一戸建ての売却を考え始めたら、不動産会社に連絡する前に売却の流れや事前の確認事項をきちんと把握しておきましょう。
「まずは家を売る基礎知識を知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。
一戸建て売却は一定の流れに沿って行われるので、どのような順序で進んでいくのか把握し、その時々に必要となる知識を抑えておくことが大切です。
一戸建て売却は以下の流れで進みます。
1.事前準備を行う
2.査定して不動産会社と契約する
3.一戸建ての売却活動を行う
4.買主と売買契約を結ぶ
5.決済と引き渡しを行う
6.確定申告を行う
いつ何をどのような流れでやれば良いのかを知ることで、売却成功に一歩近づきます。
本記事ではこの売却全体の流れに沿って各ステップごとに何をするべきかやポイントなどを説明していきますので、各工程でどんな用語が出てくるのか、何を行うのか、失敗しないためにはどんなことを抑えておけばいいのかを確認しましょう。
STEP1│一戸建て売却の事前準備を行う
一戸建てを売却を成功させるためには事前準備は欠かせません。
そこで、まず初めに7つの事前準備を行いましょう。この章では基礎知識を含めながら手順に沿って解説します。
手順①│住宅ローンの残高を確認する
売却したい一戸建てが住宅ローン返済中の場合は、必ず住宅ローンの残額を確認しましょう。
一戸建てに限らず不動産売却をする際は、原則として住宅ローンを完済することができなければ、一戸建てを売却することができません。
- 住宅ローン残債額の確認方法
- 確定申告用に送られてくる残高証明書
- ローンを組んだ初期に送られてきた返済予定表
- ローンを組んでいる金融機関のネットバンキング
- ローンを組んでいる金融機関の窓口
売買契約を締結したら、ローンを借りている金融機関に連絡し、ローン残債を一括返済する旨を伝えて抵当権抹消に向けた準備を進めてもらう必要があるのですが、ここでポイントなのは、一戸建てを売却する際は住宅ローンが完済できなければ抵当権を抹消することはできないということです。
抵当権は金融機関がお金を貸す際に土地と建物を担保に取る権利を指すため、売却益だけでローンを返しきれない場合でも自己資金で解決できれば問題はありませんが、そうでない場合は抵当権は外れません。
一戸建てを第三者に売却する場合は抵当権を外す義務がありますので、ローンが返済できる計画を立てたうえで売却活動に挑むためにはいくら以上で一戸建てを売却する必要があるのかを把握する必要があります。
手順②│建物と土地の名義人を確認する
事前準備の2つ目は、一戸建ての建物と土地の名義人を確認することです。
名義人は、法務局で登記簿謄本(または登記事項証明書)を取得することで確認できます。
名義人を調べておく必要がある理由は、不動産を売却することができるのは名義人のみであるためです。
特に、親から相続した土地に建てた一戸建てを売却する場合は、建物部分は子ども名義、土地部分は親の名義になっているケースなどもあるため、必ず一戸建てと土地両方の名義人を確認しておきましょう。
名義人が売主以外になっていた場合は、法務局で名義変更の手続き(所有権移転登記)を行いましょう。
手順③│土地の境界が明確か確認する
事前準備の3つ目は、土地の境界が確定しているかどうか確認することです。
土地の境界は、目視では境界杭があるかどうかで判断することができます。また、法務局に問い合わせて登記簿謄本や地積測量図などを取得して確認することもできます。
土地の境界線が確定していないと、売却時に隣人と土地の面積に関してトラブルが発生する可能性があり、その後の売却活動に悪影響を及ぼす恐れがあるため必ず事前に確認しておきましょう。
また、境界線が曖昧なまま査定や売却活動を始めてしまうと、土地の面積も曖昧なので正確な査定価格を算出できなかったり、適切な価格で売却できずに損してしまったりする可能性が非常に高いです。
境界が曖昧な場合は、土地家屋調査士に「確定測量」を依頼して、確定測量図を作成しましょう。この作成の費用相場は、隣接地が民有地の場合は35万~45万、隣接地が官有地(国有地)の場合は60万~80万ほどとなっています。
手順④│売却にかかる期間を確認する
事前準備の4つ目は、売却にかかる期間を確認することです。
事前に必要となる期間が分かっていれば余裕をもったスケジュールを立てられるため、期限の問題で安く買いたたかれる可能性を防ぐことができます。
実際の一戸建て売却の流れごとの目安期間は以下のようになっています。
売却段階 | 内容 | 期間 |
---|---|---|
売り出し前 | 一戸建て売却の事前準備を行う | 2週間~1ヶ月 |
一戸建てを査定して不動産会社と契約する | ||
売り出し中 | 一戸建ての売却活動を行う | 3ヶ月~11ヶ月(売却できるまで) |
買主と一戸建ての売買契約を結ぶ | ||
一戸建ての決済と引き渡しを行う | ||
売り出し後 | 売却の翌年2~3月に確定申告を行う | 1か月 |
ここから分かるように、一戸建て売却は売り出し前の準備から売却完了までにかかる期間として短くても6ヶ月程度が必要になります。
一戸建て売却期間で1番時間がかかるのは売却活動の期間になります。一戸建ての売却活動は、買主が見つかるまで続きますので、買主が見つからなければ1年以上売り出し期間が続くこともあるようなイメージになります。
売却活動の期限が迫ってくると、売り出し価格の値下げを行ったり、買主の値下げ交渉に応じなければならないなど、売却希望額で売却することが難しくなってしまいますので、余裕のある売却スケジュールを立てるためにも、まずは一戸建ての売却にかかる期間を把握しておきましょう。
特に転勤や相続が理由で一戸建てを売却する場合は、いつまでに売却する必要があるのか、売却期限が迫ってきた際にどうするのかなどを事前にきちんと考えておく必要があります。
都心や人気のエリアにある一戸建ては、購入希望者が多く集まるため比較的短期間で売却できる傾向にありますが、駅から遠く離れた一戸建てや田舎にある一戸建てなど、需要が低い一戸建ては売却にかかる期間が長くなる傾向があります。
所有している一戸建てがどれくらい売れやすいのかを加味したうえで幅を持たせたスケジュールを組んでおくと安心でしょう。
手順⑤│売却にかかる費用を調べる
事前準備の5つ目は、売却にかかる費用を調べることです。
一戸建て売却では売却価格の約5%前後の費用や税金がかかります。例えば、売却価格が3,000万円であれば150万円ほどの費用がかかるイメージです。
一戸建て売却にかかる費用・税金の種類と相場の目安は以下の通りです。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
仲介手数料 | ( 売却額 × 3% + 6万円 )+ 消費税 |
印紙税 | 1,000円〜6万円 ※売却金額により異なる |
抵当権抹消費用 | 自分で行う場合:約2,000円 司法書士へ依頼する場合:平均1~2万円 |
ローンを一括返済するための費用 | 一括繰上返済にかかる金融機関への手数料1~3万円 |
譲渡所得税(所得税及び復興特別所得税・住民税) | 売却した年の1月1日での保有期間によって異なる 保有期間5年以下:譲渡所得の39.63% 保有期間5年超:譲渡所得の20.315% |
解体費用 ※建物を解体する場合 | 木造の場合:1坪あたり5万円、延床30坪なら150万円以上 |
測量費用 ※土地の境界線が確定していない場合 | 隣接地が民有地の場合:35万~45万 隣接地が官有地(国有地)の場合:60万~80万 |
手順⑥│必要な書類を確認する
事前準備の6つ目は必要な書類を確認することです。
予期せぬ対応を免れ売却をスムーズに進めるために、一戸建て売却の必要書類は、種類だけではなく取得方法や使用するタイミングも併せて理解しておきましょう。
中にはすぐに取得するのが難しいものもありますので、計画的に準備を進めておくことがおすすめです。
書類 | 内容 | 取得先 |
---|---|---|
身分証明書 | 身分を証明するもの | – |
実印 | 市区町村の役所に登録している公的に認められた判子 | – |
印鑑登録証明書 | 登録した実印を証明する書類 | 市区町村の役場など |
住民票 | 個人や世帯についての情報が書かれた書類 一戸建ての登記上の住所と名義人の現住所が異なる場合に必要となる | 市区町村の役場など |
登記済権利証(登記識別情報通知書) | 登記が完了した際に発行される権利書類 名義人が一戸建ての所有者である事を証明する際に使用する | 法務局(登記時に交付) |
固定資産税納税通知書 | 固定資産税の納税額を通知する書類 | 毎年郵送される |
売買契約書 | 一戸建てを購入した時の売買契約書 費用計算取得費の計算や不動産会社との媒介契約で不動産情報を伝える際に使用する | – |
重要事項説明書 | 一戸建て購入時に渡される一戸建ての重要事項や注意事項の説明が書かれた書類 | 不動産会社 |
確定測量図 | 土地の形や面積が記された図 | 測量会社 |
境界確認書 | 隣接する土地との境目を明確にするための測量結果が記載してある土地の境界を証明する図 | 測量会社 |
建築図面・工事記録書 | 建物を建築する際の図面と工事の家庭を記録した書類 | 建設会社 |
建物の請負契約書 | 注文住宅の場合やリフォーム工事の際に施工会社と結ぶ工事・建築に関する契約書 | 施工会社 |
建築確認済証、検査済証 | 建築基準法に則って建築された物件であることを証明する書類 | 建設会社 |
リフォーム履歴の分かる資料 | リフォームをした場合、その履歴が分かる資料 | 施工会社 |
手順⑦│一戸建ての売却相場を調べる
最後の事前準備は一戸建ての売却相場を調べることです。
一戸建てがどれくらいの価格で売れるのか、また不動産会社が提示してくれる価格は適切なのかを判断するためには最新の売却相場を自分で確認しておく必要があります。
周辺に位置していて、条件が似ている一戸建てがどのくらいの価格で売買されているのかを把握しておきましょう。
【築年数別の売却相場の一覧表】
築年数 | 売却価格下落割合 | 新築での購入価格 | |||
---|---|---|---|---|---|
2000万円 | 3000万円 | 4000万円 | 5000万円 | ||
~築5年 | 0% | 2000万円 | 3000万円 | 4000万円 | 5000万円 |
~築10年 | 5.1% | 1898万円 | 2847万円 | 3796万円 | 4745万円 |
~築15年 | 9.5% | 1810万円 | 2715万円 | 3620万円 | 4525万円 |
~築20年 | 17% | 1660万円 | 2490万円 | 3320万円 | 4150万円 |
~築25年 | 25.4% | 1492万円 | 2238万円 | 2984万円 | 3730万円 |
~築30年 | 37.7% | 1246万円 | 1869万円 | 2492万円 | 3115万円 |
築31年~ | 51.5% | 970万円 | 1455万円 | 1940万円 | 2425万円 |
(出典:東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2020年度」)
【ネットで実際の売却事例を調べる】
あなたの不動産、
売ったら
STEP2│一戸建てを査定して不動産会社と契約する
一戸建て売却の事前準備を済ませたら、いよいよ不動産会社に査定を依頼します。
不動産会社による一戸建ての査定では、実際にその会社が一戸建てをどのくらいの価格で売却できそうなのかを算出してもらいます。
不動産会社を選ぶ際に、高く売却するために査定価格が1番高い不動産会社と契約する方もいますが、査定価格が高いからといってその価格で売却できる保証はありません。相性の良い担当者がいる不動産会社と契約していれば不安や疑問がある場合も気軽に相談することができ、売却活動をスムーズ進めることができます。
そのため、一戸建ての売却において不動産会社選びはとても重要ですので、「査定価格」「相性の良さ」「専門性の高さ」を考慮して選びましょう。
手順①│複数の不動産会社に訪問査定を依頼する
不動産会社の行う査定には、机上査定と訪問査定の2種類がありますが、一戸建てを売却する際に必ず行うことになるのは訪問査定になります。
- 机上査定
- 一戸建ての基本情報をもとに査定価格を算出する方法
- 現地調査をしないため精度は低いが結果を出すまでの期間が短く、当日から3日後には結果が分かる
- 訪問査定
- 一戸建ての基本情報と現地調査をどちらも加味して実際に売れる価格に近い査定価格を算出する方法
- 精度が高く、結果が分かるまでに1週間程度を要する
一戸建ての査定で不動産会社が算出する価格には明確な算出方法などが存在せず、各不動産会社によって異なるため、1社だけの査定価格では一戸建ての適切な査定価格を把握することができません。
そのため、不動産会社を比較して選ぶために、最低でも3社以上の不動産会社に査定依頼を行います。
あなたの不動産、
売ったら
手順②│不動産会社に一戸建てを査定してもらう
訪問査定をする際には、不動産会社に複数社を比較検討していることを前もって伝えておきましょう。
こうすることで不動産会社側に緊張感を与えることができ、他と契約されないためにもより正確で高い結果を出してくれる可能性があります。
契約だけをとるために相場から外れてまで高い査定結果を出してくるような担当者もいるかもしれませんが、不動産会社は相場から外れた価格で売り出しても一戸建てが売れないことを知っているため、そのような担当者は後々価格を下げる提案をしてくることが考えられます。
机上査定と訪問査定のいずれも以下の評価ポイントを見て一戸建ての査定額を判断します。
建物 | ・築年数 ・日当たり・風通し ・一戸建ての維持管理状態 ・給湯設備・冷暖房設備 |
土地 | ・土地の形状 ・接している道路の状況 ・用途地域 ・間口と奥行きの比率 |
環境 | ・周辺環境 ・最寄り駅への距離・利便性 ・眺望や景観 ・再開発の情報 |
自分で調べた相場感と照らし合わせながら、明らかにはずれた査定結果を伝えてくる不動産会社がいる場合は必ず根拠を聞いてみてください。
根拠が適切そうであれば問題ありませんが、不明瞭な場合は悪質な可能性が高いので契約は避けるようにしましょう。
手順③│不動産会社を選び媒介契約を結ぶ
複数の不動産会社に査定をしてもらったら、仲介を依頼する不動産会社を決めて媒介契約を結びます。
媒介契約とは、不動産会会社にご自身が一戸建てを売却するための売却活動をサポートしてもらうための契約のことです。
媒介契約には「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、どの種類にするかはご自身が自由に決めることができます。
専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数業者との契約 | × | × | ○ |
他社への通知義務 | × | × | ○ ※明示型の場合 |
自己発見取引 | ○ | × | ○ |
契約の有効期限 | 3か月以内 | 3か月以内 | 指定なし |
指定流通機構への登録 | 7日以内に登録 | 5日以内に登録 | 任意 |
業務状況の報告義務 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 | 任意 |
媒介契約の大きな違いは、複数の不動産会社と同時に契約をすることができるかどうかです。
一般媒介契約では複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができますが、専任媒介契約と専属専任媒介契約では1社しか媒介契約を結ぶことができません。
手順③│必要書類を準備して契約する
媒介契約の種類と不動産会社を決めたら、いよいよ契約です。
媒介契約に必ず必要なものは以下の通りです。
- 印鑑
- 身分証明書(運転免許証など)
契約後に不動産会社がスムーズに売却活動を進められるように、できるだけ以下の書類も用意することがおすすめです。
- 住宅ローンの返済予定表
- 登記済証または登記識別情報
- 間取り図面
- 土地の測量図面
- 購入時の不動産売買契約書・重要事項説明書
- その他、購入時のパンフレットなど
手順④│一戸建てに欠陥があれば申告する
一戸建て売却において、売主が一戸建てにある欠陥を故意に隠して契約に合わないものを売ってしまうと、契約不適合責任という義務を無視したことになりトラブルになります。
契約不適合責任とは、売主は買主に対して契約通りのものを引き渡すという責任を持つというものです。
売却した後に買主が契約書の内容を満たさない欠陥などを見つけることがあれば損害賠償を請求されますし、最悪の場合は契約が解除されるかもしれません。
このようなトラブルを避けるためにも、欠陥があることは事前に不動産会社に伝えましょう。
修繕で直るものであれば、売却額と費用のバランスを考えてどちらが得か不動産会社に相談してみましょう。
STEP3│一戸建ての売却活動を行う
不動産会社と媒介契約を結んだらいよいよ実際に一戸建てを売り出して売却活動をスタートします。
売却活動とは、一戸建てを売りに出して買主が見つかるまでに行う活動のことです。
実際に行うのは購入希望者の内覧対応がメインであるため、この内覧を成功させることが一戸建て売却成功の鍵になっています。
不動産会社と連携しつつ、以下の流れで取り組みましょう。
手順①│最低売却価格を決める
買主が売り出し価格より価格を抑えたいという考えている場合、価格交渉をしてくる、さらに粘ってくる場合がありますので、最低売却価格も決めておきます。
その時に交渉上の判断を早め売り逃すことを防いだり、買主を探しなおす方針に切り替えて無駄な時間を抑えるためには、納得して売ることができる最低ラインを明確にしておくことがおすすめです。
最低売却価格を決めておかなければ、交渉で売れそうだからと安くしすぎてしまって自分の負担が大きくなりすぎる決断をしてしまう可能性があり、売れたとしても満足いく結果にならないでしょう。
手順②│売り出し価格を設定して売り出す
不動産会社の査定価格は「このくらいの価格で売却できそう」という目安の価格のため、必ず査定価格と同じくらいの価格で売り出さなければならないわけではありません。
そのため、自分で調べた相場と不動産会社の意見、自身の希望価格のバランスをとりつつ売り出し価格を決めていきます。
後々購入希望者に値下げ交渉をされても対応できるように、売り出し価格は売却希望額よりも少し高めに設定しておきましょう。
例えば、3000万円で売却したい一戸建てを3000万円で売りに出した場合、買主の値下げ交渉を受け入れてしまうと、売却希望額よりも低い価格でしか売却できないことになります。
しかし、3000万円で売却したい一戸建てを3500万円で売りに出すと、最高500万円まで買主の値下げ交渉に対応する余裕がありますし、値下げ交渉されなかった場合は、売却希望額より高く売却することができます。
売却相場より高すぎる売り出し価格を設定してしまうと、購入希望者が現れず売却期間が長引く可能性もあるため、売り出し価格を設定する際は必ず不動産会社に相談してください。
手順③│不動産会社が購入希望者を探す
売り出し価格を設定したら不動産会社が購入希望者を探し始めます。
このとき、チラシやネットでの広告などは不動産会社が行ってくれるので、基本的に自分で何かをすることはありません。
不動産会社との契約が専任媒介契約か一般媒介契約であれば、自分で購入希望者を探して売却する「自己発見取引」が認められていますので、任せっきりは心配だという場合は自分で動いてみましょう。
もしつてがあれば、同時並行で購入希望者を探すことでより良い条件の売却相手が見つかる可能性が高まるでしょう。
手順④│内覧に向けて掃除をする
一戸建ての内覧を行うことになったら、家の掃除をします。
内覧とは、購入希望者が売却したい一戸建てを実際に見に来る機会のことです。
家の中が散らかっていると、内覧者の購入意欲が下がるだけでなく、値段交渉の原因にもなります。
注意して掃除をすべき点は水回り・リビング・玄関・バルコニーです。この中でも特に重要なのは水回りですので、優先して掃除しておきましょう。
手順⑤│購入希望者による内覧に立ち会う
一戸建ての売り出しが始まったら内覧に立ち会います。
実際に買主が見つかるまでの内覧回数は一般的に5~10件と言われています。日程が合わないとなかなか売却活動が進まないため、できるだけ土曜日と日曜日を空けておくことスムーズです。
内覧時には、不自然な売り込みはせず、住民目線でのアピールポイントを伝えると好感度をあげることができます。
購入希望者が現れた際には、与信に不安はないかを内覧前後で不動産会社の担当者に相談してみるのがおすすめです。
どれほど条件のいい希望者が現れたとしてもその方が住宅ローンの審査に落ちると売却は白紙に戻ってしまいますので、ローンが通らない可能性があれば、見送るか、注意が必要です。
もし住み替え予定で売却益を使おうとしている場合は、住み替え先の検討は相手がローン審査に通ったあとにした方が安心です。手付金を使った後で審査に通らなかった場合手付金は返すことになります。
手順⑥│購入希望者と条件交渉を行う
売りたい購入希望者が現れ、購入希望者も一戸建てを気に入れば条件交渉に進みます。
売主・購入希望者の双方の納得できる条件にまとまれば売買契約に進めますので、条件交渉では価格や引き渡し日を話し合います。
購入希望者の希望条件と購入意思が書かれている購入申込書をもとに話し合いましょう。購入申込書は法的義務や拘束を伴うものではありませんので、ここで交渉が決裂すればキャンセルとなります。
購入申込書で確認できる主な項目は以下の通りです。
- 不動産名称
- 買主の住所・氏名
- 購入希望価格
- 資金計画(自己資金と住宅ローンの融資額など)
- 入居予定日
「購入希望価格が安すぎないか」「ローン審査は問題なく通りそうか」「入居予定日での引渡しが可能そうか」という点は必ず確認しておきましょう。
あなたの不動産、
売ったら
STEP4│買主と一戸建ての売買契約を結ぶ
一戸建て売却で購入希望者の内覧を経て、条件交渉のうえ買主が決まったら、売買契約を結びます。
手順①│契約時の持参物を準備する
売買契約の際には、実印や書類、費用で持参しなければならないものがあります。
主な持参物は以下の通りです。これらを揃えられるよう機関に余裕をもって契約締結のタイミングを決めることがおすすめです。
- 実印
- 印鑑証明書(3ヶ月以内のもの1通)
- 本人確認書類
- 登記済証(権利証)または登記識別情報通知
- 固定資産税の納税通知書
- 収入印紙
- 仲介手数料の半金
手順②│売買契約の手続きを行う
売買契約当日は以下の流れで手続きを行います。
- 重要事項説明書の読み合わせ
- 売買契約書の読み合わせ
- 物件状況等報告書の読み合わせ
- 設備票の読み合わせ
- 書類への署名・捺印
売買契約は一度締結すると簡単には解除できません。
そのため、各種書類の読み合わせ時には売買契約書の内容を隅々まで目を通しましょう。
売買契約書で交わした内容を後から変更するのは難しく、場合によっては違約金なども発生します。売却価格や引き渡し日など、事前に交渉したものと少しでも違う部分があればその場で指摘しましょう。
各種書類を読み合わせて問題なければ、全てに署名・捺印を行います。
手順③│買主から手付金を貰う
買主から手付金を受領し、こちらからは手付金受領書を渡します。
ここまでくれば、売買契約当日の手続きは終了です。
念のため購入者に再度内覧の希望があるかどうかを確認しておきましょう。
手順④|不動産会社に仲介手数料の半分を支払う
売買契約を締結したら、仲介してくれた不動産会社に仲介手数料の半分を支払います。
全額払う場合もありますが、引き渡しのタイミングと分けて半分ずつ支払うのが一般的です。
不安な場合は仲介手数料の支払いタイミングをあらかじめ確認しておきましょう。
手順⑤│金融機関に住宅ローン完済する旨を伝える
契約後、残金を買主から受け取る日程が概ね決まったタイミングで、売主は住宅ローンを借りている金融機関に連絡します。
現在残っているローンを全て一括返済する旨と、抵当権抹消書類の準備を金融機関に依頼することが必要となります。
特に抵当権抹消書類の準備には時間がかかりますので、余裕をもって依頼しておきましょう。
手順⑥│司法書士に抵当権抹消登記を依頼する
抵当権が設定されている家は売れないため、抵当権抹消登記を行う必要があります。
不動産会社に連絡して、提携している司法書士に依頼するのが一般的です。自分で司法書士に依頼するという手もあります。
手順⑦│引っ越しの準備をする
売買契約を締結したら、引き渡しまでに引っ越しの準備を済ませておきす。
引き渡し日の直前になって慌てないように、早めに準備を進めておくことが大切です。
理想としては、引き渡し日の1カ月前から準備を始めるとスムーズに進めることができます。
- 引っ越し業者の手配
- 荷造り
- 粗大ごみの手配
- 公共料金の支払い ※未納の場合のみ
- 役所への転出届
- 電気、ガス、水道会社への届け出
- 学校の転校手続き
STEP5│一戸建ての決済と引き渡しを行う
売主から買主への引渡しは、売主が住宅ローンを完済し、抵当権を外して所有権移転登記を行うことでできるようになります。
決済当日は他にも、仲介手数料や登記費用の支払い、固定資産税、管理費・積立金などの清算が行われるため、不動産会社の担当者に確認しておくと安心でしょう。
手順①│必要書類や費用を準備する
まずは決済と引き渡しに必要なものを準備します。
準備すべきものは、大きく分けて「書類」「費用」「その他持ち物」の3つです。
- 必要書類
- 登記済証または登記識別情報
- 実印
- 印鑑証明書(発効後3カ月以内)
- 身分証明書
- 固定資産評価証明書
- 抵当権抹消書類
- その他引き継ぐべき書類
- 費用
- 不動産会社への仲介手数料
- 司法書士への報酬(一般的に1~2万円程度)
- その他持ち物
- 着金を確認できるもの(通帳やキャッシュカード、オンライン端末など)
- 家の鍵
手順②|買主から残りの代金を受け取る
準備ができたら、決済と引渡しを行います。
購入代金から手付金として受け取った額を引いた残りの代金を買主から受け取ります。
手順③│住宅ローンを完済する
代金をすべて受け取ったら、住宅ローンの完済を行います。
購入代金の残額を住宅ローン支払い口座に入金したら、売主は住宅ローンを借りている金融機関に連絡し、口座に入金したことを伝えて着金確認を依頼します。
売主から連絡を受けた金融機関は、住宅ローン残債分の金額を売主の口座から引き落とし、返済完了となります。
売主が住宅ローンを組んでいた金融機関の窓口に行き、抵当権抹消書類を受け取りましょう。司法書士が法務局へ行き、抵当権抹消と所有権移転の登記申請を行うことで手続き完了となります。
手順④│買主に所有権と鍵を引き渡す
一戸建ての所有権移転が完了したら、所有権と鍵の引き渡しを行います。
設備の保証書や取扱説明書、その他売却に際して引き継ぐ必要がある書類を購入者に渡します。
鍵の引き渡しは、建物の全ての鍵を購入者に渡した後、「不動産引渡確認証」に署名・捺印することで完了します。
手順⑤│不動産会社や司法書士に残りの手数料を支払う
引渡しが終わったら、不動産会社には仲介手数料の残額を、司法書士には報酬と抵当権抹消費用を支払います。
抵当権抹消費用には一般的に10,000~20,000円程度かかります。
あなたの不動産、
売ったら
STEP6│売却の翌年2~3月に確定申告を行う
一戸建て売却では買主から売却代金を受け取ることになりますが、その際に譲渡所得(利益)が発生した場合は、確定申告して譲渡所得税を納めましょう。
確定申告を行うのは、一戸建てを売却した翌年の2月16日~3月15日までの間です。
一戸建てを売却して損失があった場合は原則として確定申告をする必要はありませんが、損益通算をすることで税金対策を行うことができます。
譲渡所得、譲渡損益が出た場合に利用できる控除特例をご紹介しますので、それぞれ自分に合ったものを申請しましょう。
譲渡所得が出た場合に利用できる控除特例
一戸建てを売却した際に発生する利益を譲渡所得といいます。
譲渡所得が発生した場合は所有期間に応じて住民税と所得税が課せられます。ここで利用できるのが以下3つの控除特例です。
- 3,000万円特別控除
- マイホームを売却して譲渡所得が発生した場合、そのうち3,000万円までを所得税と住民税の課税対象外にできる
- 譲渡所得が3,000万円以内:所得税と住民税はゼロ
- 譲渡所得が3,000万円以上:(譲渡所得の額)- 3,000万円 = 課税対象額
- マイホームを売却して譲渡所得が発生した場合、そのうち3,000万円までを所得税と住民税の課税対象外にできる
- 所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合の軽減税率特例
- 売主が10年以上所有しているマイホームを売却して譲渡所得が発生した場合、かかる所得税と住民税の税率を軽減することができる特例です。
- 譲渡所得の6,000万円以下の部分:所得税10%、住民税4%
- 譲渡所得の6,000万円超の部分:所得税15%、住民税5%
- 3,000万円特別控除と併用できる
- 売主が10年以上所有しているマイホームを売却して譲渡所得が発生した場合、かかる所得税と住民税の税率を軽減することができる特例です。
- 特定の居住用財産の買換え特例
- 買い替え(住み替え)をする場合に適用できる
- 今の家の売却価格よりも新しく購入した家の金額の方が高い場合、譲渡所得が繰り越されて課税されない
譲渡損失が出た場合に利用できる控除特例
一戸建てを売却した時に発生する負債を譲渡損失と言います。
この場合は譲渡所得の場合の節税とは違い、還付を受けられる可能性がありますので、状況に合わせて利用することが大切です。
- 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- マイホームを買い換えて譲渡損失が発生した場合、源泉徴収税額が還元されるという特例です。
- 家を売却した年に発生した損失を、翌年以後3年間にわたり給与所得と損益通算することができます。
- 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- マイホームの売却で、売却価格が住宅ローン残高よりも低くなってしまった場合(=オーバーローン)に適用できる
- 「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と同じく、譲渡損失を繰り越すことができる
それぞれ利用できる条件が決まっているため、最も得が大きい選択肢をえらぶようにしましょう。
一戸建て売却に成功した人がしている5つのコツ
一戸建てはマンションより売れにくいため、売却活動を始める前に成功のコツを押さえておくのがおすすめです。
今回は、一戸建て売却で成功した人はどのような行動をして売却を成功させたのか、5つのコツとしてまとめました。
一戸建て売却を成功させる5つのコツ
- 一括査定を利用し一戸建て売却が得意な会社を選ぶ
- 内覧時には印象が良くなる対応をする
- 売り出し中は不動産会社にまめに連絡する
- 期間に余裕がなければ買取保証を利用する
- 一戸建ての所在地域の傾向を掴む
【コツ1】一括査定を利用し一戸建て売却が得意な会社を選ぶ
一戸建てを売却するときは、査定依頼時に不動産一括査定サービスを利用しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼するには多く手間と時間がかかるため、一度のネット申し込みで最大6社まで同時に査定依頼ができる不動産一括査定サイト「イエウール」を利用することがおすすめです。
全国約2000社の不動産会社と提携しており、優良不動産会社のみが厳選されています。クレームの多い悪徳業者は排除する運営を行っているため不動産一括査定に関するトラブルを避けて売却することができます。
また、一戸建て売却を成功させるのであれば、売却の中でも特に一戸建てに多く実績があり、一戸建ての扱いを得意とする不動産会社を選びましょう。
不動産会社はそれぞれに得意とするものが違います。どんなに不動産全体の売却実績が豊富だからと言って、実績のほとんどがマンションや土地の売却であれば一戸建てを売る力があるかどうかは分かりません。
そのため、一戸建ての売却を成功させるためには一戸建ての売却を得意とする会社を選ぶことはかなり重要と言えます。
あなたの不動産、
売ったら
【コツ2】内覧時には印象が良くなる対応をする
一戸建てを売り出している最中は、やはり内覧での印象が売却につながるかどうかの結果を左右します。
内覧準備として掃除をしておいた方が良いことは先に書いた通りですが、掃除に加えて、外観を綺麗にする、笑顔で誠実に対応することで印象を良くすることができます。
一戸建ての購入希望者は、マンション以上に住宅として購入を検討している家族が多いもの。どんな人からその家を買ったか、どんな人がそこに住んでいたのかということも重視されます。
人のイメージは第一印象で決まりますので、必ず笑顔で出迎えるようにしましょう。また、質問を受けた際にははぐらかさずきちんと回答しましょう。
アピールしすぎると営業っぽさがでてしまうため注意が必要です。
【コツ3】売り出し中は不動産会社にまめに連絡する
不動産会社に一戸建てを売り出してもらっているタイミングでは、自分から不動産会社に積極的に連絡しましょう。
自分の一戸建てを優先して売ってもらうためには、状況確認や周辺の売り出し状況などを確認する連絡をまめにとることが有効です。
不動産会社の担当者は多くの物件を抱えているため、購入希望者が現れない限り週1度程度の定期連絡しかとらない可能性があります。
特に複数社と契約ができる一般媒介の場合は、自分がやらずともどこかの会社が売ってくれるという思考になる可能性が高いので、コミュニケーションの頻度を意識することが大切です。
【コツ4】期間に余裕がなければ買取保証を利用する
仲介での一戸建て売却は必ず売れると決まっているものではないため、もしうまく購入希望者が見つからなければ予定よりも時間がかかってしまうことがあります。
もし売却しないといけない期間が決まっているなど、余裕がない場合は買取保証を利用しましょう。
買取保証は、仲介で売り出しても買い手が見つからない場合、不動産会社が直接買い取ってくれるという保証のことです。
注意点としては買取保証では仲介の7割ほどの売却価格になることが挙げられますが、確実に売ることができるメリットがあります。
確実に買い取ってもらえる安心感の中で、仲介での売却に挑戦する期間もしっかりと作ることができます。
【コツ5】一戸建ての所在地域の傾向を掴む
一戸建て売却を成功させるための最後のコツは、売却したい一戸建ての所在地域の傾向を掴むということです。
同じような築年数や間取りだけではなく、以下の点を確認しましょう。
- どれくらいの件数取引されているのか
- どのような築年数の家が売れている地域なのか
- 同じような条件の家がどのくらいの価格で売れているのか
- 地価は上がっているか下がっているか
所在地域内でライバルとなる一戸建ての売り出し方や地域の傾向を掴むことで、自分の一戸建てをどのように売り出せばよいかを考えることができます。
地域ごとの一戸建て売却査定・相場・事例を確認する
一戸建て売却を成功させるコツの5つ目として、一戸建ての所在地域の傾向を掴むことをお伝えしました。
ここに地域ごとの一戸建て売却情報を集めましたので、自分の一戸建てが所在する地域の査定・相場・事例について確認しましょう。
関東
東京 | 神奈川 | 埼玉 |
千葉 | 栃木 | 群馬 |
茨城 |
近畿
大阪 | 京都 | 滋賀 |
兵庫 | 和歌山 | 奈良 |
北海道・東北
北海道 | 青森 | 岩手 |
宮城 | 秋田 | 山形 |
福島 |
北陸・甲信越
新潟 | 富山 | 石川 |
福井 | 山梨 | 長野 |
東海
愛知 | 静岡 | 岐阜 |
三重 |
中国・四国
鳥取 | 島根 | 岡山 |
広島 | 山口 | 徳島 |
香川 | 愛媛 | 高知 |
九州・沖縄
福岡 | 佐賀 | 長崎 |
熊本 | 大分 | 宮崎 |
鹿児島 | 沖縄 |
ここまで一戸建ての売却について解説しました。
まずは、一戸建てを査定するのなら、一括査定のイエウールを利用すると良いでしょう。WEBでの申込みになるので、不動産会社に行く必要がなく自宅で24時間申込み可能ですし、無料で利用できます。
不動産会社も2300社以上の中から合った不動産会社を紹介してくれるので、膨大な不動産会社の中から選ぶ手間も省くことができます。
あなたの不動産、
売ったら