住宅ローンの一括返済は得?損?メリットやタイミング、返済方法を解説

住宅ローンの一括返済は得?損?メリットやタイミング、返済方法を解説

自己資金に余裕が出てきた人の中には住宅ローンの一括返済を考えている方もいるのではないでしょうか。

住宅ローンは一括返済すると将来支払う利息を減らせるため得ができる一方で、住宅ローンの一括返済には多額の自己資金が必要なため計画的に行う必要があります。

また、タイミングによっては損をしてしまう可能性があるので、この記事で住宅ローンの一括返済をするメリットやデメリットを確認し、一括返済後の手続きとタイミングについて学びましょう。

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住宅ローンを一括返済するメリット・デメリット

住宅ローンは通常数十年単位組む方が多く、コツコツ返していく方が一般的です。

しかし、ボーナスや退職金などまとまった収入がある際には、住宅ローンを一括返済できないか考える方も多いでしょう。

金融機関によって手続きの方法は異なりますが、基本的に住宅ローンを一度で全額まとめて返済することは可能です。

一方で、住宅ローンの一括返済にはメリットとデメリットがあります。

どのようなメリットがあり、デメリットがあるのでしょうか、みてみましょう。

【メリット】一括返済すれば総返済額を減らすことができるから得

一括返済をする最大のメリットは住宅ローンの総返済額を減らすことができるということです。

住宅ローンは金融機関から資金を借りています。

住宅ローン返済の際に、変動金利で年利0.4%前後、固定金利10年で、0.5%前後の金利がかかります。

そのため、返済期間が短いほど支払う利息を少なくすることができるため、結果的に総返済額を減らすことができます。

しかし後ほど解説する住宅ローン控除との関係次第では一括返済しないほうがよい場合があります。

借入している銀行等に相談して一括返済するべきか慎重に判断する必要があります。

【メリット】一括返済すれば保証料が返金されることがある

一括返済することで「戻り保証金」を受け取ることができる場合もあります。

万が一返済不能となった場合に、保証会社が金融機関へ借入残金を支払ってもらう仕組みがあります。

その時に支払う費用が「住宅ローンの保証料」です。

必要だった保証料を一括で支払っていた際は、返済期間が変わることで余分に支払った保証金を返戻してもらうことができるのです。

この返戻される保証料のことを「戻り保証料」と言います。

戻り保証金の返戻率や手数料や銀行によって異なります。事前に問い合わせていくらになるか確認しましょう。

【メリット】一括返済すれば毎月の負担がなくなる

住宅ローンは、毎月決まった額を数十年間支払うことになります。

月々払っているとはいえ、住宅ローンの支払いは家計の中でも大きな大きな割合を占めます。

しかし、一括返済することで、毎月の負担がなくなり、支払いを続けなくてはいけないというストレスからも解放されます。

また、返済が滞ってしまうと最悪の場合、自宅を競売にかけられ失ってしまう可能性もありますが、住宅ローンが完済されると、そのリスクもなくなります。

これは、債務者にとって大きな安心感につながるでしょう。

【デメリット】自己資金が少なくなる

一括返済をするデメリットとしては、自己資金が少なくなるという点があります。

住宅ローンを一括返済することにより自己資金が減ってしまいます。

自己資金が一時的に減ることで急な出費に対応できないこともあるでしょう。

急な出費を支払うために住宅ローンに比べて高い金利のローンを借り入れて返済することになる可能性があります。

新しい借り入れをするよりも低金利の住宅ローンの返済を続けるほうが返済額が少なくすむため無理に一括返済するべきではないでしょう。

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【デメリット】手数料がかかる

住宅ローンを一括返済すれば、支払う利息を減らせる一方で、一括返済の手数料がかかります。

住宅ローンの返済が残り少ないタイミングで一括返済をすると、軽減できる利息より一括返済の手数料が高くなり総返済額が高くなることもあります。

残債額や利息、一括返済の手数料を比較して一括返済するべきか考えましょう。

借り入れている銀行で一括返済するべきか、しないほうが返済額が少なくなるのかシミュレーションしてもらうことができます。

また、一括返済手数料は、金融機関や手続き方法によって異なるため、こちらも一緒にご確認ください。

まずは一括返済を考えていることを借入している銀行に相談してみましょう。

住宅ローンは「一括返済」の他に「一部返済」が可能

残債を全部まとめて、または残債の一部を予定より前に返済する繰り上げ返済には「一括返済」「一部返済」があります。

住宅ローンの一括返済が難しい方は、住宅ローンの残高の一部を予定より早く支払う「一部繰り上げ返済」の利用が可能です。

予定よりも支払う期間が短くなるため、一部返済を行うことでも総返済額を減らすことができます。

住宅ローンの一部返済は「期間短縮型」「返済額軽減型」の2種類

住宅ローンの一部返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あります。

「期間短縮型」は住宅ローンの返済期間を短縮する方法です。

毎月の返済額は変わりませんが、利息の軽減効果が高く、総返済額を減らすことができます。

返済期間が短くなるため、結果的に総支払利息が減りますし、返済期間が短くなることで、ローンを早期に完済することができます。

「返済額軽減型」はローン完済までの期間は変わりませんが、住宅ローンの元金を一部返済し毎月のローン返済額を減らす方法です。

長期的な利息負担を減らしたい場合は、期間短縮型が適しています。

また、「期間短縮型」に比べると利息の軽減効果は低いですが、毎月の出費を減らすことができるため家計の負担を減らすことができます。

住宅ローンを一括返済するベストなタイミングとは?

現在住宅ローン控除を受けている方は住宅ローン一括返済をするタイミングを見極めて返済することをおすすめします。

なぜなら、住宅ローンを一括返済すると、住宅ローン控除が利用できなくなる、などの取り決めがあるからです。

しかし、控除にも適応期間があるので、一括返済のメリットとデメリットを確認した後は、控除についても詳細を見ていきましょう。

そして一括返済をした方が得なのか、しっかり見極めながらベストなタイミングを探していきましょう。

是非比較し、ご自身に合ったタイミングを選びましょう。

一括返済したら住宅ローン控除は利用できなくなる

住宅ローン控除とは個人が住宅を購入した場合その年の住宅ローンの年末残高の1%が一定期間所得税額から差し引かれるという制度です。

控除を受けることができる期間は原則入居してから10年ですが、消費税率が10%にアップしたことに伴う政府の特例措置や新型コロナの影響で条件によって10年間と13年間で分けられています。

一方で、住宅ローンを一括返済することで住宅ローンの残高が0になるため住宅ローンの控除を受けることができなくなってしまいます

そのため、損をせず所得税の控除を受け続けるためには、住宅ローン控除の適用期間が終了するまで一括返済は避けたほうがよいでしょう。

しかし金利が1%を超えている場合は利息額が控除額を上回るため、住宅ローンの控除を受けることができる期間内であっても一括返済すると効果的であるといえるでしょう。

金利が1%未満の場合は住宅ローンの控除額と利息を比較して一括返済するか決めるとよいでしょう。

住宅ローン控除を考慮した一括返済のおすすめタイミング

住宅ローン控除の適用期間に一括返済する際のおすすめのタイミングは年明けです。

控除の金額は年末残高によって決まるため、もし12月中に一括返済してしまうと年末残高が0円になってしまい住宅ローン控除を受けることはできなくなってしまいます。

一部返済をする場合も年明けに行うことをおすすめします。一部返済をすることで年末残高が減り、控除額が少なくなってしまう恐れがあるからです。

また、年末調整に必要な年末残高証明書はその年の9月末時点の情報をもとに推測した12月末時点の住宅ローン残高が記載されています。その年末残高証明書が送られてきた日以降に一部返済をした場合は、残高が変わっているため銀行に問い合わせて再発行してもらう必要があります。

最新の年末残高証明書の再発行が年末調整までに間に合わなければ自分で確定申告を行うことになるため、一括返済を行ったらすぐに再発行を行いましょう。

しかし控除額は1年ごとに最大40万円(長期優良住宅は最大50万円)となっています。つまり住宅ローンの残高のうち4000万円(長期優良住宅は5000万円)を超える部分については住宅ローン控除の対象とならないため、年末であろうとはやく返済したほうがお得になります。

住宅ローン一括返済の手続き

住宅ローンを一括返済する際には、いくつかの重要な手続きがあります。

一括返済を円滑に進めるために、一般的な流れを把握しておきましょう。

しかし、流れは金融機関によって異なることもあるため時間に余裕を持ち事前に確認してください。

金融機関に一括返済を検討している旨を伝える

まず、一括返済を希望する場合は、借り入れを行っている金融機関に連絡を取る必要があります。

多くの金融機関では、電話やオンラインバンキングを通じて一括返済の意思を伝えることができます。

この連絡を受けた金融機関は、一括返済に必要な手続きについて詳細な指示を提供してくれます。

次に、金融機関から指定された必要書類を準備し、提出することが求められます。これには、本人確認書類や住宅ローンの契約書などが含まれます。

必要書類の提出が完了すると、金融機関は一括返済に必要な正確な金額を計算し、通知してくれます。この金額には、元本残高、利息、そして手数料が含まれています。

その後、一括返済を行う日を設定します。金融機関によっては、特定の営業日のみ一括返済が可能な場合がありますので、この点も確認しておくことが重要です。

返済日が設定されたら、指定された日に金融機関の指定口座に返済額を振り込みます。振込が完了すると、金融機関から返済完了の通知を受け取ることになります。

住宅ローン一括返済にかかる費用

一括返済を行う際には「手数料」が発生します。

まず、多くの金融機関では、一括返済に対して繰上げ返済手数料がかかります。

この手数料の金額は、返済時期や残高によって異なるため各金融機関に確認が必要です。

さらに、一括返済に伴って金融機関が書類を作成するための費用が発生することがあります。この書類作成費用は、書類の種類や金融機関によって異なるため、こちらも事前に確認しておくことが重要です。

これらの手数料や費用を正確に把握し、必要な手続きをスムーズに進めるためには、事前に金融機関と詳細な確認を行うことが不可欠です。これにより、不測の費用発生を防ぎ、計画通りの一括返済を進めることができます。

みずほ銀行の手続き方法や繰り上げ返済手数料

一括返済一部返済
申し込み方法窓口窓口・インターネットバンキング
手数料33,000円(テレビ電話利用の場合は22,000円)インターネット:無料
窓口:33,000円

みずほ銀行では一部返済は窓口・インターネットバンキングの両方が対応していますが、一括返済をする場合は窓口のみの対応となりますので注意しましょう。

三菱UFJ銀行の手続き方法や繰り上げ返済手数料

一括返済一部返済
申し込み方法窓口・インターネットバンキング窓口・インターネットバンキング
手数料インターネットバンキング:16,500円
窓口:33,000円
インターネットバンキング:無料
窓口:16,500円

三菱UFJ銀行は一括返済、一部返済どちらも窓口、インターネットバンキングで手続きすることが可能です。インターネットバンキングで手続きする方が手数料が安くなっているため少しでも費用をかけずに繰り上げ返済したい方はインターネットバンキングを利用しましょう。

三井住友銀行の手続き方法や繰り上げ返済手数料

一括返済一部返済
申し込み方法窓口・インターネットバンキング窓口・インターネットバンキング
手数料インターネットバンキング:5,500円
窓口:22,000円
インターネットバンキング:無料
窓口:16,500円

三井住友銀行も一括返済、一部返済どちらも窓口。インターネットバンキングで手続きすることが可能です。一括返済に関してはインターネットバンキングで手続きする場合手数料を1万円以下に抑えることができるため、窓口ではなくインターネットバンキングでの手続きがおすすめです。

住宅ローン一括完済後は抵当権抹消手続きをしよう

住宅ローンを一括返済した際に忘れてはならないのが抵当権抹消手続きです。

そもそも抵当権とは、住宅ローンを契約した人(債務者)が住宅ローンを返済できなくなった場合に、住宅ローンの融資元である金融機関(債権者)によって行使される権利のことを言います。

住宅ローンを完済すると抵当権が不要になるため、抵当権抹消手続きをする必要があります。これを「抵当権抹消手続き」といいます。

抵当権の設定がない場合、金融機関は債務者によるローンの返済が滞った場合のリスクに怯えることになります。

しかし抵当権を行使すれば債務者による住宅ローンの返済が止まっても、債権者側は債務者の持つ物件を差し押さえ、競売にかけることにより貸付金を回収することが可能です。

抵当権抹消手続きをしなければいけない理由

注意していただきたいのが、受託ローンを完済しても抵当権は自動的に抹消されるわけではありません。

そのため自身で「不動産の住所地を管理する法務局」で抵当権抹消の手続きをしなければなりません。

もし抵当権の抹消手続きをしていない場合、登記簿上で「ローン未完済」として扱われます。

またカードローン、自動車ローンなど別のローンを滞納すると、抵当権がついている物件は「担保にできる」とみなされローンを完済した住宅であっても差し押さえにあい競売にかけられる可能性があります。

その他にも抵当権抹消手続きをしていなければ新規のローン契約が通りづらいということが予想されます。

複数のローン支払いを抱えている顧客は金融機関から「多重債務者またはその見込みがあるのも」として敬遠されることが多いです。そのため住宅ローンを返済したら抵当権を抹消してローンの支払いがないことを証明しましょう。

抵当権抹消手続きの流れ

抵当権抹消の手続きは以下のような流れで行います。

STEP
  • 金融機関から手続き書類が届く
  • 抵当権抹消登記申請書の作成
  • 管轄の法務局を調べる
  • 法務局に手続き書類を提出する
  • 法務局から登記識別情報と登記完了証が届く

基本的に申請期限はありませんが、早めに申請すると良いでしょう。

また抵当権抹消の申請時には、不動産1つにつき1000円の登録免許税がかかります。

例えば、土地と家の抵当権抹消手続きを行う場合、【不動産数 2つ×1000円で、合計2000円】の支払いが必要になります。

法務局は平日しか開いていないため自分で行うことが難しい、手続きが面倒だと感じる場合は司法書士に依頼するという方法もあります。

司法書士への依頼料は平均1万円~2万円ほどです。

抵当権抹消手続きに必要な書類

抵当権抹消手続きに必要な書類は全部で5種類あります。

書類概要
① 抵当権抹消登記申請書法務局のホームページから登記申請書の様式をダウンロードすることができる。
② 弁済証書住宅ローンを完済したことを証明する銀行の書類。一括返済後に銀行から郵送される。
③ 登記済証または登記識別情報登記名義人がその不動産の所有者であることを証明する書類。抵当権を設定した際に発行済みのため改めて入手する必要はない。
④ 登記事項証明書抵当権を抹消する不動産についての情報を知るために使用。法務局で取得可能。
⑤ 委任状銀行が抵当権抹消登記申請を行うことを不動産の所有者もしくは依頼した司法書士に委任する書類。一括返済後に銀行から郵送される。

上記の書類のうち自分で作成する必要がある物は抵当権抹消登記申請書です。

必要な書類は不動産の種類や状況によって異なります。そこで、必要書類を簡単にチェックしましょう!

必要項目を選択して「必要書類を見る」を押すと、ご自身の場合に必要な書類が一覧で表示されます。

必要書類を簡単にチェック!
条件を入力する
①不動産の種類
②ローンが残っているか
③売却する不動産に住んでいるか
④建築年月
地盤が軟弱なエリアか
タイミング 重要度 書類 内容 取得方法

住宅ローンの一括返済をする際の注意点

住宅ローンを一括返済する際にはメリットもたくさんありますが、デメリットも多くあることが分かっていただけたかと思います。

最後に、住宅ローンを一括返済する場合は、以下の注意点に気を付けて計画的に行いましょう。

  • 手元に十分な資金を残しておく
  • 新しく生命保険の加入をする

手元に十分な資金を残しておく

住宅ローのを繰り上げ返済は総返済額を減らすことができるため、資金に余裕ができたらすぐに返済しようと考えている方もいるかもしれません。

無理に資金を集めて住宅ローンを繰り上げ返済しようとしているのならばやめたほうがよいでしょう。手元に余裕のある資金を残しておかなければ、突然まとまったお金が必要になった場合に対応できなくなります。場合によっては足りない資金を補うためにお金を借りたり別のローンを組むことになりかねません。

住宅ローンは他のローンに比べて低金利です。無理に住宅ローンを一括返済しようとせず手元に必要な資金を残せるように計画的に行うようにしましょう。

新しく生命保険の加入をする

住宅ローンを一括返済することで団体信用生命保険の保証も終了します。

団体信用生命保険(団信)とは住宅ローンの契約者が死亡、高度障害状態になった場合に住宅ローン残債が保険会社から借入している銀行に支払われる仕組みです。

団信以外に生命保険に加入していない場合は新しい生命保険への加入を考える必要があります。

住宅ローンが残っている家を引っ越す場合は一括返済が必要

住宅ローン返済中であっても家を手放すことはできますが、さまざまな条件が伴います。

まず、先述した通り住宅ローンを組む際には抵当権が設定されています。

その抵当権が登録されたままだと家を引き渡すことができません。

その場合、住宅ローン返済中の家を手放す方法は以下の4つあります。

詳しくは、記事をご覧ください。

住宅ローンのある家を手放したい!4つの方法やすべきことなどを徹底解説!

住宅ローンがまだあるけど引っ越したい!売却できるの?対処法は?

ここまで住宅ローンの一括返済について解説しました。住宅ローンを繰り上げ返済することによって利息の支払いが減り、結果的に総返済額を減らすことができます。

繰り上げ返済には住宅ローン残債を一括で返済してしまう「一括返済」のほかに元金の一部を返済する「一部返済」というものがあります。

一部返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、同じ金額を繰り上げる場合は「期間短縮型」の方が総返済額は少なくなります。

一括返済をすることによって手数料がかかることや自己資金が減り家計の負担が増えることもあります。もし一括返済をするか迷っている場合はまずは借入している銀行へ相談してみることをおすすめします。

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