アパートローンの利用を検討して、「毎月の返済ができなくなった場合にはどうなるのか」「毎月払っていけるかわからない」など、不安に思う人も多いでしょう。
アパートローンの返済が滞ってしまうと、最終的にはアパートを手放すことになるなど、その後の生活にも少なからず影響が出ます。
本記事では、これからローンを組んでアパート経営を検討している人向けにアパートローンを払えなくなるとどうなるのか、その対処法を解説します。また、払えなくなる原因についても紹介するので、予防策についても併せて考えていきましょう。
アパートローンが払えない場合は?
アパートローンが払えなくなると、最終的にはせっかく購入したアパートを手放すことになります。しかし、返済を滞納してすぐに手放すことになるわけではありません。次のような手順を追うことになります。
- 金融機関から督促がくる
- 期限の利益喪失通知が届く
- 代位弁済の通知が届く
- アパートが競売物件になる
聞きなじみのない言葉が続きますが、ひとつずつ詳しく解説しますので安心してください。
金融機関から督促がくる
返済が滞ると、アパートローンを融資した金融機関から電話や督促状などで連絡があります。
まずは電話で連絡があり、滞納している理由や事情を聞かれることが一般的です。この時点で事情を説明し、すぐに入金すれば問題はありません。引き落とし口座に入金し忘れてしまったからといって、即座にアパートを手放すことになるわけではないので安心してください。ただし、入金忘れを繰り返してしまうと信用問題に関わるので注意しましょう。
電話に出なかったり、事情を説明せずに入金しなかったりすると、滞納から1ヶ月程度で督促状が届きます。そのまま2~3ヶ月経過すると、電話や訪問で督促がはじまり、信用情報機関に履歴が残ってしまいます。履歴が残ると、新たにクレジットカードを作成したり、ローンを借りたりすることが難しくなるので注意が必要です。
期限の利益喪失通知が届く
督促状が届いても滞納を続け、4ヶ月から半年を超えると、契約違反として金融機関から「期限の利益喪失通知」が送られてきます。この通知が届くと、その時点でのローン残債を一括返済しなければならなくなるため、ぜひそれまでにしかるべき対処を行うことをおすすめします。
期限の利益喪失とは?
期限の利益とは、融資額を分割で支払うことができる利益のことをいいます。債務者は分割で少額ずつ払うことができ、金融機関は利息分の金額を利益として得ることができるというメリットがそれぞれあります。
つまり、期限の利益喪失通知が届くと、それ以降借入金額を分割払いできなくなるということです。期限の利益は、債務者の破産や支払い停止・不能で失われることが定められています。ローンの返済が滞ることで、支払い停止や不能が認められ、一括返済を求められるのです。
代位弁済の通知が届く
滞納から4ヶ月から半年がたち、期限の利益喪失通知が届くのと同時期に、「代位弁済に関する通知」も届きます。通知の内容は、「このまま返済がなされなければ、契約した保証会社に一括返済を依頼して競売にかける」というものです。
この通知が届いた後は代位弁済の求償権により、金融機関でなく、保証会社から請求を受けることになります。
代位弁済の求償権とは?
代位弁済とは、債務者の代わりに保証会社や保証人が債務を返済することをいいます。つまり、代位弁済の求償権とは、保証会社や保証人が、債務者に返済を請求できる権利のことです。
一般的には一括返済を求められることが多いですが、保証会社や保証人によっては、長期間の分割返済を認められる場合もあります。しかし、代位弁済が行われた時点で信用情報機関に履歴が残っており、新たに借り入れることはできません。分割返済ができるからといって、それまで通りの生活を送れるわけではないので、返済計画は入念に立てる必要があります。
アパートが競売物件になる
代位弁済が行われると、アパートは競売にかけられてしまいます。競売物件となり、落札者が代金を支払うと、ついにアパートを失うことになるのです。
ここで注意したいのが、競売にかけられてアパートを失ったからといって、残債がなくなるわけではないということです。競売物件は、相場よりも安く売られる傾向にあります。残債から売却金額を差し引いた額は借金としてその後も背負っていくことになります。
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アパートローンを払えないときの対処法
先に解説したように、アパートローンを支払えず放置してしまうと、最終的にはアパートを失い、借金だけが残ることになります。そうならないためには、次のような対処法を実践しましょう。
- リスケジュール申請をする
- アパートを売却する
- 別の金融機関に借り換える
それぞれの方法を詳しく解説します。
リスケジュール申請をする
まず、金融機関に相談してリスケジュール申請をする方法を試しましょう。相談次第では、月々の返済額の減額や返済期間の延長などに応じてもらえる可能性があります。ただし、併せて金利の引き上げや担保や保証人の追加といった条件を提示されることが多いです。
リスケジュール申請は、「支払いが難しい」と感じた段階で早めに相談することが大切です。長い返済期間のなかで、会社の急な倒産で収入がなくなってしまったり、病気で働けなくなってしまったりと、予想しない事態が起こることもあるでしょう。その事態が起きてすぐに相談をすることで、金融機関と条件を擦り合わせることができます。
リスケジュールで減額できるのは元金部分
返済額の減額に明確な決まりはありません。しかし、一般的にリスケジュールで減額できるのは元金部分のみとされています。
利息部分についてはそのまま支払うことが多いので注意しましょう。また、リスケジュールをすることで金利が引き上げられることもあるため、相談時にはよく考えて話し合う必要があります。
リスケジュールは一定期間
リスケジュールに応じてもらえるのは、半年から1年程度が一般的です。実際にはそれ以上の猶予が必要であったとしても、まずは半年から1年程度の猶予をもらい、そこから延長してもらう相談を再びすることになります。
リスケジュールは単純に返済期間が延長されたり一定期間猶予されたりする便利なものではありません。金利の上昇、担保や保証人の追加が必要になるため、将来的な負担も考えて慎重に判断しましょう。
リスケジュールのための条件
リスケジュールをするには次のような条件があります。
- 今後安定した収入が見込めること
- アパートローンの返済ができないのは一時的なものであること
- 新たに借り入れする予定がないこと
返済ができなくなる理由はさまざまあります。返済の意思があるにもかかわらず、一時的に返済できない場合には、リスケジュールは大変有用です。リスケジュールを行って、アパート経営を見直し、改善計画を組み立てましょう。
アパートを売却
思い切ってアパートを売却し、売却金額でローンを返済するのもひとつの手です。アパートを経営する最中にローンを滞納しそうになるということは、経営はうまくいっていないのでしょう。滞納して新たな借り入れができなくなる前であれば、売却してアパートを手放し、再度別の土地活用を検討することもできます。
しかし、売却しても売却金額で返済しきれず、アパートローンが残る場合があります。自己資金で返済できればよいですが、資金がない場合は金融機関に相談して任意売却を行いましょう。
任意売却とは?
任意売却とは、ローンが残る不動産を金融機関の合意のもと売却することをいいます。競売と混同されがちですが、任意売却のほうが高く売却できるため、競売を避けるための売却方法ともいわれています。
しかし、任意売却には次のようなデメリットがあるため注意が必要です。
- 信用情報機関に履歴が残る
- 保証会社や連帯保証人に請求がいく
- 金融機関の合意が得られなければ利用できない
- ローンを滞納してから1年程度で売却できなければ競売にかけられる
任意売却を前提とせず、できるかぎり通常売却でローンを返済できるよう努力することをおすすめします。
返済が難しくなりはじめた段階なら借り換え
返済が難しくなりはじめた段階であれば、ローンを別の金融機関で借り換えることも選択肢のひとつです。金融機関によって金利や保証内容は異なります。より有利な条件でローンが組める金融機関に借り換えることで、返済が楽になる場合もあるでしょう。
ローンを借り換えることで、収益性が改善されて経営が安定する可能性があります。ただし、借り換えの手数料や登記費用がかかる可能性や、金利の増減で返済額が逆に増える可能性もあるため注意しましょう。
また、借り換えには審査が必要です。返済が滞ってしまってからでは、信用情報機関に履歴が残っているため、新たな借り入れを行うことはできません。借り換えには早めの判断が必要です。
アパートローンが払えない主な原因
アパートローンが払えなくなる主な原因は何でしょうか?この章では、ローン返済が滞る主な原因を取り上げます。
返済計画が適切でない
アパートローンを滞納してしまった経営者の多くが、不適切な返済計画を立てています。「アパート経営で利益が得られるから」と、自己資金や収入に対して高額過ぎる融資を受けてしまい、ローンを返済できなくなってしまうのです。
不動産セミナーや営業に進められるがままにアパート経営を検討している方は注意が必要です。一度自身の収入や自己資金を確認し、返済計画に無理がないか検討することをおすすめします。
空室による家賃収入の減少
アパート経営が立ち行かなくなることで、ローン返済が滞る事例も多いです。特に、アパートの空室が増え、家賃収入が減少することには注意しましょう。
アパート経営の収入源は、入居者が支払う家賃です。つまり、入居者が少なく、空室が目立つ物件では十分な収益を得ることができません。例えば中古の空室がない物件を購入したとしても、築年数の経過によって空室は増えやすくなります。最初のうちは余裕で返済できていたローンが、経営の悪化によって支払えなくなってしまうのです。
入居者が家賃を払わない
空室がなく、入居者が多い場合にもローンを滞納してしまうケースがあります。入居者が家賃を滞納するケースです。
家賃が支払われない場合、3ヶ月から6ヶ月以上滞納が継続されれば強制退去を求めることができます。契約次第ではありますが、費用をかけて裁判を行う必要があるため、大変労力がかかるものです。
ある程度の選別はできますが、オーナー側が入居者を選んで入居させることはできません。入居契約で滞納について明確に示しておく、口座引き落としで家賃を回収するなど、家賃滞納をさせない工夫を施す必要があるでしょう。
火災や地震でアパートが使えない
アパートなど、不動産を所有するリスクとして、火災や地震といった自然災害のリスクが挙げられます。自然災害でアパートが倒壊したり、入居できない状態になったりしたとしても、ローンの返済がなくなることはありません。
そういったリスクに対応するには、適切な保険加入が必要です。保険にはさまざまな種類があり、期間や補償内容も異なるので、複数の商品を比較して検討しましょう。
アパートを建てようか考えたとき、どのようにアパートを設計すればいいのか見当がつかないのではないでしょうか。
例えば2階建てにするか3階建てにするか、間取りの設計をどうするかについては土地の条件やアパート経営の目的によって変わります。
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アパートローンが払えない事態を防ぐ方法
アパートローンを滞納してしまう原因がおわかりいただけたところで、そうした事態を防ぐ予防法を紹介します。アパートローンの滞納を防ぐ主な方法は次の通りです。
- 入居率の高いアパートを経営する
- できるだけ低い金利でアパートローンを組む
- 返済期間は長めに設定する
それぞれ詳しく解説します。
入居率の高いアパートを経営する
まずはアパート経営を安定させることが何より大切です。入居率が高くなるようアパートを経営し、安定的な収入を得ることで、ローン返済を継続できます。
入居率が高いアパートを経営するには、次のようなポイントを押さえましょう。
- 周辺エリアのニーズを調査する
- 間取りや設備を工夫する
- 周辺の家賃相場に見合った賃料を設定する
賃料は特に情勢や町の状況によって変化することが多いので、定期的に見直しを行い、ニーズに対応しましょう。
できるだけ低い金利でアパートローンを組む
アパートローンを組む金融機関選びも大切です。できるかぎり低い金利でアパートローンを組むことで、毎月の返済に余裕ができ、経営の余裕にもつながります。
金融機関や提供する商品によって金利や保証内容は異なります。ローンを組む際には、さまざまな金融機関のパンフレットを取り寄せたり、返済計画を立てたりして比較しましょう。
また、アパートを購入する不動産会社や建築会社などと提携している金融機関を利用するのも手です。契約内容によっては、金利優遇を受けられる場合があります。
ローン返済額シミュレーター
試算条件(お借入金額、ボーナス返金元金、金利、返済期間)を入力していただくことで毎月のご返済額を概算します。
試算条件を入力し、「この条件でシュミレーションする」をクリックしてください。月額返済額が、画面下部に表示されます。
借入金額
万円
内ボーナス返済額
万円
借入れ金利
%
返済期間
年
ヶ月
※1年以上35年以内
想定年数経過後の借入残高
年後
※入力される年数経過後の借入残高を計算いたします。返済期間内でご希望の年数を入力ください。
[参考]アパートローン金利例
金融機関 | 固定金利 | 変動金利 |
---|---|---|
みずほ銀行 | 2.8~4.7% | 1~2.5% |
三井住友銀行 | 3.3~4.5% | 2.5~3% |
日本政策金融公庫 | 1.2~3% | なし |
毎月返済額
万円○○年後借入残高
万円※ローン返済額のシミュレーションは元利均等法に基づいて行われています。
※計算結果は簡易計算による概算金額です。
- 本当にシミュレーション通りの借入金額で大丈夫かな?
実際の建築費用の見積もりは坪数やアパートの材質だけでなく、建築会社の工法や設備のグレードによって大きく変動します。
建築費用が変動すると最初に必要となる借入金額も異なります。
建築費用の見積もりをとる際は、複数の建築会社で相見積もりをおこなって比較・検討をしましょう。
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返済期間は長めに設定する
ローンを組むならできるかぎり早く返済したいと考える方も多いでしょう。しかし、滞納を避けるのであれば返済期間はできるかぎり長めに設定することをおすすめします。返済期間が長ければ長いほど、毎月の返済額は少なくなるためです。
返済期間を短く設定してしまうと、その分毎月の返済負担は大きくなります。アパートの入居者が減るなどした際に、返済が難しくなる可能性も高くなるでしょう。
ローンを早く返済したいなら、繰り上げ返済という方法もあります。返済期間は長めに設定し、月々の返済額を少なくしておいて、余裕のあるときに繰り上げ返済をすることで返済も早く行うことができます。
アパートローンが払えないときはリスケジュールなどの対策をしよう
アパートローンの返済が滞ると、金融機関から督促が届き、一括返済を余儀なくされ、最終的にはアパートを競売にかけられてしまいます。せっかく購入したアパートを手放すことになる前に、対策を打つ必要があるでしょう。
アパートローンが払えないときには、リスケジュール申請や借り換え、アパートの売却などの対策をおすすめします。それぞれデメリットや条件はありますが、その後の生活に影響を残さず、土地活用を続けられる可能性があります。
これからアパート経営を考える場合は、ローンの返済を無理なく続けられるように予防することも大切です。適切なアパート選びや経営計画で、アパートローンを正しく利用しましょう。
活用事例:S・ユニヴァリィ ストーン
エリア | 神奈川県 |
土地面積(㎡) | 1066 |
工法 | 重量鉄骨造 |