建物には耐用年数があり、アパートローンを組む際には耐用年数がどれくらいあるかによって、融資を受けられる金額が変動します。耐用年数超えの物件でも、方法次第ではアパートローンを組むことは可能です。
ただし、耐用年数が残っているほうが、融資は組みやすいです。耐用年数超えの物件だと、アパートローンにどのような影響があるのか、融資を受けるコツも含めて知っていきましょう。
アパート建築費について詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。
アパートの耐用年数とローンとの関係
アパートローンを利用するなら、耐用年数とはなにかを知っておく必要があります。耐用年数の意味だけではなく、耐用年数超えになると、どのような影響があるのかも把握しておかなければなりません。耐用年数についての理解を深め、アパートローンの基礎知識を身につけていきましょう。
耐用年数は2種類ある
耐用年数は、法定耐用年数と物理的耐用年数の2つがあります。法定耐用年数は税法で定められたものであり、アパートローンの融資を決める際の指標です。
対して物理的耐用年数は、建物の寿命を示します。物理的な耐用年数は建物の使用状況やメンテナンスの有無によって変動するため、一律ではありません。
そのため、法定耐用年数を超える物件でも、メンテナンス次第ではまだまだ使用は可能ということも多いです。法定耐用年数を超えた物件は、税法上の価値がなくなったとみなされます。
超過すると減価償却できなくなる
法定耐用年数を超過した物件は、減価償却ができなくなります。減価償却は建物の資産価値を、複数年にわたって経費で計上することです。建物は経年劣化するため、時間の経過によって資産価値が目減りする分を、経費として計上できると考えましょう。
減価償却が可能なのは法定耐用年数内であり、法定耐用年数を超過した後は経費計上ができなくなるため、節税効果が低くなります。そのため、耐用年数を超え、減価償却が終了したタイミングで、アパートの売却を検討する人も多いです。
もちろん、物理的な耐用年数が続く限り、法定耐用年数を超えても使用は可能ですが、節税効果が低くなって税金が高くなるため、手放したほうがよいこともあります。
返済期間の基準となっている
法定耐用年数は、アパートローンの返済期間の基準です。アパートローンを利用するには、不動産を担保に設定します。
金融機関は担保となる不動産の価値によって融資の条件を決め、経年劣化による価値の減少も考慮しています。そのため、税法上の資産価値の減少を表す法定耐用年数が、返済期間に関係すると考えましょう。
アパートを建築する可能性が出てきたら、複数の企業の建築費用の見積もりを比較しましょう。
アパートの建築費用は設計や工法によって大きく異なり、企業によって収益が1,000万円以上変わることもあります。
建築費がいくらなら収益性の高いアパート経営ができるのか、気になるところを建築会社に相談してみましょう。
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構造別の耐用年数とアパートローンの返済期間
法定耐用年数は建物の構造によって異なり、これがアパートローンの返済期間に影響します。返済期間がどれくらいになるかを知るためには、構造別の耐用年数の違いを知っておくことが大切です。木造と鉄骨造、鉄筋コンクリート造でどのように変わるのか、それぞれの違いを把握しておきましょう。
木造の場合
主要な構造物として木材を使用する建物が、木造建築物です。木造アパートの法定耐用年数は22年です。そのため、新築物件でアパートローンを組む場合は、木造だと22年までが返済期間となります。
鉄骨造の場合
鉄骨を使用した鉄骨造の建築物は、骨格材の厚みによって法定耐用年数が異なります。
骨格材の厚み | 法定耐用年数 |
---|---|
3mm以下 | 19年 |
3mm超4mm以下 | 27年 |
4mm超 | 34年 |
骨格材の厚みが3mm以下の場合は、返済期間の上限は19年に、3mm超4mm以下の場合は27年が上限です。4mmを超える場合は法定耐用年数は34年ですが、アパートローンの返済期間は最大30年であることが多いです。
そのため、金融機関が設定する最長の返済期間に合わせて、4mmを超える場合でも返済期間は30年となります。
鉄筋コンクリート造の場合
鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年です。しかし、アパートローンの返済期間は最長30年に設定されていることが多く、融資期間は47年ではなく最長期間に短縮される場合があります。
金融機関によっては30年以上を定めていることもあり、その場合は法定耐用年数の47年以内の範囲で、返済期間が定められます。
耐用年数超えの物件はアパートローンで購入できるのか
アパートローンの返済期間は、法定耐用年数の長さに応じて決まります。そのため、耐用年数が短いほど、返済期間は短くなります。
もし耐用年数を超えた物件を購入した場合でもアパートローンを利用できるのか、利用できるならどのようなケースがあるのかを知っておきましょう。
基本的には融資してもらえない
アパートローンの返済期間は、法定耐用年数の範囲内で決まります。そのため、基本的には耐用年数内の物件でなければ、アパートローンの融資は受けられません。
耐用年数超えの物件を購入する場合は、アパートローン以外の方法で資金を捻出することが、基本的な戦略となります。
融資可能な金融機関もある
耐用年数超えの物件は基本的にはアパートローンは利用できませんが、金融機関によっては融資が可能なこともあります。返済期間の計算方法は金融機関で違い、場合によっては法定耐用年数の残存期間とは別の方法で算出することもあります。
そのため、法定耐用年数以外を基準に返済期間を設定する金融機関なら、耐用年数超えの物件でも融資を受けられる可能性は0ではありません。
土地の担保価値が高ければ融資が通る
アパートローンは、担保に設定する不動産の評価が融資の基準です。そのため、建物が耐用年数超えで価値がなくても、土地の担保評価が高いなら、融資を受けられることがあります。
土地の担保評価が、希望する融資額に近いなら、土地の担保のみでアパートローンを利用できるケースもあります。
アパートを建てようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
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耐用年数超えのアパートで融資を受けるためのコツ
耐用年数超えでアパートローンの融資を受けるには、いくつかコツがあります。
- できるだけ利回りの高い物件を選ぶ
- リフォーム費用も含めて融資を申し込む
- 耐震基準の高さを証明する
コツを踏まえて金融機関と交渉し、耐用年数超えでもアパートローンを利用しましょう。
できるだけ利回りの高い物件を選ぶ
アパートローンでは収益性の高さが基準として見られているため、できるだけ利回りの高い物件を選ぶことで、耐用年数超えでも融資を受けやすくなります。金融機関は収益性を判断する方法として、収益還元法を採用しています。
想定される利回りや賃料が高いと判断されるなら、耐用年数超えの物件でもローンを組める可能性は高いです。アパートローンで担保となる不動産は、不動産そのものの価値よりも収益性が重視されるため、スムーズに融資を受けるには利回りの高い物件を選ぶことが大切です。
リフォーム費用も含めて融資を申し込む
アパートローンは物件の購入価格だけではなく、リフォーム費用も含めて融資を申し込むことが可能です。リフォームを前提としていることで、耐用年数を超えていても物件の価値を高められるため、収益性の高さをアピールしやすくなります。
リフォームなどの修繕によって物件の機能が上がり、収益性も高められると交渉すると、より融資を受けやすくなるでしょう。
耐震基準の高さを証明する
耐震基準の高さも、融資の審査の際にはアピールすべきポイントです。耐震性が高水準の物件なら、自然災害による倒壊リスクが低いことを理由に融資の交渉をしやすくなります。
また、耐震性が高いと断熱性や防音性も上がるため、建物の評価は高くなりやすいです。必要に応じて耐震工事を行うことで建物の評価が上がり、融資を受けやすくなります。耐用年数超えの物件なら、耐震のリノベーションを検討してもよいでしょう。
ただし、ローコストアパートだと耐久性に難がある可能性も否定できないため注意が必要です。ちなみに、建築費が2000万円であればローコストアパートに分類されます。
耐用年数超えのアパートをローンで購入するときの注意点
耐用年数超えの物件でも、方法次第ではアパートローンを利用して購入できます。ただし、耐用年数超えの物件をローンで購入する際には、注意点があります。
- 返済期間をできるだけ長くする
- 返済期間が長くなると利息は増える
- 売却が難しくなる
注意点を把握して、アパートローンの利用するかどうかの判断に役立てましょう。
返済期間をできるだけ長くする
月々の返済負担を抑えるには、可能な限り返済期間を長く設定することがおすすめです。耐用年数超えの物件だと返済期間は短くなりやすいですが、あまりにも短期間にしてしまうと、毎月の返済額は多くなります。
そのため、できるだけ返済期間を長くして毎月の返済負担を減らし、ローンを滞納せずに完済を目指しましょう。
ローン返済額シミュレーター
試算条件(お借入金額、ボーナス返金元金、金利、返済期間)を入力していただくことで毎月のご返済額を概算します。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。月額返済額が、画面下部に表示されます。
借入金額
万円
内ボーナス返済額
万円
借入れ金利
%
返済期間
年
ヶ月
※1年以上35年以内
想定年数経過後の借入残高
年後
※入力される年数経過後の借入残高を計算いたします。返済期間内でご希望の年数を入力ください。
[参考]アパートローン金利例
金融機関 | 固定金利 | 変動金利 |
---|---|---|
みずほ銀行 | 2.8~4.7% | 1~2.5% |
三井住友銀行 | 3.3~4.5% | 2.5~3% |
日本政策金融公庫 | 1.2~3% | なし |
毎月返済額
万円○○年後借入残高
万円※ローン返済額のシミュレーションは元利均等法に基づいて行われています。
※計算結果は簡易計算による概算金額です。
- 本当にシミュレーション通りの借入金額で大丈夫かな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用が変動すると最初に必要となる借入金額も異なります。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
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返済期間が長くなると利息は増える
毎月の返済負担を減らすには、返済期間をできるだけ長くすることが大切です。しかし、返済期間が長いほど、発生する利息も増えるため、返済総額が増えることは理解しておきましょう。
利息の負担を減らすなら、資金に余裕ができたタイミングで、繰り上げ返済することがおすすめです。余裕のあるときにまとめて返済して完済までの期間を短くすることで、返済総額は減らせます。
売却が難しくなる
耐用年数超えの物件でアパートローンを利用すると、売却が難しくなります。担保に設定した不動産を売却するには、基本的にはローンを完済しなければなりません。
完済前でも売却価格によってローンの完済が可能なら売ることは可能ですが、耐用年数超えの物件だと、売却価格よりも残債のほうが大きくなりやすいです。
そのため、売却するには完済まで待たなければならないケースも多いです。ローンを利用するなら、基本的には返済期間いっぱいまで賃貸経営を続けると考えましょう。
アパートを建てるなら最初の情報収集が重要です。一括見積もり請求サービスイエウール土地活用なら、土地所在地を入力するだけで建築費の見積もりを取り寄せることができます。
活用事例:木造重層アパート「グレイスペア」
耐用年数超えの物件でもアパートローンを組める可能性がある
アパートローンの返済期間は、担保とするアパートの耐用年数に応じて決まります。しかし、耐用年数超えの物件でも、金融機関の取り決めや担保にする土地の価値次第では、ローンを組める場合もあります。
耐用年数を超過しているからといって、ローンの利用をあきらめる必要はありません。初期費用をスムーズに用意するためにも、アパートローンは賢く利用し、条件を整えて耐用年数超えの物件でも融資を受けましょう。