傾斜地を土地活用する場合、平坦な土地と違い色々な面からの検討が必要です。角度や範囲などはもちろん、場所によっては法律の規制を考慮しなければならないケースもあります。
ここでは、傾斜地を駐車場として土地活用する場合について解説します。準備段階としてどのような手順が必要なのか、準備工事の内容は費用について詳しくみてみましょう。
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傾斜地と造成工事とは
傾斜地になっている土地は、もともと山のような場所だったことが多いです。そのため、平地に比べ大雨など自然災害による地滑りなどのリスクが高い特徴があります。このようなリスクを回避し、安全に活用していくために必要な工事などについて解説します。
傾斜地
傾斜地は、上り坂や下り坂のような角度のある土地と定義されており、30度未満の傾斜角度、または3m未満の高低差の土地が該当します。同じように傾斜がある土地として崖もあります。しかし、崖は傾斜の角度が30度以上、または3m以上の高低差がある土地を指すため、多くの場合傾斜地にはカウントされません。
造成工事
傾斜地を平らな土地に整える工事を造成工事と言います。一般的には次のような工事が行われます。
急斜面の土を切り取る切土
高さが足りない部分に土をプラスする盛土
斜面が崩れないように安定させる擁壁(ようへき)工事
残土処分
木の伐採や伐根
造成工事を行うことで、大雨や台風などの被害を受けて地盤沈下してしまう可能性を回避できます。リスクを抑えるためには、技術力が確かな業者に依頼し工事を進めることが大切です。
傾斜地で駐車場を作りたい場合は、土地活用比較サイトで相談することがおすすめです。
駐車場経営の専門企業に相談することができ、「その土地で駐車場経営ができるのか」「どのくらい初期費用がかかるのか」といったことを把握することができます。
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造成工事の種類
造成工事には以下のような種類があります。どの種類を選択するのかは、所有している土地の状態によって左右されるため、専門的な知識のある業者と相談しながら検討したほうがよいでしょう。
粗仕上げ
粗地ならしとも言われている工事です。重機を使用して斜面を平面にする作業を指すのが一般的です。その際、石や木くず、ガラスやコンクリート片などがあれば除去する作業も含まれます。畑を耕すようなイメージを抱くと分かりやすいでしょう。
細かな石も除去して綺麗に仕上げてくれる業者もあれば、ざっくりとした仕上がりにする業者もあるので、工事前にどの程度の作業をするのか、綿密な打ち合わせをしておくことが重要です。伐採や防草
傾斜地はもともと宅地としては使用されていなかったケースが多く、草木が生い茂っている場合が多いです。この場合、草木を除去する伐採、抜根という作業が必要になります。
伐根まで行っていても、放置しておくと草木が生えてきてしまうため、最後に防草シートを敷くところまで行うのが一般的です。
地質変更や地盤改良
長年使用されていなかった傾斜地の場合、地質が悪かったり表土が弱くなったりしている可能性があります。そのまま駐車場などに活用すると液状化してしまったり地盤沈下を起こしたりするリスクがあるため、地質変更や地盤改良の工事を行う必要があります。
例えば、表土にセメント系固化剤を混ぜて土地の強度を上げる方法や鋼杭を打ち込む工事などが行われます。
舗装仕上げ
傾斜地を平面の土地に整えたら、コンクリートやアスファルトなどで舗装仕上げを行います。舗装仕上げではなく、砂利を敷き詰める砂利仕上げにするケースもあります。
所有している傾斜地をどのような駐車場として活用していきたいかによって、コンクリート仕上げ、アスファルト仕上げ、砂利仕上げどれにするかが変わります。
それぞれの仕上げ方法によって見た目だけでなく費用も変わってくるため、知識のある業者に相談しながら判断するとよいでしょう。
傾斜地の造成工事費の目安
傾斜地を土地活用する上で、造成工事は必要不可欠です。造成工事に必要な費用についてチェックしておきましょう。
地域や傾斜角度ごとの費用の目安
造成工事の費用は、地域ごとで異なることが多いです。また、地域に限らず傾斜が大きくなるほど必要となる工事の種類も増えてしまうため、費用が高くなると理解しておきましょう。
例えば、北海道、東京都、大阪府、福岡県の4つの都市で傾斜ごとの単価を比較してみます。
土地の傾斜度 | 北海道 | 東京都 | 大阪府 | 福岡県 |
---|---|---|---|---|
3~5度 | 36,500円/坪 | 37,700円/坪 | 35,400円/坪 | 33,700円/坪 |
5~10度 | 63,000円/坪 | 64,800円/坪 | 61,200円/坪 | 58,500円/坪 |
10~15度 | 87,200円/坪 | 89,300円/坪 | 84,600円/坪 | 81,300円/坪 |
15~20度 | 131,000円/坪 | 138,200円/坪 | 135,200円/坪 | 128,300円/坪 |
上記の表からも分かるように、地域によって大きな差があります。また、傾斜が大きければ大きいほど、費用が高額になることも分かります。
もともとの土地の状態も大きな影響を与えるため、まずは相場から予算を導き出し、それを踏まえて専門の業者に相談するのがおすすめです。どの程度の工事が必要かは希望する仕上がりの状態によるため、相談する際は、仕上がりのイメージをきちんと伝え共有することが大切です。
擁壁(ようへき)工事もあわせて考える
傾斜地を平面にする工事の際には、擁壁工事の実施についても検討しなければなりません。必要となる費用にも関わってくるので、擁壁工事についてきちんと理解しておきましょう。
擁壁工事とは
傾斜地と周辺道路に高低差があり、平面にした傾斜地のほうが道路よりも低い場合、台風や大雨などによって低い土地に土砂などが流入してしまう恐れがあります。
そのリスクを回避するために行うのが擁壁工事です。
この擁壁がしっかりと維持できていないと、地盤沈下や活用している土地が崩壊してしまうリスクがります。傾斜地を平面にする際には必要不可欠な工事といえます。
擁壁工事費の目安
擁壁工事では、所有している土地の立地状態によって大きく差が生じるため、一概に目安金額が導き出せません。
災害の際に土砂が流入してくるリスクがあるのか、地盤の状態、限られた範囲に設置するのか囲むように設置する必要があるのかなど、土地の条件によって大きく違いが出てきます。
擁壁工事は、造成工事を行う業者の実地調査によって判断されるのが一般的です。業者の側でも細かな費用を公表していないところが多く、予算が組み立てづらいとされています。まずは業者に見積もりを依頼することから始めてみましょう。見積もり内容を確認し、どのようなポイントに費用がかさんでいるのかを把握することが大切です。
傾斜地を土地活用する際には、必要不可欠な工事なので、安心安全に利用していくためにも粗悪な工事を行うわけにはいきません。そんなときは各自治体から受けられる助成金も活用しましょう。例えば東京都では擁壁工事にかかる費用の1/2(上限500万円)まで助成されます。
自治体によって助成金制度の内容は異なるので、事前に確認しておくことがおすすめです。
費用を抑えるなら業者選びがカギ
造成工事にはさまざまな工程があり、工事自体も大規模になることが多いため、費用が高額になりがちです。しかし、ちょっとした知識と工夫で費用を安く抑えることができます。
まずは複数の業者に見積もり依頼をすることから始めてみましょう。所有している土地の造成工事にかかる費用の概算を把握しておき、業者選びの際に適切な判断をするのに役立ちます。
また、複数の業者からの見積もり内容はもちろん、担当者の反応もチェックしておくと信頼できる業者かどうかを判断することができます。業者ごとに見積もり内容が異なるため、複数の見積もりを比較検討することが大切です。
造成工事で抑えておきたいポイント
造成工事は、安心安全に土地を活用することはもちろん、法律などで定められている部分もあります。信頼できる業者を見つけるためにも、事前にポイントを抑えておきましょう。
地盤調査
傾斜地の場合、土地全体を平らにするため低い土地に盛土をするのが一般的です。人工的に土砂を埋め立てて地盤を形成するため、強度の面で不安が残ります。
傾斜地を土地活用する際は、地盤に関する備えが最も重要であると言えるでしょう。安全性を確認するためにも、費用をケチらずにしっかりと工程を行うことが大切です。
地盤調査を怠ると、がけ崩れを起こしたり、高低差に気づかない子どもなどが落下してケガをしたりと、思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。
制度の確認と対策
造成工事を行う際には、法律や所有している土地についてしっかりと把握しておくことが大切です。ここでは、造成工事に関する法律などについて確認しておくべきポイントをご紹介します。
造成工事は法律で規制されている
造成工事を行う際は、自治体への許可申請が必要になります。許可申請には専門知識を要するので、工事を依頼する専門業者にお任せすると安心です。
特に傾斜地では「急傾斜地崩壊危険区域」に所有地がある場合、崩落対策工事を追加で行わなければなりません。国や自治体が工事費用の8~9割程度を補助してくれますが、造成工事費用として出費が増えることも覚悟しなければならないでしょう。
このように、所有している土地に駐車場を建設しようと思っても、簡単に進められないこともあるため、事前に業者や自治体に確認することが必要となります。
宅地造成法改正後の土地かどうか確認
造成工事を行う前に、所有地が宅地造成法改正後の土地かどうかを確認しておきましょう。宅地造成法では、2002年9月にひな壇造成地の仕様が厳しく改正されました。
改正前の基準で造成工事を行われた土地の場合、傾斜が緩い土地でも地滑りが発生する可能性があり懸念されています。改正後に何らかの対策を講じていれば問題ありません。
法改正前の土地と法改正後の土地が混在しているため、各自治体によって傾斜の角度などを明確に定められ、傾斜地の定義が明確化されるようになりました。該当する傾斜地の場合、追加の造成工事が必要になる可能性があるため、費用のアップなどを念頭に入れておくようにしましょう。
信頼できる業者を探す
造成工事はプロの業者に依頼して行ってもらうしかありません。しかし、安全性を確保し希望通りの仕上がりにするためには、技術力の確かな業者に依頼することが大切です。
見積りは複数社で比較検討する
造成工事を請け負ってくれる業者はとてもたくさんありますが、その中から信頼できる1社を選びだすには、複数の業者に見積もり依頼をし、探し出すしかありません。複数の見積もり内容を比較検討することで、自分に合った業者を見つけ出すことができます。分からない点は質問し、不明点がないようにしておくことが大切です。
見積もりを比較検討する際は、他社と比べて法外な金額になっていないか、といった金額的な面はもちろん、質問がしやすい業者か、担当者の返答は誠実か、といった点もチェックしましょう。
土地活用比較サイトを活用しよう
複数の業者へ見積もり依頼するのはとても労力のかかることです。そのため、一括相談サイトを活用して手間なく進めるのがおすすめです。
必要な情報を入力するだけで、一気に複数業者へ見積もり依頼をすることができるので、手軽に短時間で済ますことができます。
土地活用比較サイトならイエウール土地活用
土地活用比較サイトならイエウール土地活用がおすすめです。全国規模の大手業者から、地域密着型の中小業者まで幅広い優良業者が揃っているので、自分に合った業者を見つけることができるでしょう。たった1分の入力でスムーズに複数業者への見積もり依頼を完了させることができます。悪徳業者につかまり、高額な費用を請求されたり、納得のいく工事をしてもらえなかったりしないよう、イエウール土地活用を利用して信頼できる業者を探しましょう。
造成工事で納得のいく駐車場を手に入れよう
所有している土地が傾斜地だった場合、駐車場への土地活用を行う前に造成工事を行う必要があります。土砂の流入や地滑りなどのリスクを回避し、安心して安全に活用するために必要不可欠な工事を理解しておきましょう。
満足のいく駐車場を建築するためにも、信頼できる業者に依頼することが大切です。複数業者に見積もり依頼をし、安心して任せられる業者選びをすることが大きなポイントです。
傾斜地でも土地活用を諦めず、造成工事を行って満足のいく駐車場を作りましょう。
記事のおさらい