20坪、30坪などの小さな土地は、有効活用が難しい場合が多いです。所有していても固定資産税などの税金だけがかかってしまうため、有効的な活用方法がないか、調べられている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような狭小地は、駐車場として運用するのがおすすめです。
本記事では、狭小地の土地を駐車場で運用する方法と注意点について解説します。
狭小地とは?
狭小地とは家が建てられないほどの大きさと言われている、小さな土地のことを言います。その大きさの定義は首都圏や地方によって変わります。以下では家が建てられない大きさが何坪になるのか、全国平均の敷地面積を基準にご紹介します。
狭小地はおおよそ35坪以下
引用:[住宅金融支援機構]:[2020年度集計表(建売住宅)]
2020年度の住宅金融支援機構を用いた融資利用者の建売住宅の敷地面積を元に、狭小地はどれくらいかを算出します。
注文住宅の平均敷地面積は、全国平均139.2平米だったことがわかります。1平米は0.3025坪になりますので、敷地面積は42.1坪です。
更に、全国で一番狭小地が多い首都圏では、115.4平米で約35坪というがわかります。住宅を建築する敷地は多少前後するものの、首都圏での注文住宅には35坪以上の敷地が利用されているという事がわかります。
しかし上記はあくまでも平均値です。35坪以上の敷地がないと住宅が建てられないわけでなく、都心では35坪以下(20~35坪など)の土地の上に住宅を建築することも一般的です。
\建築費は?初期費用は?/
活用事例:OnePark西中島第4
狭小地の活用方法で駐車場がおすすめな理由とメリット
住宅が建てられない、もしくは住宅以外の活用方法を考えられている方は、その狭小地を駐車場に生かすのがおすすめです。狭小地での駐車場経営は、貸家などと比べ、初期費用やリスクを抑えたうえで、不労所得収入を得られるようになるからです。以下では狭小地での駐車場経営を行うメリットについて、具体的に解説します。
税金額以上の収益を生む可能性がある
固定資産税を理由に、土地の活用方法について悩まれている方が多くいらっしゃいます。駐車場を経営をすることで、狭小地の土地でも収益を生むことができるようになります。
場合によっては固定資産税額以上の利益を出すことも可能です。固定資産税は、奥行補正などの微補正もありますが、おおよそ以下の計算式で算出されます。
敷地面積×固定資産税路線価×1.4%
例えば、東京都内世田谷区の駐車場の場合、固定資産税路線価はおよそ700,000円になります。敷地の大きさを35坪と仮定した場合、敷地面積は、35÷0,3025=115.7平米となります。固定資産税は115.7平米×700,000円×1.4%=1,133,860円と計算できます。
そして1台あたり確保しておきたい駐車場の面積は約5.0坪。つまり、35坪÷5坪=7となり、35坪であれば、単純計算で7台が駐車可能です。
首都圏の月極での都内の駐車料金はおよそ24,000円となっているため、これらを元に収入を計算すると、7台×24,000円×12か月=2,016,000円となります。(※)
このように、狭小地であっても駐車場を運用することで、税金を支払っても収入が生まれるケースがあります。
(※)単純計算で試算した結果です。実際には管理費用や保険、諸経費などもかかります。
初期費用、ランニングコストが低い
駐車場経営の最大のメリットは、初期費用を抑えて投資することが可能なことです。狭小地であれば更に駐車場整備範囲が狭まるため、投資金額を抑えることができます。
35坪の敷地に24.2坪の貸家を建築した場合、おおよそ1,200万円前後の初期費用になります。
対して駐車場の初期費用は35坪以下の狭小地の場合、およそ100万円での投資額となります。なお、月極での運用の場合、すでに更地となっていて、ロープのみで区割りを作るとより初期費用を抑えることができるようになります。
また賃家などの場合はリフォーム、設備管理など、ランニングコストも膨大で、定期的なメンテナンスも必要になります。対して駐車場経営の場合、電気代や保険料などがメインになっているため、少額に抑えることができます。
狭小地での駐車場経営形態
駐車場経営の形態は月極駐車場経営とコインパーキング経営の2つに分けられます。それぞれの特徴を抑えた上で、所有している土地がどちらの経営形態にふさわしいのか吟味しましょう。以下からは具体的に月極駐車場経営とコインパーキング経営について具体的にご紹介します。
月極駐車場で経営する
月極駐車場経営は月単位で借主と賃貸借契約を結び、毎月一定額の賃料収入を得る仕組みです。狭小地で月極駐車場を経営する場合、より多く駐車場台数を確保できるかが重要になります。
駐車場は多く停められる方が空車時のリスクを分散できるため、収入を安定して確保できるようになります。敷地に対してどのような駐車場配置がベストなのかを検討することが大切です。
コインパーキング
コインパーキング経営は更地などにコインパーキングを作り、その利用料金が収益になる経営方法です。
月極とは違い、時間で区切られており稼働率が高いため、駅周辺や繁華街周辺では月極駐車場よりコインパーキングのほうが収益が高くなるケースもあります。
狭小地でもコインパーキングとして経営が可能で、実際に東京都内では、1台でもコインパーキング経営をしている方は多数います。
一括借り上げシステムを利用した経営方法
一括借り上げシステムとは自身の駐車場経営を管理会社や不動産会社に全て委託し、賃料を得るシステムです。別名、「サブリース」とも呼ばれています。入居者の募集、斡旋、審査など、駐車場経営者に代わり全て管理会社や不動産会社が行います。
場合によっては機器の設置費費用などの初期費用もかからないところもあります。毎月一定の収入が保証されますが、管理会社に対して駐車場収入の10~15%を手数料として支払わなければなりません。
狭小地での駐車場経営は駐車できる台数が限られていることもあり、手数料によって収入が減る事態は避けたいところです。
固定資産税を少しでも減らせれば良い、駐車場経営で収入を増やしたい、など狭小地での土地活用をする背景は様々です。サブリースに依頼した際、収入はどれくらいを見込めるのかをあらかじめ把握しておくことが大切です。
狭小地の駐車場運用の注意点
狭小地の駐車場経営では需要調査や空きスペースなど、事前に把握しておかなければいけない項目があります。また経営後もしっかりと利用者が集まるよう、様々な工夫が必要です。以下では狭小地の駐車場を運用する前、そして運用後において、注意しておきたい点をご紹介します。
近隣に駐車場需要があるのか調査する
駐車場は経営する場所が収益を左右するほど、重要です。需要のない地域で駐車場経営を始めてしまうと、投資の回収はもちろん、固定資産税など差し引いた結果、毎年マイナスの収支で終わってしまうという事態にもつながりかねません。
なお、需要がなく利用者が少ないからといって、高額な料金を設定するのは危険です。却って利用者が減ってしまう可能性があります。
駐車場経営を始める前には、まず土地活用などを扱っている不動産会社に相談します。近隣に駐車場があるのか、何台駐車場が契約されているのか、駐車場料金がいくらなのかを聞いておきましょう。
また、実際に現地に行くことで、需要感を把握することができます。日中だけでなく夜間の利用状況なども確認しておきましょう。
事前に車が停めれるかを調査する
狭小地で駐車場経営をする場合、収入を意識するあまり、車の停めやすさよりも駐車可能台数を優先してしまいがちです。
しかし利用者は、料金の次に車の停めやすさを意識します。そのため、余裕を持った駐車場配置を意識しておくことが必要です。
車種によって大きさが変わりますが、一般的に車幅は2.5メートルが必要とされています。そのため出入り口が2.5メートル以上は確保しておくと良いでしょう。
駐車場と道路には縁石やL型側溝があり、高低差がある場所もあります。高低差がある場合、車の底を擦るケースがあるため、敬遠する利用者もいるでしょう。
段差スロープなどで解消できますが、行政の道路課もしくは街並み形成課の許可が必要となるケースが多いです。事前に切り下げ工事などをして対応しましょう。
カーポートやガレージなどを設置し差別化する
駐車場経営を初めてみたものの、利用者を確保できず、収益が入らないということもありえます。また近隣需要と料金相場を十分調べて運用し始めたとしても、駐車場経営を始めてから更に駐車場が近隣に増えたケースもあります。
このように競合が増えた場合、差別化で利用者の確保を検討する必要があります。例えば雨天時に雨に濡れないカーポートやガレージは、車が好きな方にとって嬉しい駐車場です。
投資費用はかかるものの、他にはない駐車場を企画・経営することで、利用者の枠は増えるでしょう。
軽自動車専門の駐車場にする
駐車場経営を始める前に採算を計算したものの、狭小地のため、収益がどうしても上がらないケースはあるでしょう。
そのような場合、普通車より車幅が小さい軽自動車向けの駐車場にすることで、より多くの台数を確保することが可能です。
駐車場料金が下がり稼働率が悪くなる可能性もありますが、台数さえ確保できればリスクを分散できます。
狭小地では土地の売却が難しいため、駐車場経営がおすすめ
所有している土地が狭小地の場合、土地の活用方法は限られてきます。しかし駐車場経営であれば収入源を生み出すことにもなります。
ただし駐車場経営もビジネスです。始める前には投資額や固定資産税分をしっかり回収できるのか、事前調査が欠かせません。需要やライバルの稼働率をしっかり把握した上で始めてくださいね。
なお、土地活用にお悩みの場合はインターネットで相談できる「イエウール」がおすすめです。無料で土地活用についての相談ができるので、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。