譲渡を受けたマンションにかかる贈与税と計算方法
贈与税とは、個人の間で年間110万円以上の譲渡があった場合にかかる税金です。贈与税の金額は、次の式で計算することができます。
贈与財産額とは、贈与された財産の評価額をいいます。 このように、贈与税は贈与された財産の評価額によって決まります。 贈与税は金銭だけでなく、不動産や自動車などいわゆる財産の譲渡も課税対象です。 ここでいう110万円とは「基礎控除額」のことで、総額から110万円までは贈与税がかかりません。つまり、贈与されたマンションの評価額から基礎控除を差し引いた金額に対して、贈与税の税率を適用します。税率は贈与額に応じて10%~55%に変化します。 贈与税は、毎年1月1日から、その年の12月31日までの1年間に贈与してもらった合計金額に対して課税されます。そして、翌年の2月16日から3月15日の間に、確定申告し納税します。 一般税率で700万円の譲渡を受ける場合は、基礎控除額の110万円とを差し引いた590万円が課税対象となります。 それに「1,000万円以下」の税率40%をかけた236万円から「1,000万円以下」の控除額125万円を差し引いたが111万円が贈与税となります。 贈与税の税率や基礎控除を除いた控除額は、一般税率と特例税率に分かれます。特例税率とは、直系尊属(祖父母や父母など)から20歳以上の者(子や孫)への贈与に適用され、それ以外の贈与は一般税率が適用されます。それぞれの税率は以下の通りです。 例えば父親から子が、700万円の譲渡を受ける場合は、基礎控除額の110万円とを差し引いた590万円が課税対象額になります。 それに「1,000万円以下」の税率30%をかけた177万円から「1,000万円以下」の控除額90万円を差し引いた87万円が贈与税となります。 相続時課税精算制度は、生前に贈与された財産を相続時にまとめて課税する制度で、原則として60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の子または孫に対して財産を贈与された場合に利用できます。 財産を贈与された時点では、2,500万円まで贈与税が発生せず、相続時に他の相続された財産と一緒に課税されます。 例えば親子間で2,600万円のマンションを譲渡されたときを考えると、贈与税では850万円あまりとなりますが、相続税の場合基礎控除額が「3,000万円に法定相続人1人あたり600万円」と非常に高く、税率も3,000万円以下であれば15%と非常に低いことがわかります。 相続時精算課税制度を利用すると、上記の2,600万円のマンションなら、贈与税が発生しない2,500万円を差し引いた残りが100万円。特例税率の100万円以下の税率10%をかけた10万円を納めるだけ。利用しない場合と比べると大幅な節税になります。 しかし、一度でも利用すると以降贈与された金額は110万円の基礎控除を受けられなくなり、すべて積み上げられ、相続する財産と一緒に相続税の対象になります。利用後も贈与する財産がある場合や、相続時の財産が多い場合には注意が必要です。 配偶者控除は、婚姻期間が20年以上の夫婦間に適用される非課税措置で、基礎控除に加え最高2,000万円まで控除されます。 例えば2,600万円のマンションを、20年以上連れ添った夫から妻に譲渡された場合を考えてみましょう。基礎控除110万円と、配偶者控除2,000万円を差し引くと490万円。この場合税率は30%をかけると147万円、さらに控除額65万円を差し引いた82万円を納めることになります。 特例税率と一般税率を見れば、明らかに直系尊属の方が優遇されていますが、多額の贈与税がかかることに違いはありません。また夫から妻への贈与は子供より長い期間連れ添っているにも関わらず一般税率、つまり他人同士の贈与と同じ税率が適用されるのも心情として受け入れ難い人も多いはずです。 それらを調整し、親子間・夫婦間の贈与税が大幅に控除さ得るのが相続時精算課税制度と配偶者控除です。これらは特例措置ですから、贈与を受けた年は必ず確定申告しなくてはならないことには注意しましょう。 マンションの売却を少しでも検討しているのであれば、「自分のマンションがいくらで売却出来そうか」を把握しておきましょう。 そのためには、不動産会社から査定を受ける必要があります。「イエウール」なら不動産会社に行かずとも自宅で24時間申し込みが可能です。自分のマンションに適した不動産会社を紹介してくれるので、膨大な不動産会社の中から選ぶ手間も省くことができます。 まずは、自分の物件種別を選択してから査定依頼をスタートしてみましょう!査定依頼に必要な情報入力はわずか60秒で完了します。一般税率
基礎控除後の課税価格 税率 控除額 200万円以下 10% – 300万円以下 15% 10万円 400万円以下 20% 25万円 600万円以下 30% 65万円 1,000万円以下 40% 125万円 1,500万円以下 45% 175万円 3,000万円以下 50% 250万円 3,000万円超 55% 400万円 特例税率
基礎控除後の課税価格 税率 控除額 200万円以下 10% – 400万円以下 15% 10万円 600万円以下 20% 30万円 1,000万円以下 30% 90万円 1,500万円以下 40% 190万円 3,000万円以下 45% 265万円 4,500万円以下 50% 415万円 4,500万円超 55% 640万円 相続時精算課税制度
配偶者控除
マンション贈与税計算で使われる評価額とは
不動産、特に土地に関しては価値を示す「評価額」には、「時価(実勢価格)」、国土交通省による「公示価格」、都道府県による「基準地価」、国税庁による「路線価」、市町村による「固定資産評価額」の5種類があります。これらはそれぞれ用途によって評価方法を選び、最も適切な評価額を採用します。
一般に土地の上に建物がある不動産の場合は、土地の評価額と建物の評価額の合計が贈与の対象になります。集合住宅であるマンションの場合も、土地と建物を分けて計算することができます。
マンションの建っている土地の評価額
土地評価額を計算するには「路線価」を基準にします。路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて算出します。路線価が定められている場合は、路線価に敷地面積をかけ、さらに土地の持分をかけることで土地評価額を求めます。例えばあるマンションの路線価が、1平方メートルあたり20万円で、敷地面積が1,000平方メートル、自分の持ち分が40分の1なら、マンションの土地の評価額は500万円となります。
「建物」の評価額と土地の評価額を加える
マンションの建物の評価額は、固定資産税評価額と同じです。通常、マンション各戸の建物の固定資産税評価額はすでに算出されています。評価額を確認するには、毎年固定資産の所有者宛に送られてくる固定資産税の納税通知書に同封されている「固定資産税・都市計画税課税明細書」を見ます。その明細書に書かれてある「固定課税標準額」がマンション各戸の固定資産税評価額です。
この金額には各戸の専有部分の評価額に共有部分に持ち分割合をかけた評価額が含まれています。固定資産税評価額は細かい金額まで表示されていますが、相続税などを計算する場合の評価額は万円未満を四捨五入します。
小規模宅地等の特例を利用すれば評価額を減額できる
330平方メートルまでの宅地の評価額を80%減額できる小規模宅地等の特例は、マンションの土地部分に適用することができます。まず適用できるかどうかを確認します。例えばマンションの土地が1,250平方メートル、持ち分割合が44万分の7400の場合、計算すると21.02平方メートルとなり適用可能とわかります。これらの数値は全て課税証明書に記載されています。これからも分かる通り、よほど広い高級マンションでない限りは330m2を超えることはありません。
マンションの土地部分の評価額が500万円とすると、80%減額されるため評価額は100万円となり大幅に下がったことがわかります。贈与税の計算でも評価額が400万円下がれば大幅に節税できます。
- 土地建物を別に計算
- 課税証明書を用意
- さらに減額する特例
親が所有するマンションに住む使用貸借にかかる贈与税とは
不動産を有償で貸し付ける契約を「賃貸借契約」、無償で貸し付ける契約を「使用貸借契約」と呼び区別されています。使用貸借契約は通常、会社とその経営者間、親子間で締結されることが多く、契約書がなく口約束で行われることも多いようです。では親が所有するマンションに住む使用貸借の場合、贈与税が課税されるのかどうかを考えてみましょう。
マンションの家賃相場と贈与額
贈与税は、何らかの利益を他者から受けた場合に発生するものです。例えば使用貸借しているマンションの一般的な家賃相場が30万円で、家賃を支払うことなく子が使用しているとしたら、月あたり30万円の12ヶ月分、360万円の利益を得ていることになります。これは贈与税の基礎控除額110万円を超えますから、通常なら贈与税の課税対象になり、およそ36万円を納めなくてはなりません。イエウールでは、全国1,600の優良不動産業者が無料で査定してくれます。家賃相場や評価額の参考にしてみてください。
では基礎控除額110万円以内に収まるように、月21万円を家賃として支払っていれば、贈与額は108万円となり基礎控除額に収まり、贈与税の心配はないと考えられます。
親子間の使用貸借による贈与税についての通達
ところが相続税基本通達9-10では、親子間の使用貸借について「利益を受ける金額が少額である場合」または「課税上弊害がないと認められる場合」には強いて贈与税を貸さないと規定されています。ここでいう親子とは、民法上扶養義務のある親子間のことであり、経済的行為としてというより特別な人間関係としての親子という考え方に基づくものですから、課税上の弊害もあまりないと考えられているようです。特に使用貸借では贈与は問題がないとして、実務上はあまり意識されない場合もよくあります。
しかし一般的に「月額30万円」という金額は家賃として少額と言えるかどうかと考えると、課税リスクがないとは言い切れません。
使用貸借と賃貸借の境界線
では使用貸借ではない賃料を支払う賃貸借契約を交わせば、親子間の安い賃料でも問題がなくなるかというとそれも難しいところです。まず相場より安い賃料の場合、固定資産税プラス必要経費を下回れば間違いなく使用貸借とみなされます。マンション経営と考えたときに利益が出ない賃料設定だからです。それを上回ってもやはり親子であることから使用貸借のみなされるかもしれません。全く問題がないのは相場賃料での賃貸契約と、確かに支払っているという実績がある場合です。親子とはいえ、きちんと契約を交わし相場の賃料を毎月きちんと支払っていることから疑う余地はないと考えられるからです。
- 利益享受なら課税
- 親子間は特例
- 相場家賃が無難
贈与税の支払い方|分割でも払えるの?
贈与税は、基本的に贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに現金で納めることになっています。しかし現金の贈与であればその中から支払うこともできますが、マンションなど簡単にお金に変えることができない贈与を受けた場合は、高額な場合税金を納めることが難しいこともあります。その場合は「延納」という方法を選ぶことができます。延納とは、一定の条件のもとで5年以内に分割で納税する方法です。
延納を選択するための条件
延納を選択するには、以下の条件全てに当てはまらなくてはなりません。- 申告による納付税額が10万円を超えていること
- 金銭で一度に納めるのが難しい理由があること
- 担保を提供すること(ただし、延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合は不要)
延納には利子税がかかる
認められれば延納できることになりますが、原則年率6.6%の利子税がかかります。現在や特例として日本銀行の定める基準割引率をもとに算出された軽減税率が設けられていますので、基準割引率の変動を加味して年率4%前後の利子税がかかるということです。- 分割納付は可能
- 条件全てを満たす
- 利子税がかかる
贈与されたマンションを売却する時の注意点
贈与されたマンションを売却する場合、元の所有者から自分、自分から売却先と2度の所有権の移転が発生し税金が関わってきます。贈与が夫婦間で住居用不動産の場合
夫婦間の贈与の場合、特例として配偶者控除を受けることができます。基礎控除と合わせると合計2,110万円が控除されるのですが、注意すべきなのは適用される「要件」なのです。配偶者控除を受けるための要件は以下の3項目です。- 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
- 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けたものが現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
短期間での売却は、後から特例の適用を否認されてしまう恐れがあります。しかし、贈与から売却までの期間や売却をしなければならない理由などによって適否が変わることもありますから、最寄りの税務署へ問い合わせてみてください。
不動産の所有期間で税金が変わる
不動産を売却して譲渡すると、一定の利益が出ます。この利益を譲渡所得といい、これには所得税が課せられます。細かくいうと、収入金額から取得費と譲渡にかかる費用を差し引き、さらに特別控除額を差し引いた残りが課税譲渡所得金額となり、一定の税率をかけて計算されます。ここでポイントになるのが、譲渡者がその不動産を所有していた期間です。所有期間5年以下で譲渡した場合は「短期譲渡所得」、5年を超えている場合は「長期譲渡所得」となり、税率が変わるのです。短期譲渡所得は所得税が30%で住民税は9%、長期譲渡所得は所得税が15%で住民税は5%と、短期譲渡では税金が高くなる仕組みなのです。
所有期間は毎年1月1日を基準としています。仮に2010年3月に取得しても、2015年1月ではまだ5年経過しておらず、短期譲渡となりますので注意が必要です。
- 配偶者控除に注意
- 不動産所有期間
- 長期所有が有利
不動産一括査定でできるだけ高く売却しよう
マンションを含め、不動産の贈与や譲渡には税金を含む様々な費用も発生します。懇意にしている不動産業者に売却を依頼するか、子どもに贈与するか、それとも他の手段があるかと考えるとなかなか決断できないかもしれません。まずは売却するとした場合の評価を知ることから始めるのは良いきっかけになるかもしれません。もし評価が思ったより高ければ売却して他の物件に買い替えたり、低ければ子どもに譲渡するのも良いでしょう。査定のときに注意しなくてはならないのが「1社の査定が全てではない」ということです。業者によってはマンション物件に明るくない場合や、むやみに買い叩こうとする場合があるからです。
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