アパートローンは長期間の返済期間があり、場合によっては債務者が返済途中で死亡してしまうこともあります。債務者が死亡した場合でも、ローンの返済義務が消滅するわけではありません。
つまり、誰かが引き継いでローンを返済することになります。債務者が死亡した場合にやるべきこととは何なのか、返済義務はどのようになるのかなどを理解していきましょう。
債務者の死亡後にやるべきこととは?
アパートローンの返済中に債務者が死亡した場合は、その後様々なやるべきことがあります。
- ローンを確認する
- 遺産分割協議で所有者を決める
- アパートの名義を変更する
- 賃貸人に連絡する
- アパートローンの名義を変更する
名義変更はアパートそのものと、ローンについても必要であるため、両方とも忘れずに行いましょう。
ローンを確認する
まず最初に確認するべきはローンの残債です。ローンが残っているかどうかで、遺産分割協議での相続人を決める時にも影響します。
アパート経営を相続する際はローンも一緒に相続することになるため、ローンが残っているかどうかは最初に確認するようにしましょう。
遺産分割協議で所有者を決める
遺産分割協議を始めるまでに前もって遺言書の有無や他の遺産を確認しておき、スムーズに所有者を決められるようにしておくと良いです。
遺産分割協議の結果債務の名義人が変更になった場合、金融機関との協議とその承諾が必要となります。そのため、相続人が決まった場合はすぐにローンの残債がある銀行へ連絡を入れるようにしましょう。
アパートの名義を変更する
アパートの相続が遺産分割協議によって決まったら、アパートの名義人を被相続人から相続人に変更する相続登記を法務局にて行いましょう。
その際、自身で申請するだけではなく司法書士に依頼して代行してもらっても構いません。
賃貸人に連絡する
亡くなると銀行の口座が凍結されるため、アパートの名義人が変わった際はすぐに賃貸人に連絡するようにしましょう。
また、大家と賃貸人の間は信頼関係が大事であるため、何か問題が起きた時のために大家が変わったことを知らせておいたほうが良いでしょう。
アパートローンの名義を変更する
債務者が死亡した場合は、アパートローン自体の名義変更が必要です。連帯保証人に設定されている人が新たに名義人になる場合は、別の人を連帯保証人にしなければなりません。名義変更を行わないと、法定相続人が債務を負うことになるため注意が必要です。
法定相続人が名義者となる場合は、連帯保証人に変更はないため、新たに保証人を用意する必要はありません。
名義変更はできない可能性がある
名義変更ができないことがある
アパートローンの名義人を変更するには、金融機関から審査を受け承諾をもらう必要があります。金融機関から承諾を得られたなら、債務引受契約書を作成して、名義人の変更が可能となります。名義を変更すると債務が移動するため、新たに設定する名義人がローンの返済義務を負います。
しかし、相続人の返済能力やアパートの収益力によっては金融機関から承諾を得られないことがあります。
法律上、債務者の死亡により相続が開始されると、個人の債務も法定相続分に合わせて分割され、共同相続人ぞれぞれに引き継がれます。相続人同士が債務を法定相続分と異なる割合で引き受けるつもりでも、債権者である金融機関にそれを主張することはできません。
つまり相続人同士での取り決めは自由ですが、金融機関がそれを認めてくれなければ意味がありません。特定の相続人が引き継ぐためには、金融機関がその人の返済能力など新規の融資と同様に審査し、新たに金銭消費賃貸契約を結ぶこととなります。
金融機関は貸し倒れを防ぐためにも、新たな名義人となる人の審査を行い、返済能力に問題がないかを確認しているのです。もし仮に借金だらけの相続人に全ての債務を負担させて、他の相続人が得をする財産の相続ができたとすると、債務を負担した人は当然返済ができないため破産することでしょう。
結果、計画的に返済から逃れられることになってしまいます。このように金融機関にとってメリットがないため、相続人が納得させることが出来なければ、アパートローンの名義変更を行うことは難しいのです。
裏を返せば、相続人の返済能力が債務者以上であれば名義変更が承諾される可能性が高いということです。また、信用のある他の相続人に頼んで連帯保証人になってもらうというのも一つの手です。
アパートローンの借り換えを行う
もしどうしても金融機関が承諾してくれないのであれば、別の金融機関にアパートローンの借り換えを行うという方法があります。
アパートローンの借り換えとは、アパート経営開始時に借りたローンを完済する前に他社に変更することを言います。借り換えでは、新しい金融機関からローンの融資を受け、そのお金で前のローンを一括返済することができます。
そのためローンの支払い自体は当然残るものの、新たに組むローンの条件次第ではより返済をしやすい内容への調整が可能です。つまり別の金融機関に換えることでローンの条件を変更し、無理のない完済を目指すための手段ということになります。
ローンの借換えを行う際に、心強い味方になるのはアパートの施工会社です。金融機関との交渉に慣れており、資金繰りについてもローン以外の解決策も見つかる可能性があります。企業によっては、知見を生かして経営状態に応じた修繕や建て替えの提案を行ってくれる可能性もあります。
しかし、ローンや経営状態の相談をするため、信用できるかをきちんと比較しなければいけません。しかし、施工会社に一社ずつ問い合わせるのは手間がかかります。
そんなときは複数企業から一括で資料請求をすることができる土地活用比較サイトがおすすめです。簡単な質問に答えるだけで、わずか1分程度で複数の施工会社の経営プランを比較することができます。
\建築費は?初期費用は?/
債務者が死亡した場合のアパートローン
アパートローンの返済途中で債務者が死亡した場合、連帯保証人が引き継ぐパターンと、団体信用生命保険から保険料が支払われるパターンがあります。本章では連帯保証人と団体信用生命保険について説明します。
連帯保証人について
連帯保証人とは、債務者が金銭を返済しない(できない)場合に、債務者の代わりに借金の返済を約束した人のことです。債務者が死亡した場合は、アパートローンの返済義務だけではなく、賃貸経営の事業も相続できます。そのため、事業と一緒にローンも引き継いで完済を目指すと考えましょう。
アパートローンは住宅ローンとは異なり、借主の給与からではなく家賃収入がローン返済の主な基盤となっています。家賃収入はオーナーが変わっても入り続けるため、配偶者や子供などの相続人になる可能性が高い人を連帯保証人にするというのが一般的です。
連帯保証人は金融機関からローンの返済を求められた場合拒否することができません。また、連帯保証人には保証人とは違い3つの権利がありません。その3つの権利とは「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」です。
催告の抗弁権
催告の抗弁権とは、資金を融資している金融機関からの返済の催促を拒否する権利のことです。
例えば返済要求があった場合、保証人は「借主に返済義務があるためまずは借主に要求してほしい。」と主張することができますが、連帯保証人は一切拒否することができません。
検索の抗弁権
検索の抗弁権とは、債務者に返済能力があることを証明し、請求を拒否する権利のことです。
連帯保証人にはこの権利がないため、債務者の返済能力の有無は関係がなく要求を拒否することができません。
分別の利益
分別の利益とは、負債を分別して支払うことができるというものです。基本的には保証人の人数で債務額を分割することが可能です。
しかし、連帯保証人の場合は分割することができません。連帯保証人が複数存在したとしても、最も請求しやすい人に全額の返済が求められることがあります。その場合も拒否する権利がなく、複数の連帯保証人で分割することは認められないことがほとんどです。
団体信用生命保険について
団体信用生命保険とは、一般的に団信と呼ばれ、ローンを組む際に加入する生命保険のことです。団信に加入していると、債務者が死亡した場合に保険金が支払われるため、連帯保証人に指定されている人や家族がアパートローンの返済を行う必要はありません。そのため、債務者が死亡した場合はまず最初に債務者が団信に加入しているかどうかを確認することが重要です。
貸し倒れを防ぐために、アパートローンを組む条件として、団体信用生命保険への加入を必須とする金融機関は多いです。ただし、一部の金融機関では保険への加入が必須ではないこともあるため、加入していない場合は連帯保証人が相続することになります。
団体信用生命保険のメリット
団体信用生命保険に加入するメリットは、債務者が死亡した場合に家族や連帯保証人がローンの返済義務を負わずに済む点にあります。保険料でローンの残債を完済できるため、金銭的な負担はありません。
また、保険金でローンを完済した後は、アパートは資産として残ります。完済後はアパートの賃貸経営を継続して収入を得るだけではなく、売却によって現金化できることもメリットの1つです。
アパートローンの連帯保証人に関するQ&A
アパートローンの連帯保証人について理解を深めるためにも、Q&Aを参考にして疑問を解消しておきましょう。
- 債務者と連帯保証人が離婚している場合は?
- 連帯保証人が死亡した場合は?
- 勝手に連帯保証人にされていた場合は?
連帯保証人は重要な存在であるため、自身がなる場合だけではなく、他の人を指定するケースにも備えて、知識を身につけておく必要があります。
債務者と連帯保証人が離婚している場合は?
債務者と連帯保証人が離婚している場合は、基本的には新しく連帯保証人を立てるか、自己破産などによって債務整理を行う必要があります。
債務整理や連帯保証人の切り替えを行う場合は、金融機関に相談し、了承を得てから行うようにしましょう。基本的には債務者の一存だけでは、連帯保証人の切り替えはできません。
連帯保証人が死亡した場合は?
債務者ではなく、連帯保証人が死亡した場合は、相続人が引き継いで連帯保証人になります。ただし、連帯保証人を引き継ぐには、自分の意志で物事を判断できる能力があり、かつローンの返済が可能な経済力がなければいけません。
そのため、認知症などで判断能力が低下した人や、十分な経済力がない人は相続人であっても連帯保証人を引き継げないことは理解しておきましょう。
勝手に連帯保証人にされていた場合は?
了承なく勝手に連帯保証人にされていた場合は、債務者が死亡してもローンの返済を代わりに行う必要はありません。
許可なく勝手に連帯保証人になっている場合は、契約は無効となります。契約の無効性を第三者に証明するためには、弁護士に相談して、指示を仰ぎましょう。
ローン返済額シミュレーター
試算条件(お借入金額、ボーナス返金元金、金利、返済期間)を入力していただくことで毎月のご返済額を概算します。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。月額返済額が、画面下部に表示されます。
借入金額
万円
内ボーナス返済額
万円
借入れ金利
%
返済期間
年
ヶ月
※1年以上35年以内
想定年数経過後の借入残高
年後
※入力される年数経過後の借入残高を計算いたします。返済期間内でご希望の年数を入力ください。
[参考]アパートローン金利例
金融機関 | 固定金利 | 変動金利 |
---|---|---|
みずほ銀行 | 2.8~4.7% | 1~2.5% |
三井住友銀行 | 3.3~4.5% | 2.5~3% |
日本政策金融公庫 | 1.2~3% | なし |
毎月返済額
万円○○年後借入残高
万円※ローン返済額のシミュレーションは元利均等法に基づいて行われています。
※計算結果は簡易計算による概算金額です。
- 本当にシミュレーション通りの借入金額で大丈夫かな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用が変動すると最初に必要となる借入金額も異なります。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
イエウール土地活用なら、 最大で10社の建築費の見積もりを一括請求 することができます。
アパートローンと相続の関係について理解しておこう
アパートローンは債務者が死亡しても、ローンの返済義務は残ります。ローンの返済義務は連帯保証人や、相続して新たに名義人となる人が負うことになります。
アパートローンと相続の関係を正しく理解して、債務者が死亡した場合に備えておきましょう。
\建築費は?初期費用は?/
活用事例:ビーバーテラス長池町
記事のおさらい