくことがおすすめです。
返済比率は年収に対してのローン返済額の割合であり、アパートローンの場合は次の式で計算しましょう。
- 返済比率=毎月の返済額÷満室時の家賃収入
返済比率は50%までが理想ですが、無理に50%ちょうどに設定する必要はありません。
余裕があるなら、30から40%など、さらに低めに設定しておくと、無理なく返済しやすくなります。
返済期間は長く設定すると金利も高くなりますが、その分毎月の返済額は減らせます。
短期間で完済するほうが金利が安く、返済総額の負担は少ないですが、毎月の返済負担は多いです。
そのため、毎月の出費を少しでも減らすには、長めの返済期間で契約しているほうが、滞納のリスクは減らせるでしょう。
入居率の高いアパートにする
アパートローンを完済するには、いかにアパート経営で利益を出すかが重要です。
利益を多く獲得するには、入居率を高めて、毎月の家賃収入を増やす必要があります。
入居率を上げるには、部屋の設備を充実させたり、建物の修繕や清掃などを念入りに行ったりすることが大切です。
また、立地条件も重要なポイントであるため、スムーズに満室にするためにも、駅から近いアクセスのよい場所で、周辺に生活利便施設の多いエリアにアパートを建築しましょう。
アパートの収益性は、設計などにも大きく左右されます。
アパート経営を始めるなら最初の情報収集が重要です。日本最大級の土地活用プラン比較サイトイエウール土地活用なら、土地所在地の入力だけでアパート経営のプランを取り寄せることができます。
\建築費は?初期費用は?/
活用事例:「ユアメゾン 高須北」
アパートローンは慎重に返済計画を立てて利用しよう
賃貸経営を始めるにあたってアパートローンを利用するなら、無理のない返済計画を立てることが大切です。
アパートローンは高額な融資も可能であるため、借り入れる金額によっては、月々の返済が苦しくなることもあります。
融資を受ける金額はもちろん、無理なく返済できるように金利タイプや返済方式を確認しておくことも重要です。
返済計画は慎重に考え、滞納せず完済できるプランを考えてから、アパートローンを利用しましょう
記事のおさらい